自閉症児とバラの日々 空中庭園  

自閉症児とバラの日々 空中庭園  

記憶の力パート3


   コーディー君、生後3日で腸閉塞の手術を受け、その後自閉症、視神経発育不全であ
  ることが分かった。
   両親は、コーディー君を大事に育て3歳のある日、その能力を見出すことになった。
  父親がオルガンで簡単なメロディーを弾くと、続けてコーディー君が同じメロディーを
  オルガンで弾いたのだった。その時のビデオが残っており、父親がよくやったと喜んで
  いる姿が映っている。
   現在6歳になったコーディー君に、スタッフが森山直太郎の「さくら」をCDで聞い
  てもらった。するとすぐにピアノで前奏から「さくら」のメロディを弾き始めた。しか
  も、始めて聴いた日本語の歌だった。
   2ヵ月後、コーディー君の両親に呼ばれて再び訪れると、2回聴いただけの「さくら」
  をとても気に入り、以来ずっと練習して覚えてしまったと言う。日本語の意味は分から
  ないが、きれいな日本語で森山直太郎の「さくら」をコーディー君が歌っている、その声
  には、彼の心や知性を思わせる優しさと生命の貴さの響きがあった。彼の声に胸を打た
  れない人はいないだろう。

   自分が自分で在ろうとする力、それこそを記憶の力なのかもしれません。


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