c - Rakuten Inc
100万ポイント山分け!1日5回検索で1ポイントもらえる
>>
人気記事ランキング
ブログを作成
楽天市場
1020107
HOME
|
DIARY
|
PROFILE
【フォローする】
【ログイン】
Selfishly
SRT P5.5「標的の先~Spill talk~」
スローライフt(third)
P5.5「標的の先~Spill talk~」
「よし、格段に腕が上がったな」
ダンは満足そうに頷き、優秀な生徒を嬉しそうに見つめる。
「ありがとうございます! ホール教師のおかげです」
向けられた笑みに、きっちりと礼をし、感謝の気持ちを伝えるエドワードに、
ダンは手の平を振り、「対した事はしてない」とさらりと流すと、
手元のチェックシートを確認する。
「反動の少ない物は命中率も高いが、威力は低く射程距離も短い。
短銃よりライフルの命中率がブレるのは、反動を予測した打ち込みが
足りないからだな。 何度か打ち込んでいけば、反動を流すコツも判ってくる。
そうなれば、ブレる事もなくなるだろう」
ダンの言葉に頷き、並ぶ銃に視線を向けているエドワードに
片付ける手伝いを頼んで、今日の再補講の終わりを告げる。
ダンの教え方は丁寧で、ただ打ち方を教えるだけでなく、
それぞれの向き不向きの使用用途や、思わぬミスの発生する条件、
取り扱い上の注意の相違など、さすがにこの道のプロフェッショナルらしい細かな指導をし、
エドワードにとって、この再補講をマンツーマンで行って貰えたのは、
かなりのメリットを得る事が出来た。
人気の無くなった校舎内の武器庫に、厳重に仕舞う手伝いを終えると、
ダンは手伝いの礼だと、自分の教師室に連れて行き、コーヒーを振舞ってくれる。
「このサイフォンだと、落ちるのに少し時間がいるが、
代わりに味は保障できる。 まぁ、楽しみに待ってろ」
エドワードが恐縮しながら座っている目の前で、ダンは手馴れた様子で
サイフォンをセットし、コーヒーを淹れ始める。
教師が目の前のコーヒーに真剣な眼差しを注いでいる間、
エドワードはキョロキョロと周囲を見回していく。
適度に散らかってはいるが、専門書や資料はきちんと分類やナンバリングされ
並べられている所を見ると、興味が引く物や必要度の高いものなどは、
きちんと管理を分けているのだろう。
そういう点は、エドワードにも共通している感覚で、好意が持てる。
「ほら」
湯気が立っているカップを差し出され、視線を彷徨わせていたエドワードは
慌てたようにカップを受け取った。
「申し訳ないが、ミルクも砂糖も用意が無い。
そのまま飲んでもらうしかないが、これなら飲めない事はないだろう」
そう告げながら、ダン本人は美味しそうにカップを傾けている。
エドワードは本来は余りコーヒーを愛飲はしておらず、飲むときも
どちらかと言うと、カフェオレが多いのだが、教師自らが淹れてくれた物に
不満を言うわけにもいかない。
暫く躊躇いながら温度を下げる為に息を吹きかけてから、
ゆっくりと口に含んでみる。
「・・・美味い・・・」
驚いたように洩れた言葉には、素直な感嘆の気持ちが出た。
「だろ? これなら、ブラック初心者でも味が良くわかる」
なっと言うように、浮かべられた笑みに、エドワードも真面目な表情で頷く。
「俺、普段はブラックは飲まないし、コーヒー自体それほど飲むほうじゃないんですが、
これは美味しいと思います。 何か秘訣とかあるんですか?」
家で待っている男は、コーヒー党だから、このコーヒーを淹れてやれれば喜ぶだろう。
そんな事を思わず浮かべてしまい、浮かべると自然と口をついて出てしまっていた。
「まずは豆だな。 これは、産地の中でも比較的温暖な地域で作られている物だから、
味自体もまろやかに出るんだ。
後は淹れる前に挽いた豆を使う事だ。挽き立ての豆だと、香りも味も格段に変わる。
それと、豆を保管する際には冷蔵庫に入れておく方がいい。
開封したまま外に出してると油も回るし、香りも飛ぶ。
後は、出来るだけゆっくりと落とす事だな。
最初に蒸らすように全体に湯を回しかけしてやって、暫く置いておく。
それからは、ゆっくりと落とすようにしてやると、
豆自体の味が淡くても、きちんとコクや香りが出る」
エドワードは感心しながら聞き、出来るだけ頭に入れておく事にする。
「なんだ? 飲ませたい奴でもいるのか?」
突然の質問に、エドワードの心臓がドキリと跳ね上がるが、
ダンの瞳には関心以外の他意はなく、エドワードは気持ちを落ち着けながら、
「あっはい、コーヒーが好きな奴がいるんで、教えてやろうかと」
と当たり障りなく、返事を返す。
「そうか、じゃあ豆の種類を書いてやるから持っていってやるといい」
そう告げながら、エドワードにお替りを勧めてくる。
気さくな相手の人柄のおかげか、エドワードの最初の緊張も解れ、
素直にカップを差し出す。
少し温くなっているコーヒーは、最初より更に飲みやすくなっており、
エドワードはゆっくりとカップを傾けながら、目の前に座る教師の様子を窺う。
ダン・ホール教師は、士官学校の中では異例の若い教師で、
元々軍の一線で活躍をしていたらしいようだ。
丁寧な教え方に、歳も生徒達とも近いせいか、慕うものも多く、
いつも賑やかな一団を作っている中心にいた姿を何度か見ていた。
こうして個人的に話せば、彼の面倒見の良さや気さくな態度は、
確かに人気が高いのも頷ける気がした。
エドワードが個人的に話したのは今日が初めてになる。
射撃の補講を受け始めたのも最近になってからの事で、
今までは接点がなく、近づく事もなかったから、
先日の補講で声を掛けられた時は、少々驚きもした。
が、その後に投げかけられた質問に、更に驚かされたせいで、
質問を投げかけた本人に関心が向くのが、後回しになったのだ。
折角、こういう機会を得たのだから、先日の質問の意図を聞いてみても構わないだろうか?
そんな事を考えながら相手を見ていたせいか、気づけば面白がる色を浮かべた瞳にぶるかる。
「どうした? 聞きたい事があるんなら、聞いてもいいぞ」
察しの良い言葉に、エドワードは小さく笑みを浮かべて、
思い切って話しかけてみる。
「先日の質問の意図は、どういう意味があったのかと思ってたんです」
エドワードの問いに、短く笑うと、
「いや、別に特に意図があってじゃない。
ただ単に、不思議に思ったからだ。 何故、的に中てないように打つのかとな。
が、その後の質問で見せた表情で、エルリックが無意識での行動のようだったから、
これは中てる事に拒否し、打つことに疑問を抱いてるからじゃないかと思った。
だから、中てる事の意味が解れば、自然と的と向き合うようになるだろうと
思ったまでだ」
落ち着いた話方で、伝えられる言葉は、エドワードの瞳を瞠らせるのに十分な内容だ。
「どうして・・・」
驚いたように呟かれた言葉に、ダンは目元を細くして柔和な表情を作る。
「俺も昔、そうだったからさ」
そう優しく返された言葉に、信じられない気持ちで相手を見る。
「そんなに驚かれるような事か? まぁ、確かに今の俺を見ていれば、
そう思われても仕方ないか」
そう語りながら浮かべられた表情は、決して明るいものではなく、
どちらかと言えば、暗く自嘲するように苦笑を象っている。
「俺が現役だった時、エルリック程酷くはなかったが、
銃を扱うのが苦手でな。 極力使わないようにもしていたが、
そうも言ってられない場面も多々ある。
なるべく後方を選んで、銃撃戦は避けるようにしていたし、
発砲も控えてはいたんだが、ある時の作戦が終わったとき、
その時の上司に呼ばれてな、横っ面を張り倒されたんだ。
『打つべき時に打てないような愚か者が、軍になど残っているな』とね」
その時を思い返しているのか、頬を撫でている。
「で、正直軍は俺の気性には合わないと思っていたのもあって、
打たなきゃ生き残れないような社会なら、辞めようと思ったんだ。
で辞表を書いて、その上司を探していると、射撃場で一人訓練している彼を見つけた。
その時の上司の姿勢は、不貞腐れていた俺の感情を一挙に冷ますような姿でな。
訓練だと言うのに、彼の様子は真剣そのものだった。
緊張を漲らせて、周囲に気を張り巡らせていて、俺は声を掛けそびれて、
延々と、上司が訓練をしている姿を見つめ続けていた。
漸く銃を下ろし、俺を振り向いた彼が、銃を手渡して『打て』と言ったんだ。
完全に気を飲まれていた俺が銃を受け取り、打とうとするんだが・・・、
手が震えて・・・打つどころか、きちんと持つ事さえ出来なかった」
そこまで話すと、自分を凝視しているエドワードの方を見て、
「情けない奴だろ」と乾いた笑みを洩らしてくる。
エドワードは言葉もなく、首を横に小さく振る事で応える。
「俺の震えている手を握り締めて、照準を合わす上司に、
俺は首を振り続けて抵抗した。 銃も離そうと力を弱めるんだが、
彼はそれを許さずに、代わりに静かに話してくれた。
『お前が銃を撃つことを恐れるのは、自分の行動から引き起こされる現状しか
見えてないからだ。 見える事だけを忌み嫌い、逃げるなら、
誰も救えはしないんだぞ』とね。
前を見ろ。 そしてその先を見据えろ。 目で見える以上の先は、
俺らの腕にかかっているんだぞと。
そして漸く見つめた先には、的はなかった。 在るのは、救えるかもしれない
人たちと、未来へ続く道だけだった。
その日以来、死に物狂いで勉強したさ。 何せ、出遅れていたから、
一長一短で追いつけるはずも無いだろ。
が、おかげで今は、何とかこうして生徒に教えるまでには
学んだわけだ。
俺らは軍に入る事を決心してここに居る。
なら、背けていてはいけない事が、ある事を知らなくてはならない。
そうじゃないか?」
エドワードに投げかけられた最後の言葉に、唇を固く結び、しっかりと頷く。
その様子に、ダンは頷き、長くなった話の終了を伝えるように、
サイフォンの片づけを始めていく。
エドワードは、静かに立ち上がると、感謝の気持ちを深々と頭を下げて現し、
部屋を出ようと扉へと足を向ける。
そして、扉に手をかけたところで、ふとダンが話してくれた上司の事が気になった。
「ダン教師、その上司の方は、今はどちらの司令部で?」
優秀な司令官のようだから、どこかで名を馳せて聞き知っているかも知れない。
そのエドワードの問いには、暫く間が空いた後、静かな返事は返ってきた。
「彼は、亡くなったよ。 防戦中の現場で、味方が発砲した銃でね」
振り向きもせずにそう告げ、片付けなどとうに終わっているだろうサイフォンを
何度も何度も磨きながら。
その返答に、小さく「失礼しました」と告げるのがやっとで、
そのまま静かに扉を閉めた。
静かな廊下を歩き戻りながら、ダンの語ってくれた話の結末を考える。
救える者を助けれないのも、救えるのも、全ては己の決意にかかっていること。
エドワードは強く肝に銘じるように、一歩一歩力を込めて歩いていく。
↓面白かったら、ポチッとな。
ジャンル別一覧
出産・子育て
ファッション
美容・コスメ
健康・ダイエット
生活・インテリア
料理・食べ物
ドリンク・お酒
ペット
趣味・ゲーム
映画・TV
音楽
読書・コミック
旅行・海外情報
園芸
スポーツ
アウトドア・釣り
車・バイク
パソコン・家電
そのほか
すべてのジャンル
人気のクチコミテーマ
お勧めの本
「おじいちゃんのくるみのき」くるみ…
(2026-05-25 19:20:04)
ボーイズラブって好きですか?
ヒロアカのBL同人誌!緑谷出久と爆豪…
(2025-12-23 14:25:28)
読書日記
書評【素肌がきれいになると人生が変…
(2026-05-25 00:00:11)
© Rakuten Group, Inc.
X
共有
Facebook
Twitter
Google +
LinkedIn
Email
Create
a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧
|
PC版を閲覧
人気ブログランキングへ
無料自動相互リンク
にほんブログ村 女磨き
LOHAS風なアイテム・グッズ
みんなが注目のトレンド情報とは・・・?
So-netトレンドブログ
Livedoor Blog a
Livedoor Blog b
Livedoor Blog c
JUGEMブログ
Excitブログ
Seesaaブログ
Seesaaブログ
Googleブログ
なにこれオシャレ?トレンドアイテム情報
みんなの通販市場
無料のオファーでコツコツ稼ぐ方法
無料オファーのアフィリエイトで稼げるASP
評判のトレンドアイテム情報
Hsc
人気ブログランキングへ
その他
Share by: