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2010年09月05日
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昨日夜は22時を過ぎて外気温が30度。網戸があるので、毎日窓を開けっ放しにして寝ていて、意地で今まで一度もクーラーを動かしたことはありません。昨夜も使わなかったのですが、さすがに風もなくてつらかった。いつで続くのか。台風よ、こちらの方に持ってきて欲しい、という気分です。
ブドリの時代はもっと切実な問題で、「寒い夏」を回避する必要があった。イーハトーブの国ではそれは「可能」でした。ただし、70年前の科学では一人の純粋な魂の犠牲を必要としたけれども。

グスコーブドリの伝記 ますむら・ひろし 宮沢賢治原作
ああ、名作の再読とはこういうものなのだなあ。

「グスコーブドリの伝記」 について
宮沢賢治の童話の中でも代表的な作品である。けれども、その全体をなかなか理解し得ないもののひとつだろうと思う。それは賢治流の農業や火山技術の知識が、非常に専門的に描かれているためである。いくらイーハトーブの国用ににアレンジされているとしても、難解なものが多く、読んだだけで頭の中にイメージしずらいからだと思う。

ますむら・ひろしの画は「何も足さない、何も引かない」というどこかのウィスキーのCMではないが、宮沢賢治の原作に非常に忠実で、場面の進行や台詞もすべて原作とおりだという。しかし、絵になって初めて分かることが多かった。

山師が石油をまいてオリザ(稲)の病気を防ごうとしているところや、クーボー博士の「歴史の歴史」の模型、イーハトーブ火山に登って窒素肥料を降らすために雲海にひこう船で煙の美しい「網」をかける様子を絵で見て「ああ、そうだったのだ」とやっと合点いったのでした。

ブドリが小さかったころの楽しい暮らしや、飢饉で親に捨てられる場面なども、ますむらひろしの賢治の世界を知り尽くした目を通して見せられて「ああ、そうだったのだ」と合点いくのでした。

イーハトーブの世界地図が火山局の事務所に掛けられていました。みごとに岩手県の形をしていました。ますむら・ひろしの理解なのでしょうが、賢治も「うん、そうだ、そうだ」といってくれているでしょう。

「猫の事務所」 について
この作品は、小さな集団の中で、つまはじきにされる過程がみごとに戯画化されて描かれている。かま猫は夜竈の中に入って寝るくせがあるので、いつもすすで黒い。だからみんなに嫌われている。ところが猫の事務所の所長が黒猫なものだから、能力が高いかま猫が採用されてしまう。陰にみんなに意地悪されても、かま猫は自分が悪いのだと思う。「かま猫はあたりまえの猫になろうと何べんも窓の外に寝て見ましたが、寒くて寒くてやっぱり仕方なく竈の中に入るのでした。なぜそんなに寒くなるかというのに、皮が薄いためで。なぜ薄いかというのに、それは土用に生まれたからです。やっぱりぼくが悪いんだ、仕方ないなあ。かま猫はなみだをまん丸な眼いっぱいにためました」結局、事務所長までみんなの口車に乗ってかま猫をいじめだしたとたんに、事務所の隙間から大獅子が現れて一喝します。「お前たちはなにをしているか。そんなことで、地理も歴史も要ったはなしではない。やめてしまえ。解散を命ずる」これで猫の事務所は廃止になるのです。筆者は最後に書いています。「ぼくは、半分獅子に同感です」

なんて、現代的な作品なのでしようか。自己責任で自分を責める姿、がここにもあるのです。

「どんぐりと山猫」 について
山猫とどんぐりと一郎君が同じ世界で生きている。そして輝いている。愛すべき不条理劇です。





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最終更新日  2010年09月05日 07時54分34秒
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