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Pa 9 「束の間の時」
スローライフ S
Pa 9「束の間の時」
H19,1/9 01:45
ゆっくりと浮上し始める意識に任せるように
エドワードは、いつもより暖かく感じるベットの中で
目覚めていく。
目を開けて最初に飛び込んできたモノに
思わず吸い込んだ酸素を吐き出すのを忘れてしまう。
それ位・・・驚いた。
「やぁ、目が覚めたのかい?」
自分を抱き込みながら、幸せそうに微笑んでいる男の様子が
恥ずかしくて、まともに見れない。
「う・・うん。」
エドワードの そんな初々しい反応が
ロイは甚く気に入ったようで、
嬉しそうに 顔中に口付けを降らしてくる。
しばらく、されるがままに任せていたが
カーテンから零れてくる陽光に、はっと意識を戻すと
急に現実に戻っていく。
「な、なぁ 今何時?」
エドワードが そう聞くと、
途端に 渋い顔になりながら
不承不承返事を返す。
「そろそろ、ハボックが迎えにくる時間だな。」
「ええっー!」
驚いて、身を起こそうとしたが
襲った激痛に、また シーツに突っ伏す。
「エドワード!
無理をするんじゃない。
まだ、そんなに簡単に動けないだろう?」
激痛に唸り声を上げているエドワードの背を
労わるように撫で付けてくる。
「で、でも あんたの朝食も まだ、作ってない。」
痛みに涙目になりながら訴えてくるエドワードに
ロイは、ふむ?と考える仕草をすると、
休んでいるようにと口付けを落としながら言い伝えると
素肌に直接、バスローブを纏いながら部屋を出て行く。
そんなロイの後姿を見ながら、
エドワードは 克明に身体に刻まれている昨夜の事が
鮮明に頭に浮かんできては、
恥ずかしさにのたうち回りそうになるが、
今の身体では、それも 出来ない事を悟る。
後悔はしていない。
ただ、本当にロイと そういう関係になったと思うと、
顔から火が出そうな位、恥ずかしくは思う。
まぁ、実は あんまり覚えてはいないのだが・・・。
『何か、もう 無我夢中で耐えてたら
過ぎ去ってたと言うか、
翻弄されまくって、終わっちゃってたと言うか・・・。』
自分だけ、あれだけ振り回されたかと思うと
少々、悔しく思うのは 男としてだろう。
ふと、シーツの感触が気になって自分の身体を見てみると
「な、なんだ これはー!」
盛大な悲鳴を上げて自分の身体を見下ろす。
そこには、所狭しと付けられた紅い跡が
もう、目を覆いたくなるほど点在している。
「・・・ああ、済まない。
出来るだけ、見えない所には付けないようにしたつもり
・・・何だが。
私も、夢中だったんで よく覚えてないんだ・・・途中からは。」
済まなさそうに言う割には、嬉しそうに瞳を細めているロイは
半分、確信犯じゃないかと思う。
「あんたが?」
いつも、冷静なこの男の覚えてない等と言う言葉は
どうも胡散臭い。
「まぁ、私にも・・・・そう言う時もある・・さ。」
妙に照れくさそうに言われた言葉は
隠したかった真実が露見した事に
やや罰が悪いと感じているからだろう。
エドワードは、ロイの その様子に
気持ちが 綻ぶのを感じた。
『俺だけじゃ・・・無かったんだな。』
コホンと咳払いしながら、
ロイは 用意してきた物をトレー毎、ベットの横のデスクに置く。
「何か 欲しいものは無いかな?」
そう訊ねられて、エドワードは 初めて、自分が
酷く喉が渇いている事に気がつく。
「・・・水、水が欲しい。」
そう伝えてくるエドワードに
ロイは、そうだろうと頷くような様子を見せて
ゆっくりとエドワードを起こしてやりながら
その口に、持ってきた大き目のボトルを近づけてやる。
ゴクン。
一口含むと、身体がもっとと訴えてくる。
勢い良く飲み干していくエドワードに
沢山あるから、落ち着いて飲みなさいと
心配そうに声をかけてやる。
「ふぅー。」
人心地がつくと、気が緩んだのか
どっと疲れが押し寄せてくる。
「眠るのかい?」
ロイが、ゆっくりと身体を横たえてくれるのに任せて
エドワードは小さく頷く。
「・・・あんた・・・用意・・・」
押し寄せる睡魔に襲われながらも
ロイの心配を、切れ切れに伝えてくるエドワードに
ロイは、嬉しそうに髪に口付けを落とすと
「大丈夫」と伝えてくる。
それに、ゆっくりと頷くと
急速に意識が薄れていく。
「エドワード、 今度の週末で もう東方に出かけるのは
止めにするよ。」
そう何かを決意したように呟かれた言葉に
まどろみに抵抗するように、エドワードが
ロイの言葉に意識を向けようとする・・・が。
優しく髪を梳かれる心地よさに、
その抵抗も 弱くなってくる。
「今度、戻ってきたら 君に話したい事があるんだ。
君は 怒るかも知れないが、
聞いて欲しいんだ。」
そう囁かれた言葉が、落ちていく意識の中に響いてくる。
エドワードは なけなしの意識を振り絞って、
何とか 小さく頷いて見せた・・・はずだ。
ぷっつりと暗くなった意識の後では
上手く頷けたかを確認する事は出来なかった。
かなりの負担を強いたのだろう、
また、気絶するように意識を手放したエドワードに
ロイは 名残惜しそうに眺めていたが
触れるだけのキスを額に落として、
出勤のチャイムが鳴らされて、
エドワードの休息を妨害される事のないように
手早く準備をして、玄関に向かう。
「おはよ・・・っす。
一体、どうしたんすか?」
ハボックは、呆気に取られたように
玄関で待っている男の様子を まじまじと眺める。
エドワードと暮らしだしてから、
そう待たされることはなくなったが、
今日みたいに 外で待っていた事等、1度としてない。
「別に。
お前の手間を省いてやろうかと思っただけだ。」
フンと鼻を鳴らして答える様子は、
いつもと変わりない・・・いや、変わりはある。
何やら、酷く ご機嫌の様子だ。
キョロキョロと周囲を見回すが、
いつもお見送りをするエドワードの姿が見えない。
「あれっ? 大将は もう大学にいったんすか?」
不思議そうに聞いてくるハボックに
ロイは 首を振りながら、後部座席に入っていく。
「いや・・・、まだ休んでる。」
そう呟かれた声音に、ハボックは 驚いたように
後部座席を振り返ってしまう。
「なんだ?」
ハボックの妙な行動に、ロイが不審そうな顔を向ける。
「いや・・・なんもないっす。」
そう返しながら、車を静かに発進させた。
バックミラー越しに チラチラと上司を盗み見るが
酷くご機嫌そうな様子は、変わらない。
『それに さっきの声・・・。』
ハボックは、エドワードの事を答えた この上官が
酷く満足げに、そして嬉しそうに声を弾まして返された声音に
どうやら、最近の問題とやらが解消された事を感じ取った。
『そっか・・・、まぁ 良かったよな。』
二人の幸せそうな様子は、本当に良かったと心から思う。
一抹の寂しさは、まぁ 強いて言えば 花嫁を見送る父親の
心境とも言えるかもしれない。
『幸せになれよ・・・。』
遠い目をして、今ここにいない子供にエールを送る。
が、現実は そう甘くない。
エドワードには とことん甘い上司は、
やはり、甘いのはエドワード限定のようだ。
「ハボック!
この報告書は なんだ。
いつも言ってるだろう、報告書を書くときは
箇条書きで、解りやすくしろと!」
パシッと突き返された書類の束を抱えながら
首を捻る。
「えっ~、そんなに解りにくかったすか?」
「・・・字も読めたものじゃないぞ。」
そう付け加えられて、あぁ まぁそうかと頷く。
昨日、徹夜で仕上げた報告書だ、
そう言えば、所々で意識が飛んでいた事もあった気もする。
再提出を申し付けられ、泣く泣く席に戻ると
大きくため息を吐く。
『全く、エドワードに向ける100分の1の優しさでも
俺らに分けて欲しいぜ。』
こんな事を言えば、ずうずうしい 100億分の1でも十分だろうと
返されるのは、間違いない。
「なぁ、中将 すごく、機嫌良くないか?」
こっそりと隣の席から、耳打ちしてくるのはブレダだ。
「ああ。
朝から ずっとあんな調子だ。」
二人は、互いに苦笑を浮かべると 深いため息をつく。
自分達の上司の困った所は、まぁ やはり優秀過ぎる事だろう。
機嫌が悪ければ悪いで、やたらと難問を抱えては
遠慮なく下に放り投げてくるし、
良ければ良いで、やたらと早くなる仕事の処理に
下のものが着いて来れずに根を上げそうになる。
まぁ、もちろん そんな事で脱落するような
甘ちゃんは、直属の中には居ないのだが。
てきぱきと片付けられては、ビシバシと飛ばされる指示に
一人以外は、皆 おおわらわで走り回っている。
もちろん、その一人と言えば
どんな時にでも 上司のペースにぴったりと着いていける
優秀な副官だけだ。
「ホークアイ中佐。
急ぎのものは これだけか?」
処理した束を指して伺う上司に
そうですと淡々と頷いて、返事を返す。
処理された書類を受け取ろうと立ち上がると、
さっと書類の束を持ち上げて、ロイが立ち上がる。
「中将?」
ロイの行動に戸惑いを浮かべながら、
伺ってくる彼女に、
ロイは 命令口調で、一言指示を伝える。
「わかった。
この書類は 私が処理しておこう。
君は、今日は もう退出して構わない。」
ロイの言葉に、驚いたように目を瞠る。
「昨夜も戻っていないのだろう?
無理をするな。
後の事は、殆ど 調書待ちの状態だから
緊急なものはない。
今日は、もう 戻って休みなさい。」
確かに 急ぎの書類が終われば、
緊急の物はない・・・ないが。
躊躇いを見せるが、ロイの気持ちをありがたく汲むことにする。
「申し訳ありません。
では、お言葉に甘えさせて頂きます。」
「そのぉ、中佐・・・。
代わりと言っては何だが、1つ頼みたいことがあるんだが。」
言いにくそうに口ごもると言う、珍しい上司の様子に
リザは首を傾げながら、告げられる言葉を待つ。
「・・・出来たら、帰るときに
エドワードにも何か昼食を買って持って行ってやって欲しいんだ。」
背けた顔が、珍しくも照れたように赤らんでいる。
リザは、まじまじと そんな様子の上司を眺めて、
賢く何も聞かずに、「喜んで」と返事を返した。
では早速と立ち上がる彼女に、ロイは 言葉を続ける。
「中佐、東方行きは 今週で止めにする事にした。
それと、、戻ってきたら 遅まきながらだが
きちんとエドワードに話をするつもりだ。」
そう語られた中将の表情は、清清しい笑みを浮かべている。
リザは、大きく頷いては同意を示し、
「ぜひ、そうされて下さい。」と控えめな言葉を贈った。
上司にも、指令部の面々にも 立ち込めていた暗雲が
漸く、切れ間を見せてきたようだ。
嘘や隠し事をしてはいけないとは、思わない。
時には 相手を傷つけない為には必要な時もあることを
リザは知っている。
でも、決して裏切ってはいけないものもある事も。
裏切る位なら、どんなに理解してもらえない事であっても
相手に面と向かわなくてはいけない。
それが、大切な人なら 尚更だ。
ロイが、エドワードに関しては 酷く臆病で慎重になりすぎる
帰来がある事は、皆が良く知っている事だ。
特に エドワードが負傷してキャンプから戻ってきて以来
エドワードの事を硝子細工の宝物のように扱う傾向が大きくなっていた。
けど・・・とリザは思う。
彼は、エドワード・エルリックと言う青年は
鋼の異名を持つに足る人物なのだ。
ロイが 思い込んでいるほど、脆くも弱くもない。
真実の強さとは、腕っ節や身体能力だけではない。
鋼の心を持ち、常にそれを鍛えている彼だからこそ
真実に直面しても尚、逃げずに向かい合おうとする強さが生まれてくるのだ。
忘れかけていた彼本来の強さを、
こうして、上司が思い出してくれたのなら
リザの悩みも、解消されるのだろう。
ゆっくりと買っていく物を考えながら、
軽くなる足取りで、軍を後にした。
「ハボック、ここで止めろ。」
「はぁ?」
現場検証の帰りに、いきなり止められたのは
高級店が立ち並ぶ通りの、
これまた、さらに老舗の宝飾店の前でだった。
ハボックを置いて、さっさと店に向かうロイに
慌てて後を追うように追いかける。
『なんで、今更 こんな店に?』
ハボックの疑問は当然だった。
過去は、女性に贈る品物を買うために
こういう宝飾店にも足を伸ばすことはあったが、
今は エドワードが、あまり宝飾を好まないと言うか
興味を示さない事もあって、
とんとご無沙汰だったのだ。
久しぶりとは言え、上客の登場に
慌てて迎え入れる従業員が、にこやかに対応をして見せる。
店内を見回るような事はさせずに、
上階にあるサロンに案内し、
すぐさま 香り高いカフェが運ばれてくる。
慣れた様で、接待を受ける上司に
怪訝な思いは、露ほども見せずに
ハボックは 静かに、扉の横の立ち位置につく。
さほど待たせられる事も無く、
どうやら この店の支配人らしき人物が姿を見せ、
久しぶりのロイにも、穏やかな親しみを込めた様子で挨拶をしてくる。
しばらく談笑していたが、
ロイが 注文の品を口にすると、
嬉しそうに頷いて、カタログを出してくる。
分厚いカタログをめくっては、真剣に聞いてくるロイに
丁寧に説明をしてきては、逆に ロイの希望を聞いては
カタログのページを繰る。
「う・・・む、なかなかに難しいご注文ですな。」
「無理だろうか?」
「・・・言え、無理ではございませんが・・・、
が、少々 お時間はかかるかも知れません。」
紅い石と金の石を代表するものは多くある。
それらなら、そう時間をかけずとも
自店で所有の石からも、上質のものを探し出せば良い。
ただ、ロイの言う 硬度も兼ね備えた物となると
石の種類も1つに絞られてくる。
しかも、本来は 無色の石が殆どで
稀に 色を付けた物が発見されるが、
それは 値段うんぬんより、まず 数が極小で
なかなかお目にもかからないし、手にも入りにくい。
「費用は いくらかかっても構わない。
当座の金額は、指定の口座に振り込んでおくので
足りなくなれば、いくらでも連絡をくれればいい。」
「・・・わかりました、そこまでご希望のお品のようでしたら
当方も、沽券にかけて探させて頂きます。」
相手が 引き受けてくれた事にほっとした様子を見せると、
穏やかに微笑みながら、言葉を付け加えてくる。
「しかし・・・、余程 大切な方なのでしょうね。」
普段は 余計な詮索はしない事がプロとしての対応だったのだが、
ロイの余りの真剣な様子に、思わずと言ったように言葉が漏れてしまった。
「あっ、申し訳ございません。
余計な事を申しまして。」
すぐさま、謝罪を告げる相手にも
ロイは さして、気にした風でもなく
手を振ると、優しい笑みを浮かべて返事を返す。
「ああ、この世で1番 大切な人だ。」
そう言い切ったロイの表情に、
思わず 自分も幸せな気持ちにさせられた。
そして、何としても この依頼を果たそうと心に強く念じる。
その後、リングのデザインや、それに付属させるものや
メッセージなど、事細かに指示をして
ロイは店を後にした。
一部始終を見ていたハボックは、
まるで自分の事のように赤面させられながら、
その店を後にした。
そして、これだけ 堂々と愛情を示せるロイを羨ましいとも思う。
『あ~あ、俺も早く嫁さん欲しいよぉ。』
エドワードが聞いたら、憤死しそうな事を
心の中で愚痴ってみる。
「急にお邪魔してしまって、ごめんなさいね。」
そう謝りながら入ってきたリザを、
エドワードは 心安く中に招き入れる。
「いいって。
ごめん、中将が無理言ったんだろ?」
電話があって、説明を聞いたと言うエドワードの言葉に
リザも、首を振りながら 微笑み返す。
けど・・・と思いながら、目の前の青年を眺める。
『これでは、確かに うかつに外には出せないわよね。』
今のエドワードは、女性のリザの目にも
奪われるような艶がある。
少し疲れが滲んでいるような様子も、ドキリとする位
退廃的な美が見え隠れしている。
他のメンバーでなくて、リザに頼んだのも頷ける。
これでは、何があったか一目でわかってしまうだろうし、
少々、あのメンバーには刺激が強すぎる光景だ。
普段、元気一杯な彼だけあって
今のこの様子とのギャップは
かなり、訴えるものがある。
時期にしては、少々 きっっちりと着込まれている
上着にも、なんとなく想像がついて
思わず下世話な想像をした自分に頬を赤らめてしまう。
「中佐?」
エドワードの呼びかけに顔を上げると
不思議そうな表情を浮かべている事から
彼が、何度か呼んでいたのだろうと気づく。
「あっ・・ごめんなさい。
少し、ぼんやりしてたみたい。」
「いいよ、昨日も徹夜だったんだろ?
疲れてるときにごめんな。」
済まなさそうに謝るエドワードに
そんな事は全然気にしなくていいと伝えて
そうそうに屋敷を後にする。
大輪の華が咲き誇る時期がきた事を実感しながら
今後、さらに心配性になるだろう男の事を考える。
『まぁ、それはそれで きっと幸せなのよね。』
毒気にあてられたのか、
リザにしては珍しく、そんな楽観的な事を思い浮かべながら
早く愛犬に逢いたい気持ちにさせられて帰路についた。
「じゃあ、行ってくる。」
玄関先で別れを惜しむロイに、
苦笑を浮かべながら、エドワードが頷いてやる。
昨夜から、何度も離れるのを寂しがる様子を見せるロイに
エドワードは 辛抱強く、返事を返して
待っている事を伝えてやる。
昨日は 戻ってからも、やたらとエドワードの身体を心配するロイが
どこに行くのにも付き従う様子を見せて、
エドワードの叱られたりする事もしばしば。
怒られても嬉しそうにしている相手を見て、
エドワードは 今後の事を思うと
少々、米神が痛んでくる。
それなりの地位にいるロイが、
威厳も何も形無しな この様子が少しでも
世間にばれたらと危ぶむが、
そう言えば、公表されても構わないと言う返事が返って来そうで
怖くて言葉に出来ずにいた。
夜は、意外な事に 大人しくエドワードを抱きしめて
眠りにつこうとする。
拍子抜けもする気にもさせられたが、
さすがに 昨日の今日だけあって、
誘われても、はいとは言えなかっただろう。
なかなか、ダメージが大きいものだとつくづく思う。
普段から 身体を鍛えているエドワードだからこそ
そこそこ動いても支障がない程に復帰はしたが
続けられれば、しばらく寝込む事にもなりかねない。
が、もう少し粘る様子を見せるかと思ったが、
ロイの方から、身体を休めるようにと気づかわれる始末だ。
『抱いてみて・・・あんまり良くなかったとか・・・?』
そう思った事を 率直に告げると、
ロイは、深いため息を吐きながら
抱きしめて腰を密着させてくる。
それでロイの状態がわかって赤面するエドワードに
ロイは 苦笑しながら、囁いてくる。
「途中で止めれる自信は、全くなくてね。
が、さすがに今の君の状態に手を出すほど
酷い男にもなれないだけだ。
まぁ、かなりの強がりだがね。」
そう言いながら、苦笑を浮かべて返すロイの様子に
年上の恋人の意外な苦労症な面に驚かされるやら、
喜ばされるやらだ。
ただ添い寝をするだけでも
思いあっている者同士なら、充足感は十分得れる。
心が満足すると、不思議と身体は落ち着いてくる。
軽いキスだけは止められないようで、
エドワードが眠たげになるまで何十回と繰り返されていた。
寝た後にも繰り返されていたのかは、
ロイだけしか知らない秘密だ。
「もう、言ってこいよ。
列車の時間に遅れるぜ。」
そう言って時計を指すエドワードに
ロイは、不承不承 わかったと返事しては
やっと、重い足を動かす事にする。
そして、ふと振り返ると、
再度、念を押すようにエドワードに言付ける。
「戻ってきたら、話をしたい事があるんだ。」
そう言うロイに、エドワードは 大きく頷き返してやる。
「ああ。
大丈夫だ、俺は ここで待っててやる。
戻ったら、ちゃんと話を聞いてやるからな。」
だから、安心して行ってこいと告げられる言葉に
ロイは、漸く 納得したように頷くと
屋敷を離れていった。
そして、ロイの口から真実が聞かされる事は
この後、訪れる事がなくなる事等、
幸福の真っ只中にいた二人には、思いもしなかった・・・。
生と死が、背中合わせに並んでいるように
幸と不幸も、同様に すぐ隣で潜んでいる。
時は目まぐるしく動き、一瞬前と同じことは
何1つとしてないと言う事を、
永遠に続けと願う幸せの中に居る者達には
考えが及ぶところではないものなのだろう・・・・。
↓面白かったら、ポチッとな。
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