Selfishly

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Pa 4『等価の練成 2』


『 等価 』・・・同価
         価値を同じくするものどうし


    ~ スローライフ ~
            Pa 4、『等価の練成 2』H17,11/20 15:00

飲みきったカップを置き、2杯目を注ごうとも思いよらず
エドワードの話に聞き入っている。
語るエドワードも、とうに飲み終わったカップをテーブルに置き
組み合わせている手の平を見つめていた。

彼らが どんな想いで その練成に取り組もうとしたかは
想像に難しくない。
ロイは、自分なら 果たして その練成を試みる事が出来るかと
考えてみる。
『・・・無理だろうな。』
錬金術の才なら、決してエドワードに引けを取るものではない。
が、根本的にエドワード達とロイは違うのだ。
彼らは 互いの為に生きている。
自分では怖気づいて出来ないような事でも、
彼らは相手の為に、いともたやすく乗り越して行く。
恐れも、不安も、自分自身さえ全て差し出して
相手の為にだけ進んで行くことが出来る この兄弟の絆の強さ。
素直に感嘆できる気持ちの他に、
何故か ほの暗くうらやむ心が、話を聞く度に心を掠めていく。

「で、一旦休んでから取り掛かろうって事になって、
 日が上がるのを待って洞窟に戻ったんだ。」
2杯目を注ごうと差し出したロイを断って、
エドワードは、話の続きを語り始めた。

また、鬱屈とした洞窟の中に戻り練成陣を前にした二人は、
最初とは違い、その目には 練成陣以外は何も映らなかった。
二人の目に映るのは、練成陣と その先に繋がる賢者の石だけを
見据えていた。

「アル、必ず戻るぞ!」
「うん、二人で必ず!」

「いいか、練成陣に触れる時には 絶対に戻る事以外考えるな。
 過去も、その先の事も考えずに、とにかく今考えるべき事だけを
 考えろ。」
「わかってる。」
返事を返しながら、二人は静かにうなずきあった。

「じゃあ、また後でな。」と微笑むエドワードに
「うん、また後でね。」と返事を返し、
静かに 練成陣の上に屈みこんで両手をつけた。

その時の事は 良く覚えてないとエドワードは語る。
膨大なエネルギーと想いが押し寄せては流れ出し、
それが波のように繰り返す。
それに翻弄される事のないように想いを願い続けるだけで
必死だったのだ。

「アルの想いだったと思う。
 俺の中を 物凄い勢いで入ってきて俺の中が一杯になったと
 思うと、次は 俺の想いも全て吸い取られるように流れ出していく。」

余程、苦しい事だったのだろう、
エドワードは眉間に皺を寄せて語る。

「・・・けど、耐えれた・・・。
 俺の中に入り込んできた想いは、
 俺の事しか感じられなかったから・・・。」

手の平を見つめて語っていたエドワードが
その言葉を語りながらロイの顔を見上げた。
ロイは、そのエドワードの表情を見た瞬間、
さっきまで感じていた痛みとは比べ物にならない痛さを受けた。

『なんて表情をするんだ・・・。』
ロイは 呆然と、そのエドワードの表情に魅入っていた。
その表情は どこかで見た国の宗教画の女性のようだった。
死するわが子を抱き、大いなる哀しみを前に
それを超える愛で 慈しんだ我が子に微笑んでいる
けなげでいと高き聖女。

そして、気づくとエドワードは扉の前に一人でたっていた。
「よぉ、また来たのか?
 お前さんも つくづく馬鹿だね~。」
「真理!」
周りを見渡すと、誰も アルも居ない・・・。
「アルは!?
 アルは どこに居るんだ!!」

ふぅ~と手を上げて、やれやれと首を振りながら真理が答える。
「全くお前達兄弟は、同じことしか言えないのかよー。
 お前の弟は、別の俺にあってるよ。

 で、ここまで来たんだ。
 覚悟はきまってるんだろうな?」

時同じく、同じ質問が二人に投げかけられる。
そして、一息吸い込むと 二人は はっきりと答えを返した。

「アルを!(兄さんを!)、
 元に戻してやってくれ!(元に戻して下さい!)」

「あっはははー!
 お前ら 本当に馬鹿だね~。
 どっちも、願うことがちがうじゃないか。」
あきれきったように笑い、真理が答える。

エドは真理の答えを聞いて、顔を引きつらせた。
『失敗したのか!?』

でも、と考え直す。
ここであきらめるわけには行かないんだ!

「俺はどうなってもいい!
 アルだけは、あいつだけは 元に戻してやってくれ!
 頼む。」
すがるように言うエドワードの悲壮な叫びが
扉しかない空間で響き渡り吸い取られて行く。

「さて、どうしようかな~。
 違う願いを言われちゃったから、
 叶えてやれるのも1つだけかな~。」
真理は ひょいっと空間に浮かんで腰をかけ、
悲壮な様子を見せるエドワードを
小馬鹿にしたような態度をとる。

言われた内容に、希望を見つけ
エドワードは 届かない位置に浮いた真理に
尚も願い続ける。
「頼む、俺の願いを叶えてくれ!
 頼むから・・・・」
エドワードは その場に崩れ落ち
尚も願いを、たった1つの願いを嘆願し続ける。

「エドワード・エルリック」
先ほどまでの口調とは全く違う真理の声に
下を向いていた顔を「はっ」となって上げて真理を見る。

「お前達の動かした練成陣は、何の練成陣だった。」
厳かに聞こえる質問に、
断罪される人間のように、弱弱しくエドワードが答える。
「・・・・等価の練成・・・。」
「等価とは何だ」
「全くの同じ価値を持つもの・・・。」
「では、お前達の願ったものは同じか?」

ぐっと、答えに詰まる。
「・・・確かに俺達が願った事は違ったかも知れない・・・。
 けど!! 想いは同じはずだったんだー!」
エドワードの喉から出た答えは、悲痛な慟哭となってもれていく。

今やエドワードは、自分が泣いている事にも気がついてなかった。
彼らは、相手を強く想う余り相手の事しか願う事が出来なかった。

打ちひしがれるエドワードに、無情に時が流れていく。
その時、ギギギィーっと音が鳴り 扉が開かれる。
呆然と扉が開くのを見つめながら、
ぼんやりとエドワードは思っていた。
『ごめん、アル。
 元に戻してやれなくて・・・。』
そして、静かに瞳を閉じた。

過去と同じ、群がる触手が来るだろう事を思っていたエドワードだったが、
開かれた扉からは、膨大なエネルギーがエドに襲い掛かった。
「!?」

「全く~、
 本当に この等価の練成を出来る人間がいるとはな~。
 人も、なかなか馬鹿にするものでもないな。」

薄れ行く意識の中で、真理の言葉がおぼろげに聞こえてくる。
「そうだよ、この練成は
 同じ願いでなくともいいのさ。
 同じ強さの想いがあればな。

 人間は欲深い生き物だから、
 今まで誰一人として、等価の想いを持って練成に臨めなかったのに、
 やってくれるよ~。
 まぁ、しゃーない ここまで育った賢者の石を持ってきたんだから
 それで許してやるさ。

 後、これは俺のサービスな。
 結構、お馬鹿なお前の事を気に入ってたから
 今後の事も考えての 通行書だ。」

と、トンとエドワードの額を突く。
ツキンと額に熱さを感じたが、遠くなる意識は
確かめる事もできないまま閉じて行く。

『ああ、忘れてた。
 ちょっと手違いがあったけど、
 まぁ、それは愛嬌って事で。

 なんせ、この練成を成功させる人間が出るとは
 考えてなかったから、
 ちょっと手順を忘れててさ~。

 じゃー、またな。』
最後に聞こえたのは、真理のそんな言葉だった。
そして、エドワードは完全に意識を手離した。


そして、次に目覚めたときには
元居た洞窟の中だった。
違ったのは、練成陣の中央にそえられていた賢者の石が
なくなっていた事だった。

ぼんやりと意識が戻る中で、自分の状態を認識始めると
はっと起き上がり、周りを探し始めた。
「アル、
 アルフォンス!!」

「・・・アル・・・。」
そこには、失った時のままの姿の弟が
静かに横たわっていた。
エドワードは、恐る恐るアルフォンスに触れてみる。
「・・・アル、アル?」
起こすことが怖いと思っているように、
小さく名前をささやいて呼びかける。

「・・・、にいさん・・・。」
呼びかけに答えて、アルフォンスが目覚める。
「・・・良かった・・・。」
「・・・うん、良かったね。」

それ以外の言葉は必要なかった。
二人は ただただ、涙を流し続けて相手を見つめ、
抱きしめて確かめ合い。
何度も 何度も、互いを確認しあっていく。



[あとがき]

すみません!
2部に分かれてしまいましたが、
なんとか無事に終わりました。
説明長すぎてスミマセン。

やっと次回から、ロイさんも入ります~。

錬金術の事とか、真理の扉の事とか
まっ~たくの出鱈目です・・・。(-_-)
怪しい箇所ばかりですが、
広~いお気持ちで許してやって下さい。
頼んます!! (;¬_¬)








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