仕事が楽しくて仕方がない人を一人でも多く増やす

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アクティブ・リスニング

さて、本日の心理学シリーズはアクティブ・リスニング=傾聴です。最近は「聞く技術」ということで盛んに本でも取り上げる方が増えてきています。
確かにこれがきちんとできれば、人間関係においてとてもパワフルな関係を築くことが可能になってくると思います。

一方でこれほど、忍耐力を必要とする時間はないとも思います。

人は基本的に自分のことをしゃべりたい性質を持っていますから、それを抑えるには相当な自制心が必要です。

1.「聞く」と「聴く」の違いわかりますか?

「聞く」というとどんなイメージを浮かべるでしょうか?
山なんかにいくと、小鳥のさえずり、木の葉がすれあう音なんかありますね。海だと波音、子供のはしゃぐ声 とか。街の雑踏だと車のクラクション、お店の宣伝文句、音楽、人が歩く音など、場所によっていろんな音が耳から入ってきます。

これらの音は自分が特に意識していなくとも、向こうから勝手に入ってくるもので、自分が積極的に、注意して「聴こう」としているわけではありません。言い換えれば、音に対する自分の態度は消極的です。英語というとhearの状態です。

一方で、自分が積極的に注意して、聴こうとする場合、例えば、自分の大好きな人が自分に向かってしゃべる言葉、自分が好きで出席した講演会の演説者の言葉、自分の子供の運動会での演奏 などなど、自分が興味のある音に対して、自分は積極的に注意深く関わろうとします。これは「聴く」であり、英語でいうとListenです。

2番目の積極的に、注意深く聴こうとする態度・構えをカウンセリング用語で 「アクティブ・リスニング」と言います。日本語では 「傾聴」 と言います。

話し手がしゃべる内容を聞き手は積極的に「どうぞ、何でも話ししてください。私はあなたの話にとても関心があります。それを全身で受け止める準備があります」という心構えで話し手の話を聴こうとするわけです。

こう書くと、なんだそんなことか、簡単だな、と思う方も居るかもしれません。ところがどっこい、なかなかそうは問屋がおろさないのであります。
何故か?聞き手は、つい、自分の価値観から話し手の話を「評価」してしまうからなのです。

2.聞き手の話に自分の価値観を持ち込まない

聞き手は話し手の話を聴くときはニュートラル・ポジションに自分を置いておく必要があります。これは、ちょっと難しいのでもう少し解説します。

車にはニュートラル・ポジションというのがあります(車を運転しない方にはわかりづらいかもしれませんが、ギアをどこにもいれていない状態、車のクラッチとエンジンが接触していない状態、つまり前にも後ろにもいけず、ただそこに居るだけの状態をニュートラル・ポジションといいます)。聞き手はこのニュートラル・ポジションに自分を置いておく必要があります。

聞き手も当然価値観があります。価値観というのは簡単に言うと「自分が大切だ、あるいは大切でない、と思っていることがら」と理解してください。何が大切だと思うか、または大切でないと思うかは、人によって違います。Aさんが大事だと思っていることはBさんは大事だと思わない、というのはごくあたりまえの話で、価値観がまったく同じ人はこの世に存在しません(価値観の波長が合う人というのは存在します。そういう人とは友達になったり、恋人になったりします)。

聞き手は自分の価値観、自分が大切だと思っていること、を一旦脇において、話し手に接する必要がある、ということです。

自分の価値観を脇に置くと、聞き手の心の中に、真っ白なスペース、何も入っていないスペースができます。この何も入っていないスペースに話し手が入り込む余地がでてくるわけです。聞き手は自分の心にスペースを空けてあげて、話し手を「ここにおいで。ここでくつろいでみてください」というメッセージを送るわけです。 そうすると話し手はとてもリラックスできて、自分の内面を開示し易くなるわけです。

例として2つの会話を挙げてみましょう。

① ごく一般的にありがちな会話

A 「この連休どっか行った?」.
B 「行ったよ、ディズニーランドに」.
A 「すごく混んでたでしょ? 連休だから」.
B 「そうね、結構混んでたかも」.
A 「行く道も渋滞してたでしょ?」.
B 「 う~ん、そうね、まあ、渋滞してたかな」.

上記会話ではAさんは「連休はディズニーランドは混んでいて、道も渋滞していたに違いない」という自分自身の思い込みをそのままBさんにぶつけてしまっています。これだと、Bさんは答えるのに窮屈になってしまい、自分のいいたいことがいえなくなります。

②アクティブ・リスニングを生かした会話

A 「この連休どっか行った?」.
B 「行ったよ、ディズニーランドに」.
A 「ディズニーランドか。いいね。どんな感じだっ?」.
B 「ちょっと混んでたけど、でも新しいアトラクション
   があって、これが最高楽しかったよ!」
A 「へえ、新しいアトラクションか。どんなアトラク
   ションなの? 僕がイメージが湧くように、分かり
   易く説明してくれるとうれしいな」.
B 「それがね、XXXXがね、YYYYでね、こうなってああ
  なって・・・・・」.

という風にBさんの話はどんどん話が広がっていき、話が具体的で生き生きとしてきます。上記の会話にはカウンセリング技術である、「繰り返し」、「開かれた質問(オープン・クエッション)」、 「アイ・メッセージ」という技法が使われています。

AさんはBさんが話ししやすいように上手に誘導してあげているのが①との比較でおわかりになると思います。

記の会話②のように話し手と聞き手の間に信頼感が生まれていくことを「ラポール」がつくと言います。要は2者間で信頼関係が生まれていくわけですね。

カウンセリングにおいて「来談者中心療法」という考え方を導入した、カール・ロジャースという人はこの2者間の信頼関係ができてくることによって、人は自己開示を行い易くなり、自己開示をしていくことによって自分の内面に秘めていた「本当の自分」に気付き、自ら変容していく、と説きました。自らの悩みの解決策は自らの内面に存在しているが、なかなかそれに気付けない。カウンセラーがお手伝いをして、それを引き出してあげるきっかけを作れば、あとはクライアント自身が自分で解決をしていける、と説いたのです。





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