Time is money{小説







高校1年生、学校は行っていない
時間は持て余す程ある
何もしないで、何も考えず、
ただ時間が過ぎてゆくのをひたすら待つ
これが私の毎日

「千里、まだ寝てるのか?」
「…何か用?」
「開けるぞ」
ドアが開いたと同時に
冷たい風が部屋を通り抜けた
「今日も行かないつもりなのか?」
兄だ
毎朝こうして私の部屋に来ては、
学校の話をする
家族で私に学校の話題を持ちかける人は
兄しかいない
親は、もう諦めてる
「高校、卒業出来なかったらどうするんだ」
兄は私のベッドに腰掛けた
「いいよ、それでも」
「仕事は?これからの生活はどうするつもりなんだよ」
「そんなこと私に聞かないでよ」
「お前のことなんだぞ」
「説教するなら出て行って。無駄だから」
私は立ち上がり、ベッドから机に移動した
パソコンの電源ボタンを押した
パソコンは機械音を発しながら起動してゆく
「…学校、遅れるよ」
兄は大学生
私とは正反対の、優等生だ
親はそんな兄に期待をしている
だから私はいらないって訳
「もう少し自分のことを真剣に考えろ。何か相談があればいつでも聞くから」
兄は優しい
それにおせっかい
「いってらっしゃい」
兄に背を向けたまま、
私はキーボードを打ち始めた

暇だ、毎日のこと
パソコンをして気を紛らわす
将来?そんなの、今の私には関係ない

マウスをクリックして
キーボードをたたく
面白いサイトはどこ?
私に刺激を頂戴

1時間ほど、ネットの世界を歩き回っていた
すると、興味深いサイトに出会った
真っ黒の背景 真っ赤な文字
怪しい雰囲気をかもし出す、そのサイトの
TOPページには

Time is money ~時は金なり~

と 大きく書かれていた

「時は金なり…?なにそれ」

私はその怪しげな文字をクリックした
すると、
時間を売って下さい という大きな文字が出てきた
1時間、5万円 暇な方大歓迎
時間を持て余している方、時間を売りませんか?

なんなの、これ
私は興味があった
時間を売る?1時間5万円?
たくさんの疑問が頭に浮かんだが
私は何も考えず、一番下に表示されている
会員登録、の文字をクリックした
名前、性別、年齢、職業、1日のスケジュールの
記入欄があった


カンザキ チサト
神崎 千里



16歳 高校生

1日ずっと空いています


登録ボタンを、クリックした

ご登録、ありがとうございます
あなたの時間を買いたい方が
あなたのマイページに
メールを送りますので、
メールをお待ちください
尚、質問などありましたら
マイページからどうぞ

質問だらけだ、と思った
とりあえずマイページに
行ってみた
登録したばかりなのに
もう2通のメールが届いていた


神崎千里様、
あなたの時間を買わせて下さい。
毎日自由な時間のないサラリーマンです。
とにかく自由な時間が欲しいため
2日ほど、時間を売って頂ければ幸いです。
モリシタ ナオヤ
森下 直弥 男 42歳 サラリーマン
時間の使い道:休息


初めましてこんにちは
あなたと同じ高校生です
バイトをしているのでお金はあります
ですがそのバイトのせいで、
時間がとにかくありません
彼氏と旅行に行きたいので時間を売って下さい
返事待ってます!
オカモト アヤカ
岡本 綾香 女 17歳 高校生
時間の使い道:旅行


おもしろい。
時間のある私が、
時間のない誰かに、
時間をお金で売る。
合理的よね
でも、どうやって時間を売るの?
売った時間はどう過ごせばいいの?



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