サイボーグ０２３

第２５話　マリカワト遺跡

南東２５ｋｍくらいにある買利克阿瓦堤（マリカワト）遺跡。
細々と流れる幅広の河の
西側に広がる砂漠の中の遺跡である。

漢代の于闌国の夏季の城跡ということで、
南北に1400ｍ余ある。
所々に大きな石か泥の固まりが点在するだけで、
見渡す限り何も無い。
教えてもらわなければ、
遺跡とは判断できないくらいに何も無い。

遺跡嫌いのＮさんは、
拗ねたように入口付近で立っている。
さすがの城跡好きおじさんも、
ここはちょっと見るべき物がなく、
何の感動も湧かない。
ただ、砂の上には
当時の陶器の破片と言われる物が多数落ちているので、
手にとって調べられるという特典があるだけ。

当然だが、おじさん達以外の観光客はいない。
例の鈴の音ガイド嬢が、
何か一生懸命に説明してくれているんだけど、
見るべきものがないので耳に入らない。

そのうち、怪しげなおにいさんが寄ってきて、
しきりに玉（ぎょく）らしき物を売りに来た。
信用できないので、
避けるように広大な遺跡の中心方向へ走っていくと、
別のおにいさんがロバをひいて近付いてきた。

何か言ってるんだけどよくわからん。
どうもロバに乗れって言ってるみたい。
１０元（約１５０円）て言うのを
５元に値切ってロバに乗ってみた。

「なかなかいいじゃん」。
絵になる写真が撮れて、ご満悦のおじさん。

ところが、そんなおじさんに危機が迫ってた。
先ほどの玉売りのおにいさんはもちろんのこと、
いつのまにか物売りの子どもたちに囲まれてたんです。

こんな時は、とにかく相手せず、
眼を合わさず、ひたすら車を目指すに限ります。

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