禁じられた魔法{小説











うちの学校の校則は

恋をしない

ただそれだけ





「花、また人間界へ行くの?」

「うん」

「学校に申請は出したの?」

「…和美には関係ないでしょ」

「また無断で行くつもり!?だめだよ花!人間界なんて危ないし」

「このこと、誰かに言ったら縁切るからね」

「言わないけどさー…私は花を思って言ってるんだよ?もしも、人間に恋でもしたら」

「私が恋なんてするわけないでしょ」

私はそのまま人間界へ行った

私は、魔女の国に住む魔法使い

人間界にはよく行く

毎日のように、行っている

この世界では、人間界へ行くことが、硬く禁じられている

私たちが人間界に行けるのは、

学生の間に行く修学旅行と、1年に一度ある

人間界への観光ツアーのみだ

観光ツアーで行く人間界なんて、監視がたくさんついて

とても退屈

この国の人たちは、魔法で人間界に行くことなど

容易いのに、それをしようとしない

それは、今の生活にとても、満足しているからで

人間界はとても、危ない所だと教えられているからだ

過去に何人か、人間界に行き、人間に恋をし、

この国を追放された人がいる

追放されたら、その人は人間に生まれ変わって、

人間界で生きる

すべての記憶を、消されて

「タケちゃん、おはよ」

「花!?」

「何驚いてんの?」

「そりゃ、驚くだろ!いつの間に部屋入ったんだよ」

「まー、いつでもいいじゃん?」

私は、この、タケルという男に魔法をかけて

私を記憶させた

私はタケルの幼馴染の花

タケルのことをタケちゃんと呼ぶ

タケちゃんの中には、私との思い出がたくさんある

全部、私が魔法で作ったものなんだけど

「タケちゃん今日学校?」

私達は中学生

「当たり前だろ、今日平日だぞ?」

「私はないけどねー」

私はいろいろあり、不登校になっている

面倒だから、そういうことにしておいた

「俺もう行くけど、花、どうすんの?」

「ちょっと部屋でゆっくりしてから帰る」

「まるで自分の部屋だな」

「いいじゃん。私達、幼馴染なんだから」

タケちゃんは家を出た

私は、人間界が好き

あんな国より、こっちの方が断然いい

私は、

普通の人間に生まれたかったんだ

私はそのままタケちゃんの部屋で眠った

「…花、花!」

「…おかえり……」

「おかえり、じゃないだろ。なんで寝てんだよ」

「えー…眠かったから」

「だからってなあ…勝手に人の部屋で…大体花は何で学校も行かないのにいつも制服なんだよ」

「…趣味?」

「悪趣味だな」

趣味、と言ったのは強ち嘘じゃなかった

人間の女の子が、毎日当たり前に着るようなものを

私も、いつだって着ていたかった

「…ねえタケちゃん、今日は泊まってもいい?」

「おばさん、心配するだろ」

「帰りたくないんだよねー、あんな所。退屈で、つまんない」

魔法なんて、いらなかった

「俺の家は面白いか?」

「うん」

私は普通に、暮らしたいだけなのに

「…でも駄目だ。今日はとにかく帰れ。どうせまた明日も来るんだろ」

もしも私が人間だったら

魔法を使いたいとか、魔女になりたいだとか、思ったのかな

「………タケちゃんはさ、魔法使いって、好き?」

「別に好きも嫌いもないよ。そんなおとぎ話」

「じゃあ、タケちゃんは、魔法使いを信じる?」

「どっかに居るかもしんねえな」

「そうだね」

ねえ、魔法を使えることが幸せなことだと思う?

ねえ、私、魔法の国から来たんだ

信じてもらえないかも知れない

信じてくれなくてもいい

ねえ、魔法使いって、好き?

私のこと、好き?

「…じゃあ、帰るね」

「じゃーな」

笑顔で手を振った

ま た 明 日 ね 


「花っ!」

「和美…何してんの?」

「今ね、人間界と繋がってる空間を、壊そうかって話が出てるんだって!」

「空間を壊す?そんなの、出来っこないよ。だって、空間は永遠のものだって、」

「それがね、今その空間の魔力が弱ってるから、今なら取り壊せるんだって」

「閉鎖しちゃうってこと?もう、人間界へ自由に行くことは出来なくなるの?」

「そうみたい…でもね、まだ決定してないから、わかんないんだけど」

「私、もしそうなったら、人間界へ行く。」

「何言ってるの?戻って来れなくなるんだよ?」

「別に…いい」

「花、人間に恋したの?」

「まさか…」

恋?馬鹿馬鹿しい

そんなの絶対有り得ない

タケちゃんは、幼馴染で、友達で、仲よくて

「だから恋なんて…」

「花…恋っていうのはね、理屈じゃないんだよ?好きって思ったら、もう、それは恋なんだよ」

「やめて…私、恋なんてするために人間界へ行ってるわけじゃない」

「じゃあ何をしてるの?何をしたいの?」

「人間に、……会いたい。それだけ」

人間になりたいという本音は言わなかった

言ったら、笑われるのかな

否定されるかな

馬鹿だと思われるかもしれないね


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