みんみん日記

みんみん日記

その1.入院した日。



流産が確定した次の日、私は入院しました。

心臓が止まったドラちゃんを産むために・・・

流産でも産後がやってくることを知らなかった私は、産褥ショーツもお産

パットも何も準備していませんでした。

まだお産は先だからと何も勉強していなかったから。

なんだかとても悲しかった。

2時頃病院について入院の説明を受けた。

子宮口を広げる処置に入る前に、もう一度エコーで確認するとのこと。

旦那さまは、「もしかしたら今日は心臓が動いているかもしれないから」

と、エコーで確認するまで諦めないでと言っていた。

心臓が止まっていることを知ってからの私は、なんだかとってもおなかが

痛い気がしてきて、やっぱりもうだめだと諦めがついていたので、旦那さま

のその言葉がとっても悲しかった。ごめんね。

一般の診察が終わる4時になって、処置室に呼ばれた。

旦那さまも付き添いたかったらしいが昨日休んだので今日は休めないと

仕事に行った。(その日は夜勤でした。)

旦那さまだってとっても辛いはずなのにお仕事。

かわいそうだった。私ばっかりごろごろしててごめんねと思った。

処置室でおなかにいる最後のドラちゃんに会った。

やっぱり心臓は動いていなかった。

ぷかんと羊水に浮いているドラちゃん。

今まで見せてもらったドラちゃんの中で、1番人間らしい姿に見えた。

でもこの日はもうエコーの写真をもらうことはできなかった。

諦めはついていると思いながらも、ちょっとだけ期待していた私。

「やっぱりだめだったんだ・・」

そう思った瞬間から、涙が止まらなかった。

その後すぐに子宮口を広げる処置が始まったが、それがものすごく痛くて

ますます泣けてきた。

何のためにこの痛みを我慢すればいいんだろう・・

そんな風に思った。部屋に帰っても一人で泣き続けた。

私の場合幸いなことに一人部屋だった。

入院している妊婦さんも少なかった。

部屋にいると看護師さんが来てくれて、たくさん話を聞いてくれてた。

何を言ってもらったわけでもないが、話を聞いてもらえるだけでも気持ちが

すごく落ち着いた。

しばらくするとなぜか旦那さまから電話がかかってきた。

どうしたのかと聞くと、会社の方が今日はもう帰っていいと言ってくれた

らしく今病院に向かっているとのこと。

とってもうれしかった。

私が落ち着くまで暫く休んでついていてあげなさいと言ってくれたそう。

感謝の気持ちでいっぱいになった。

そのときの私は、旦那さまがそばにいて、「大丈夫だから」といってくれる

ことでしか落ち着けなかったから。

またしばらくすると今度は母から電話があった。

「今からそっちに行こうと思うんだけど・・K(旦那さまの名前)も仕事で

一人じゃ心配だから・・」というものだった。

私の地元は九州。今は愛知県に住んでいる。

すぐに行き来できる距離ではない。

ものすごくうれしかった。

でも、今回のことは旦那さまと二人で乗り越えたいと思っていたので、

「二人でがんばるから大丈夫。心配しないで。」と伝えた。

そうしていると旦那さまが戻ってきた。

顔をみるとまた涙が出てきた。

やっぱり心臓が止まっていたこと、子宮口を広げる処置がものすごく痛かっ

たこと、ドラちゃんとお別れのカウントダウンが始まってしまったことを

伝えて、また思い切り泣いた。旦那さまも泣いていた。

でも旦那さまが一緒に泣いてくれることがうれしかった。

一人じゃないんだと思った。

6時になって食事が運ばれてきた。

ものすごく悲しいはずなのに、おなかがすいてる自分がおかしかった。

私は生きてるんだなと思った。

それがまた悲しかった。

その日は子宮口を広げる処置をしたあと、生理痛のような下腹部の痛み、

腰の痛みを感じた。

先生の話では明日のお昼頃には出産になるでしょうということだった。

だから痛くてもまだまだ我慢しないといけないと思った。もっと痛くなるの

かなと、ちょっと怖かった。

でもとりあえず今日はまだ出てこないからと、残りの時間は旦那さまと

二人でいろんなことを話しながら過ごした。

きれいな病院だったし和室で個室だったので、なんだか旅行にきているよう

だった。

昼間、看護師さんから生まれた赤ちゃんを自分たちで火葬するか病院が提携

している業者の方に頼むか決めておいてくださいと言われた。

ものすごく悩んだ。二人でたくさん話し合った。

もちろん最後まで自分たちでやってあげたい。

でも近くに頼れる身内もいないし、身体も心もぼろぼろなのに、やれる自信

がなかった。でも自分たちでやりたい。結局その日は結論はでなかった。

ドラちゃんのことをたくさん話しているうちに、いつの間にか二人とも

眠っていた。

夜中何度かおなかの痛みで目が覚める。

すると赤ちゃんがいなくなる現実を思い出しまた泣けてくる。

そんなことを繰り返しながら、出産当日の朝を迎えた。

------------------------------続きます-------------------------------


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