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『 駄目な男 』 ~ 扉の向こうで ~
『 駄目な男 』 ~ 扉の向こうで ~
★ このお話は 18禁です。
ご了承された方、自己で責任を取れる方のみ
閲覧をお願い致します。
H18 8/16,0:00
微かに震える指で鍵を開け、
扉が開ききるのも間っておれないという風に
二人して、縺れ合うようにして中に転がり込んだ。
『鍵をかけなくちゃ・・・。』
エドワードの 頭の隅でそんな事が一瞬過ぎったが
男の熱い抱擁に呑まれ、そんな考えはあっと言う間に消え去って行った。
中に入るや否や、すぐさま抱きしめられ
濃厚な口付けが始まった。
エドワードが、待ってと言う様に持ち上げた腕は
持ち主の意志とは反対に、絡め取られ握りしめられる。
言いたい事も、伝えたいことも 山ほどあったはずなのに
今、この腕に抱きすくめられると
そんな事は どうでもいいような気になってくる。
この男が伝えてくる熱を感じる事以外は・・・。
去ったエドワードを取り戻すのには、長い月日が必要だった。
それは、物理的にと言うよりは 精神的にと言う事で。
エドワードとアルフォンスの活躍は、セントラルに居る ロイにも
数多く伝わって来ていた。
居場所もわかっている。
元気に活躍している事も。
そして・・・、まだ 独り身でいる事も。
自惚れかもしれないが、彼 エドワードが 今だ自分を愛してくれていると信じている。
けれど、ロイは エドワードに逢いには行かなかった。
どれだけ恋焦がれていようとも、
身を苛む位の恋情を持て余していたとしても
ロイは、『答え』を得るまでは エドワードに逢いにいけない自分を知っていた。
今、感情に任せて動いたとしても
結果は また同じ事の繰り返しになる。
そうなった時には、今度こそ 本当に二人の最後になるだろう。
傷つけ、傷つけられ、 2度と相手の事を思い出したくない程の傷を負うだろう。
そんな結末を迎えない為には、
ロイはエドワードの問うた答えを見つけて行かなくてはならない。
繰り返し自問自答し続ける問いの答えは 簡単には見つからなかった。
今にも飛び出して行きそうな恋情を 押さえつけるのは
並大抵の事ではなく、
気を抜けば フラフラと駅に向かおうとしている自分に気づいて
はっとしては、戻っていく。
そんな日々は、ロイの精神力を削り、身体的にも弱らせて行く。
それでも、そんな地獄の日々を乗り越せたのは
必ず、答えを手に入れて エドワードを抱きしめる日を
取り戻す事が出来ると信じていたからだ。
そんな月日の過ぎる中でも、ロイは着々と国の改造を進めて行った。
軍事国家から、法治国家に。
各都市は 自治体が運営し、国は それを支援、奨励する。
そうして、その中で 最も目覚しい発展を遂げていったのが
エルリック兄弟が率いるリゼンブールの街だった。
治安の良さは、他に類を見ない安定をみせ、
公共施設の充実ぶり、
発展する産業。
住民の教育水準の高さは、国内外問わず
教えを請う人々の注目の的であり、
住民にとっても住みやすい環境つくりに街つくり
福利厚生の整っている事は住民の満足度の高さでもしれる。
今は 居住希望が殺到している中を着々と街開発で広げている。
そんな エドワード達の頑張りが伝わる度に、
ロイは 自分の励ましにし、慰めにしながら
日々の激務に取り組んでいった。
繰り返し夢を見る・・・。
エドワードがロイに別れを告げた日を。
その度に、なんとか結果を変えたいと足掻くが
いつも同じ・・・、ロイは独り残されていく。
怒り、憤り、当惑、混乱
夢の中のロイは、いつも そんな想いを抱えてエドワードに
言葉をぶつけていく。
が、エドワードは 首を横に振るだけで
やはり、扉から去って行く。
どれだけロイが呼び止めようと、引きとめようと手を伸ばしても
触れられない陽炎のように消え去っていく。
哀れむような瞳の色をロイに向けて・・・。
その日も同様の夢を見ていた。
『また、見る事になるんだ・・・。』と苦しい想いで
前に立つエドワードを見る。
エドワードが別れの言葉を告げるのにロイは成すすべもない。
愛していると囁いてみても、
2度と浮気はしないと誓ってみても
行かないでくれと叫んでも、エドワードは出て行くのだ。
そう思うと、ロイは 何も出来ないまま
目の前に立つ、別れたときと変らないままの彼を見つめ続ける。
せめて、去る前に出来るだけ記憶に留めておけるように。
いつもの夢同様、エドワードが1歩を踏み出す。
扉に向かって・・・・のはずだった。
でも、その日の夢の中のエドワードは
驚いたような表情を浮かべてロイに近づいてくる。
そして、触れる程近くにたつと すいっと腕を持ち上げて
ロイの頬に触れる。
触れた指には、水滴が掬われて乗っている。
エドワードは 愛とおしそうに、その指に口づけすると
また掬っては拭ってやる。
何度も何度も繰返される動作に、ロイは自分が流している物の正体を知る。
溢れる想いがロイの頬を濡らし続ける。
ロイは 始めて、想いとは作るものではなく
こうして、溢れ出すものだという事を知る。
押さえようと思って押さえれるものではなく、
止めようとして止めれるものではない。
相手を思う気持ちは、どこからか知らず
体中から溢れては零れていく。
そして、それは月日が経って枯渇する事も、減ることもなく
日に日に増していく。
そう気づいたロイの頬を伝う涙は、
とうとう エドワードの指で拭うだけでは追いつかなくなる。
エドワードは 困ったように小首を傾げたかと思うと、
泣き笑いの表情を浮かべて、嬉しそうに、愛おしそうに
言葉を紡ぐ。
『ロイ。』と。
そこで夢は終わる。
夜が明けてくる前の静謐な空気が漂う時の中、
ロイは 起き上がったまま、顔を手の平で覆って落ちてくるものを受け止めてやる。
声も、嗚咽さえも無く。
ただただ、溢れ出すものを受け止め、
手の平から伝い落ちてシーツに染みを作るのに任せたまま
少しつづ、明るくなる夜明けの中を ずっと。
「ロ 、 イっ、まっ・・・」
扉を閉められた途端、抱きすくめられてから
息継ぎも出来ないほどの口付けが続けられている。
エドワードは、すでに自分の足で立てない状態で、
ロイに抱きすくめられるようにして、扉に背を預けて
なんとか、立っている。
恐ろしいほどの強さで進入してくるロイの舌は恐怖に近い強さで、
エドワードの背中を痛いほどの快感が這い登る。
隙間もないほど寄せ合わされた互いの身体でも、
まだ 足りないという思うのか、エドワードの小柄な体が悲鳴を上げるほど
抱きしめ、押し付けてくる。
苦しくなる息に、顔を背ければ
露わになった喉に喰らい付いてくる。
喰らわれるのではないかと言う本能的な恐怖で
エドワードが「ヒッ!」と身を縮じこませれば
強引に顔を向けさせては、舌を捩じ込ませてくる。
互いの身体は、すでに熱いほど昂ぶっていて
耐え切れずに小刻みに震えてくる。
滴る唾液の滑りを借りて、ロイの手がシャツの中に進入をしてくる。
ボタンがはじけて飛んだようだが、そんな事は一切気づきもできない。
押し付けられる体が、エドワードの背中の扉をギシギシと
鳴かせている。
顔も、腕も、胸も、足も 髪の毛1筋もの間も空けれない位に密接し、
まるで強引に溶け合わさせようとするかのように
押し付けられてくる。
体の受ける痛みと、心が上げる歓喜の悲鳴に
耐え切れずにエドワードはロイの名を叫びながら達する。
ロイもエドワードの歓喜に満ちて自分を呼ぶ声に
慄くほどの喜びを感じて、自分を解放する。
力尽きて崩れるように座り込んだエドワードに引かれるように
ロイも膝をつく。
はぁはぁと荒い息をつく二人の肩は
大きく上下している。
漸く波を越して落ち着いてくると
二人とも気まずそうに顔を見合す。
「・・・全く・・・、
もうちょっと落ち着けないのかよ。」
解放後の気だるさが抜け、惨めな有様の自分達に
ため息をつきながら不満を呟く。
「そんな余裕があるわけないだろう?
どれくらいぶりだと思ってるんだ。」
エドワードの不満に対して、少々 怒りを滲ませたように言う
ロイの表情も、やや バツが悪そうだ。
「そんだけ時間がかかったんなら、
後少し位待っても変んないだろ。」
「なっ、君がそれを言うのか!
大体、君だって抱きついて離さなかったじゃないか。」
「それはアンタがしつこいから・・・!」
まだ何かを言おうと口を開いたが、
はぁ~と盛大にため息をつき、今の自分の現状をみる。
「全く、なんちゅう有様だよ。」
シャツは、引きちぎられ 袖を通しているだけの有様で
下は・・・考えたくもない。
「それを言うなら私だって・・・、
この歳で 服も全く脱いでもないままでなんて・・・。」
「あんたが!」
「君が!」
一斉に互いに声を上げて相手に非難の声を上げようと
顔を見合す。
「プッ!ククククッ。
しゃーないよなー、俺達って。」
噴出して笑い出すエドワードにロイも連られて笑い出す。
「全くだ。
ここまで我慢する事もなかっただろうに。」
ひといきれ笑いあって収まると、
エドワードは 立ち上がる。
「まぁ、とにかくシャワー浴びようぜ。」
ロイも頷いて立ち上がるとエドワードの後を追って部屋に入っていく。
「ほら、ここだ。
先に入っててくれよな。
その間に、なんか着替えを持ってくる。」
扉を明けて中を見せると、エドワードは踵を返して立ち去ろうとする。
ロイは 咄嗟に腕を掴んで引き寄せる。
「いいから。
着替えなんか構わないから、一緒に居てくれ。」
ロイが切実に懇願を浮かべる瞳に、驚いたように目を見開くが
ふっと優しい微笑を浮かべて、安心させるように言葉を続ける。
「ロイ、もう大丈夫だから。
もう、どこにも行かないぜ 俺。」
そう告げると、触れるだけのキスをして
掴んでいるロイの手をポンポンと叩いてから立ち去る。
そんな些細な相手の行動にも、嬉しさと安堵感を感じて
ロイは 心底、喜びを噛み締める。
今、彼が触れれるほど傍に居てくれる。
それだけの事が、これ程自分を幸せにしてくれる。
必要だったとは言え、離れていた月日を惜しいと思う。
もっと、早くに ちゃんと気づいてさえいれば・・・。
シャワーを浴びていると、着替えを取って戻ってきたのだろう
エドワードが脱衣所に入って来るのが見えた。
そのまま出て行くのだろうなぁと少々寂しく思っていると
エドワードが 服を脱いでいるのが、スリガラス越しにシルエットで見えてくる。
相変わらず、細いしなやかな肢体が動く、綺麗な動作を見ているだけで
飢餓感に近い飢えに、思わず喉がなる。
扉を明けて入ってきたエドワードは、
少し照れたように目を伏せている。
「エド・・・ワー・・ド。」
ロイは 入ってきたエドワードの体から目を離す事が出来ない。
昔同様に白い肌が、羞恥と興奮の為か ほんのり紅く浮かんでいる。
小柄ではあるが、良く鍛えているのだろう 均整のとれた身体に
生身の手足が ちゃんと1組づつ。
昔は まばらだった下生えも、今は 髪と同様の金色の茂りを見せている。
そんな事を確認するだけの間にも
ロイの興奮が募っていく状態になっていく。
正直な身体に、困ったように苦笑を浮かべると
エドワードも ロイの状態に気づいて、さっと頬を紅く染める。
そして、我慢できずにロイが手を伸ばす前に
エドワードが意を決したような表情で、ロイに近づいてくる。
落ちてくるシャワーの下で、ロイが伸ばしかけた手を掴める位置までくると
エドワードが 静かに膝まづく。
ロイが、まさかという思いで見ていると
半分立ち上がったロイの分身を そっと手を添えて持ち上げる。
すしりと重さが感じられる感触に、エドワードは しばらく躊躇った後
先っぽに小さくキスをすると、口の中に含んでいく。
「エドワード!」
驚きの声を上げるロイを、ちらりと上目使いで見ると
後は たどたどしくも必死に口淫を施していく。
最初は ゆっくりと全体に含んで、次は 舌を使って愛撫をする。
手できつめに袋をもみしだきながら、吸い上げると
上でロイが息を吐き出すのが聞こえてくる。
それに気を良くして、加える愛撫にも力が入る。
ロイの分身も、今では 支えの手が必要ないほど立ち上がり、
エドワードの口内では、少々 含みきれなくなってくる。
含むことをあきらめたエドワードが、外側から丹念に舌を這わし、
手は さらにペースを上げる。
「くっ、エドワード。」
荒くなる息の合間に、何とか止めさせようと頭に手をやるが
身体は正直で、引き寄せるように動いてしまう。
エドワードと関係を持った回数は さほど多くはない。
その少ない中で、エドワードに奉仕をさせた事等
ロイには1度もなかった。
だから、ロイにとっては 気持ちが良い以上に驚きのほうが勝っている。
『一体、いつのまに こんな事を覚えたんだ。』
浮かんだ疑問は、ロイの中に怒りの火種を起こす。
ロイは頭にやっていた手で髪を掴むと、
グイッと引き下げるとエドワードの顔を上げさせる。
「君は・・・こんな事を誰に教え込まれたんだ!」
快感を感じていたはずのロイが、
怒りを含ませた声で、エドワードに問いかけると
エドワードは 驚くように目をみひらくと
意地悪そうに笑いながら、
「あんたから。」と答えを返す。
そして、愛おしそうに 震えて溢れてくる露を擦りこむ様に指を動かす。
その衝撃に思わずはじけそうになるのを
荒い呼吸を繰返す事で、なんとかやり過ごす。
「わたし・・・から?」
そう言えば、この愛撫の手順は 昔、自分が彼に施していたのと・・・。
エドワードは手は休めずに、ロイに話しかける。
「触れたがってたのも、懐かしがってたのも
アンタだけとか思うなよ。
俺だって・・・、ずっとアンタが恋しかったんだ。
ずっと触れたかった・・・んだから。」
繰り返し繰り返し思い出すロイとの関係は
エドワードの中では、今では 克明に繰返せるほど
何度も、思い出してきたのだ。
エドワードは中断された続きを再現する。
『そう、であんたは 舌で愛撫を施した後に
軽く先端を甘噛みする。』
「っはぁ、くっ」
上からは シャワーの音に掻き消されない強さでロイの声が落ちてくる。
『そして、震えが治まらないうちに 全体を吸い上げる。』
「エド・・・ワード!
もう離せ、でないと!」
『そう、後は 最後の一押しで・・・』
最後の追い上げとばかりに、絞り上げるように手を動かし
先をきつめに吸い上げてやる。
「・・・!」
瞬間、ロイの目の前がスパークする。
せき止められていた物がはじける衝撃で
ヨロリとタイルの壁に背をぶつけて凭せ掛ける。
足元では、咽ながらも必死に飲み下しているエドワードの姿が映った。
ロイは そのまま力を抜いて座り込むと、
咽ているエドワードの背中を擦ってやる。
「エドワード・・・、
無理をしなくていいんだ。」
そう伝えてやりながら、抱きしめてやる。
ようやく息が収まったのか、エドワードがロイに手を回しながら
肩に 顔を乗せて、首を横に振る。
「違う、無理なんかじゃないんだ。
俺が、そうしたかったんだ。
だから・・・。」
そう言いながら、嬉しそうに微笑みを浮かべてロイを見たかと思うと
エドワードは、ぐったりと ロイの腕の中に崩れ落ちる。
「エドワード!」
焦るロイが、エドワードを抱え上げると
弱弱しく 一言・・・。
「熱い・・・。」
エドワードは、完全に のぼせていた。
その後、エドワードの介抱に焦るロイが
勝手のわからないままも、
やっとの思いで、エドワードをベットに寝かしつけた。
「全く君は、相変わらず・・・。」
一息ついて、ベットの横に座ったロイが
横になるエドワードの髪を梳きながら
ホッとため息を付いて話しかける。
「ごめん・・・、そのぉ・・・
せっかくの日にさ・・・。」
氷嚢を乗せてもらい、何とか人心地をつけたエドワードが
済まなそうにロイに謝る。
ロイは、愁傷なエドワードに クスリと笑いをこぼし、
慰めの言葉をかける。
「いいさ、私は かなり良い思いをさせてもらったんでね。
申し訳ないのは、君にだよ。
大丈夫、君が言ったんじゃないか。
ここまで待ったんだ、後1日位 どうという事はない。
明日は、今日のお礼に楽しみにしていたまえ。」
ロイが 可笑しそうにそう告げると
エドワードは せっかく冷めてきた熱がぶり返したように
真っ赤な顔をする。
そして、小さな声で
「楽しみにしてる。」と呟くと、ほっとしたせいか
そのまま眠りに落ちていった。
ロイは、再び その手に取り戻せた愛しい人を飽きずに見つめる。
離れていた間、自分同様に この子も自分を焦がれて待ち続けてくれていた。
昔も エドワードに勝てた試しはなかったが、
今も 彼には勝てないようだ。
「さて、明日は 期待どうり頑張らせてもらおうか。」
まずは、その為の体力を養おうと
眠っているエドワードの横に潜り込んで、
ロイは久々の夢も見ない深い眠りについた。
久しぶりの心地よい眠りの世界に浸っていると、
朝の陽光と共に、五月蝿くなる音に顔をしかめる。
隣に一緒に眠っていたエドワードも、
さすがに 段々と酷くなる音に、眠そうに目を擦りながら
起き上がってくる。
「何なんだよ? こんな早朝に。」
ぶつくさ言いながらも、ベットから出て玄関を開けに行こうとする。
そんなエドワードに、ロイは一抹の不安を感じて引きとめる。
「待てエドワード。
玄関は開けないほうがいい。」
そう言うロイの言葉に、エドワードが さっと緊張感を持つ。
「何? こんだけ騒々しくてテロってわけでもないと思うけど、
なんかアンタ、心当たりがあるわけ?」
そう聞くと、ロイは ベットの上から 渋い顔を見せる。
「心当たりが当っているとしたら、テロよりも厄介だ。」
その言葉に、エドワードの表情も困惑を浮かべる。
そんな危ない奴が、このリゼンブールに来ているのか?
そう思うと、居ても経ってもおれず 玄関に足を向けて走り出す。
「エドワード、待て!
開けるんじゃない!」
後ろでは、出遅れたロイが 慌てて声を上げている。
と、玄関の扉を叩き壊そうとしていたかのようなノックがピタリと止み、
外から おどろおどろしい声音が聞こえてきた。
「マスタング議長、やはり ここに来ていましたね。」
その聞き覚えのある声に、エドワードは拍子抜けしながらも
扉を開ける。
「ああ~っ!エドワード、開けるなー!。」
やっと、エドワードに追いついたロイが悲鳴のような声を上げる。
ガチャリと音をたてて開かれた扉からは、
目元を引きつらせ 怒りを表す ホークアイの姿があった。
「あっ、やっぱり ホークアイ中尉!」
懐かしさに昔呼んでいた呼び名を上げる。
「こんにちはエドワード君。
あなたの活躍は ずっと聞き及んでいたわよ。
元気にしてくれていて嬉しいわ。」
にこりと こちらは、心底嬉しいと表情に浮かべてエドワードに
再会の喜びを表した。
「ホークアイ中尉・・・じゃなくて、ハボック議長だよね。」
「ええ、でもややこしいので 旧姓で通してるの。
リザと呼んでくれて構わないわよ。」
にこりと綺麗に微笑む顔は、昔と変らず美しかった。
「うん・・・、じゃあ リザさん。
で、もしかしたら。」
エドワードは 全てを告げずに 後ろに隠れて出てこない男の方をみる。
リザは 深く頷きながら、ため息をつく。
「そうなのよ。
2日前 議長の職を私に譲ると書き終えたまま・・・。」
全くという風に、眉間に皺を寄せながら首を振る。
エドワードも、ため息と共に脱力する。
「変らないんだな・・・。」
「そう、変らないのよ・・・。」
二人して、互いに目を合わせては 盛大にため息を付く。
「わかった。
さっさと、引っ張って行って。」
エドワードが あっさりと告げると
リザは 戸惑うようにエドワードを見る。
「いいのかしら・・・?」
そのリザの心使いにエドワードは照れながらも
はっきりと頷く。
「うん、大丈夫だよ。
今度は いつでも逢いたいときに逢えるし、
俺も逢いにいくさ。」
そうエドワードが強く微笑むと、
リザは 固めていた頬を緩めて
ありがとうと呟いた。
その後は、リザに脅され、エドワードからは怒られ
泣く泣く帰り支度をするロイの姿が・・・。
「エドワード~。」
車内から泣きそうな顔を浮かべて名前を呼んでくる男に
エドワードは 笑いを堪えるのに必死だった。
「ロイ、週末は帰ってくるだろ?
今回は ご馳走できなかったけど、腕を振るって用意しておくからな。」
エドワードの帰ってくるだろう?の一言に気を良くしたロイは
もちろんだと強く頷いてみせる。
そしてもう一息とばかりにエドワードがロイの耳に口を寄せて囁く。
「後、今日の楽しみは その時の為に 取っておくな。」
その言葉に、ロイの頬は笑みに崩れ、
手を振るエドワードに
絶対に早く戻ってくるからと
力強く手を振り返す。
エドワードは 小さくなる車の陰に、やれやれと息を付く。
本当に あの男は駄目な男だ。
エドワードや、リザが付いていてやらないと
とんでもない事をしでかしてしまう。
そんな男が、心底愛おしくて仕方ない。
だから、今度こそ ずっと傍にいてやろう。
死が別つ事があっても、未来永劫に。
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