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プロフィール
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嘘でいいから。
そう、胸を張って言えない自分がいる。
私はあの人を愛しているの
誰よりも、大きな愛で、
愛しているの。でも、
愛は届かない。叶わない。
ねぇ、
嘘でいいから
私を抱きしめて
そして好きだと言って
もう永遠に、
あなたしか見えないように
なにもいらないから
ほかになにもいらないから
本田優子、17才、
平凡な高校2年生
家から徒歩20分の高校に通い
コンビニでバイトをしている
部活はやってない
そんな時間があるなら、
私はバイトでお金をたくさん
稼ぎたい。稼がないといけない。
私には、大好きな人がいる。
恋だとも思うし、
愛だとも思う、けど、
誰一人認めてはくれない。
永遠に叶わないと思う、そんな気持ち。
私の好きな人、それは、
人気バンドのボーカル、
河西亮介くん。
最近はテレビにもよく出ていて
CDの売り上げもトップ10に入る程だ
けれど私はインディーズ時代から
ずっと、亮介くんを知っていて、
ずっとずっと、大好きだった。
彼とは何度か会っている
小さなライブハウスで
歌を歌っていた時代から
好きだから、アイドルのファンが
よくする、出待ちとか、
そんなことをよくしていたから、
いつの間にか顔を覚えて貰って
少しなら会話もしたし、
サインも持ってるし、一緒に
撮って貰った写真まである。
彼の悩みは全て知ってたつもり
声がうまくでなくなったときは、
喉飴と喉にいい薬を持って
彼を追いかけてたから。
だからなのか、彼を芸能人と
思うのには少し抵抗がある。
好きな人としか見れない
だけど、
私のそんな気持ちなんて無視で、
彼はどんどん有名になっていた。
「ねぇ優子!今日ライブでしょ?」
「うん、そうだよ」
友人はみんな知ってる
私が彼を応援していることを
だけど、私が彼に
恋愛感情を持っていることは
知らない
言ったところで、理解はないから
「亮介くん最近人気だよね」
「そうだね」
「優子はずっとファンだもんね」
「うん、…まあね」
「今日も手紙渡すの?」
「渡せたらいいんだけど」
「大丈夫だよ!優子の熱意は伝わるよ!」
「うん、ありがと」
違うよ。私は、普通のファンじゃない。
好きになった人がたまたま芸能人で、
テレビに出ているだけなんだよ。
ライブなんて意味がないの
みんなと一緒じゃ意味がないの
黄色い歓声が聞こえた
私もその群集の中にいた
「亮介くんだ!かっこいー!」
「りょうくーん!こっち向いてー!」
追っかけと呼ばれるファンが
亮介くんに必死に手を振る。
亮介くんは優しいからそれに答える
ねぇ、私はここだよ?
ここにいるよ?
ライブも無事終了し、
私は亮介くん達が泊まると
いわれていたホテルの前にいた
会いたいの。
3時間ほど待って、
一緒に待っていたファン達も
少なくなっていた
私は絶対に諦めない
そうして今まで、会話をするくらいまで
亮介くんに近づけたんだから。
4時間がたって、
ホテルの前で待っているのは
私だけになった。
「あ、」
亮介だ
亮介が、知らない女と歩いてる
誰?
「あ、あの!」
私は決意して亮介に声をかけた
「なに?」
「亮介さんですよね」
「そうだけど」
「私、応援してます」
「ああ、ありがとう」
「これ、受け取って貰えますか?」
「うんもちろん、ありがとうね」
私は手紙を差し出した
ねぇ、私のこと、
わからないの?
「…がんばってください。ずっと応援してます」
「うん、ありがとう」
隣にいた女は私を少し見て、
ニコっと微笑んだ
誰なの?と、聞きたかったけど、
私達の関係は、芸能人とファン。
距離が痛いよ。
亮介はそのまま闇に消えた
私はその場にずっと
立ち尽くしていた
なんだか電車に乗るのも
あまりに現実的で、
いやだったから
もうこのまま時間が
止まってしまえばいいのに
亮介を想ったまま永遠に
想ったまま、亮介の笑顔を
思い浮かべながら、このまま
私は岩にでもなってしまいたかった
辛いんだよ
少しして、歩き出した
いつまでも、現実からは逃げられないから
「俺のこと好きなんだろ?」
「え?」
振り向いたらそこには亮介がいた
私、どうかしちゃったのかな
幻までみえちゃうくらい、
私は、おかしくなっちゃったのかな
「俺のファンなんだろ?」
亮介?
「え、」
「俺のこと、好きって、さっきの手紙に書いてあったけど?」
亮介だ
間違いなく、ほんもの
私の好きな人が
「うそ…え、」
「吃驚?そりゃそうだよね。憧れのスターが目の前にいるんだもんね」
「…………なんで、どうして?」
私はわけがわからなくて、
何を言えばいいのかもわからなかった
「君を探したんだよ」
亮介は私の頬に触れた
「驚いた?俺は、君を探してた」
「……うそでしょ」
「君が好きなんだ、ずっと想ってた」
「………うそ…」
亮介は大声で笑い出した
「君、おもしろいね。本気にした?」
「…え?」
「嘘に決まってるだろ。俺が、一般人を?馬鹿にすんなよ」
私は訳が分からず、
ただぽかんと立っていた
「君、前にも話したよね?」
「…え、」
「そのときから思ってた。君は俺に本気なんでしょ?」
涙が出た
「泣かないでよ。君をからかってるわけじゃないよ?」
私は現状が理解できなかった
「つまりは、取り引きだよ。君は俺を好き、だろ?」
「……わたし、」
あなたが好きだよ
「俺はつまんないんだよ。」
「え?」
「それに金もほしいんだ」
「…亮介、さん?」
「君は俺を好きだろ?俺の側においてやるよ。俺の玩具になれ」
嘘でもいい
愛してると言ってほしい
嘘でもいいから
抱きしめて優しくして
あなたは幻
「否定はしないだろ?キスをしてほしいならいくらでもしてあげる」
あなたは遠い人
「俺を退屈させるな。俺のためにちょっとお仕事をしてほしい」
「仕事…?」
頭の中がいっぱいだった
私の大好きな亮介
だけど芸能人の亮介
河西亮介
「ついておいで?」
私は亮介に言われるがまま、
ついていった
私は亮介と小さなホテルに入った
決して高くはない、ビジネスホテルだ
「あの…」
「何?不安?俺を信じてよ」
「………私、ずっと…ずっと、好きだったんです」
「うん知ってるよ」
「本気であなたを…」
「ありがとね、その気持ち。俺のために動いてよ」
私はホテルの一室に入った
芸能人には似つかわしくない狭い部屋だった
「大丈夫。襲ったりはしないよ。」
「私は、」
「お仕事の内容を説明すべきかな?」
「…あの、」
「俺、意外と給料少ないの」
「え、」
「遊ぶ金なんてすぐになくなる」
亮介はベッドに座った
「君に俺の金を稼いできてほしい。
俺のためなら、できるだろ?
ご褒美はちゃんとあるから安心して
ライブも、招待するよ
CDもDVDも、雑誌も、プレゼントする
君が望むなら、キスもしてあげるよ
君が望むなら、寝てもいい
その代わり、俺の代わりに簡単なバイトをしろ」
「えっと…」
「理解できないかな?急すぎたね。
でも秘密だけど、僕は気に入ったファンに
ちょっと貢いで貰ってるんだよ
さっき一緒にいた女もその一人だ
でも君は特別。どの女より、タイプだし」
亮介は、
にこりと笑った
「俺は君を好きだよ」
ああ、私の好きな亮介だ
大好きな笑顔
いつもの
「やります私…あなたを、好きだから」
「うん、そう言ってくれるって信じてたよ」
「亮介が私を…少しでも、ほかのファンより、
特別に思ってくれるなら、私、なんだってする。」
「信じてるよ、君はなんて名前?」
「優子…本田優子」
「優子…好きだよ」
夢みたいだよ亮介
私はなんだってするよ
どんな関係だっていい
ただあなたの特別でいれるなら
「仕事なんだけど、さっそく
明日から、どうかな?」
「大丈夫です」
私は強く言った
にこり、と微笑み亮介は
部屋から立ち去った
夢を見ているみたいで、
家になんて帰る気にはなれなかった
私は仕事さえしていれば、
亮介の側にいられる
自己満足でもなんでもなく
亮介に必要とされる
亮介の本当の気持ちには、
本当は、薄々気づいていた
けれど今の私にとってそんなことは
どうだっていいことでしかなかった
ただ、今、亮介の側にいたい
想い続けることしか出来なかった
私の夢が叶うんだ
長い間、私は夢を見ていた気がする
亮介も私も笑顔で
お金だってもちろんだけど、
愛だって溢れるくらいあった
亮介は永遠に私のもの
例え違う女の子を愛しても
必ず亮介は私の元に帰ってくる
根拠のない自信があった
それはこの何年も、私が亮介だけを
ただ愛していたからだ
「ただいま」
恐る恐る家のドアを開けた
時刻は6時を過ぎていた
普通なら起きて用意を始めている頃だ
「優子!」
お母さんが走ってきた
「何処に行ってたの!?連絡もつかないし」
「遅くなっちゃって終電逃して」
「何処にいたの」
「友達の家が近くで、泊めて貰ってた」
「どうして連絡も入れないの」
「友達と話してたらつい、盛り上がっちゃってて
気づいたら3時とか過ぎてて、やっぱ
怒られるかなって…それに寝てると思ったし」
お母さんは小さく溜息をついた
「…無事ならいいんだけど」
うちに門限はない
妹にはあるみたいだけど、
私にはない
家族のルールも特にない
お父さんはあまり家に帰ってこない
お母さんは妹をいい高校に入れるために
とても努力している
お母さんが頑張ったって、
本人にその気がないから無駄なんだけど
私は期待されてない
「お姉ちゃんばっかズルいよ」
妹の真里が部屋で化粧をしていた
「真里あんた、化粧なんてして学校行くの?」
「みんなしてるもん。」
「そう」
「それにお姉ちゃんは朝帰りしても怒られない」
「そんなこと、」
「あったじゃん。お母さん、そんなに怒らなかったじゃん」
それは、私のことはどうだっていいから
なんて、言えなかった
「お姉ちゃんは信頼されてるから?
私はどうして何も出来ないわけ?」
真里は目に黒くアイラインを引きながら愚痴をこぼす
「お姉ちゃんばっかズルい。
本当は何処にいたかなんて、分かんないのに」
私は時々真里が羨ましい
「私だったらもっと怒鳴られてた
きっと殴られてたかもね」
勉強をしろと言われるのは嫌だけど、
親に期待されない子供なんてあまりに悲しい
「勉強勉強っていつも、いっつも真里ばっか
そんなのもう息が詰まるよ
死にそうこんな家。お姉ちゃんばっかりが全部
許されちゃうなんて。私は何も出来ないし、
最悪。差別だよね。馬鹿馬鹿しくて真面目に勉強なんて
やってらんないってば。」
真里はグロスを塗り、立ち上がった
「そんなことならお姉ちゃんになりたかったっつうの」
スカートを何回か折り、丈を短くした
バタン、と大きな音を立てドアを閉めた
小さく行って来ますと声が聞こえた
私は溜息をついてベッドに倒れた
「優子ー?学校はー?」
下からお母さんの声が聞こえる
「遅れて行く」
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