閑古鳥の巣箱

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2005.12.31
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「知は力なり」というが本当にそうだろうか。
「知らぬが仏」などというように、むしろ知らない方が
幸せに過ごせるのではないかと思うことはよくある。

美味しんぼ第一巻のエピソードは特にそれを
強く思った瞬間である。
東西経済部部長谷村は、ある記念企画に携るメンバーの
選抜のために、A、B、Cとラベルがつけられた水、
イロハのラベルがついた豆腐を文化部社員の前に出し、
このように説明する。

「三つのコップにはいっているのは水道の水、井戸の水、
 丹沢の山奥からくんできた鉱泉水、豆腐はスーパーの豆腐、
 上野の有名な豆腐、京都の有名な豆腐だ。
 水と豆腐の味の違いを示して欲しい」

これに主人公である山岡とヒロインの栗田だけが正解する。
読者としては「こいつらタダ者ではないぜ」と思うわけだ。

しかし、冷静に考えてみると水道水と鉱泉水の違いが
分からない人の方が幸福な人生を満喫出来る気がする。
山岡の父の海原雄山などは、味がわかってしまうだけに、
毎日何かを口にしては「女将を呼べ!!」と
怒鳴り散らしている。味の分かる彼も不幸だが、
彼に振り回される周りの人間も迷惑な話だ。

一般人はそんな微妙な味の違いなど分からないのだから、
別にどうだっていいじゃないかという所だ。
べらべらと薀蓄を垂れるよりも、黙って美味そうに食べる
人の方がよっぽど好感が持てる。

同じようなことは何にでもいえる。
私自身もその罠に嵌りかけているのだ。
アニメの話でいえば「ガンダムシード」や「エウレカ」は、
オタク向けの作品なのだが、むしろあまりアニメを
見ない人の方が評価の高い作品である。

過去の作品を知っている人にとっては、
劣化コピーされるのが耐えられないし、
使い古された表現の連続に食傷気味であるといった
感想を持つ人が多いのだが、そのような知識がなければ
これはこれとして単純に楽しめたはずなのだ。
過去の名作と比較してしまうというのも悲しい性だ。

その道を知らない人にとっては斬新であっても、
暁通している人からすれば「またかよ!」となるわけで、
それなら毎度毎度記憶喪失になっている方が
何でも新鮮に見れて楽しめるように思う。

これは勿論アニメに限定されるものではない。
こうやってただ生きていることも、もはや何の感慨もない。
やるせない事に、苦痛は慣れないのに幸福には
慣れて分からなくなるのだから困ったものだ。
実際悲劇は何度同じネタをやっても飽きないのに、
喜劇は何度もやっているとすぐに飽きてしまう。
お笑い芸人やギャグ作家の寿命もだから短い。

知れば知るほど本質から遠ざかってしまうという
パラドックスの克服は容易ではないように思う。

笑いについて書かれたベルクソンの本もちっとも面白くない。
もてない人が「どうやったらもてるんだー!」と
喚けば喚くほど余計にもてない。
「自分って何だろう、生きるって何だろう」と
深く追求していった結果、発狂したり自殺したりする
哲学者や純文学者も多い。

こういう例を見ると、むしろ何も考えない方が
精神衛生上良いのではないかと思う。
そう考えると我々の世代に顕著である
「まー、深く考えるのはよそうよ」というのは、
正しい生き方なのかも知れない。



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Last updated  2005.12.31 18:54:54
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