夢と現実と・・(小説)


そして、地球最後までのカウントダウンが始まる。
5・・4・・3・・2・・1・・・・・・・


そんな夢だった気がする。


これは何を示しているの?教えて、夢さん。
なんて、メルヘンチックな事を言っている場合ではない。
今日は私の恋が始まる日。

そう、今日は私の片思い1日目。
どんなに好きでも、片思いは片思い。どうにもならない。
しかし、頑張るコトはできる。

今日、私は転校生に一目ぼれをするのだ。
何故、そんな事がわかるのかというと、夢が教えてくれた。夢は何でも知ることができる、唯一の情報源。
私の夢には、少し不思議な力がある。

しかし、一目惚れとは・・。
私のハートを奪ったやつは、一体どんなヤツなんだろう。
どんなヤツなの、夢さん。
なんて、本当に言っている場合じゃない。

肝心なのは第一印象。
私は夢のおかげで、少しは可愛く見せる事ができそうだ。
なんたって、何より早く知ってしまっているのだから。朝に、髪を可愛くして行く事も、制服を可愛く着て行く事も出来る。

学校は戦場だ。
いつ、落とし穴にはまってもおかしくない。
当たり前だ。だって、いろんな人間が集まっているんだから。
今日やってくる転校生を好きになる女は一体どれだけいるのだろうか。私だけ?
まさか、私をトリコにさせる男なんだ、人気モノの座をとるに違いない。

私は勝ってみせる、生き抜いてやる!この戦いの場で。



キーンコーンカーンコン

始まりのベルは鳴り響く。
よし、来い!憧れの転校生。

 ガラ
先生が教室に入ってきた。転校生は・・・?

「おはようございます」
挨拶なんてどうでもいいんだ、早く私の彼を見せて。
「みんなにお知らせがあります」
きたきた・・
「入りなさい」
「はい・・」
声が聞こえた。確かに、転校生だった。
「今日からお友達になる、柏木健太くんだ」

教室中がざわざわしだした。

この人が、私の憧れの・・・

「こんにちは、柏木健太です。よろしくお願いします。」
うーん、・・普通かな。
でも、好きかも。

「席は・・中山の隣でいいか」
え・・
私?うそ・・やった!

「よろしくね、中山さん」
「あっ、よろしく・・」
んー、なかなかいい感じの人じゃない!
ますますメロメロにさせてね、健太。


「柏木くん」
「何?」
「何て呼べばいいかなぁ」
ちょっと上目遣いで見てみた。
「健太とか?」
「じゃ、今日は健太くんね」
「どうして?」
「初日からいきなり呼び捨てだなんて、駄目だよ」
「そう?」
「だから、3日後ぐらいから健太ね」
「なにそれ、キミおもしろいね」
うそ、いきなり好印象?!
しかも、健太くんの笑顔・・最高。

「キミの事は何て呼べばいい?」
「えっ・・あたし?」
「うん」
「じゃあ・・ももかでいいよ」
「ももかっていうんだ、可愛い名前」
やだ、可愛いだなんて・・。
「じゃ、もも」
「もも?」
「ももの方が呼びやすいし、それに呼び捨てじゃないしね」
「そだね」
「でも、3日後からももかだから」
「うんっ」

私たちの仲は最高だった。
隣の席だし、これからが楽しみ。




次の日、朝から健太くんに会う夢を見た。

本当に、会えるのかな・・



私は勢いよく家をでた。
健太くんに、最高の笑顔を見せるんだ!

「もも!」
名前を呼ばれ、振り返る。
そこには健太くんが・・
「おはよ、もも」
「おはよ」
やっぱり、夢は本当だったんだね。
「もも、歩くの早いね」
「そうかな?」
「うん、追いつくの大変。疲れた」
「でも、よく後姿だけで私ってわかったね」
「気付くよ、ももだもん」
「え・・」
「ももの事、気に入った」
うそ・・・それって、好きって事!?まさか・・両思いなの?!

「もも?」
「あっ、えと・・何?」
「だから、今度の日曜日、遊びに行こうよ」
「えっ!?」
「・・だめ?」
「いやいや・・駄目だなんて、ぜんぜん」
「よかった、ちょうど遊園地のチケットがあったんだ」
「そうなの・・」
嘘でしょ!?これは、夢?
まさか、健太くんが私を遊園地に誘うなんて。

「ももちゃーん?」
「・・えっ、ん?」
「人の話、全然聞いてないだろ?」
「えと・・・ごめん」
「俺と遊園地、嫌だった?」
「ううん、全然!むしろ嬉しいっ」
「マジ?!」
「うん、マジ・・です」
「じゃあさ、今日一緒に帰ろ?計画たてよ、2人で」
「うんっ」

私は「幸せ」という2文字でイッパイでした。
夢じゃなくて、現実で、まさか・・健太くんとデートできるだなんて。
デート・・?
そっか、コレはデートだよね。
やだ・・緊張してきた。



そして運命の日。
日曜日!

待ち合わせ場所に向かう途中も、ドキドキがとまらなかった。
まるで、女の子。否、私は女の子なんだけど・・

「ももー」
「健太くん!」
「おはよー」
「おはよっ」
「やけに可愛いじゃん」
「え・・!?」
「オシャレしちゃって、可愛いよ、もも」
健太くんて、こんな事言う人だっけ・・
まぁいいか、カッコイイんだし。


それから私たちは遊園地で思う存分遊んだ。

そしてラスト。
私たちは観覧車にのった。
密室に2人きり。緊張しちゃって、健太くんの顔まともに見れない。

「もも、どうかした?」
「ううん」
「なぁ、・・俺の事、嫌い?」
「えっ?」
「いや・・全然目、あわせようとしないから」
「ううん、そんな事ないよ」
「じゃあ好き?」
「・・・うん、・・好き」
「俺も、ももの事が好きだ」
うそ・・
夢じゃ、ないよね?
「もも・・」
観覧車がちょうど、頂上につく頃に健太くんの唇が私の唇に重なった。
いきなりの事で驚いた。でも、嬉しさと喜びの方が上だった。
「健太くん・・」
「健太でいいよ」
「うん」
「ももかって呼んでいー?」
「うん」

2人は観覧車から降りた。

私達は手をつないで歩いた。
本当に、夢を見ているみたい・・・

「あっ、一也!」
「え・・・健太くん?」
「一也、お前何してんだよ」
「健太くんが、2人?!」
私の前には2人の健太くんがいた。
「もも、こいつと何してんの?」
「あなた・・健太くん?」
「そうだよ、何言ってんの?」
「じゃあ、あなたは?」
私は手をつないで横にいる男の子をみた。
「ごめん、ももか・・俺、一也」
「ええっ!?」
「もも、そいつは俺の弟、俺たちは兄弟なんだ。ビックリする程似てるんだ」
「うそ・・」
「ごめんね、ももか。俺、兄ちゃんとももかが歩いてるトコたまたま見ちゃってさぁ、ももかの事、好きになったんだ」
「うそ・・・・本当に?」
「遊園地に誘った日、あれも俺。兄ちゃんが学校休んだから、俺が黙って変わりに行ったんだ。でも、ももかの事は、本気で好きだよ」
「もも、一也に何かされたか?」
「・・・・嘘でしょ」
じゃあ、観覧車でキスしたのも一也くん?
「でも俺、本気でももかが好き。俺と付き合って。顔は兄ちゃんと一緒なんだし、いいじゃん。キスもしたし。」
「お前っ、ももに何してんだよ」
「ももか、俺の事は嫌い?」
「・・嫌いじゃないけど・・・でも、私は」
「やっぱ兄ちゃんが好き?」
「何言ってんだよ、ももが俺の事好きなわけないじゃん。なぁ、もも?」
「ゴメンッ、今日は帰る!」
「あっ、もも!」

嘘だ。
こんな結末、知らない。
夢でもみてない。

私・・・馬鹿みたい。
勝手に浮かれちゃって、健太くんが私の事、好きなわけないのに・・・



「もも!」
「えっ・・・健太くん?」
「そうだよ・・ごめん、一也が」
「・・・・健太くんが誤る事じゃないよ」
「・・もも、一也の事好き?」
「嫌いじゃないけど・・・でも」
「じゃあさ・・・俺の事が好きっていうのは、本当?」
「・・・・・・」
「ごめん、ももが俺の事好きなわけないよな」
違うの、本当は大好きなの・・・・
「もも?」
「・・・・・健太くんは?」
「えっ?」
「私の事、・・嫌い?」
「ううん、嫌いじゃない」
「うん・・そっか、それなら・・よかったよ」

嫌いじゃないってことは、好きなの?
私の事、どう思ってるの?ねぇ・・私は、大好きなのに・・・

「じゃあ、また明日」
「うん」






目覚めは悪かった。

女の子がいて、健太くんと歩いてる。
時々、その女の子は私の方を見て微笑む。
私は・・・不安な気持ちでイッパイだった。

そんな夢だった。

これは、何を示しているの?





学校につくと、健太くんがクラスの女子たちに囲まれていた。

「あっ!もも!」
彩が私の方へ駆け寄ってきた。
彩は、私の友達。
「おはよ」
「もも、昨日何してた?」
「えっ・・昨日?」
「うん」
「どうして?」
昨日って・・・一也くんと遊園地にいた・・・・。でも、どうして。
「健太くんと会ったでしょ?」
「・・道端でね」
「嘘。一緒に歩いてたよね?」
「まさか」
「・・じゃあ、昨日一緒に遊園地に行った人は誰?」
健太くんの周りを取り囲んでいた女子たちの視線が私に向けられる。
「・・・健太くんじゃないよ」
「嘘、見た人だっているのよ?」
「傍から見れば、健太くんに見えるだろうけど、あれは健太くんの弟」
「弟?!…健太くん、ホントなの?」
「あぁ、本当だよ」
「ももかと、健太くんの弟はどういう関係?付き合ってんの?」
「まさか、そんなわけないでしょ。ただの友達。友達以下っていってもおかしくないわ」
「じゃあどうして一緒に遊園地なんかに?」
「…いいじゃない、そんな事」
「何か言えないわけでもあるの?」
言えないわけ……そんな事、考えるのも面倒。
「皆の誤解だったんだよ、俺とももは遊園地なんて行ってない」
「ふーん…そっか。ももと、健太くんは関わりないんだね?」
「ただのクラスメイトだよ」
ただのクラスメイト……健太くんの言葉が突き刺さった。

「・・・もも、ちょっと来て」
数名の女子たちにつれられ、私は廊下に来た。

「何?」
「ももさぁ、健太くんの事どう思ってんの?」
「どうって?」
「好きなの?」
うん、好き。
「…まさか、そんなわけないじゃん」
「本当に?」
「うん」
「私たちね、健太くんの事好きなの」
「へぇ、そうなんだ」
「もも、健太くんの事好きじゃないんだよね?」
「うん」
「じゃあライバルじゃないね、よかったよ」
「話はそれだけ?」
「うん」
「じゃあ教室戻るよ」
「うん」

彩は、健太くんが好きみたい。
そのほかの女子は、かっこいい、と思ってるぐらい?
でも、ライバルである事には変わりない。
このことだったんだね、夢は。

「もも、何の話だった?」
「世間話」
「絶対嘘だ、あのメンバーで世間話なんて」
「健太くん、彩のこと好き?」
「まさか、むしろ苦手」
「あぁ、そうなの…」
なんだ。
全然、有利じゃん、私。
むしろ余裕?
「昨日の事…お互い忘れよう」
「……うん」
「普通にしようね、変わりなく」
「うん」
「そうだ、もう3日たったから、今日からももかって呼ぶね」
「じゃあ、健太ね」
「うん」

いきなり呼び捨てになったりして、怪しまれないかな
噂が出たあとすぐだし、私達、変に噂されるのも嫌。

「ねぇ…」
「ん?」
「呼び捨てにするの、2人だけの時にしない?」
「どうして?」
「ほら。さっき噂されてて、そのあとすぐに呼び捨てなんて…」
「俺と噂なんて出ても、迷惑だもんな」
「え…」
「なんでもない」
健太くん?
どういう意味なの?私、全然迷惑だなんて思ってないよ
「待って!」
教室中の生徒が私に注目する
彩が「どうしたのぉ?」と顔を覗き込む
「…彩」
「待って、って…健太くんに言ったの?」
「そういうわけじゃ…」
「じゃあ誰に言ったの?」
「誰でもいいじゃねーかよ」
「健太くん…?」
「悪いけど俺、お前みたいな女、すっげぇ嫌い」
健太くんが彩を睨む
「え?ど、どうして?健太くん、私は、ももかのこと心配して…」
「煩いんだよ。ももか,行くぞ」



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