Selfishly

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Pa 23「それぞれの想いの行方act2」


Pa 23 「 それぞれの想いの行方 act2」


H18,5/14 14:00


夕食後、雑談やスポーツ、散策と、参加者が それぞれの楽しみに興じている。
エドワードとレイモンドも、方々からのお呼びがかかり
それに参加しながら、学生の楽しみ方に面白そうに混じって楽しんでいた。

1番人だかりの多い、話に盛り上がりを見せている輪では
エドワードとレイモンドを中心に、話に華を咲かせている。

エドワードの、日ごろ一種独特の雰囲気は、
学生達には近寄りがたい気に
させていたのだろうが、こうして打ち解けて話してみると、
もともと、気さくな、人見知りをしないエドワードの気質がみえ、
気兼ねなく話ができる事がわかっていく。

最年少主席の名前が先走り、そこに加えて 独特の雰囲気を持つエドワードには
色々な 噂や憶測、嫉妬・やっかみ混じりの噂話が流れているが
実際は、彼の不遜にも見える態度は
本人自身が、人を分け隔てせずに接する性分から出ているもので、
時に きつい言葉を言うのも、本人の裏表の無い性格の表れだとわかると、
今まで、遠慮して遠巻きにしていた学生達も
親近感と好感を持って、エドワードとの距離を近づけて行っている。

レイモンドの方も、本人自身は 無駄な会話を好まないタイプだが、
幼少の頃より、会話術を身に着けなくてはならない家柄で育った為、
その気になれば、社交的に振舞う事も難なくこなせ、
場の華やかさを一段と盛り上げている。

話は夜更けまで続き、さすがに眠くなったエドワードが
戻ると声をかけて立ち上がると
自然と、レイモンドも従うように立ち上がり
お開きのムードになる。
残念そうに惜しむ学生達に 「また、明日。」と笑って声をかけてやると、
それぞれ、名残り惜しそうに座っていた者達も
嬉しそうに、それぞれのテントに戻る準備をする。

「じゃー、明日は ボート漕ぎで競争だぜー!」
手を振りながら声を掛けてくる学生達に

「おう! 買ったら昼食は おごりだぜ。」と手を振り替えしてやる。
振り替えされる手を、笑って見送ると
自分達のテントに戻るために、足を向ける。

明日は、恒例のイベントの1つ。
ボートでの競争がある。
優勝者には賞品もあるが、このイベントの時には 裏でトトカルチョや
各自が賭けをしての個人競争なども拡げられる。
エドワードとしては、優勝する気満々なのだが
トトカルチョでは、選外だ。
これは、大きく エドワードの外見がものを言うのだが、
本人には知らぬが花であろう。

「はぁ~。」
テントに戻るなり、バタンと床に伏せるエドワードの為に
レイモンドが 寝る準備を始めてやる。

「疲れたか?」

「うん、色々としゃべってて遅くなっちまったからな~。
 でも、こういうのも楽しくていいよな。」

嬉しそうに話すエドワードを見る。

「俺、同じ年代とかと集まるって事が 殆どなくてさ。
 なんか、こうやって学校に行って 皆と話をしてるってだけでも
 不思議な気分になるんだよな~。」

自分には こないだろうと思った時もあった こんな時間を
今、得れている自分の境遇が 本当に不思議で、幸せだと思う。
人にとっては 当たり前な経験なのだろうが、
エドワードの幼少期には無縁の事だったから・・・。

「そうか、なら 今から沢山経験するといいな。」

優しく微笑みながら返事を返してくれるレイモンドに
うなずきながら、エドワードは楽しい気分のまま眠りに付く。
レイモンドも、幸せそうに寝ているエドワードをしばらく眺めて、
自身も 余り無い経験に、やはり疲れていたのだろう、
素直に続いて、眠りに付いた。



エドワード達が、学生気分を満喫して楽しんでいた頃。
司令部内では、今日1日漂う緊張感に辟易していた。

「ハボック! 書類の誤字脱字が多すぎる!
 提出書類は、きちんと調えて出せと いつも、言ってるだろう。」
却下とばかり、ハボックに書類を突き返す。

「ブレダ、作戦案の詰めが甘い!
 こんな事では、何日あっても 犯人は捕まらないぞ。」

同様に 付き返された作戦案を手に ブレダが席に戻る。

「おい、これで互いに残業が決定だな・・・。」
小さく声をかけてくるハボックに、ため息をつきながらブレダもうなずいてくる。

ここに居ないファルマンとフュリーが 被害にあってないかと言うと、
そうでもない。

先ほどまで、「遅すぎる!」と不満顔で告げた上司が、
そんなに時間がかかるなら、ついでに足を伸ばさせろと
別件の捜査の査察にも向かわせたからである。

実質の被害は受けては居ないが、機嫌の悪い上司が
他人の余計な仕事ばかり示唆し、
自分の仕事を溜めている為に、ホークアイ中佐もため息をつくしかない状況だ。

エドワードが キャンプに行った日、司令部では朝から不機嫌の上司のせいで
方々に被害が及んでいた。
『そんなに嫌なら、行かせなければ良かったのに・・・』とは
司令部の面々が 心の中で呟いていた。
エドワードの学生生活を邪魔するのには、気が引けるが
滅多に機嫌を変えない上司が、機嫌を悪くすると
始末に負えない。
これが、後2日も続くのかと思うと
司令部内では、重いため息が溢れていく。


やっと、戻ってきた ファルマンとフュリーの報告で
ロイの悪かった機嫌は、さらに 悪化を辿っていく。

「何か? では、ウエストの司令部の馬鹿が逃したせいで
 そのテロ達は、こちらのセントラルに潜伏したというわけか。」

不機嫌そのものの表情で、冷たく返された言葉に
二人は 肩をすくめて首を引っ込める。

「全く、どうして そんな無能な人間を指令長においたんだ!
 そんな無駄な金が 軍にあると思っているのか。」

この気分の悪いときに、さらに仕事を増やされて、
不快のバロメーターが一挙に跳ね上がる。

「ふん、尻拭いを回せれた こちらは、迷惑だけこうむるが
 ウエストに借りを作れると思えば丁度いいだろう。

 ファルマン、フュリー、続いてテロの探索に当たれ。
 アジトが判明次第、即刻 作戦に移る。

 ホークアイ中佐、すぐに そのテロの資料と
 ウエストが渋っていた 交易路の版権の譲渡書をウエストの無能に送ってやれ。」

機嫌は悪いが、悪いからこそ冷静に働く頭で
どんどん、仕事の手を広げて行く上司を伺い、
全員が、地より深いため息をつく。

こうして、司令部の深夜は 滾滾と続いていく・・・。



皆が、はしゃぎすぎて眠りについたのは
深夜が だいぶんと更けてからだった。
が、さすが若い者達の集まりとはいえ、
夜明けまで、後数刻となる今の時間は、暖かな気持ちよい風が
通るときに起こす かすかな物音しか聞こえてこない。

エドワード達が寝ているテントでは、
すでに熟睡に入っていた為、さらに 静謐な空気に包まれていた。

その空気を、全く乱さずに 一人の人間が起き上がり
テントから抜け出していく。
起き上がって空気を乱すことも、歩いて足音をたてるわけでもなく、
その気配を殺して動く人影は、風よりも静かに移動していく。

キャンプ場から だいぶんと離れた所まで来た人影は
う~んとばかりに背伸びをする。

「さ~て、何が出てくるかな?」
そう、にやりと笑いながら ハイキングコースと逆の山道を歩いていく。

エドワードがキャンプ場を離れて、山道に入る気になったのは
日中にみた情景が気になっていたからだ。

このキャンプ地は、大学の保有地の他に 一般のキャンプ場、
そして ハイキングコースもあり、
山の中腹には 見晴らしの良い高台に 金持ちの別荘地が並んでいる為
このシーズンになると、よう様な人たちで賑わっている。

が、それらは 全て、山の片側の 湖の面している方向で、
逆側には、何もない。
山道が舗装されてもいなければ、交通の要にもならないので
道路さえない。
全く手を入れられていない山なぞは、危なくて ハイキングになど
軽い気持ちで散策に出れるようなものではない。
従って、山の片側は 全く人けも無いまま放置されている。

そんな所に、頻繁に出入りする人間達がいるというのは
いったい何があるのだろう?

エドワードが、日中にキャンプを行っている時に、
ハイキング者を装って歩く1団を何度か目撃した。
が、これから 楽しくハイキングにいそしむにしては
少々、雰囲気がおかしい。
エドワードが、妙な雰囲気を察知して見ていると
山の反対側から、交代なのか
出て行く者や、入る者を何度か見かけた。
すれ違う時に、声を掛け合っているのを見ると
情報交換をしているのだろう。
笑い合って話ている姿は、ハイキングコースの情報を語らっているように見えるが
エドワードの目には、彼らの目が笑っていないのが 一目瞭然だ。
そして、気軽なハイキングを楽しむにしては
重装備な荷物たち。

人けの無い地区、偽装して集まる男達、重装備な荷。
それらの符号は、エドワードの馴染あるグループに相似している。

気になった事は探求してみる。
変らないエドワードの性が、現在の深夜のハイキングとなっている理由だ。
夜目の利くエドワードには、月明かりで十分に道が進める。
昼に観察した結果、目的地の目測の場所に辿り着く。

「ふ~ん、こんな所にキャンプ場ねぇー。」

木が乱立する中に上手く隠したように ところどころ、
適当な間隔を空けて テントが張られている。
隣に何かがあっても察知でき、反撃するにも時間がとれる。
しかも、複数あるから 一斉に仕掛けるには
相手に気づかれてしまう数だろう。

エドワードは、注意しながら その周囲を回ってみる。

見張りが 交代で、巡回しているようだが
広い範囲では 間が空いてしまう。
エドワードは、その間を滑るように進んで、
1つの明かりの無いテントに近づく。
中の気配を窺うが、人の気配はしない。
静かに、テントの端を持ち上げて中を窺ってみる。
そして、スルリと その中に忍び込んで中を確認すると
静かに、自分が 潜り込んだ痕跡を隠しながら
その場を離れて、戻っていく。

侵入者があった秘密のキャンプ地では、誰も その事に気づかず
守られている一時の安息を信じ、静かに時を刻んでいく。


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