呪いの手紙 {小説



ただのゲーム



だってみんなが

あまりにも楽しそうに

毎日を過ごしているんだもん


私だけが退屈だなんて

そんなの,いや






例えば七不思議

学校ではよくある話だ

七不思議や伝説といったものは

人間を

大いに楽しませる力がある


私は

何らかの力の持ち主になりたかった


私には

何の力もとりえもないというのに…







第一号
特に理由など有りません。ただ、退屈だったから作ったまでです。これは単なるゲーム。お遊びです。今回は初めてなので皆さんに配布することにしました。だって、初めの犠牲者だなんて、あまりに可哀想だから…。皆さんも知っての通り、この学園には5人の自殺者が居ます。自殺の理由が、全て、学校にあると言うことを、皆さんは知っていますか?貴方たちには、今日からの5日間、自殺者5名の変わりに、苦しみを味わってもらいます。簡単なことです。自殺者5名のことを、思い出すだけ。それだけです。このプリントは無効。明日から配布されるもののみが有効となります。そして、プリントが配られた人は、必ず不幸になります…自殺者5名のために



手紙の噂は忽ち学園中に広まった

死者からの,呪いの手紙だ…と


でも手紙を配られたのは

私達、2年生だけ


学園の生徒は

全員

明日の配布をわくわく楽しみながら待っていた

でも

苦しむのは

2年生,40名の中の

たった

5人だけ

厳選された

5人だけなのだ






「由紀,あの手紙のこと,どう思う?」

美和子が歩きながら話し始めた

「どうって?」

やはり

話題は手紙のことだった

「本当に死んだ人からの手紙な訳ないよね」

「それは分かんないよ?」

私の意外な答えに

美和子は不思議そうな表情を浮かべた

「だって,死んだ人がどうやって手紙書くの?」

「だって,この世界には不思議なことがいくつも起こってるのよ?霊体験した人だって,テレビによく出てくるじゃない。悪霊が乗り移った人だとか,ユーフォーとかね。いろいろあるじゃない。だから死んだ人が本当に手紙を書いて,皆に配ったって,おかしなことじゃないでしょ?」

「私は絶対やらせだと思う,あんなテレビ。これだって,クラスの誰かが作ってるに違いないわ。どこかから皆の反応を見て楽しんでるに違いないわよ」

美和子は言い切った

顔はなぜか

勝ち誇ったような表情だった

「そうかなあ…。でも考えてみてよ。時代は何年続いてるの?地球が誕生してから,何十億年という月日が流れてるんだよ。その中で,死んだ人は今生きている人の何十倍,何億倍。そう考えるとその中の何人かぐらい,まだ成仏できてない幽霊がいると考えてもおかしくない。そうなると,もう幽霊なんて当たり前だと思わない?今私達が生きているのも,何億人という人が死んだおかげなんだし」

「すっごく気の遠くなるような話だね」

美和子の声は

少し気の抜けたような声になっていた

「だって,すっごく気の遠くなるような時が流れてるんだもの」

「由紀は駄目だね。天然って言うか…変わってる」

美和子は小さなため息をついた

私は笑顔で

「そう?」

と返事を返した



作戦は成功した

あのプリントを作って

皆に配ったのは

わたし

全部

私の仕業なのだ


だって

退屈だったんだもん





「美和子,おっはよー」

私は朝から上機嫌だった

自然と声も弾む

「おはよぉ」

美和子も今日の手紙を

楽しみにしているのだろう

でも今日はまだお預け

昨日はもう疲れて

寝てしまったから

手紙は製作出来なかったのだ

「昨日の手紙さあ,誰に入ってるんだろーね」

美和子が靴箱に手をかけた

「さあ。まだ入ってないんじゃないの?」

「えーどうして?」

私は靴箱から上履きを出し

履き替える

美和子の動きは完全に止まっていた

私に視線が集中している

「幽霊もそんなの、1日では決められないんじゃない?」

「ターゲットを?」

「うん」

美和子はやっと靴箱をあけた

「あ,何か入ってる…」

美和子は靴箱から

白い封筒を出した

「え…これって,まさか…」



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