Selfishly

Selfishly

limitation5



【注】!!

このお話では、ロイは非道で鬼畜な人間となっております。
  part2からは、エド子のキャラも歪んでおります。(平身低頭!)

  その点を苦手とする方は、読まずにいてもらえますように。
  ハッピーエンドでも、楽しいお話でもないと思われます。
  それでもお読みになられる方は、ご自身の判断でご了承頂き
  下記へスクロールしてお進みください。
   *性描写もややございますので、未成年者の閲覧はお止め頂けますように。m(__)m 






























・・・ 喩え、外道と堕ち果てても P5・・・




ヒュッ――― と風を切る音を生み出す蹴りを最後に、
エドワードが格闘体勢をを解いて見下ろしてくる。

「今日はこん位で止めとくか」
汗一つ。髪の毛1つ乱さすにそう告げてくるエドワードに対して、
自分は汗みずくでとうに息も上がっている。

「ま、だ・・・まだっ」
付いていた膝を立てようとして失敗する。
そんな自分の状態を見透かして、エドワードは苦笑しながら手を差し伸べてきた。
「いいって。無理すんなよ。あんたもなかなかの使い手だと思うぜ」
そんな言葉の方が、更に自分を屈辱に落とし込めている事と云うのに
彼女の表情には侮蔑や嘲笑の一欠けらも浮かんではおらず、語った言葉の真実味を
増すような優しい表情だった。
余裕――― と云うのとはまた違うその表情は、全てのことを理解している存在のようで、
不思議な感覚を与えてくる。
気づけば取っていた手に助けられるようにして、自分は立ち上がっていた。

「さ、さっさと中に入って汗でも流そうぜ」
誘うように引っ張られる手に従って、自分は軽快に歩くエドワードの後を着いていく。



少し前に彼女を見つけ。誰も入れないように引かれていた陣を越えれるようになってから3日。
自分は時間が許す限り、この少女の元に留まっている。
最初に請われていた組み手の相手は勿論。食事や他愛無い世間の話。
そんな遊び相手のような自分を――― 快く思わない主が居ても。

この屋敷だけでなく、この敷地の持ち主・・・正確にはそれは違うが。
この場の主は、自分のことを大層邪魔者に思っている言動を隠そうともしない。

が、それでもここに訪れる事を拒否しないのは――― 偏に彼女との約束を遵守しているからだろう。


が、彼女は一体・・・どう云う女性なのだろうか。

見かけは可憐な美少女で、それなりに美しいと呼ばれる女性を見ても来たし
付き合ってきた自分さえも、簡単にはお目にはかかれない美貌を具えている。
歳の頃は自分より幾つか下のはずなのに、彼女の言動からはそんな幼さは皆無だ。
かと思えば、まるで幼女のようなあどけない仕草と表情を見せる。


「へぇ~! 人ってそんなに沢山違うもんなんだ」
士官学校の話をしている自分にエドワードは面白そうに目を輝かせて、
そんなことを云ってくる。
「・・・?」
彼女の言った言葉の意味が何を指しているの理解できず、自分は思わず返答に困って
首を傾げている。
「でもさ。そんなに違ってたら、困んないの?」
「困る・・・? 何をだい?」
容姿の事なのか、性格のことなのか。彼女の質問は、時々突拍子もない事が多くて
自分の頭では追いつけない。
「だって、好きなものとか、やりたいこととか、さ。
 そんなに色々とあっちゃー、決めるのに大変じゃん?」
「決める? ・・・何を?」
その自分の質問の方が判らないと云うように、エドワードが小首を傾げて自分を見つめてくる。
そうやってる姿は、本当に普通の少女のようだ。
「え? 勿論、やることとかだけど?」
「やること・・・。――― それは人其々で構わないことだと思うが・・・」
それのどこがおかしいのだろうか? 
人は千差万別に在る。だからそれと同じ数だけ、希望や願いや行動もあるのだ。
「えっー? それぞれ、って・・・。そんなんで不安にならないわけ?」
「――― どうして?」
皆が一緒の方が怖いではないか。同じように考え同じように行動し、表情から言動から同じなら
それはもう、人間では無く人形か何かだろう。
「俺は、嫌だな・・・。同じ事を考えて、同じように動ける方が安心だけどな」
そのエドワードの言葉に目を丸くしたのは自分だ。
この外見から、能力からして全く他者に追随を許さぬような者が、
何故、そんな依存症のような言葉を告げてくるのか。
それに、どう考えても・・・ここの主、ロイ・マスタングとこの彼女の意見が同じだとは思えないのに。
「しかし・・・、君だって彼の希望通りにはしてないだろ?」
暗にここに自分を招いていることを指してそう告げると、エドワードはキョトンとした表情で。
「何で? 俺、あいつの希望通りにしてるぜ?」
と心底不思議そうに返してくる。
「い、いやそれは違うんじゃないのか? ・・・現に、彼はここに私を招くのは
 賛成していなかったし」
そこまで告げて納得できたことがあったのか、エドワードは大きく頷くと
笑顔で返してくる。
「俺が言ってんのは、そおゆう表層面のことじゃないって」
「表、層面・・・じゃない?」
「そう! ロイの願いは俺が幸せに笑ってることだから、俺は自分のしたいことを
 願うわけ。妙な我慢とかして俺が耐えるのは嫌なんだからさ」
そのエドワードの話に、思わず言葉を無くす。
「俺が俺のしたいようにする。それがロイの願いだから、俺は好きなことをしてれば
 いいわけだからな。

 でもあんたが話してた人たちって、そうじゃないだろ?
 皆が皆、それぞれの願いがあったら、揉めそうだよな」

シンプルな方が判りやすくない?と笑うエドワードに、絶句させられる。
彼女が余りにも無知で傍若無人な愚かなことを言うからではない。

――― そこまで彼の愛情を疑わないでいられる自信だ。

どうしてそこまで信じられるのか。ただの愚かな自惚れだと言い切るには、
彼女自身が欲を纏っているようには見えない。
逆にそういうものから、もっとも遠くに在るような・・・。

「――― 彼とは・・・、どの位の付き合いなんだ?」

胸の奥底で焦げ付くような感情が生まれるのは、本当の愛情を得れなかった自分の
妬心だろうか。

「どの位って、年月のこと?
 う~ん、どん位なのかな・・・。月日だけで言えば、――ざっと、20年位かな?」

「・・・・・20、年?」
聞き間違えたのだろうかと繰り返してみるが、彼女は何でもないことのように頷いて返す。
「し、しかし・・・20年と云うことは有り得ないだろ?
 君は、どう見ても二十歳そこそこんだから・・・」
知り合いの期間も勘定しているのか? いや、それでも計算が合わない。
困惑している自分を余所に、彼女は簡単に否定してくる。
「俺、二十歳とかじゃないぜ? 多分、今年35,6になるはずだし」
「・・・まさか!?」
即座に否定したのが気に入らなかったのか、エドワードはムッとした表情で
睨むようにして自分を見据えてくる。
「何で嘘なわけ? 半分は寝て過ごしてたから、歳どおりは成長してないかも知れないけど
 生まれた月から計算すれば、その位の年齢なんだよ」
腕を組んでそっぽを向いて怒ったらしい彼女の横顔を、唖然と眺めるしか出来ない。

――― 性質の悪い冗談、だろ・・・?

どこをどう見て、この少女が30代の女性に見えると云うのか・・・。
若く見える女性が居るのは判っているが、――― 彼女はそう云う次元ではない。
それに話していた内容の――寝て過ごしていた――とは?

「――― 病弱な性質だったのかい?」

今のエドワードを見ていて、とてもそうは思えないのだが、幼少の頃は体が弱かったのだろうか
と考える。

「俺が? い~や、全然。体は健康そのものだったんじゃないかな?」
その返答にはさらに困惑させられる。
「寝てたのは体の所為じゃなくて、生体エネルギーってのかな?
 それが全然、無くなってちまってたから。
 ――― まぁ、寿命が尽きて立ってのが1番似てる状態だな」
「寿命が!?」
有り得ない言葉に、思わず鼻で笑い返しそうになる。
それをしなかったのは、――― 信じられないことだが、彼女の表情にも言葉にも
嘘を吐いているようには全く窺えない自然な表情だったからだ。
「そ。であいつが繋ぎとめてくれたってわけ。
 何でそんな状態になったかは教えてくれなかったけど、まっそれは別にどうでもいいことだしな」
「どうでもいい・・・?」

そんなことがあるか? 死に掛けていたと云うなら大事ではないか。
それをこうも何故、あっさりと片付けれるのかが判らない。

自分の目から何かを察したのか、エドワードは小さく笑うと。
「覚えてない過去は必要ないだろ? 大切なのは、今生きてるって事だからさ。
 ロイが俺を生かしたいと思ったから俺は死ななかった。
 なら、生きてる俺は全部ロイのモンなんだしさ」

それは違う!と叫びそうになった声は、入ってきた声に止められる。

「それは嬉しいことを云ってくれているね。
 なら、その男の出入りも止めてもらえると、更に私にとっては
 嬉しいことなんだが?」
そう告げながら、男はエドワードの傍に近づいてエドワードに口付けをする為に
腰を屈めて顔を寄せていた。
「お帰り。今日も早いじゃんか」
口付けを受けながら嬉しそうにそう返すエドワードの様子は、
親に出会った子供そのものだ。
「・・・全く。君の我侭を聞くはめになってからと云うもの、
 私の心臓への負担は増えるばかりだよ」
上着を脱ぐのを手伝うエドワードに、ロイは心底困っているように話している。
「そんな柔な心臓かよ。あんたのなんて、ダイヤより丈夫なんじゃない」
「酷いな。それを云うなら、ガラスの様なと言って欲しいね」
上着の他にシャツまで脱ぎ始めたロイに、自分は慌てて腰を上げる。

この二人は互いを目にした途端、他の存在は頭から消し去ってしまうようで、
自分の存在を気にするような事もなく、二人の世界に入り込んだり・・・、
色々と、―――始めてしまうのだ。

勿論、そんな場面で窮地に立たされる前に退出をすることにしている。

失礼しますの言葉もないまま、立ち去る自分なぞ二人は歯牙にもかけていないのは
いつもの事だった。


~~~~~~

降り注ぐ湯の下で、一頻り触れ合い深い口付けを堪能すると、
ロイはシャワーを止めて、横に在るスポンジを手に取った。
「さぁ、座って」
「ん・・・」
促されるまま浴室用の椅子に腰を落とすと、ロイが恭しく手を取って洗い始めていく。
「なぁ?」
気持ちの良い泡に撫でられていくのに目を細めながら、エドワードが話しかける。
「なんだい?」
丹念に指の間も洗っているロイは、いつものことだが凄く嬉しそうにしている。
「なんでいつも右手からなんだ?」
そう聞いたのは特に何かを考えてのことではなく、手順でも決めているのかと
思いついたからだ。
自分の指を撫でていたスポンジが一瞬止まると、ロイは「特に意味はないよ」と
笑いながら洗うのを再開する。
「別に首筋でも、そう・・・この胸からでも。足指や、付け根やそれ以上の奥からだって・・・。
 君が望むところから始めても構わないが?」
ゆっくりと話す言葉と呼応するように、ロイのスポンジを持っていない手が
エドワードの身体に触れていく。
「んっ・・・。駄目だってっ。―― 風呂場は逆上せるから嫌だっていっただろ」
茂みをまさぐる腕を掴むと、エドワードは悪戯されないように引き剥がしてしまう。
「逆上せるのが嫌なんじゃなくて、感じすぎるのが嫌なんじゃないのかい?」
掴まれた手の静止なぞ気にせずに、ロイは後ろでに回した指で、白くしなやかな背を撫で上げる。
「あっ・・・んン・・」
鼻から抜けるような甘い声が浴室に落とされると、声は消えずに室内で留まって耳朶を刺激する。

ロイは明かりの下で色づく美しい肢体を、じっと眺める。
疵一つ無い、美しい肌を持つ造詣だ。

―― 彼女は私には言わなかったが・・・。ずっと自分の体に刻まれた傷跡を
   悲しんでいた。勲章だと笑っていたが、そこに宿るのは諦めにも似た哀しみだ。
   女性としては辛い疵の痕は、ロイにとっては彼女の魂の強さの証拠だと思っていたが、
   辛いことには変わりは無かっただろう。

   だから、呼び戻す時に少しだけ手を加えたのだ。
   彼女のささやかな。女性としての当たり前の願いを叶えれるようにと。

今の彼女には気にするような傷跡など1つとしてない。
それに、そんなささやかな願いを隠し持っていた彼女もいなくなった。
いや、――― 生まれ変わったのだ。ロイの為に・・・。

優しい愛撫に身を震わせるエドワードを見つめながら、ロイは愛しい思いと共に
二人の快楽の波にと潜り込んでいく。

ロイを受け止める彼女は、広いどこまでも青い海のようだ。
ロイはどこまでも、いつまでもその海を泳ぐ探求者だ。
彼女という海に恋焦がれる・・・・・、永遠の。








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