最後の光 (小説)












僕が君に出会ったのは


14年前の春だった


君は


春の日差しのような笑顔で


僕をつつんでくれた






僕らは偶然にも


再会をしてしまった


僕は君が


ずっと昔のまま


太陽なのだと


信じていた













「ねぇ……健ちゃんなの?」

「そう…俺だよ,わかるか?覚えてるか?」

「健ちゃんなの…ホントに……?」

嘉穂が俺の顔を触って

涙を流した

「嘉穂?」

俺は顔を触られたことに驚いたが

嘉穂の手の動きを

静かに捕らえていた

「…健ちゃん…私,ずっと,会いたかった…」

「俺も…。嘉穂を,心の何処かでずっと探してた」

「健ちゃん…私…健ちゃんの顔,見たかった…」

「ああ。だから今,こうして見れて,本当に嬉しいよ」

嘉穂の表情が一転した

木漏れ日のような笑顔が

徐々に消えてゆく

「……嘉穂…まさか」

「…健ちゃん,気付かなかったの?」

「…全然,分からなかった」

嘉穂は

俺の知らない14年間の間に

光を失っていた

「私ね…事故で,目が見えなくなったの……4年前に」

俺が嘉穂と最後にあったのは14年前

14年前の嘉穂は

確かに光が見えていた

俺の顔も

景色も

しっかりと

見えていたんだ

「目が見えなくても…健ちゃんは見えるよ」

「嘉穂…」

俺は嘉穂を抱きしめた

言葉に出来ない悔しさが俺を覆う

「健ちゃん……私の願い事は,目が見えるようになることじゃなかったの」

俺は嘉穂から離れ

そっと手を握り締めた

「私ね…最後に,健ちゃんの顔が浮かんだの」

「俺の…」

「目が光を失った瞬間,健ちゃんの顔が見えた気がしたの」

「俺の……顔が?」



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