悪魔のplay right into one's hands(小説)



もう逃げられない

世界から見放されたのではない

僕は

悪魔の手により世界から離されたのだ





僕は

もっと君に溺れてゆく











「今日も愛してる」

綺麗に整った顔を鏡で確認し

君は僕に言った

「いつになったら,許してくれる?」

僕はいつだって

逃げ道を探す獲物だ

彼女は悪魔なのではないかと

本気で思うときがある

僕はもう恋人なんかじゃなく

罪を犯した罪人

君を愛した罪を償う

罪人

「逃がさないから」

どうしてそこまでして愛が欲しい

どうしてここまでして

僕が欲しい



彼女は言う

僕が愛しい

だから人には見せてあげない

勿体無いから

私だけのものだから

自分だけの物にしたいと言う独占欲からきている行動ではない

悪魔の言いなりになっているだけだ

「もういいだろ」

恐ろしくて仕方がない

殺されはしないが

僕が僕でなくなってしまいそうで


「ねぇ,何が欲しい?」

「光」

「それは私でしょ」

「ああ」

僕はもう君の言いなりだ

同時に悪魔の言いなりだ

「震えてる。どうしたの?バラの香り,嫌いなの?」

「否,そういうわけじゃない。」

「今日はね,バラの香りなのよ。いい香りでしょ。バラって,人を愛すのね」

君は美しい

恐ろしいほどに美しい

「ねぇ…今日は何の日だかわかる?」

「わからない」

「教えて欲しい?」

「ああ」

「淳,今日で18よ」

「誕生日か…」

「お祝いしなくちゃね。そして,今日で貴方が私のものになって,3年」

「ああ」

「…もうそんなに経つのね。……あと1年」

僕はもう3年も此処に居る

外の光を浴びることなく

日陰で育つ,雑草のように生きている

君はあと1年で旅立つ

何処に

それは僕にもわからない

「寂しいの」

「何故」

「一緒に来てくれないんでしょ?」

「僕の意見なんか聞かないくせに」

「ふふ…」

「何が可笑しい」

「本当は怖いくせに」

「黙れ」

雅美,春燈,燈炉子,薙香

いろんな名を持ち,いろんな顔を持つ

本当は綾雌

綾雌,あやめ,変換を間違うと,「殺め」にもなる

君はどうして演じるのだろう

「何を考えてるの」

僕は目線をそらさずに顔だけをそらす

君から逃れることは出来ない

これは恋でも愛でもなんでもない

「今日は契約の日よ」

「契約?」

「忘れたの?」

「忘れるわけがないだろ」

僕が此処に来て3年目で

彼女は僕と離れない契約をしなければならない

僕はそんなの御免だ

だが,僕が君を拒んだら

君は1年後,戻らなければならない

「一緒に来てくれないんでしょ」

「ああ」

「もう3年も一緒なのに」

「じゃあ教えてくれ。君は何処へ帰る?」

「知りたいの?」

「知る権利ぐらいあるだろ,3年も立ってるんだ」

「…駄目よ。3年しか,立ってないんだもの」

僕は知っている

君はもう,この世に居てはいけないことを

「…ねえ」

「何だ」

「愛してるんでしょ,私のこと」

「ああ」

「だったらどうして?」

恐怖心

そんなもの,もうなくなってしまったのかもしれない

でも,いつ君が僕を

殺めるかわからない

だって僕は

罪人だから


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