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白ヘビと毒ヘビ(小説)
こんな時代に生まれちゃったんだもん
妙に冷めちゃってる子になるのは仕方ないよね。
私は、何度もそう言い聞かせ
時代のせいにする。
それじゃあ、私が今
イジメられてることも、家族との仲がいいとはいえないことも
全て時代のせいなのだろうか。
世の中がヘビの世界だとしよう
そうしたら、私は白ヘビなの?毒ヘビなの?
白ヘビはの抜けがらは金運アップ等と騒がれて
みんなを幸せにする、いいものだと考えられている。
毒ヘビは、みんながよく知ってる通り、嫌われ者。
自らの命を捨ててまでも、人を幸せにするヘビか
他人の命を奪ってまでも、自分の幸せを願うヘビか
どちらが正しい生き方?どちらが好かれる生き方?
そして、私はどちらのヘビになるの?
明日から新学期
もう無意味な期待は止そう。
私に救いなどないのです、私を求める者などいないのです。
唯一好きなものがある
それは毒へび。
私は他人を殺してまでも、自分が幸せでありたい。
そういう人間。だから。嫌われてしまうのでしょうか。
世間に問いたい
私は、最低な人間なのでしょうか。それとも、正しい人間なのでしょうか。
一般的な考えなんて、いらない
そう思っていたけれど、やはり私は一般的な世界に住んでいる
だから。一般的な考えを求めないと、いけない。
もしも生まれ変わることが可能ならば
私は何になることを願うのでしょう。
机?椅子? それとも、蛇?
まさかとは思うけれど、人間?
繰り返される会話は、もう何百回と聞きました。
そして一つ決まりごとがある
私には言葉は向けれられない。
「蛇が来た」
私は学校で蛇と呼ばれている
理由は、目が冷たいからだそうだ。
なんとありがたい。丁度人間で居ることに嫌気がさしていたところなの。
蛇は冷たい眼差しで獲物を見つけ、くらいつく
怖い生き物。
私は、怖がられてなんていない。
むしろ可愛がられている、おかめインコ低度だろうか。
否、インコはあまりにも可愛すぎるか。等と考えていたところだった
「工藤、ちょっといいか?」
誰だ、お前。なんて言えないのです。相手は教師、私は生徒。
「工藤…何か悩みがあるんならいつでも聞くぞ」
いやだ。キレイゴトばかり言っても、顔は綺麗になりませんよ。
それに私、毒蛇だから、同情されるのって嫌いなんですよね
悪いけど、それ以上言うと、毒を送り込みますよ。
「工藤?」
「白蛇になりたいのですか、先生は」
キレイゴトを並べるのは、白蛇の得意分野ですよ
「悩みがあるんじゃないのか?遠慮するなよ、何でも聞くから」
そうやって人に幸せを与えようとする
それがホンネなのか、ただの同情なのか
そんなのどうだっていい。
そうして最後は、死んでゆくのですよ、白蛇は。
「私は食べて、寝て、毎日をただ過ごしています」
「…ああ」
「悩みなんて、考えるだけ無駄です。」
毒蛇はね、えさのことしか考えてなくて、それでいいのです。
「私は一生餌のことだけを考えて生きてゆくつもりです。飢え死には格好悪いですもの」
白蛇は黙ったまま。
困ったんだ、きっと。人に幸せを与えられなくて。
でもね、幸せなんていうものは、人から与えてもらうものじゃないの
自分で勝ち取る。それが幸せのありかた。
他人からもらった幸せなんて、幸せ度が低すぎますでしょう?
だから毒蛇は、自ら体を張って、人に噛み付くのです。
私は黙りこくったままの白蛇を残し、さっさとその場を後にした。
待ちぼうけは嫌。沈黙の世界は好き。
みんなが私に飽きだしてきた頃、ちょうど私は蛇に遭遇した
いっそ、このまま蛇に身を捧げようかと考えた。
辛さの余りではない、疲れ果てた結果だったのだ。
その時、私はまだ子供だった
あの時の蛇は毒蛇だったのだろうか…
それとも、何の害もないただの蛇だったのだろうか…
「工藤あさみ、ちょっと来いよ」
きっと貴方に呼び捨てにされなきゃいけない理由なんて、何処にも無い。
でもこの世に生き続ける理由なんてものも、何処にも無い。
きっとこの世は無意味でいいんだ
無意味なことを繰り返しても、疲れるだけと知らず…
「前より目が死んでるよ、いっそこのまま死んじゃえば?」
うーん、困った人です。
私は蛇に遭遇した日から、私の身は蛇のものになったのです
だから、死ぬことは不可能
無意味に生き続けることは出来るけど。
「聞いてんの!」
怒るというのは、とても神経を使う
いつでも冷静にいれたら、どんなに楽なんだろうか。
「…私は、きっと死なないだろうと思う」
「はぁ?」
「無意味に生き続けたって、害はないから」
「意味わかんねーよ!」
人を虐めるのも、虐められるのも、きっと疲れるんだろうな…
「飽きたんじゃなかったの、私を虐めるの」
「何言ってんの、頭おかしいんじゃないの?」
「対応に困るでしょ、私みたいな人って」
私は無性におかしくなった。
困っている人の顔は、とてつもなく不細工に出来るのです。
「貴方は、白蛇でも毒蛇でもない、ただの蛇ね」
「は?」
「何の害も無ければ、幸せも運んでこない。ただ珍しいから眺められるだけ。」
そんな人生も、いいのでしょうか。
「そして最後はあっけなく死ぬの」
「あのさぁ、頼みがあんだけど」
何を言うのか、どんな獲物がくるのか、毒蛇はわくわく待つ
「今夜死んでね」
じゃあ、本当に死んであげましょうか。
遺書は蛇に食べさせて、蛇が死んでしまったとき、解剖して、遺書を読む。
そして読んだ人には別の蛇に食べられてしまう
こうして、食物連鎖が永遠と続く。
人間だって、同じ
弱い物が消えてゆき、強い物が生き残る
自殺とかじゃなくて。存在。
でも本当に存在価値のある奴は、消えた奴だったりする。
そんな例、みたことないけど。
次の日、私は学校に来て驚いた
「あさみ!おはよぉ」
「ずっとごめんね、あさみの事ちゃんと知らなかった」
「本当に反省してる。これから私達と仲良くしてくれる?」
一体、何が起こったのだろう…
私は、食物連鎖の世界の、勝ち組になったのだろうか。
例えば、アリからアリクイに進化してしまったように…
「あさみ?今までのこと、許してくれる?」
許すも何も、私達、友達じゃない
なんて、甘い言葉、蛇には似合わないの。
「許して欲しいなら、植物になって」
「植物?」
「植物は、虫にさえ食べられる。1番弱いのよ。勝つことは絶対に不可能」
そう。食物連鎖は私に、植物が1番弱いことを語った。
だから。植物になったなら、許す。
そもそも、何を許すのかさえわからないが…
「大空を舞う鳥だって、大きな動物に食されるの」
例えば、人間。
3人の女子は顔を見合わせて困っている様子だった。
何がどうなり、アリがアリクイになったのだろうか。
「あのね、今までリーダーシップとってた美佐子が昨日いきなり裏切ったのよ」
いきなり何を語りだすのかと思えば、アリがアリクイになった経緯だった。
「担任に、虐めのこと全て話すとかいって。それで、2番目に強かった亜子が怒ったって訳」
ここはホストクラブなのだろうか…
NO1とNO2の醜い戦い。そして。アリがアリクイに進化する。
なんて怖い世界に似せたの? どうして此処があんな世界になったの?
「いきなりいい子ぶるなんて最低でしょ、アイツ。」
いきなりいい子ぶっているのは、貴方たちも同じでしょう。
「春子、美和、紗江」
3人はコバンザメぐらいだろうか…
私、コバンザメは嫌いじゃない。
アイツらは、何時も、大きい奴に着いてれば安全だと思っている
それは、自らの幸せのため
でも、人を不幸にしない。
結局、毒もなく白くもない、ただの蛇と同じ。
世界の半分は、ただの蛇で占められている。
「今日さ、美佐子イジメようって、みんなで言ってるんだけど、一緒に来るよね」
嗚呼。格が違うのになあ。私は。ただの蛇なんかじゃない。
ただの蛇に毒をもたせてあげることも、白くしてあげることも
不可能なのです。
私は、不可能を可能に出来るような人間ではない。
「イジメというものは、楽しいのでしょうか?」
「楽しいよ、今日その楽しみを味わえばいいじゃん!ね?」
「…そうね」
「やった!じゃあ放課後。一緒に帰ろうね」
私は、何を思ったのか。
イジメることの快感を、感じることにした。
人間は、いつでも快感を求めるいきものだ。
その快感のために、人を傷付けることがいけない事なのかとか
知らないけど。
毒蛇はあくまでも、自分の生のために、人を傷つける。
快感のために、人を傷つけることを否定してしまったら
その人間は、人間じゃなくなる。
快感を求めるために人を傷つけることを否定する人間にいいたい
否定するのなら
植物になる覚悟はあるのだろうか。
そして放課後はやってきた
「イジメとかって、やったことある?」
ある訳ないじゃないの。
私、無意味は嫌いじゃないけど
疲れるのって、嫌いなのよね。
「あさみ、美佐子呼んできてくれる?」
「…何処に連れて行けばいいの?」
「かめの池」
かめの池とは、校舎の裏側にある、なんとも不気味な池だ。
かめの死体がよく発見されるので、その池は、かめの池と呼ばれるようになった。
私は、その、かめの池で何をするかをもう決めていた。
「浅井美佐子さん、ちょっといいかしら?」
「…何よ」
「話があるの」
美佐子は黙って着いてきた。
かめの池って、私は、好き。
「あのさ…ずっとごめんね」
謝るのは、嫌い。
私はきっと、本心から謝ることは一生ないでしょう。
弱みをみせちゃ、同情される。
だからといって、人は毒蛇に血を与えない。
「裏切り者さん、いらっしゃい」
語尾にハートマークが付くような可愛こぶった甘い声で、3人は美佐子を出迎えた
「あさみ…騙したの?」
「毒蛇は、静かに近づくの。卑怯なのよ。」
「さて、どうする?あさみが酷い目にあってきたの、あさみがやっていいよ」
私は静かに池へと向かった。
そして、池に手を入れ、かめを1匹、つかんだ。
そのかめは、もう息をしていなかった。
「……かめ…」
春子がつぶやいた。
「これ、食べれるわよ」
そう。食する事ができる。
かめは、アリより強い。アリクイよりは、弱いのだろうか。
かめは何を食べるのだろうか。かめは何に食べられるのだろうか。
「人間は食べる事が出来るの、さあ、戯れて」
私は美佐子の腕をつかみ、池の目の前まで連れてきた
「なに…」
3人は黙ったまま微笑んでいる
「私、貴方の行為を無駄だと思う」
「…イジメてたこと、ほんとに悪かったと思ってる」
「でも私、無意味って嫌いじゃないの」
死ぬことを望まれていたアリが、殺すことを望めるのだろうか。
アリがアリクイになることも、本当は不可能なのではないか。
食物連鎖は、どうアガイテモ変わらないのではないだろうか。
大きな音を立て、水しぶきをあげ、美佐子は池へと吸い込まれていった
私が、背中を押してあげた。
「…っ……助けて!」
「どっ、どうするの?!あさみ!」
「この池のなまえ、変えましょう」
「え…」
「美佐子の池、で、いいじゃない」
「…まさか……殺す気なの?」
「それとも、春子の池がいい?美和の池?紗江の池?私はどれでもいい」
「なに…言ってるの?」
「あさみの池っていうのが、1番いいかしら…」
私、かめにはなれない。
アリにも、アリクイにもなれない。
快感を欲する、人間であり続けることしか出来ない。
私はその日、猛毒をもつ蛇にかまれて
死んだ。
毒蛇が、毒蛇に殺された。
これは…矛盾じゃないのです。
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