かえるちゃんのぽっかぽか生活

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中絶(1)

中絶(1)

【アボーション】

まだ羊水穿刺の結果は出ていないにもかかわらず、前回のトリプルスクリーンの結果と
超音波診断の様子から、先生の口から飛び出したのは「中絶」という言葉。 (正確には人工流産)
全く想像だにしていなかったので、受けた衝撃は 激しいものでした。心臓が口から飛び出す
と言うのはこんな気持ちなんだと知りました。
血液検査から察して、病気である確率は高いだろうと自分でも予測していました。
今日の検診では「この子は病気です。」と診断される覚悟はあったのは確か。
自分で新しい命を授かった以上、それがどんな形でも受け入れていかなければ
いけないのかもしれない、どんな結果であろうとこの小さな命を丸ごと受け止めようと、
考えに考え抜いて来たというのに…。それなのに、いきなり中絶って…。
出血をしているわけでもない、お腹が張っているわけでもない。今まで一度だって
具合が悪かった事なんてないし、お腹の赤ちゃんは静止画像を取れないくらい良く動いている。
今までと何ひとつ変わっていないのに、今回はこの子を諦めなければいけないってどういう事???

18トリソミーという病気は、18番目の染色体が1本過剰によって起こり、
知的障害や内臓の奇型を伴う病気。21トリソミー(ダウン症)に次いで
多い染色体の数的異常症で、女子に多く見られる病気です。
合併する心臓、腎臓や中枢神経系の奇形が重篤なため重度の発達遅延を伴い、
1歳までにその90パーセントが死亡してしまいます。それ以前に胎内死亡の場合がほとんどです。

中絶の方法には2つのオプションがあるとの事。
一つは手術で子宮の内容を除去する方法。もう一つは薬を使用し出産という形をとる方法。
子宮内除去の方法をとった場合、赤ちゃんを見る事は出来ないけれど、
もう一方の方法を選択すれば、赤ちゃんを抱っこする事も出来るよと先生は説明してくれました。

「中絶は・・・出来ません。この子の命が続く限りお腹の中に入れておきたいです・・・」
というのが、その場で言える精一杯の言葉でした。
だって、お腹の子は生存率が低いとされる男の子なのに、ここまで頑張って来たんだもん。
本当なら流産してしまっているところ、何の問題もなく生きてきたこの子は
きっと元気に生まれてくれるはず…どうしてもそう信じたかった。

「自分は敬虔なクリスチャンであるけれども、この病気だけは中絶を勧めたい。
お腹の中に胎児を留めておくには、母体にも危険が及びます。」との先生の言葉。
その時、病気の重さが今ひとつ分かっていなかっただけに、クリスチャンも
中絶を勧めるくらい重症な病気なんだなと漠然とした感想を持っていました。
ただ、「母体に危険が」という言葉を聞いた瞬間、ちょっと怯んでしまった自分がいて・・・
息子の命がかかっているのに、自分の命に危険が及んで恐れをなしている自分が恥ずかしかった。
私がいなくなったら、夫は・・・きっと元気に生きていけるだろうな。長男はどうなるんだろう。
母親の愛を知らずに生きていくのはかわいそすぎる。
これから死ぬと分かっている母親がまだ幼い息子の将来のために、小学校入学用の服、
文房具、卒業の為の服など、行事ごとの必需品を準備するドラマがあったっけ。
私にはそんな時間残ってるかな・・・。でも今から買ったら、デザインが時代遅れで
長男も恥ずかしいかな?私が死んだら、私の母は一人・・・生きていけるのかな?
なんて空想をしていた。

もう、その場ではどうする事も出来なかった。羊水穿刺の結果を待つしかない。
1時間前も今も、私のお腹で生きている命に変わりはない。
2週間後の結果が出るまで、何を想像しても始まらない。ただ待つだけ。結果を待つだけ。


**************  MEMO  **************

クリスチャン病院では中絶行為を行えない事になっているそうです。
私の知人が帝王切開後の癒着でクリスチャン病院に入院。その時、もう子供が
出来ないように子宮管を結ぶ手術をすることになったのですが
その病院では処置できない為、一般の病院に転院。担当の先生はクリスチャン
であったそうですが、病院が変われば処置もOKということで、もう一つの
病院で同じ担当医に処置してもらったそうです。
私の先生もクリスチャンではありましたが、病院は一般の病院でした。    




出生前診断と羊水穿刺 中絶(2)


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