Selfishly

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[Distance of love ]part.2


   [Distance of love ]part.2

 ・・・【 Second stage 】・・・




「コーヒーよりは紅茶のが良いだろうな。―― いや、ジュースの方が良いか?」

 キッチンに色々な飲み物を並べては、真剣に吟味している。飲み物の前は頼のむデリバリーのメニューに。
そしてその前の日にはお菓子に。
 と、ロイは今まで悩み、考え、選び直しては元の物にしと、同じような事を繰り返し続けていた。
 こざっぱりと片付けられた部屋は、つい最近まで無かったクッション達や毛足の長いラグまで敷き詰められている。
 家には寝に帰るだけの生活が長かった為、彼の家には物が少ない。必要最低限と言えば聞こえは良いが、
家での暮らしを楽しむには殺風景なものだ。
 そんな彼がここ最近、色々な生活雑貨を増やしていた理由は、簡単にして尤もな理由。

 ――― 恋人を家に招待した。―――

 その1つにして最大の出来事の為だった。

 去年のX'mas行事に託けての告白の答えを、堪え性の無いロイが新年に強請り、迫り、口説き落として
エドワードからYesを奪い取ってから、二人は晴れて恋人同士となっている。

 とは云っても・・・。エドワードはロイとは十四歳も歳が離れていて、今だ15歳の少年であることは変わりない。
そして、旅続きで会える日数はかなり限られている。擦れ違いもある日々の中、記念日位はと一年立ったこの時期に、
エドワードを家に招待したのだった。
 今年も軍では去年からの恒例となったパーティーが催されるが、恋人同士なら雑多な催しよりも、
二人で祝う時間を過ごせる方が何十倍も嬉しいに決まっている。

 と言うわけで、寒い時期には決まって南方に足を向けている兄弟の行方を捕まえ連絡を取ると、
今回の約束を取り付けたのだった。
 勿論、司令部の行事にロイが参加しないわけにもいかないので、昨日のX'masパーティーでは留守番を請負、
年末のニュイヤーに今年は参加する。出来ればエドワードにはその日まで留まってもらって、
一緒に参加して過ごせれば倍は嬉しいだろうが。
 ――― そこまでは無理だろうな・・・。―――
 既に南方で見つけた文献を解読しているのを一旦中止してまで戻ってもらったのだ。
それを更に1週間伸ばすと云うのは、恋人の性分では難しい。文献だけならまだしも、
弟まで南方に残してくるのだから尚更だ。




「顔を見せなくなってから、そろそろ2ヶ月は過ぎるんじゃないかな?」
 そう電話越しに伝えたロイの言葉に、エドワードは曖昧な言い訳を伝えてくる。
「君達兄弟が忙しい日々を送っているのは理解しているつもりだが・・・。
 偶には君の恋人の寂しさも思い出して欲しいな」
 声のトーンを落してそう告げれば、エドワードが口篭るのが伝わってくる。
「無理を言うのは心苦しいが、せめてこの時期くらい、一度は私に逢いに戻って来て欲しい、
―― そう願うのも迷惑?」
 そう悲しそうに言ってみれば、エドワードが躊躇いを示してくる。
 ロイは普段は決してエドワード達に何かを要求するような事が無い。最初の告白の時依頼、
大抵の事はエドワードの希望を優先してきたから、そんな風にロイが言えばエドワードも折れてくるのは予想が出来る。
 案の定、戻ってくると伝えてきたエドワードに、ロイは嬉々として家でのX'masパーティーに招待したのだった。





 ちらりと時計を見れば、そろそろ約束の時間に近付いている。ロイにしてみれば、駅まで出迎えたかったのだが、
ここ最近は各地の雪の為運行が不安定になっている。そんな事は構わないと思っているロイの気持ちとは逆に、
エドワードは待たせると悪いの一点張りで列車の時刻を教えてくれなかった。
 直接、あんたの家に行くから。その言葉に、ロイは時間だけ聞いて引き下がるよりなかったのだ。

「こんなに緊張したのは、いつ以来だ・・・」
 そわそわと手を組み替え、立ち上がり。窓の近くに歩み寄っては、見渡せる門の外を眺め。そんな行動を、
彼は朝からずっと繰り返しているのだ。だいたい、家に誰かを招く事自体が殆ど無く、
付き合っていた女性達とは外で逢うばかりで済ませていた。家に誘われたり、招待して欲しがる女性は数多くいたが、
ロイは曖昧に微笑んで流し、受けたことも了承した事もないままきた。
 それがエドワードに恋に落ちてから、彼女達の願いが身に染みて判るようになった。
兄弟の家はとうになくそれは無理な願いだが、替わりに自分の家に呼ぶ事は出来る。
人の目を気にせず二人の時間を満喫できるのは、どんなに素晴らしい時間だろう。
 そう思いつけば、エドワードにこの家で寛いでもらいたいと思うようになり、普段は自分が必要としない雑貨や
小物にも気がいくようになったのだ。殺風景でどこか無機質な感じがしていたロイの部屋も、
今はそれなりに快適な居住空間になっている。足りないものはおいおい二人で集めていけばいいと
考えている自分に気づいて、エドワードに惚れ込んでいる自分を知る。
最初から強引に押していたのはロイの方だから、どちらがより相手に惚れているかの答えなど一目瞭然だ。
「・・・せめて、私の数分の1くらいは、彼にも惚れ込んでいてもらいたいものだ」
 切ない呟きと嘆息が、受け取る者も居ない空間に落された。

 丁度、その時。
 ―― リーンコーン、リーンコーン ―― と、玄関の呼び鈴が鳴る。
「はいっ!」
 呼び鈴に返事をして玄関へと走り出す勢いで部屋を出て行った彼は、
返す必要の無い返事をしている荒唐無稽な自分の行動に、気づく事もなかったようだった。


 ドキドキと高鳴る鼓動を少しでも抑えたくて、エドワードは大きく深呼吸してから決意新たに呼び鈴に手を伸ばした。
 「戻る」と約束させられ、招待されたのがロイの家だった時は、驚きと動揺で狼狽し捲くったが、
―― 素直に嬉しかったのも本当だ。
 アルフォンスに約束の事を告げると、弟は快く「行っておいでよ」と送り出してくれ、
師匠の家でお手伝いしてるからゆっくりしておいでと気を使ってもくれた。
 勿論、そんな弟の言葉に甘えるばかりでは駄目だと判っているから、直ぐ帰ると言って出てきはした。
最初の訪問なら、何か手土産を持って行くべきだと言われ、エドワードは頭を悩ませ続けた。
相手はエドワードよりも高給取り出し、何でも持っていそうな相手なのだ。エドワードのように
お菓子を出せば喜ぶと云うわけにはいかないだろう。
 散々悩んだ末、アルフォンスのアドバイスもあって南方の珍しいワインを買って行く事にした。
普通に紙袋に入れて持ち帰ろうとしたエドワードを止め、弟は綺麗にラッピングをしてもらったのだ。

「・・・べっつに、そこまでしなくても・・・・・」
 木箱に納められ、上品ながら華やかなラッピングを施されたワインを受け取りながら、
エドワードは恥かしそうにしながらそう零すが。
「な~に言ってんの。この時期の訪問だよ? 忘れたの兄さん、去年の事」
「去年・・・?」
「そうだよ。この時期と言ったら、司令部ではX'masシーズンだよ?
 これならただの手土産じゃなくて、ちゃんとX'masプレゼントになるでしょ?」
 ラッピングの出来前に気を良くしている弟は、箱を納める袋も買いに行こうと歩き出して行く。
「くりすますぷれぜんと・・・」
 全く思いついていなかったアルフォンスの言葉に、エドワードは茫然としながら付き従っていく。
去年の催しに偶然戻っていた兄弟も参加した。その時にはクリスマスの意味が良く理解できてはいなかったが、
何事にも探求熱心な兄弟は、今はその意味もきちんと理解している。
そして、その宗教行事が宗派の違う人々の中では、家族や恋人同士のイベントごととして流行っている事も。
 その季節を思い出して、エドワードは熱くなる頬に気付かれないように俯きながら歩いて行くのだった。



 ロイの招待が、唯単に訪問だけではなくそんな意味合いもあったのかと思うと、もの凄く恥かしく照れくさい。
そして、やっぱり嬉しかった。
歳もかなり離れ、自分はまだまだ世間で言えば子供だ。そんな自分をロイがきちんと恋人として
扱ってくれているのだと思えば、嬉しくならずにおれない気持ちになる。
 だから照れや恥かしさを堪えて、ちゃんとプレゼントを持ってやって来たのだ。

 鳴らした呼び鈴に再度指を伸ばそうとした瞬間、扉が素早く開かれて行く。
「エドワード、無事に着いて良かった」
 満面の笑みで迎えてくれたロイに、エドワードは恥かしそうに「久しぶり」と小さく挨拶をする。
「寒かっただろ? さぁ早く入って」
 エドワードの肩にさりげなく腕を伸ばして、ロイが招き入れてくれる。
「お、お邪魔します・・・」
 緊張してそう告げるエドワードに、ロイは微笑んで返事を返してくれる。
「ようこそ。さぁこれに履き替えて」
 そう言って部屋履きを揃えて並べてくれる。
「こ、これを?」
「ああ、君用にと思って用意したんだが。・・・気に入らなかったかい? なら他のも用意してあるから・・・」
 とシューズBOXに足を向けるロイを慌てて引き止める。
「やっ! これで全然いいから」
「しかし・・・」
 エドワードが遠慮しているのではと気遣うロイに、エドワードはぶんぶんと大きく首を横に振って否定する。
「ち、違う。・・・そのぉ、あんまり可愛い部屋履きなんで、こんなのあんたが持っているのが不思議だったんで・・・」
 確かに。ロイが履いていたのだとしたら、ちょっと・・・いや、かなり妙な感じだろう。
ふわふわの白い部屋履きは、何とも愛らしい子兎を象ってあり、可愛い耳まで付いていたのだから。
「ああ。何だそんな事か。―― いやさすがにこのタイプは私は履かないが、君に似合いそうなものをと
思って探していたら、目に付いてね」
 嬉しそうにそう告げられれば、俺にも可愛すぎるんですけど・・・とは言い出しにくい。
「そ、そう? ―― でも、悪いよ・・・態々、俺の為になんか・・・」
 それに先程の口ぶりでは、これだけではなく何足か用意してあるような話し振りだ。
 恐縮しきっているエドワードを、ロイは優しい瞳で見つめ。
「そんなに畏まる程でもないさ。自分の家だと思っていつでも来て履いてくれれば」
 ロイにとっては本心からの、エドワードにとってはとんでもない申し出に驚いている間にも、
ロイはスマートなエスコートでエドワードをリビングへと連れて行っていた。

「さぁ、そこのソファーに掛けて。頼んだ料理が来るまでは少し間があるから、お茶にしよう」
 座るように示された席は、ふわふわのクッションが敷き詰められている。
こんな処に座って良いのだろうかと戸惑いながら、恐る恐る腰を落としてみれば。
「うっわぁ~、これ気持ちいい!!」
 すっぽりとエドワードの体重を受け止めてくれるクッションは、手触りといい感じられる温かさといい、
普段のエドワードではお目にかかれない代物だ。
「気に入ってくれたかい? 折角来てくれるんだ。少しでも居心地よくして欲しいからね」
 そう言ってお茶を淹れてくる告げ、部屋を出て行った。

「って事は、これも・・・・・・」
 ふかふかのクッションたちに、足元の暖かそうなラグも、見た限り新しいもののようだ。エドワードは更なる驚きに、
思わずじっとクッションを見つめていると、頬が段々と熱くなるのを感じて行く。
「うっそだろ・・・」
 浮かんでくる喜びと恥かしさに、エドワードは思わずクッションに突っ伏して悶えてしまう。
 軍で会っている時には、叱られることもあるし、厳しくされる時もある。
勿論それは、エドワードが無茶をしたりするからこその心配からきてはいるのだが。
恋人として逢っている時には、ロイはエドワードに何くれと気を使ってくれてはいた。
がまさか、ここまで気遣ってくれるとは。
「――― 俺、愛されてるよなぁ・・・」
 こんな子供の自分に、ロイはどういうわけか心底惚れてくれているらしい。それは喜びだし幸せなことだ。
が反面、それ程してくれる相手に自分は何も返せるものがないことに、少なからず落ち込んでしまう。
 今回のプレゼントにしても、アルフォンスのアドバイスがなければエドワードは悩みに悩んで、
結局手ぶらで来ていただろう。
 そう思うと、自分の不甲斐なさが身に染みる。
 恋人同士とは云っても、一緒に居る時間も短ければ、ロイに何かをしてやれる事も少ない。
こんな自分が、本当に彼に相応しいのだろうか・・・。
 そう考えたことだって、実は一度や二度ではないのだ。

「眠たいのかい?」
 ふいに掛けられた声に、エドワードは慌てて身体を起こすと、心配そうに自分を窺っているロイが立っていた。
「眠たいなら、良ければベッドを用意してるから・・・」
「ち、違う!」
 慌てて否定すれば、ロイは驚いたのか僅かに目を瞠ってエドワードを見つめてくる。
ロイのその瞳にはエドワードを心配している色が浮かんでいる事に、エドワードはまた自分の幼さを気づかされる。

 ―― こんな時にも、上手く返せる言葉も言えねぇなんて・・・。――

 消沈して俯いてしまったエドワードを見ていて、ロイは手に持ったトレーをそっとテーブルに置くと、
静かにエドワードの横に腰を落す。
「・・・何か、気に触る事でもしてしまったかな、私は?」
 責めるわけでもなく、ロイはそう優しく語り掛けてみる。
 それにエドワードが力なく小さく首を横に振って返す。
「じゃあ、気に入らない事でも?」
 それにも同様の反応を返してくるエドワードに、ロイは肩に腕を回すとポンポンと宥めるように肩を叩いてみせる。
「エドワード、何でも話してみてくれないか? 折角二人で会っている時間だ。君の中に閉じこもって仕舞わないで。
困った事や悩んでいる事があるなら、二人で答えを探してみるのもきっと楽しいと思うよ」
 暗くならないように、務めて明るく話すロイに勇気付けられて、
エドワードは今まで抱えてきた思いをポツポツと話し始める。


 エドワードが話していく内容を聞いて行くごとに、ロイは浮かれすぎていた自分に苦笑する。
ロイから見ればエドワードは子供だから気を使ってやりたくなるのではなく、
恋人だからこそ何でもしてやりたくなるだけなのだ。しかも、自分には大概の
 ―― 彼の望みの最大のもの以外は ―― 叶えてやる力も、揃えてやる財力もある。
 結果的にはそれが良くなかったのだろう。
 あれやこれやと気を回して用意するよりも、エドワードの意見も聞きながらゆっくりと揃えていけば良かったのだ。
そうすれば彼が自分用のものに困惑や戸惑いを持たせずに、二人で共有できるものを選ぶ事も出来たのに・・・。

 ―― 恋に有頂天になるのは、歳には関係ないと云う事だな・・・。

 そんな反省を抱きながら、エドワードの髪を梳き撫でてやる。
「エドワード、済まなかった・・・」
 その大佐の言葉に、エドワードが驚いたように視線を上げる。
「恥ずかしながら・・・私も君に何をしてやれば喜んでもらえるか、判らなくてね。
―― で、ついつい思いつくことから片っ端に手を付けてしまったんだが。
・・・それが君の負担になるとは気付けなかった」
「そ、そんな事ない! 俺は・・・俺も嬉しかったんだ。それは本当だ。
 けど、――― 替わりに何を返せば良いのか・・・全然、思いつけない俺が・・・駄目なんだ」
 しょんぼりとして視線を落すエドワードに、ロイは込上げてくる喜びと共にぎゅっと抱きしめてやる。
「ロ、ロイ?」
 急な彼の行動にエドワードが動揺をみせる。
 何か告げて安心させてやりたいと思うのに、胸一杯に溢れるているこの喜びを・・・どう伝えれば良いのだろう。
 ロイは言葉に出来ない思いを、抱きしめる事で感じてもらおうとするかのように、
きつく固くエドワードを抱きしめ続けた。
「・・・・・・・」
 苦しさから何か告げようとしたエドワードは、小さく身体を震わせ自分にしがみ付いている―― 今、
ロイから感じている抱擁は、抱きしめられていると云うより、しがみ付かれている気がする――
 ロイに何かを感じたのか、恐る恐る腕を回して両手一杯に抱きしめ返してやる。
 そして、小さな子をあやす様に懸命に背中を撫でてやった。

 ―― この恋は、きっと自分の一方通行だと思っていた。
     好意は疑わなかったが、自分が彼を好きなようには
     彼が自分を好きだとは思えなかった。

     だから嫌われたくなくて、喜んでくれそうな事を
     思いつくまま揃えてみた。

     でも、彼は・・・エドワードは、ちゃんと自分を思い続けて
     きてくれていたのだ。
     自分が相手に何を与えれるか、してやれるのか。
     そう考えるのは、相手が自分にとって大切な人だからだ。

     自分よがりなのは彼ではなく、私の方。
    かれはこんなにも私の事を思って
         心を痛めてくれていたと言うのに・・・――

「ありがとうエドワード・・・。君が私を思ってくれていると思うだけで、私は世界で一番幸せな気持ちになれる」
 そう言って自分を見つめてくるロイの瞳の中には、嘘や誤魔化しなど一欠けらも見えない、
澄んだ綺麗な色を湛えている。
「ロイ・・・・・・」
 自分の名前を呟いて見つめ返してくれるエドワードに、ロイは優しい触れるだけの口付けをする。
「君が不安だったように ―― 私もずっと不安だった。
 優しい君は強引な私の告白に頷いてくれたが、いつ私より似合いの相手を見つけて飛び去ってしまうかも知れない・・・と」
「! そ、そんな事は・・・」 
「ああ。君は私をちゃんと想ってくれていた。信じ切れなかった私が弱いだけなんだ。
――― だから嬉しかった。私が君を好きなように、君も私の事を好きで居てくれる。
・・・それだけでこれ程の喜びを与えてくれる人は、――― 君だけだ」
「ロイ・・・・・」
「君だけなんだ、エドワード。君だけが私をこんなにも幸せな気持ちにしてくれる。ありがとう」
 溢れんばかりの喜びを現す笑みを浮かべながら、ロイはエドワードの顔中に羽根のようなキスを降り注ぐ。
「くっ・・・くすぐったいって・・・・」
 ロイの喜びがエドワードにうつったのか、エドワードの胸の中にも温かな思いが広がって行く。
瞼や前髪の生え際や頬や額は勿論のこと、ロイは唇で触れてない箇所が無くなるほど際限なく口付けを降り注ぎ、エドワードはくすぐったそうに身を捩っては、嬉しそうな笑い声を上げて行く。戯れは次第に熱を帯、互いの体温を上げて行く。
「んっ・・・・・」
 楽しげな笑い声が、艶のある吐息に変わっていく頃には、もうどちらも身に宿った熱をおさめる術が思いつかない程。
 服越しに分け合っていたお互いの体温を、気付けば素肌で感じ。
 顔中に降り注がれた口付けは、今は熱心にエドワードの身体に降り注いでは、赤い花弁を散らしている。


 そして頼んでいたケータリングが呼び鈴を鳴らした頃には、二人は満ち足りた思い一杯に互いを抱きしめながら、
温かなラグに包まってまどろんでいたのだった。

 続けざまに鳴らされる呼び鈴に、二人して驚き目覚めるが。
「つぅ・・・・・」
 起き上がれないエドワードに労わりの言葉をかけて、ロイは大慌てで散らばっていた衣服の
シャツとズボンだけ身に付けると、しつこく鳴り響く玄関へと走って行く。


 そして、そんなロイの後姿を見送りながら、エドワードは自分が抱き続けていた難問が、
すっかりと解けているのを感じる。


 ―― 独りよりも、二人で。
     相手がいる恋をしているのだ。
     だから、二人で答えを探すことが正しかったのだと
     身に宿る喜びと共にその言葉を噛み締めていた。――





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