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~生きる時間~(小説)
人間は誰でも1人。私はそう思いながら今まで必死に生きてきた。
私の生きてきた時間は全く無意味なもので、その時間の中で私は何も得なかった。得ようともしなかった。
ココまで生きただけでも私はすごいと思う。
ココまでこれなかった奴はいっぱいいるのだから。
だから、こんなにがんばってきたのだから、もうそろそろ死に頃ではないのだろうか。
死にたい。何度もそう思いつつココまで生きてきた。
死なんて望みたくないくせに。死にたいくせに。
「死ねよー」
みんな簡単に口にするけれど、死ぬのは、どれほど難しいことか。
もう私は、死にたいと思い続けて何年たつだろうか?
それでも、まだ死ねてない。
自殺も考えた。実行してみたことだってある。
でも、全然ダメ。飛び降りても簡単に死ねやしなかった。簡単に死ねる高さから飛び降りてないから。死にたいのに、死ぬのをものすごく恐れていたから。
私の手首にはたくさんの傷がある。一般に言うリストカットというモノだ。皆この傷をみると必ず、嫌な目で見る。でも、この傷が私の生きてる証なんだ。
どうして私が死にたいだなんて考えるようになったのかと言うと、中学時代のイジメがきっかけ。
「お前なんてイラナイ」
「みんなお前を嫌ってる」
「死ね」
「消えろ」
たくさん酷い事を言われ続けて、本当に私はイラナイ人間なんだと思うようになってから。私は私が消える事を望んでいる。
「勉強しなさい」
「もっと頑張りなさい」
そんな言葉の数々がどれだけ私を苦しめたか。言うのは簡単だけど、言う前にあなたやってみなさいよ。頑張るっていうことは簡単でも、頑張る事は以外に難しいんだよ。
今日、私は死ぬことを決意しました。
理由なんてない。ずっと前から死にたかったんだもん。
死ねって、言われ続けてきたんだもん。やっと死ねる。今なら死ねる。今、そう思うから私は死に向かう。
川がいい。
川なら簡単に苦しくなって、楽になれる。それがいい。思ったらすぐ実行。また恐怖が襲い掛かってこないうちに。
「…なんて綺麗で、静かな川。今すぐ私で染めてあげるからね」
つぶやいた。この川を私でイッパイにできるんだ、と思うと胸の奥から不思議とワクワクと言う気持ちが浮かんできた。
冷たさなんて感じなかった。ただ、今から楽になれる。と希望でイッパイになっていた。
気持ちいい。なんて気持ちいいんだろう。死ぬ恐怖ではなく、死ねる喜びがたくさん、たくさん、私の中に芽生えてくる。
…声?声が聞こえる
「何してるんだ!」
誰だろう。
「…っ」
私は一気に川へ沈んでいく。あぁ、やっと死ねる時がきたんだ。
………此処は、どこだろう?
意識が戻った。…私、死んだんだよね。本当に
「真子?」
知ってる人。……お母さんが見える
「真子?気がついたのね。」
「………此処は?私は、死ねたんじゃないの?」
「此処は病院よ。通りかかった高校生の男の方があなたを助けてくれたのよ。あなた、川で何してたの?どうして、あんな…」
…私、また死ねなかったんだ。やっと死ねると思ったのに。まだ生きてるよ。
「…ねぇ、その人は?」
「えっ……あぁ、ちょっと待って」
…また死ねなかった。やっと楽になれると思ったのに。まだ生きてる。
「真子、この方があなたを助けてくださった方よ」
「…あなたが」
私の死を邪魔した人
「……お母さん、ちょっと出てって」
「…わかったわ」
「……大丈夫?」
「………どうして助けたりしたの?」
「どうしてって、…溺れてたから」
「どうして助けるの?…私、やっと死ねるとこだったのよ?!どうして?」
「…きみ、死にたかったのか。余計な事してゴメン。」
「私、また死ねなかったじゃない」
「でも、人間は死ぬために生まれてきたんじゃないよ。生きるために生まれてきたんだよ」
「…生きるため?」
「そう。生きなきゃ損だよ。キミはまだ生きれるじゃないか。生きたくても生きれない人がたくさんいるんだ。そんな大切な命、無駄にするような事はやめろよ」
「…私は、これから生きられるような強い人間じゃない」
「誰だってそうだよ。何か抱えてんだよ。キミだけじゃない。僕だって。弱いよ。そんなに強い人間なんていないから。きみだって生きれる」
「私なんて…生きる価値もない」
「キミは、本当に死を選ぶの?まだこの先何があるかわからないんだよ?生きてみて、それを経験してみたらどうだ?キミはまだ死を選ぶ歳じゃない」
「…歳?」
「僕がキミにいえることはこれぐらいだ。もし僕にまた会いたくなったら、会いたいと強く願ってくれ。必ず、キミに会いに来るから。じゃあ」
何言ってるの、このひと。
そんなの無理にきまってるじゃない。願うだけで会いに来れるわけがない。もう、あの人に会いたいなんて思わないだろうけど。
「…真子。……どうしてこんなことしたの?誤って、落ちてしまったの?」
「…私は、この世に存在してる意味がないから」
「……だから…死のうと、」
「そう」
「…学校で、何かあったの?」
「…何も」
「それなら…どうして」
「ただ、今なら死ねると思っただけ。もういいでしょ、出てって」
「…真子、何かあるならお母さんに言ってね。お願いだからもう死のうなんて考えないで」
どうしてみんな死を拒否するのだろう
早くても、遅くても、どうせ人は死ぬのに。それなら早くに死んだって、あまりかわないじゃない。存在してる意味がないんだもの。死んで当然。
酷く憎い、こんな私が。もう死んでほしいのに。この世から消えてなくなりたいのに。神様は不公平だと言うけれど、本当にそう。死にたくない人は殺して、死にたい人は生かして。一体何を考えてこんな事をしているのか。
死を選んだ私には、もう望みなんて言葉はなく、ただ死ねるその時を待っているだけ。
こんな事続けてる私がものすごく恥ずかしい。いっそこの窓から飛び降りてしまえば簡単に死ねるのに。それをしないのが私。私だって、一体何を考えているのか。死にたいという気持ちの裏側にあるのは何?希望?夢?現実を見なよ。そんなのどこにも無い。「早く死ね」いい聞かせ続ける。
深く眠ったあとは酷い頭痛が私を襲う。そして、深く思う。「死のう」
そう思う事はずっと続けてきたが、実行に移そうとしたことは少ない。でも、実行に移したい気持ちが、今、私の中にはあふれる程芽生えた。どこからやってくるのだろう?今でないとダメって気持ち。思ったらすぐ実行。すばやく着替えて、病室を出た。
「何処へ?」
看護士が私に話しかける。関係ないじゃない。
私は何の考えも無しに、ただ歩いていた。
「真子さん?!」
遠くに男が見える。私を助けた、あの男。あいつさえいなければ、私は今ココにいない、それでよかったのに。
「真子さん、何してるんだよ、部屋に戻らないと」
「もう関わらないで」
本当に、関わりなんてなくしてしまいたい。
世界中の関わりを、もう2度と誰かと関わりたいなんて思わないように、ぐちゃぐちゃにしてやりたい。
「真子さん、待って!」
うるさい。
私が死んだところで、世界の何が変わる?何も変わりやしないじゃない。私がいた所で、環境がよくなるの?むしろ、悪くなるだけじゃない。人間なんて、余る程いるんだから、1人や2人消えたトコロで、何も変化はない。
だから、私は死を選ぶ。それしか選択肢がないかのように、そればかりにこだわり続けて。
「真子さん、どこへ行くんだよ」
「死の世界、三途の川、どこだっていい」
「真子さん…」
「とにかくこの世界から早く連れ出して?」
「真子さん、どうしてあなたは死しか道がないかのように、そればかりにこだわるんだ」
こだわる…
死しかないのだもの、こだわるもなにも、死しか道がないのだもの。それしかないように拘り続けるのは、本当にそれしかないから。
「他に道があるなら、その道を通ってるかもしれない」
「どういう意味?」
「私にはこの道しかない。だからこの道を歩く、進む、それだけ」
「君には生きる道がある」
生きる道など、選ぶにはもっと力がいる。私にはそんな力もない、そんな勇気もない。むしろ、そんな道も見えない。
「君は間違ってる」
「これは私の人生、私の物。好きにしていいはずよね?」
「君がいなくなって、悲しむ人間はたくさんいるんだ、だから生きる道を探せよ」
探すの?生きる道というものは、探して見つけるもの?
「あなた、探したの?」
「え?」
「あなた、わざわざ探して生きている?」
「探してる」
「嘘。あなたは自然と生きている。でも私は自然と死に行くのよ」
そう。それは自然な事で、人間たちが生きているのと同じぐらい、私の死への感情は、自然で当たり前なモノ。
「でも、君は今生きている。生きているから、話して、考えて、僕の事が邪魔に思うんだろ。真子さん、君も自然と生きているんだ」
私は自然に生きている。そう、確かにその通り。だけど、その先にあるものは希望や、夢なんかじゃなくて、もっと暗い、希望もない、夢も、光もない世界。あきれてしまって、こんな世界が嫌いになってしまって、たどりつく先はきっと、あなた達が望んでるような物でなく、死のような、闇。
「進む先に光が見えない」
「探せばいい、光を見つけるんだ。君には夢がないのか?絶望だけなのか?」
「……夢…」
「そう、夢。将来なりたい憧れや、希望、ないのか?」
「…ない」
「それだよ、そういうものを今から探すんだ」
夢など、持っているはずがない。探す価値もない、私の憧れなんて。
「どこ行くんだ、真子さん」
私は歩く、ただその先へ。
「真子さん?」
「…もうついて来ないで」
「待って、君を一人にしておくわけにはいかないんだ」
おかしな人。私なんて助けて、何の意味を持つ?誰かにほめられるの?私なんて、助ける価値もないのに。
いつの間にか川に来ていた。ただ無心に歩いただけでも、死へと向かっている。ここで私は死のうとした。この川は私でいっぱいになりかけていた。なのに、邪魔物が入った。
「真子さん、こんな所に来て、何するつもりなんだ」
大丈夫、あなたの前では死なないから。だって、あなたは止める。私が選らんだ道を、ふさごうとする。
私はその場に座り込んだ。
「真子さん、大丈夫?」
「はぁ」
私は大きなため息をついた。もう死ぬのも面倒。
「生きてる証なんだろ、その傷」
何の事を言っているのか、すぐにわかった。そう、私の手首のリストカットの後。
「…気付いたの?」
「そんな所に包帯なんて、それしかないじゃないか」
もし外れていたら、すごく失礼にあたる。
「これ、」
私にリストバンドを渡した。
「…何」
「それしてたら、リスカだって気付かれないよ、たぶん」
彼の優しさを、少し、どこかの片隅から感じた。でも、これをしたところで、私の傷は消えない。消そうとも思わない。
「ずっと思ってたの、死にたいって」
次々と、コトバが出てくる。それは私の意志とは全く関係なく…
「もう、生きたくない」
「真子さん?」
「お願い、殺して?」
「…真子……?」
「私を殺して」
「真子さん、どうしたの?」
「ほら、このカッターで私の首を刺して」
「真子さん、何言って、」
「もう、嫌」
こんな事、言ってる自分も嫌になる。今、存在している自分が嫌になる。もう、駄目なのかもしれない。限界というものは、案外近くて。
「真子さん…」
「……」
「どうして、そんなに崩れてしまったんだ?何が君をそこまで追いやる?何があったんだ?」
「………もう、いろんな事がありすぎた」
「可愛そうな人だ、あなたは」
やめて。そうやって、見下さないで。
同情なんていらない。私が欲しいのは、もっと、深くて、確かなもの。
その確かなものが、なんなのかわからない。
「…その、いろんな事を話してくれないか?」
「…え……」
「話せば、楽になる。1人で抱え込むより、誰かと分け合えば楽になるから」
「私…私は、…死ぬことを望まれていた」
「…イジメ?」
「イジメだったのか、それさえ分からない。私…感情を無くそうとしたの。そうしたら、もう死ぬしか分からなくなって…」
「本当に、今でも、死にたい?」
「うん」
「カウンセリング、受けよう。もっと楽になるかも知れない」
「…どうして?どうして、そこまで、私を助けようとするの?」
「それが僕の望んだ事だから」
「望んだ、こと?…人助け?」
「覚えてないかな。きみと僕は、同じ学校だったんだ。僕は、きみのことが好きだった。だから、きみを助けたいと思ってるんだ」
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