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ユーロ圏のソブリン問題がどえらいことになっている。ギリシャだけならまだしも、イタリアやスペインの国債利回りが6%とか7%に達し、フランス国債にも格下げのうわさが出て、経済はもうしっちゃかめっちゃかになっているらしい。 円高が進み1ユーロ=100円を切ってもおかしくない勢いで、安くワインが買えてラッキー(笑)インポーターは各社とも相場をにらみながら仕事をしないと機会損失が大きいから大変だと思う。 で、これだけユーロが安くなってきて思うのが、稀少なワインが今さらのようにぽろぽろ出てきているということ。個人的にも、先日非常に稀少なブルゴーニュの某銘柄(2005年ヴィンテージ)を買うことができた。セット販売で、売れそうもない1級の抱き合わせワインがごっそり入っていた。高いお金を払ったが、それに値するワインだと思う。売り出し当時、2日徹夜して入手した方もこの目でみているので、それを思えば妥当じゃないかと。 売り場の方にきいてみた。「このワインは新たに入荷したものですか、それとも店内に保管していたものですか」。答えは「店内に保管していた正規輸入のワイン」だった。やっぱりショップはこういう銘柄を隠しているんだなと確信した。 ここからはまったくの素人の推測でしかないが、たぶんこういうことだろう。 「震災や円高で景況感が悪化し、売上高が前年を割り込んでいる。その上ユーロ安で、これまでに仕入れた在庫は割高で売れなくなる。では、このとっておきの某銘柄に、売れていないあれもこれもセットにして売ってしまおう、多少プレミアを乗せても今ならさくっと売れるに違いない。」 で、策略にのせられた私がさくっと買い、この年末は(も?)首が回らなくなってしまった。しかし、セットでついてきたワインは、今となっては少し高く感じるとはいえ、ブルゴーニュの著名な作り手によるいいワインなので、インチキくさいネットショップの新年福袋に比べればずいぶんとマシである。 私は海外ショップから買うことはあまり多くないが、ブルゴーニュの店から定期的に送ってもらっているリストをながめていると、当時さっさと売り切れたはずの2005年のワインが、やはりぽろぽろと出てきている。 稀少な銘柄は今もプレミア価格で販売されているが、円高のため以前よりは安く感じる。2005年が新酒だった時期はユーロが160円台ぐらいで、このころブローカー経由で仕入れた日本国内のショップがつけた販売価格に比べれば明らかに安い。欧州の不況感は日本をはるかに上回るので、昔買い損ねたワインを買うチャンスが到来しているようだ。 巷では新酒2009年ヴィンテージの奪い合いが起きているが、個人的にはやる気がない。某渋谷百貨店のルーミエ発売時の並びぐらいは毎年の恒例行事なので参加するかもしれないけども、って前にも書いた気がするがまあいいや。 もう1つ。こういう動きを知ってか知らずか、客をだますような値付けをする国内ショップが後を絶たないと感じている。 先日、ある楽天非加盟のネットショップから、誰もが欲しがる作り手の村名ワインが入荷したというメールが届いた。のぞきにいくと、在庫は残っていたが価格が1本で2万円近い。これは東急が売ると1万円前後のワインであり、値付けは各ショップの自由とはいえ、ずいぶん足元をみようとしているなと感じた。最近、ブルゴーニュの某店からきた値段表をみると、このワインは課税前で60ユーロ台だった。いま、1ユーロって200円以上するんだっけ? 別のある楽天加盟店ではこのほど、ある稀少な白ワインのバックヴィンテージが10万円台後半で売り出された。稀少とはいえ、そのブルゴーニュの店のリストでは、800ユーロ台である。 ちなみにこの白ワイン。丸の内のエノテカ(急に実名。他意なし)に併設されている飲食店を利用した際、売約済みのボトルがエノテカの店内に隠されているのを偶然発見したことがある。エノテカで買ったワインを飲食店に一定料金で持ち込むことができるという仕組みを採用しているようで、飲食店で酔った私がトイレに寄った際、ひとけのないワインショップ内で下の方の棚を物色していて発見してしまった。 昔、あるワインショップの主人にいわれたことがある。あなたは有名な銘柄ばかり買おうとしているがショップのおススメをきいて買うといい買い物ができるよ。 あるいは、こう。良年のワインを買いたければ、毎年買って顔つなぎするべきだ。良年だけ欲しいなんて虫が良いし、お店の方も毎年買い続けている客をむげには扱わない。 で、今年。2009年はちょっとした争奪戦になっている。ある店には「今年は××の入荷が少なくてまわせないかも」。別の店は、はるかに高いプレミア価格で発売する。 何年も貧乏ワインマニアをやってきて思う。やっぱり、ショップは金もちを優遇する。貧乏人は何をしても無駄だ。一度に6ケタ円をワインに支払える人でないと、本当の意味でいいワインをまわしてはくれない。だから、金持ちの自覚がない人は余計なお金を払ってはいけない。 先日、お取引先の方と飲んだ際、マンガ「神の雫」の話題になった。私はあのマンガがいかに嫌いかということをとうとうと説明し、先方がどう思われたかわからないが、その時に「マンガに出ているワインを買おうと思っても、ネットなんかではみんな売り切れなんですよ」という話をきいた。責任者出てこい。 作り手が有名じゃなかったり、有名な作り手でもトップキュヴェ以外の人気薄のものであっても、味も状態もいいワインを割安に売る店の方が、長くワインを飲み続けるためにお付き合いしていくべき、いいお店なのではないか。そんな思いが最近強くなった。特別に稀少なワインは、渋谷の百貨店で並んで買えなければ、なじみのネットショップで買えなければ、もう探さなくていいと思えるようになった。自分のワイン趣味は、ひとつのヤマを超えたようだ。
2011.11.26
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NHKの今日の正午のニュースをみていたら、ボジョレー・ヌーヴォーが羽田空港に到着というニュースが流れていた。デュブッフのラベルが輝き、インポーターさんの女性が「今年は◎◎」と毎年聞いたような内容のセールストークをし、ふーんと眺めていた。 と思っていたら、なんと日あたりの良い場所にテーブルを出し、そこの上にヌーヴォーのボトル数本を置いて写真をとっているマスコミのバカ(あえて言う)がいるじゃないか!!!。 写真じゃなくてテレビカメラかもしれないが。 あのー、それ売り物だよね?違うの? 税関職員がカメラの前でワインを抜き出すのは税関の仕事だから仕方ないとしても、メディアがそんな風に扱うのを黙ってみているそこのインポーターさんさ。だめでしょ。毎年恒例とはいえ、あなた方が呼んだ人たちでしょ。それとも、あのワインはそのままどっかにお蔵入りするの? 大量に作っているデュブッフとはいえ、コンビニでも売るとはいえ、生産者にも消費者にも失礼じゃないのかな。NHKも、他社がしていることとはいえ、ああいうのは流さない方がいいと思いますよ。うん。 追記…と書いてからよくよく思い返してみたが、過去に読んだワイン産地のガイドブックなどでも、日当たりの良い場所にボトルを置いて写真をとっているのを見たことがあるような気がする。今の気温なら熱劣化はないだろうけど、直射日光もよくないと思うがなあ。生産者でも気にしない人がいるのかな。 仮にだ。ジョルジュ・ルーミエを紹介するメディアがいたとして、サンプルをだしてくれといってミュジニやらアムルーズやらをわざわざ引っ張り出させて、シャンボール村の柔らかい日差しが注ぐ屋外で15分も20分も撮影しているメディアがいるかもしれないと考えたら、いてもたってもいられないけどなあ。
2011.10.29
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最近、二年ぶりぐらいに職場がかわった。異動で手取りが増えるのか減るのかまだ不明だが、ワインのことなんか考えていられない状態になっている。異動時の特殊事情で、前の職場の残務処理と新しい職場の仕事を覚えることが重なって、余計なことを考えていられない。最近のワイン事情なんか、まるで分からない。 異動の直前に大きな買い物をしたのでワインに費やす予算はなく、ちょうど良いのかもしれないが、本当に余裕がなくなった。たまには、こういうのもいいかもしれない。年中行事であるルーミエの並びぐらいはするかもしれないが、どうにも力が入らないな。 年末向けの特殊な仕事が終われば、新しい職場の仕事も軌道にのるだろう。朝、出勤する時間が一時間以上も早まったが、仕事があるだけでも幸いで、文句をいう気にすらならない。 ちなみに新しい職場は九年ぶりに復帰したところで、ワインを本格的に飲み始めた場所でもある。最寄りにある、カリフォルニアワインで有名なワイン屋を店の外から覗いたが、仲良くしていただいた男性店員はいなくなってしまったようだ。時の流れを感じずにはいられない。 この店員さんが教えてくれたこと。新宿の小田急ハルクの閉店セール(いまの売り場ではなく、かつて一つ上の地下一階に充実したショップがあった。いったんハルクからはワイン売り場がなくなり小田急百貨店本店に移った)でブルゴーニュワインを狙うなら2000より1999であること、むかしただのワインファンの頃にアンリ・ジャイエを買うため湘南の某店によく通ったこと、最近はインターネットが普及したおかげで高いワインが売れるようになり三万円以上もするクインタレッリのアマローネもすぐに売れてしまうこと、など。 数年前にこの近くの職場にもどってきた時も、この店員さんは残っていて、最近フーリエがよく売れる、なんて話をしてくれていた。残念だな。 ここまで書いた内容だけで、どこの地域にあるどこのショップのことか分かる人はすごいと思う。暴露しないで欲しい。 きょうの夕方になり、やっとルーミエのモレの最後の一杯を飲んでいる。バキュバンもしていなかったので酸化しているが、もとの状態がよかったのだろう、これはこれで飲める味である。週末に自宅でほっとしているひと時、ワインって面白い飲み物だなあとかみしめている。
2011.10.22
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いつかモレ・サン・ドニを飲みたくなった時のために手元に置いておいたワインを開けた。モレ・サン・ドニというと、コート・ド・ニュイのなかでは比較的価格が安いワインというイメージがあり、買ってもすぐに飲んでしまう。本当はフレデリック・マニヤンとかルー・デュモンなど良質なネゴシアンの畑名すらない村名を普段用に飲みたいのだけれど、悲しいかな、ミーハーな買い方を続けてきたため、そういう普通のモレ・サン・ドニは持っていないのだ。仕方なく、むかし小田急のセールに並んでいた虎の子のこのワインを開けた。 で、結果ですが、やはり素晴らしいワインでありました。 色はとても黒い。少しグラスに多めに入れて、照明にかざして下からのぞくと、反対側がようやく見える。そのくらい濃い。 口に含むと、アルコールとともに、うまみが口の中を掻き分けていこうとする。さすがルーミエ。 2003年という日照量の多い特別なヴィンテージだからというのがあるかもしれないが、まだまだ果実味が強い。タンニンはアフターで強く感じるが、酸は案外おとなしい。むむ、これは飲み頃といっていいのでは。 この銘柄についてよくいわれることだが、モレっぽい土の香りはあまり感じず、ルーミエ様のワインという感じの方が強くする。ワインの状態に問題はなくて良かった。 もう、こんなヴィンテージはなかなか見つからなさそうだし、ルーミエの村名以下の銘柄はストックがそれなりにあるので買い足そうとは思わないものの、開けて良かったと思う。もちろん、少し枯れているぐらいのワインが好きな人はまだ開けない方がいいかも。 モレ・サン・ドニ クロ・ド・ラ・ブシエール [2003]Morey St Denis Clos dela Bussierre 750ml...価格:15,015円(税込、送料別) モレ・サン・ドニ クロ・ド・ラ・ブシェール 1級 [2003] ジョルジュ・ルーミエ価格:8,700円(税込、送料別) 昔はこんな値段でした。ルーミエ様は人気がうなぎ登りで、商材としては残念ながら第2のアンリ・ジャイエの道を突き進んでいる気がする。 まだレンタルセラーにストックがある1級以下のワインというのは、ヴォーヌ・ロマネやジュブレ・シャンベルタン、シャンボール・ミュジニとかが多い。モレ・サン・ドニのストックというと、ポンソやデュジャック、ルソーの特級は持っているものの、あとはこのルーミエ様のモノポールと、もう買い足せないトルショーぐらいしか残っていない。 ポンソやリニエの村名や一級はとうに飲んでしまったし、この間ラフェで購入したものも特級ばかり。セラーには南仏やイタリアの赤、シャブリのラヴノーなどもかなりの場所を占めていて、保管し続けられないのが悩みの種である。ブルゴーニュワインの価格が底上げされてしまった(ユーロ安でその印象は薄らぎつつあるものの)今、モレの村名を買い足すとすれば、先ほどあげた2つのネゴシアン以外だとポンソ、レミ・ジャニアールがいい。それから、未経験だが飲んでみたいモレはジャン&ジェラール・ラフェ。ジャンの隣家アルロー、案外実物に出会えないミシェル・グロ、オリヴィエ・ジュアンかな。ペロ・モノはいいのだけど、妙に価格が高いのが難点だ。 それから、最近飲んだその他のワインもひとこと感想を。イヴ・ボワイエ・マルトノ ブルゴーニュブラン2009 今飲んでとてもおいしい。酸は味を調えるために適度にある印象で、長持ちするかは分からない。どっかの長持ちしそうにないコンブ系の味のする自然派の作り手よりは持つでしょうが。ペリエールも買っちゃったんだよな、いつ飲むか悩ましい。 ムルソー[2009]イブ・ボワイエ=マルトノ【YDKG-td】価格:3,990円(税込、送料別)レジオナルが楽天にないので、次に安いのはムルソー畑名なしのもの。ダブル(デュブル) ファランギーナ メトード・クラッシコ シャンパーニュの代用品として小田急ハルクで買いました。泡ものはよく分かってないのでアレですが、ふつうに美味しかった。可もなく不可もなく。 DUBL ファランギーナ メトード・クラッシコ[2004](泡白)価格:2,980円(税込、送料別)
2011.10.10
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というか、今までが高すぎでしょ。そういう値段で買った消費者を裏切っているともいう。最初から、蔵出し価格に適正な利ざやを上乗せしたマイルドな値段で売ればいいのに。あほじゃね。あ、これはインポーターに対する批判であって、かわばたさんを悪くいうつもりはないです。むしろ、よくやった。かわばたえらい。僕は買いそびれたけど。【ジョセフ・ロティ】マジ・シャンベルタン[2007](赤) 追記 2011.10.8 結局、その後もいろいろなヴィンテージのいろいろな銘柄が売りにでたから、一本買いましたよ。2006年のマジシャンベルタン。送られてきたのは、前とは違うインポーターでした。在庫を減らすためではなくて、利ざやの乗せ方について全く違う考え方のインポーターがおろしていたんですね。買ってみないと分からないことってあるものですね。誤解していた点については訂正します。 もうあらかた売れてしまいましたが、一応貼っておきます。 ※希望小売価格より 59%の超大幅プライスダウン!【ジョセフ・ロティ】マジ・シャンベルタン[...価格:11,865円(税込、送料別)
2011.09.29
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ヤフーで広告のリンクが出ていたので見たのだが。http://www.france-ex.com/tour/detail/915/4980.htmlなんぞ。勝手にいけばいいじゃん。ていうか、何にこんなにカネ払うのさ。愛好家はしぼればカネがじゃぶじゃぶ出るとでも、思われているのかいな。すげーな。
2011.09.13
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書き始めてからしまったと思うくらい、長くてヒトに読ませるのもどうかというブログをあげてしまったあとは、ワインに関する身辺雑記でも書くに限る。 ルーデュモンの訪問記、早く終わらせたいなあ。独り言ですが。 昼から、もうすぐ三つになる息子(2008年産)を連れてお出掛け。彼が楽しく感じるであろう地下鉄にのって、いざ渋谷へ。降りて地下道で東急本店のほうに向かおうとすると、息子がなぜかひどく怒りだす。騒ぎ出すので、仕方なく従っていったら、あらぬ場所で地上に出た。こいつはただ、地下鉄通路にあるエレベーターに乗りたいだけなので、こういうことが起きる。 あらぬ場所とは、宮益坂下の交差点から、少し原宿によった場所。暑いさなかに変なところに出た。しばらく地上を歩いて109の方に向かうが、人大杉で心配になってきたので、もう一回地下に潜る。 東横店の並ぶ場所の近くを通って、109の下から、もう一度地上へ。くじら屋やヤマダ電機の前を通り、本店にむかう。暑いさなかを長く歩いた息子に疲労の色が見えはじめた。頑張れ、あともう少しだ。 目的地はワイン売り場ではなく、同じフロアで反対のはしにあるミカドコーヒーの売店。モカソフトを二人で分け合って食べる。お出掛けの目的地はここだったのである。しかし、私は付け合わせのプラムのほかは三口食べただけで、ソフトクリームはほとんど息子のお腹に入った。 さて。お出掛けの目的を正当化できたので、父の目当てであるワインショップへ。ところが、いざ店にはいるというところで息子が強烈に後ずさり。やめようよ~、といわんばかり。 どうも店の中が暗くて嫌みたい。 構わず息子を抱き上げて入った。すると、腕の中で暴れ、ウギャーと奇声を発する。あっという間に店の外へ。虎屋の羊羹の前あたりに逃げやがる。 仕方がないので、青いバスにのって渋谷駅に戻ることに。このバス、セルリアンに行かなくなったせいか、走行する道が大きく変わっていた。あの音楽まで。♪チャンチャチャン、チャンチャチャン、チャンチャンチャンという、たっかいワインを手に持って何度聴いたかわからないあの曲がもう聴けないとは。残念。 駅で降りた父は、リベンジとばかり東横店のワイン売り場へゴー。エスカレーターで降りていき、まっすぐ歩いて行く。しかし、手前の日本酒売り場あたりまでは快調に進んだのに、ワインの売り場の中へ入ろうとすると、また後ずさり。 ええい面倒くさい息子だ。とうちゃん、息子を抱えあげて構わず中へ。するとまた叫ぶ。ウギャー。 お前、先週きたときはベビーカーで静かにしてたじゃないか~。 しかしどういうわけか、店内に何カ所かある天井の監視カメラをみた瞬間だけ抵抗するのをやめ、面白がってみている。しめしめ、ジャイエジルのエシェゾーがまだ残っている、とか一瞬考えたが、だんだん息子は不機嫌に。結局、なにも買わないまま店を後にしたのだった。 お店の皆さんすみませんでした。また来ますけど。付記=書式のみ修正。iPadではうまく書き込めません。
2011.09.11
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ワインと全然関係なし。きょうの日経BPのメルマガでコラムニスト小田嶋隆氏が面白い視点を提示していた。私も原子力について本当の事を言うぞhttp://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20110908/222523/(引用) 長らく共有されてきた「戦後」というのんべんだらりとした時代に、はじめて「震災」という区分標識が穿たれたわけだ。で、震災を経た後の時代については、「震災後」という新しい名前が付くことになり、「もはや戦後ではない」という、本来ならとっくの昔に常識化していなければならなかった認識は、復興が果たされたことによってではなく、新たな国難に直面することによって、国民の間に共有されることとなったのである。 もうひとつの変化は、新聞各紙が自社の意見をはっきりと表明するようになったことだ。 無論、これまでにも、各社ごとに姿勢傾向の違いがなかったわけではない。が、日本の新聞社は、伝統的に、社としての見解を前面に押し出すことよりは、社会の公器として両論併記の無難な言論を掲載することを重視していた。 それが、震災を機に、どうやら変わってきている。たとえば原発の扱いや復興の方針について、新聞社は、かなり旗幟鮮明な態度を示すようになってきている。 コラムはここで読売新聞の社説の話になっていくが、僕はこの話を読み、震災後に東京新聞(=中日新聞)の個性がきわだっていることが頭に浮かんだ。 記者が署名入り記事でこんなことを書いている。(引用) 「子供が転んで泣いていても、まず推進派の子か、反対派の子かを確かめる。地域が破壊されている」 1999年、三重県の芦浜原発立地予定地で実施された住民意見聴取の場で、反対派の女性が涙ながらに訴えた。三十六年もの苦悩の歴史がもたらした住民対立の根深さに愕然とした。 (9月6日朝刊「原発は地域を破壊する」) 新聞はどれを見ても同じじゃないか、という批判は長くあった。記者クラブ制度により画一的になっているのは報道機関として自殺行為だと、評論家がいうのもある意味ごもっともである。 しかし、震災後は論調が従来にくらべてかなり多様にはじけ、投機的とも思えるぐらいポジションを偏らせた紙面が読めるようになった。戦後が終わったとの印象を強く持っている。 新聞はどれを読んでも同じ記事が並んでいるという印象があったのは、10をきいて1しか書かない現代の新聞の編集方針に理由があるような気がしてならなかった。 10きいた内容から1つのエッセンスだけを取り出せば、どれも似たり寄ったりになる。この、「10をきいて1しか書かない」方針は、戦前の新聞の「1をきいて10書く」スタンスへの反省によるものだと、僕は勝手に思い込んでいる。 戦争に駆り立てる記事をかき、読者を狂騒に駆り立てたのは民主主義の基盤である新聞そのものだ。狭い新聞の世界で、戦後は色のついていない記事が推奨されてきたわけだ。 蛇足ながら、1つの記事がやたら長い欧米の代表的な新聞は、どちらかといえば「1をきいて10書く」方だと思う。記者クラブを批判する人の批判というのは、基本的に日本も戦前の紙面に帰れといっているように僕には聞こえている。 そこへいくと、震災後の東京新聞は脱原発まっしぐらで、震災を機に良い意味で色がついた。無味乾燥な紙面が変わった。原発に反対したいと考えている読者に、きちんと情報や論説を提供している。 この芦浜。自分にとって一番印象的だったことは、時間に余裕がない中で南勢町から紀勢町にマイカーで移動する途中に通った道路やトンネルの幅がとても狭かったこと。長いトンネルなのに大半の部分は車1台分の幅しかなく、反対から来た車と交差する時は、ちょうど真ん中にある幅が膨らんでいる待避用の地点で交差してやりすごす。こんなところを日常的に通りたくはないと思った。原発を立地する地域には、地元がウンというまで、つまり発電所を作ることを良しとするまで、国や県はカネを落とさないんだな、と感じた。 早く原発を稼働しろといっている人には、福島の沿岸部の人々がどんな思いをしているか、ちゃんと社会面を読めといいたい。 だがしかし。小田嶋氏のコラムに出てくる読売新聞のスタンスも、僕は嫌いではない。既得権なんだから、日本はやすやす原子力技術を手放してはいけないという気持ちもある。 この2つの見方は矛盾するだろうか。僕は矛盾しないと思っている。 原発立地地域を今よりも絞りこみ、技術革新の場を提供してくれる理解ある地域を2つ3つ残し、リスクをはっきり明示し、その場に住み続ける人への見返りも、もっとはっきり大きくする。今よりサイトを絞り込んで、そのかわり遠慮なく原発を稼働できる態勢をつくるといいと思っている。僕の理想は縮原発の一バリエーションである。
2011.09.09
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ポンソのモレサンドニ1級クロデザルエット、久しぶりに飲んでます。手元にあるのは2000年だけ。他に開けやすいワインがないわけでもないが、とくにモレが飲みたい気分なので。美味いです。色はややレンガ色になりかけ、色そのものも薄いが、口にふくむとミズミズしい。とがった所がない。香りも味もレジオナルより複雑。じわじわくる。よく熟成している。これは飲みごろ。味の分析をしようとするのがバカバカしくなる(能力的にできませんが)。ゴーダチーズと一緒に快楽のひとときを過ごしている。ポンソって、いいですね。 モレ・サン・ドニ 1er cru キュヴェ・デ・ザルエット[2001](赤)ドメーヌ・ポンソ価格:6,980円(税込、送料別) モレサンドニ1級 キュヴェ・デ・ザルエット[2008] ポンソ価格:7,665円(税込、送料別)(追記)上記ワインの購入先はみちのく竹澤です。ずいぶん昔に買いました。 ←間違い。「ワインナビ」でした。2000年の在庫はないけど、01年なら結構あるようです。ポンソの場合はヴィンテージが違うと参考にならないかもしれません。ばくちみたいなものだとよくいいます。
2011.07.31
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行ってきました。なま徳丸編集長を初めて見ることができてよかった。いべさんのトークも楽屋オチ風ながら、場が和んでよかった。 開始時間を30分間違えて、13時ちょうどに到着。7人ぐらいしかいないので驚いた。ちなみに、前にブログに書いた津波絡みのお店のワイン会と同じ部屋だった。 徳丸さんはハンマープライスで、お笑い芸人がよく使う、あの赤いピコピコハンマーを使用。 手元の集計によると、本日の36種類の出品ワインの落札総額は163万円ちょうど。結構すごいことだね。 ピコピコプライスのトップ5は下記の通り。1 ジョルジュ・ルーミエ ミュジニー09 50万円2 ジョルジュ・ルーミエ CMアムルーズ09 16万円3 クロード・デュガ グリヨット09 11万円4 アルロー クロドラロシュ05(3L) 8万5000円5 フィリップ・パカレ シャルムシャンベルタン09、2本セット 5万8000円 値段が上がりすぎると、「もうここらへんでよか@西郷どん」、みたいな感じでうち止め、終了というのが多かった。世の中によくあるオークションとはだいぶ様相が違う。 うち止めになったのは、手元の記録によると「5」のパカレのほか、バイエ(ボンヌマール09含む3本セット、3万2000円)、ローラン・ルーミエ(クロヴジョなど3本セット2万5000円)、シャソルネ(ムルソー・ジュヌヴリエール09の2本セット2万9000円)。 ついでに安かった順、お買い得順も書いておきましょう。1 ドゥモジョ ポマールとボーヌ・クロサンデジレの2本セット 5500円(←これは安い!)2 サント・バルブ ヴィレ・クレッセ・レピネ09の3本セット 1万円 3 アンリ・ド・ヴィラモン CM1級レ・ボード07の3本セット 1万1000円(←うち止め)4(~7) いずれも1万2000円 ・ルイ・シュニュ サヴィニー1級レ・ラヴィエール09の3本セット ・ジェラール・セガンのジュヴレ1級クレピヨ09の2本セット ・シモン・ビーズのサヴィニー・レ・ボーヌ1級オー・ゲット07(1.5L) ・シュヴロのマランジュ1級レ・クロ・ルソー09の3本セット 当たり前だが、欲しいと思う参加者が多いほど値段が上がった印象がある。私も1つだけ参加し落札したけど(ワイン名は秘密)、値段はややつりあがった。しかも、数少ない生産者サイン記入漏れの1つだったもよう。 次のブルゴーニュ行きでの目標になったかも(笑) 終わってみて感じたのが、「ドゥモジョかビーズは手をあげるべきだったなあ」。ちなみに、参加前のお目当ては、落札したワインとビーズのマグナムの2種類だった。最後のアンリ・ド・ヴィラモンは、いつか買って飲んでみたいと思った。 最後に徳丸さんから、今回はオークション所要時間が読めなかったこともあり、出品は一部であると説明があった。あと2回やる予定だそうです。ビゾー、ルジェ、アルマン・ルソーなども登場予定で、2回目も東京で11月ごろ、3回目は関西で来年1月ごろとのこと。 まったり内輪な感じのオークションでした。原則サイン入りということもあって、これを売って商売にしようという人が少なかったのではないかな。 徳丸さん、編集部の皆さん、その他裏方のみなさん、仲田さん、びそうさん、いろはワインさん、そして参加者のみなさん、どうもお疲れ様でした。
2011.07.31
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昨年末のルー・デュモン訪問記をまだ完成させていない。まだ書いていないの中に、ワインの小売価格に関するやりとりがある。早く書かないといけないと思いながらも、筆が止まっている。 さて本題。最近もらったあるワインショップのメールに違和感を覚えたので、書き残しておきたい。メールは概略、こんな感じ。「近頃ワインの価格って何だろうと考える。 インポーターやドメーヌに迷惑の掛からない適正な価格にしているが、あまりにも乱売が多い気がする。 生産者やブローカー、インポーター、小売店、消費者にバランスの良い利益配分がされる事が一番良いのに」「ワインは工業製品ではない。 一生懸命泥だらけになってワインを造っている生産者を守り、盛り上げないと。 安売りの対象になってダメになる生産者をたくさん知っている。 インポーターはドメーヌを育てる役割のキーパーソンであり重要だ。 結論からいえばワインの愛情の少ないインポーターは安売りの商品が多い(中略) ワインは裏張りを見て買いましょう」 ひどいなあ(笑)。 受け取っている読者はほとんどネタだと思って笑って読んでいるだろうし、自分もそうだけど、そのまま信じる人が1人でもいたらまずい。 「あまりにも乱売が多い気がする」 ↑これはその通りかもしれない。ブルゴーニュを含め、ワインは一部の作り手をのぞいて輸入過多であり、小売り関係者がその消化に苦労していることは近くで見ていて実感できる。 ラヴノーは単価が数千円と安いから愛好家が出入りしている店ならすぐに蒸発するけど、DRCではロマネ・サンヴィヴァン、ジョルジュ・ルーミエではモレの1級モノポールが最後まで残る。いつかは売り切れるけど。いわんやその他の作り手をや。 だから、乱売は起きる。けれど、それは「ワインの状態さえ良ければ」という条件付きだが、消費者には悪いことじゃない。 売れ残った高いワインは在庫になる。ショップかインポーターかは別にして。決算期が来れば安売りする。消費者がその価格で納得して買えば、それがそのワインの本当の価格である。株式市場などでいう「出会い」である。 商品をいくらで売るかは小売店の勝手だが、消費者もばかじゃないから、安心して買える複数の店で、同じ商品が違う値段で売られていたら、安い方で買う。その結果、時間がたつと安いワインは売り切れ、高い値付けをしたものが残る。 ロングテールで売れ続けるならそのワインの価格は上がるし、少しも売れなければ価格は下がり、値崩れする。 大前提として、日本でワイン1本に何千円、何万円と支払う消費者がそれほど多くないということがある。ワイン屋さんは、高いワインをがばがば飲む勤労者を増やしたいだろうが、そんなに無茶には飲まない。財布の限界がない人にも、肝臓の限界はある。 インポーターは参入障壁が低いのか、個人的にはやたら増えているという印象があるが、いらない商材だけ持ってくる業者は淘汰されるだけですよ。 いずれにしても、消費者向け商品で市場原理が働くことに文句をいうのは理解できない。どこでビジネスやってる人なのですか。 「生産者やブローカー、インポーター、小売店、消費者にバランスの良い利益配分がされる事が一番良い」 ↑一般論ならその通り。しかし、残念ながら生産者にたくさん配分されることはない。生産者が新酒を出荷する時の価格は、大量購入者への割引はあるにしても、基本は同じである。 消費者にとっての理想は、生産者から小売店まで良い状態で運ばれ、なおかつ安いことである。高く感じるワインは、正規輸入と異なりブローカーやショップなど余計な1拍(2拍以上かも)を通していることが多い。インポーターが良い状態で運んだから高いとは限らない。 生産者に支払う比率を高めたいと思ったら、正規の適正価格付近で買うか、現地で直接買うのがベター。「ワインは工業製品ではない」 ↑これはウソです。「酒類製造業」者が作る製品です。この決まり文句を使う時は、中身が不味いときの言い訳か、大したことないものを高く売るための修辞か、どちらかである。 ワインが、飲んだ時に様々な味わいを感じられる魅惑的な酒であることは確かだが、それが工業製品ではない根拠にはならない。 「ワインは農産物ですか」と聞かれたら、「違います。農産物を原料に加工した工業製品」と応じるべきである。一般に工業製品という単語に否定的な印象をのせて語る方が多いですが、秘密結社的ですな。(参考)こうぎょう【工業】(1)手細工をする職人。大工など。(2)(industry)原料や粗製品を加工して有用なものとする産業(広辞苑第5版)「安売りの対象になってダメになる生産者をたくさん知っている」 ↑本当だろうか。 たとえば、ここの店がよくとりあげるインポーターが以前、オーレリアン・ヴェルデという作り手を紹介していたと記憶している。ある時、あちこちの店で一斉に安売りされた。 各ショップからの情報によると、何でもステンレスタンクにかえたら表情がなくなったとか紹介されていた。ワインの表情がなくなるとは一体どういう意味か。言い繕うことは簡単だが、私は信用していない。 あれは世界中のワイン愛好家の共通認識なのか。日本の輸入会社が取引をやめたから、安売りされたに過ぎないのではないか。 安売りされるのはダメだからである。ダメというのは、ワイン作りが下手という意味もあるし、そうではなく、中身は美味しいのに効果的なマーケティングができなかったという意味の場合もありうる。 インポーターも民間企業であり、キャッシュフローが苦しければ倒産する。安売りで当面の苦境をしのぐことは誰にも後ろ指をさされることではない。「ワインの愛情の少ないインポーターは安売りの商品が多い」なんて、ひどい言いぐさだ。「ワインは裏張りを見て買いましょう」 ↑とくに違和感。高いワインこそ店で試飲に供し(有料、無料を問わず)、消費者がうまいと思ったら買うというのが、商売のあるべき姿ではないでしょうか。たしか、あの江口寿史さんもそういうマンガを書いていたと記憶している(本屋の話だけど)。 ここのお店も、実店舗では試飲させていたと記憶していたが。そうであるならなおさら、裏ラベルでなく、中身を試して買いましょうといって欲しかった。そうそう出せないワインもあるのは分かるけど、東急みたいに実際に出している店もあるわけだし。 だいたい、ブルゴーニュの現地で買って飲むワインに裏張りはない。 高級ワインの価格って何だろうと思うことは、もちろん私にもあるのであって。例えばグロフィエの2009年。複数の輸入業者がいるので…小田急オンライン(内税)09 ブルゴーニュ・パストゥグラン 2520円09 ブルゴーニュ・ルージュ 3390円09 ジュヴレ・シャンベルタン 6615円09 シャンボール・ミュジニー・レ・ゾー・ドワ 1万1550円09 シャンボール・ミュジニー・レ・センティエ 1万2600円09 シャンボール・ミュジニー・レ・ザムルーズ 2万3100円09 ボンヌ・マール 2万1000円09 シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ 2万7300円A酒店(メルマガで公開、外税内税でした)● 09 Bourgogne Passetoutgrain -----------------\ 2,025● 09 Bourgogne Pinot Noir ---------------------\ 3,375● 09 Gevrey Chambertin ------------------------\ 6,000● 09 Chambolle Musigny 1er Cru Les Haut Doix --\ 9,750● 09 Chambolle Musigny 1er Cru Les Sentiers --\ 10,500● 09 Chambolle Musigny 1er Cru Les Amoureuses \ 17,250● 09 Bonnes Mares ----------------------------\ 18,750● 09 Chambertin Clos de Beze -----------------\ 18,750 こんなことが起きる。人気の高いクロ・ド・ベーズなど、1万円近く違う。 小田急とAとはインポーターが違う。為替予約の時期が違えば、価格にも違いが出るだろうが、どちらかのインポーターが良心的だから高いとか、そういうことはあまり関係ないのではないかと思う。(了)
2011.07.26
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ウメムラはないのかな、と後で探してみたら…。探し方が悪いのか。仏語の読み方なら「ソンティエ」じゃない?とか思わないでもないが、恥をかきそうなのでやめます。ドメーヌ・ロベール・グロフィエ シャンボール・ミュジニー・1er・レ・サンティエ [2009]750ml
2011.06.26
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先日、とあるワイン会に参加した。 写真を見てもらえば分かると思うが、普通のワイン会ではない。 欧州で海に沈んでいた船から出てきた古いワインをありがたがって飲む話は何度かきいた記憶があるが、東日本大震災の津波被害のワインというのもそれに劣らぬ物語性がある。 東北地方のとある缶詰メーカーが、定価330円の被災した缶を洗い、400円で売って人気を呼んでいる話が新聞各紙に出ていた。上乗せ分を復興資金に充てるというから、悪い話ではない。 でもそれだったら、ここのワイン店主は埋もれたワインを、普段売っていた価格から値引きして売ってるわけで、美談として取り上げるのに十分だと思う。しかし、ワインが金持ちのぜいたく品であるといったイメージの悪さのせいか、世間的には無視に近い扱いを受けている。変な話である。店主には頑張ってほしいし、私自身もバイイングパワーがひ弱な消費者としてではあるが、可能な限りワインを購入して支援してあげたいと心から思う。 蛇足だが、しばらく前の読売新聞夕刊に、ジャイエの空き瓶2本(RとVRCP)を手に持つ某ネット企業代表の写真が掲載されていた。俺は金を持っているということの存在証明としてワインを使うことはワインのイメージ悪化にしかつながらないので、編集者はああいう記事を書くべきではないと強く感じた。 さて。このワイン会では、趣旨に賛同したインポーターが会場に出店を出し、盛り上げ役を担った。いろいろ試飲した中で、ラックが提供したロベール・グロフィエのCM1級センティエ2009は出色だった。隣にあったデュガ・ピイよりも好印象。見直したなあ。ロベール・グロフィエシャンボル・ミュジニー・1erCruレ・センティエ[2009]価格:11,487円(税込、送料別)シャンボール・ミュジニー・1erCru・センティエ[2009]ロベール・グロフィエ価格:12,600円(税込、送料別) そのほか印象に残ったワインとしては、被災店主が出していたレミ・ジャニアールのモレサンドニVVマグナム07(年はうろ覚え)。モトックスが出していたヴィエ・ディ・ロマンスのピエーレ・ソーヴィニオン、ブルーノ・ジャコーザのバルバレスコ。AMZのルモワスネのACブルゴーニュ2000もしっかりした味で良かった。 期待はずれのワインもあったけど、バチあたりなので書きません。参加していた他のインポーターの皆さんも、みなさんいい方です、本当に。6月26日夜 アフィリ追加
2011.06.25
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あーっ。仕事がお・わ・ら・な・い。こんなにのろい人間だとは自覚がなかった。仕事が全部終わったら、ラヴノー飲みたいな。
2011.05.25
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ヴォーヌ・ロマネやシャンボール・ミュジニーのネゴシアン価格が上昇した理由とは何だろうか。 「これらはもともと人気がある。数量が少ないのと、人気ということで。今までネゴシアンに売っていた人たちが、自分たちで瓶詰めをするようになったんですね。今の時代。それで流通するワインがどんどん少なくなり、ネゴシアンが価格を高騰させて、高騰したことによりネゴシアンが高値で売ると、それをみた生産者もどんどん値上げをしていく」 自分たちで瓶詰めしているところとは。 「たとえばジャック・カシューのいとこのルネ・カシュー。今までほとんど売っていたのを、自分でかなり詰めるようになった。あとロベール・シルギュ。今まで一番、他社に販売していたが、徐々に少なくしていった」。 ちなみに、ルー・デュモンの2003年のヴォーヌ・ロマネを、某料理店で開かれたワイン会の最後に飲んだ経験がある。大変好評だったので、どこで購入したものか尋ねた。仲田さんによると、その年は複数の買い付け先があり、その1つについては名前を教えてくれた。 私はその名前に聞き覚えがあったので、「ああ、そこはヴォーヌ・ロマネ1級を作っていませんか」と質問した。しかし、仲田さんによると「別です。同じ名字の人は実はたくさんいるんです」とのことだった。 この生産者は今は引退して何も作っていないが、日本でもブルゴーニュ愛好家ならよく知られている某生産者X(あえて伏せ字)が10年間契約し、今は彼が作っているという。 一方、ネゴシアンの中には、ヴォーヌ・ロマネやシャンボール・ミュジニーなどのAOCを新たにラインナップに加える生産者がいる。こうした生産者の参入も、ワインの価格上昇に寄与しているというのが実態のようだ。人気AOCの価格上昇には、供給面にも需要面にも原因がある。 ちなみに、ここで伏せ字にした生産者Xだが、別のやりとりの中でも名前があがった。(3)でとりあげた「自分たちより高い価格で買い付ける競合するネゴシアン」の存在である。 「最近のYとか、Xとか、どんどん値段をつり上げる。彼らには彼らのお客さんがいる。それが個人的にはちょっと。Zなんかもそうなんですが」。 私「どういう顧客がいるんですか。個人客ですか」。 仲田さん「米国のインポーターとか、彼らの価格についていける独自の顧客です」。 ちなみにXは、先代から息子に交代してまだ間もない生産者である。Yは、コート・ド・ニュイの某有名生産者の畑を引き継いだ。Zは、XやYよりさらに有名な自然派の作り手である。 仲田さん「Yには、あるお金持ちがついている。その人が土地を買い、半分をYにわたし、半分を彼の名前で販売している。そういうバックがあるので、すごい力強い」。 私「ということはですよ。スポンサーがついていれば、あとはマーケットはこれから作ればいい、となるんじゃないですか。先行的に」。 仲田さん「そうなんです。当然、本人のワインというのも人気だと思う。 自分たち(ルー・デュモン)のワインは、マーケットにより好まれない市場とかあるんです。最近、2000年になって名前が有名になった生産者の共通点というのが、濃くて甘くて飲みやすい。早くて飲みやすいワインというのが有名になった生産者の特徴」。 私「思いつくのはYとか、(中東系の)某とか」。 仲田さん「はい。基本的に濃くて甘い、それでいて全体的にボリュームがある生産者。 うちは逆に、逆行するように、できるだけ薄く、それでいてエレガントで心地よい酸味がある(ワインを作る)。酸味が一番だと思っている。ただ、飲み慣れない人には酸っぱいといわれちゃうんですね」。 新しい物好きのブルゴーニュファンなら、誰でもニュー・カマーの生産者に飛びついた経験があると思う。中には「これ、このAOCにしては高いんじゃない?ルソーとかもっと安いじゃん」と思う場合もあるのではないだろうか。 2000年以降にもてはやされるようになった生産者の顔ぶれは、こういう背景のもと、高い価格でワインを売っていると推測される。(もちろん、例外はあるとは思う)。エレガンスを追求するルー・デュモンの姿勢こそむしろ特異であり、有力生産者であればどこもエレガンスを追求するようになったとするリアルワインガイドの解説は、実はブルゴーニュワインの世界にあるいくつかの潮流の1つしか示していないのではないか。 仲田さんにお話を聞く限り、ブルゴーニュでは今も「抽出多めで濃いワインを作る生産者」対「エレガンスを追求する玄人向け生産者」に二分されている。ギイ・アッカドの影響力はいまやゼロかもしれないが、濃いワインを求める顧客に応える動きは、別の形で浮上しているようだ。日本語のワイン評論の世界から排除された生産者の中に、今のブルゴーニュワインのメインストリームを作りだす動きが出てくる可能性があるのではないかと感じたやりとりだった。(続く) (注)XとかYとか名前を隠してすみません。会話はすべて実名ですが、仲田さん含む関係各位の利益を守るには、匿名にせざるを得ません。中東系の某も含め、どこも新進気鋭の優れた作り手として日本に紹介されているが、ここに一本の共通のトレンドが隠れているとは想像すらしていなかった。少なくともメルマガなどでは、これらの作り手をひとくくりにする紹介は読んだことがない。 蛇足ですが、伏せ字にした作り手の中にニコラ・ポテルはありません。オフで直接お会いしている方には、このやりとりの全文をお見せすることも考えています。 =禁無断転載=
2011.05.08
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今回も以前書き忘れた内容から。この日は残雪のある日で、香りがたちにくかった。「今日は大きめのグラスを用意しました」と仲田さん。カーヴでは、普通レストランで出てくるようなブルゴーニュグラスを貸していただいた。私のような者にでも、これほどまでお気遣いいただくとは本当に恐縮である。ここでブログをだらだら書くことが、かえって恩を仇で返すことになっていなければいいのだが。 「ワインは面白いもので、日によって味が違う。今日は晴れていますが。雨の日だと濁ったようなというか、なにかもったりしたかんじでピュアな味がしない。体調と温度は一番重要です。 ブルゴーニュってどうしても香りが命みたいなところがあるじゃないですか。温度が低いと香りが立たず、半減してしまう。それから渋みも出てくる。暖めるとぱっと味が変わると思いますね」。 無名の栽培家のぶどうやジュースを使うことは前に書いた。一次発酵の終わったワインを使うこともあり、最終的には品質を考えて瓶詰めをあきらめる場合もあるそうだ。瓶詰めできないと判断したら、これを大手のネゴシアンに転売するという。その理由がまた、興味深いものだった。 「大手のネゴシアンさんて、ブルゴーニュだけでも1000樽以上を作っている。もし3樽がだめだということになると、彼らには1%未満の割合になる。大きなロットに混ぜるだけなので。3樽がとても酸っぱいワインだとしたら、1000樽の3樽なので、彼らにとっては混ぜても品質が変わるということはない。 しかし、うちの場合は10樽のうち3樽で、味がぐっと変わる。そういうのは転売する。値段をちょっと下げると大手の人はボリュームが必要なので買ってくれる。 結構、いろんなアペラシオンが毎年なくなっていたりします。2007年のサヴィニー・レ・ボーヌがなかったり、あと価格的な問題もあるがヴォーヌロマネが結構なくなる」 ルー・デュモンのような小さなネゴシアンは、やはりブティック的生産者という名称がふさわしい。ここで転売する大手ネゴシアンについては固有名詞を尋ねなかったが、どんな所かは簡単に想像がつく。 日本に輸入されていないレジオナルの「ブルゴーニュ」ワインは、フランスならスーパーなどでも販売されている。 90年代初めに私がパリにしばらく滞在したとき、小さなスーパーによく通った。同じラベルのデザインの「ブルゴーニュ」と「ボルドー」と「コート・ュ・ローヌ」があり、毎日飲んでローヌが一番美味しいと感じた。ま、そういう中に入っているんでしょう。想像だけど。 さて、ヴォーヌ・ロマネが「価格的な問題」で結構なくなるとはどういうことだろうか。 「ヴォーヌ・ロマネとシャンボール・ミュジニは、ネゴス価格がとても高い。価格も高いし人気も高い。みなさん欲しがるアイテムなんです。 ヴォーヌ・ロマネは売りやすいし、うちのように小さなネゴシアンでもヴォーヌ・ロマネがあるとリストが充実するので、やっぱり欲しいアイテムでもある。あるんですけれど、そのせいで価格の高騰が本当にすごい。急激に上がった。とくに2002年ぐらいからポンポンと。07、08年はオフヴィンテージなのに異常な価格がついている」。 一体、背景には何があるのだろうか。(続く)=禁無断転載=
2011.05.08
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まず、前回のエントリーで書き忘れたことから。2009年のレザムルーズはカーヴにはなく、試飲もできなかった。 「実はいろいろあってレザムルーズだけ買えなかった。あまりにもいい年だからと、値段がとてつもなく上がった」。 「自分たちは高くして売るというよりも、幅広く飲んでいただきたい。価格をお手頃な価格にしている。買う金額というのが決まってまして、これ以上超えると採算がとれなくなってしまうので諦めざるを得ない部分がある」。 では、高くしてでも売るネゴシアンとは一体、どこのどんな生産者なのか?その背景は?これについては次回以降に。 このエントリーでは、レザムルーズつながりということで、ネゴシアンが出す有名畑のワインの出自について伺った部分を紹介したい。 「レザムルーズであると、売る人は決まっている。5、6人の中の1人。他のAOCも入手が困難なものはだいたい取り合いになってしまう。 自分たちが最初に、もうだめ、という(笑)。これ以上出せない、と」。 「シャンベルタン・クロドベーズって、ブシャールなどネゴシアンに出回っているものは、大半が【ピヨピヨピヨ】(あえて伏せ字。著名な作り手)です。ここがいうには13軒のネゴシアンに販売している。ほとんどのネゴシアンのクロドベーズが【ピヨピヨピヨ】です」。 この辺は、私がレア・セレクションの中で所有している稀少な某特級(クロ・ド・ベーズではない)は誰が作ったものか、という話をきく中で飛び出した。業者の方などはみな知っている話だろうが、自分にとっては非常に驚きだった。 で、じゃあそのレア・セレクションの特級ワインは、誰の作ったワインなのか。 実は、ユドロ・バイエのように、仲田さんと商売上つながりがありそうな蔵のバックヴィンテージだと思って尋ねた。しかし、これがまた違う。ブルゴーニュワインの世界は一筋縄ではない。 詳細を書くと、おそらく仲田さんの商売の邪魔になる可能性もあるので省くが、このひと言が示唆的であった。ヒントになると思う。 「フランス人て実は古酒ってあんまり好きじゃないんですね。皆さん好きなイメージがありますけどね。『これってもう、いっているよね』とフランス人がいうんです。個人的にはこれからが一番おいしい状態かなと思うんですが」。(続く)=禁無断転載=※本当は伏せ字にはしたくないのですが、誰に迷惑がかかるか分からないので伏せました。オフでお会いした方には、伏せ字部分も含めてインタビュー全文をお読みいただけるようにします。もし東急の並びとか(ほとんど参加しませんが)ワイン会で見かけたら気軽にお声がけください。
2011.05.06
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さっき某ワインショップのメルマガについているコラムで、例の焼き肉店の話を読み、ふと考えてしまった。「殺人ユッケ」というありがたくない称号をもらった焼き肉レストラン。あの社長、もっとふつうに記者対応できないのかね。1回目はあほみたいに攻撃的、2回目は芝居がかった低姿勢の末に土下座。選挙か。側近に恵まれていないんだろうな。彼が最も悪い、とは思えない気もするが。それはそれとして。自分自身では焼肉屋に1人ではまずいかないし、いってもユッケなんか頼まない。最近、焼肉屋にいったのはいつだろう。三重県松阪の近くに住んでいた頃は、よく焼き肉を食べにいった。同僚に焼き肉好きがいたためだ。自分も20代だったせいか美味しかった。たぶん、今でもおいしいだろうけど。「和田金」のような高級すきやきになると話は別で、今でもお金があれば行きたいと思う。お金もないし、松阪にもいく用事がないので、行ってない。数年前に日本橋近くの職場で働いていたときは、会社のうらに小さな焼肉屋があって、同僚が行きたいという日はよく行った。しかし、自分1人でいったことはほとんどなかった。ロンドンに赴任して帰ってきた知り合いは「ほとんど焼き肉屋がない」とぐちっていた。火気の取り扱い基準が厳しいためだからだと思う。日本や韓国、アジアならではの食文化なのかもしれない。しかし、そこまでして食べたいか、焼き肉。むかし試しにユッケを食べたことがある。美味しかったが、これじゃなきゃだめとは思えなかった。ああいう食感がいいなら、ネギトロやアジのたたきのほうが好みだ。牛丼屋なら今もよく行く。たいした肉ではないだろうけど、煮込んでいるから脂分がきっちり落ちているのがいい。味噌汁もついてくるし、サラダもいつでも頼める。500円あれば足りるし、気が向かない日はカレーも頼める。焼き鳥屋はよく会社の上司に連れていかれたが、すっかり嫌いになった。炭火を使っていても、なま焼けのものを食べてからダメになった。鶏そぼろ弁当はとても好きなので、個人的にレアがだめなんだろう。ちなみにワインのレアものなら大歓迎だ。先日書いたブルゴーニュの訪問記で出てくるレストランでは、肉の焼き加減を聞かれた。「ミディアム」と答えた。レアだとなあ。昔いったフィレンツェのトラットリアでは、ほとんど火がとおっていないレアステーキを食べるはめになった。うまいかまずいかと聞かれればうまい方、ぐらいの印象だった。ああいうのは一応食べる。でも、どっちかといえば、スパゲッティ・ポモドーロやピザのクアトロ・フォルマッジオの方がはるかに好物だ。結局、たいして肉が好きじゃないし、カルビだロースだ、ミノだモツだという選択肢も個人的にそれほど好みじゃないんだろう。ましてや生のユッケなんか食べるか、っていう話だ。焼肉の愛好家を敵に回すつもりはないが、「世の中には焼き肉が好きな人が結構多いね」と、ひとごとのように感じた今日この頃である。
2011.05.05
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ワインを本格的に飲み始めた○年前、このワインをよく探して、買って、飲みました。いまも欲しいけど、お金がつづかないのでしばらく様子見。最近こんなのばっか。スカッソ・ディ・チェザーリ [2001] テヌータ・ヴァルジャーノ
2011.05.05
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「12月の訪問記を3月になっても書いているとは想像していなかった」という書き出しで始めたルー・デュモン訪問記。この2回目を出すまでに2カ月もかかった。我ながらサボりすぎ。 ルー・デュモンでは、カーヴで話していた間だけで2時間近く経過した。 仲田さんによる2009年のヴィンテージ評価。 「2009年は、基本的にフルーティーの年なんです。硬い年ではなくて、逆にフルーティーで酸も少ない」 この日もブルゴーニュは気温が低く、仲田さんは「香りがたたなくてスミマセン」と話していた。しかし、前日午前のジャック・フレデリック・ミュニエに比べればしっかり香りがした。 仲田さんによると「香りを一番感じるのは、3月、4月がベスト」。 ルー・デュモンのうち、レア・セレクションやクルティエ・セレクションを除いた通常のラインナップについて説明をきいたところ、ほぼすべて100%無名の作り手のぶどうやジュースをもとに生産しているという。なぜか。 「有名な生産者でも、樽売りとかぶどうを一部売っている。伝統的なもので、すぐお金が入るので、有名な人でもワインを売っている。そういう方たちから、お願いすれば買える可能性もあるが、彼らのスタイルは決まっている。 無名の人というのは、自分たちのお願いをよく聞いてくれる。とくに若い世代のひとは自分たちと一緒に品質を向上していこうということを、すごく思われている方が多い。そういう人たちと取引を(したい)。」 よく、メールマガジンを出すワインショップの売り文句に「このワインは実は著名生産者××を樽買いしたもの」という類のものがあるが、仲田さんの話を聞く限り、ぶどうやジュースからワインを作るタイプの小さいネゴシアンにとって、こうした樽買いワインは魅力が薄いようだ。 ブルゴーニュワインの取引形態は時代とともに変遷している。ネゴシアンにとって、ビン買いか、ワインの樽買いか、ぶどうや発酵前のジュースを買うか、などで全然中身は変わってくる。 ルー・デュモンは、厳しくチェックしたぶどうやジュースを少量購入し、ブティック的に生産している。エレガンスを引き出すべく醸造した少量生産のワインが、比較的買いやすい値段でネットに並んでいることは我々にとって幸運なことだと思う。◇試飲したワイン(すべて赤)ブルゴーニュ すっきり美味しい。フィサン より要素が多い。モレサンドニ 複数の村名畑のブレンド。強いモレっぽさにして、個性的。試飲した村名クラスでは一押し。ジュブレ・シャンベルタン 素晴らしい村名ワイン。シャルム・シャンベルタン (素晴らしかったのは確か。記録を取り忘れ)コルトン 香りより味に特徴を感じる。これだけコート・ド・ボーヌだから当然といえば当然。ボンヌ・マール 新樽と旧樽、1樽ずつをブレンドする。年産600本。モレサンドニ側100%。力強い。ヴォーヌ・ロマネ 手違いで最後の試飲ワインに。ボンヌ・マールのような迫力はないが、きらきらしているかのような楽しい酸。 個人的な感想をいうと、モレ・サン・ドニ、ボンヌ・マールは買いたい。また、ここのトップキュヴェだと勝手に位置づけているシャルムも欲しい。いまは2008年が最新ヴィンテージで出回っており、2009年がショップに並ぶのは来年。(続く)=禁無断転載=
2011.05.04
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タイトルの年号だけで何を書こうとしているか分かった方は、きっと私が何をいいたいか、察しがつくと思う。 ブルゴーニュワインの古酒をたしなむ愛好家にとって、1986年は悪い意味で特別な年である。その年に降下したとされる放射性物質について、どう受け入れるべきか悩むからである。以下、引用。 実は私はヴィンテージ的に言うと1975年のヴィンテージ位からワインを買いだして1985年でいったんワインを買うのを止めています。それはチェルノブイリの事故が1986年の春にあって死の灰が欧州にも降った事と、長男が1985年に生まれたので50ケース位1985年のワインを買ったからです。 事故後ワインは飲み続けましたが、なんとなく欧州のワインは避けていました。(楽天ブログ「美味しいワインと出会う旅」2008/02/20「チェルノブイリとワイン」より。)http://plaza.rakuten.co.jp/romantei1925/diary/200802200002/ 今日、死の灰を被らないワインは高値である。富豪の多くは決して1986年のワインは口にしない。それが富豪の常識だ。ゆえに1985年は一目置かれる存在なのだ。(「ブルゴーニュ魂」WINE DRINKING REPORT カミュ 試飲日 2000年8月1日) http://www2.odn.ne.jp/~cdj80950/wine/wine09.html(引用おわり) 私淑する南さんや西方さんを例に出したが、批判めいたことを書くつもりはまったくない。当時は誰でも口にしていた内容だと思う。その例証として公開の情報から引用してみた次第である(南さんや西方さんからクレームがあれば直接引用した部分は削除します)。 フェアにいくため、説明を加えておく。 1986年のワインを避けようという話題は、遠い旧ソ連(ロシア)で事故が起き、フランスなどで生産されるワインだから、日本国内で気安くできたと思う。あまたあるワインうんちくの1つにすぎない。 一方、今回の福島第1原発の事故を受けて、たとえば「もう2011年産の日本のワインは飲めないよ」とブログで宣言することは、職のある社会人としては大変リスクを伴うことである。実際のところ、私自身はそういうエントリーを書こうとはまったく思わない。もっと判断材料が揃うのを待ってから、黙って自分で考え行動すればいいことだからである。 閑話休題。私は、なぜ愛好家が原発事故で放射性物質が降下した年のワインを忌避しているのか、科学的に妥当な根拠があるのか、やや疑問に感じている。正しいとも間違いとも断言できないが、かりに86年がだめなら、87年も88年もだめじゃないかと感じている。86年だけを避ける理由が、どうもいまひとつ分からない。これは当時、私が酒を飲めない年齢で、じっくり考えたことがなかったからだろう。また、大気中の放射性物質は、核実験をしていた第2次世界大戦後の冷戦時代の方が多かったんじゃないかとも思う。 詳しい方がいればぜひ教えてください。 話を戻す。忘れてはならないことは、「2011年の日本のワインは避けなければいけない」という話題が今後、海外の愛好家を中心に広がる可能性がある点である。東北も山梨も大した差はないだろう。さらに、「米国のワインも避けないといけない」「フランスのワインも例外ではない」という話に発展する可能性すら、ないとはいいきれない(微量とはいえ放射性物質は届いている)。 かりに何ら科学的に問題がないといわれようと、ワインは何千円もするぜいたく品だから、気がかりな点があれば消費者が忌避しようとするのは自然である。日本の農林水産省や厚生労働省、原子力安全・保安院などが「例年と何もかわらない」「健康にはただちに影響しない」といった説明を重ねたところで、日本や世界の消費者がなんとなく避けたいと考えてしまうのは仕方がない。 チェルノブイリの事故の時、こうした話題が広がり、実際ワインが売れなくなった(らしい)。愛好家のコンセンサスとして受け入れられてきた。しょせんうんちくであり、消費者に悪意があったとは思えない。 いま、そのコンセンサスのない愛好家に向け、注釈もなく1986年のワインが比較的お得感のある価格で販売されている。おかしなことだと思う。例示しようとしたが、営業妨害になりかねないのでやめる。 幸か不幸か、今は春である。国内の生産者には、今年はワインをつくらないという消極的な選択肢もあれば、降下した放射性物質の影響がワインにはないという科学的証明をとりにいくという積極的な選択肢も残されている。強い意志をもって、立ち向かってもらいたいと思う。 生産者には何の責任もないし、消費者にもむろんない。今回の震災にあっても女川や東海村の事業者が維持した原発神話をひとり守り切れず、瑕疵ある設計思想を見直さずにきた東京電力にこそ責任がある。 放射性物質の拡散、環境の汚染という外部不経済は多くの人に降りかかる厄災である。生産物が売れなくなる被害はワイン生産者だけでなく、穀類や野菜の生産者、畜産農家、漁業など、さまざまな一次産業の当事者に降りかかってくるからである。
2011.04.10
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備忘録的に。当日 職場がある東京・神田(広い意味で)のビルに戻り、エレベーターを降りて同僚と話しを始めたらめちゃくちゃに揺れた。エレベーターのハコは最後に僕が降りた状態で電源が切れた。一瞬、ドアが開いたらまだあった。すごく危なかった。安全なビルより2倍ぐらい揺れる古いビルなので、NZのクライストチャーチの惨劇みたいになるんじゃないかと焦った。戻ってきた他の同僚は「絶対ビルはぺしゃんこになっていると思ったよ」だって。 当日は早朝に起きて仕事をしようと構えていたが、前夜の疲れが残っていたので二度寝した。もし早朝起き出してひと仕事して、ぼーっと起きていた中で地震をくらったら、大揺れの避難階段を駆け下りようとしてビルの外側へダイブしていたかもしれない。二度寝して良かったと思う。 神田の職場まわりはヘルメットをかぶった人でごったがえし。近くのドトールに避難。ビルの1階は揺れない。車が海に流される映像をワンセグでみて声をあげる人多数。土曜日 東急東横店。誰も並んでいなかったらしい。本店にまわると、ご存じの方が少数うろうろ。話し込んで、リアルワインガイド最新号を購入。店の前のヴィロンでパン購入。神田の職場があるビルのエレベーターはまだ動いていなかった。 勝沼トンネルカーブ。もう絶対だめだと思っていたが、ラックが倒れるなどの被害はなかったらしい。箱に入れずにおいてあるワインは分からないが、ちゃんと整理して入れている分は大丈夫だろう。 大丈夫だと思っていた寺田倉庫が微妙な状況。個人情報を伝えたら、「何も記録がないので大丈夫だと思う」との返事。きくと、一部で破損があったりした模様。安心しきっている方は、休み明けの火曜日にでも問い合わせた方がいいかも。 福島第一原発で水蒸気爆発があり建屋の上部が崩壊。東京電力よ、原発慎重派に自信満々答えていたことができてないじゃないか。失態以外の何物でもない。日曜日 東電が輪番停電発表。ワインの保管を電力に頼る首都圏のワインショップはどうするつもりだろう。今はまだ、気温が低いから大丈夫だろうが。
2011.03.13
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ニンテンドー3DSを先月の発売日に買いました。お店でながめていたら、つい欲しくなり衝動買い。お金もないのに。PS2で遊んでいた頃にはまってた「ウイニングイレブン」も購入。サッカーゲームはメインスタンドの記者席からみた感じの視点でプレイしたいので、3Dはまったく意味なし。でも、中田ヒデが登場していた日韓W杯のころのゲームと比べると、ずいぶんモダンでかっこ良い内容になっていて嬉しかった。操作方法に慣れるために弱いチームとエキシビションマッチをやっていると、中国に0-3で負けている状況とかになる。初期設定での実力差ではなかなかありえない状況だ。で、3点目が入ったあと、実況のジョン・カビラが解説の北沢豪に「北沢さんは引退してから世界各地にボランティアにいったそうですが…」と、試合と関係のないことを話し出した。現実逃避っぽくて面白かった。 解説役が金田氏だった昔のウイニングイレブンは内容がどうしようもなく場違いなものが多く、こんなところもずいぶん進歩しているんだなと感心した。 何がいいって、ゲームに熱中すると、メルマガとか楽天のチェックとかしなくなり、ワインが欲しくなくなるのがいいね。
2011.03.04
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久しぶりのブログ更新です。 12月の訪問記を3月になっても書いているとは想像していなかった。 仕事が来週ぐらいで一段落しそうなので、またぽつぽつ更新していきます。 前回エントリーのレストランホテルに宿泊した翌日、訪れたネゴスEとはジュブレ・シャンベルタン村のルー・デュモンである。真っ暗な早朝の街中を、スーツケースとリュックサック、ワイン12本の入ったバッグや箱をかついで国鉄の駅に歩いて向かう。われながら、まるで行商のようである。 ジュブレ・シャンベルタン駅に停まる鈍行を選んで乗車する。来たのは新しい鉄道車両。ボンバルディア製(たぶん)。 電車が待っていた所から離れた位置に停車したので、あわてて荷物をかついでとび乗る。そこは自転車用の車両で、たてかけるための道具などがついていた。なかなか珍しいものを見た。乗車した電車自転車用車両。こういう車両をみると、東京の地下鉄などが「自転車は折りたたむか分解して乗車しろ」と要求していることが信じられない。「サイクリストは電車に乗るな」といっているようなものだ。私はもうかれこれ20年近く自転車には乗っていないので構わないのだが。ジュブレ・シャンベルタン駅 ジュブレ・シャンベルタン駅について待っていると、仲田さんがRV車で迎えにきてくださった。話をしていると、とても腰の低い姿勢でお話になる方であることが分かり、こちらが申し訳なくなるくらいだった。移動の車中では、ブルゴーニュがこの時期にこれだけ雪深くなるのは珍しいこととか、もうブルゴーニュではお休みに入った生産者が多く、来週には、残りの生産者もほとんど休みになるといった話を伺った。 また、ルー・デュモンではこの日、2008年ヴィンテージの瓶詰め作業を行っていた。前の日に雨が降ったので伸ばしたとのことだったが、そんな忙しいところでも対応していただいた仲田さんには感謝の気持ちでいっぱいだ。 ルー・デュモンの場所は、国道の交差点からジュブレ村に入って間もなくのところにあり、2003年に訪問したカミュ・ペール・エ・フィスの前だった。カミュさんのところは直売をしているが、こちらは時間がなく訪問できなかった。次回来ることがあれば、また来てみたい。中を案内してくれたお年の奥さんは、まだお元気だろうか。 テイスティングは地下のカーブ。2009年をバレルテイスティングさせてもらった。(現在もまだテープ起こし中。4分の1しか終わっていないorz) ずーっと雑談。私のくだらない質問にもきちんとお答えいただきました。
2011.03.04
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本業多忙につきネゴシアンEの記事をなかなかアップできない。ドメーヌ4カ所を訪問した日の夜のレストランの写真ならアップできるので、これでもご覧になってしばらくお待ちください。 レストラン名を挙げるのは不粋なのでしないが、見る人が見ればすぐに分かるはず。ご想像を。 ここに来ることは、今回の旅の大きな目的だった。 前に会った太ったソムリエ氏が、どんなワインを勧めてくれるか楽しみにしていたところ、今回はすらっとした別のソムリエ氏だった。 リストをみる。うう、1本飲む体力があれば、この比較的安いコシュ・デュリ1級にしたのに…と想像。 ドゥミ・ブテイユの中から選んだが、やっぱ選択肢が少ない。いろいろ考えて04のソゼがいいとお願いしたら「ドゥミ・ブテイユだと少し熟成が進んでいるので」とな。なんじゃそりゃ。 かわりに勧めていただいたのは、フォンテーヌ・ガニャールのシャサーニュ・モンラッシェ1級カイユレ2007。実に美味だった。 料理の写真がぶれているのはフラッシュをたかなかったため。隠し撮りみたいにしていたら、周囲にけげんな顔をされた。1人でこんな店に来ているんだから、他のお客が不審がるのも無理ないのだが。 この突き出し(?)のフランスパン、マヨネーズ、オリーブがとても美味しい。日中、ワインの試飲で疲れ切ったお腹にしみわたった。 アミューズ。完食。これ2人分だろう。 クレーム・ブリュレ、ウニ。 カニとオマールえび。心底うまいと思った。 ホタテ。 フォアグラ。美味いんだけど、やっぱり内臓だな。シェヴルイユ(鹿)。メインディッシュ。赤によく合う味。うまい。この頃はもうミネラル水一本やりだったけど。お腹いっぱいでチーズはパス。ああ、もったいない。アボン・デセール。幸せ。プチ・フール。これは部屋に持ち帰って翌日の朝ごはんになった。 クレープ・シュゼット。豪快です。うまい。アイスをやめてクレープ・シュゼットを選んだが、結局一緒にアイスが出てきた。おいしい。 食事の最後には「もう食べられん。くるちい」となっていたのに、配膳までに時間があくためか、デザートはしっかりたいらげた。部屋に帰ったらワインを飲む気力が戻ってきて、あら不思議。
2011.02.08
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今日、ラフィット・ロッチルド2008が売られている所を始めて見た。16万8000円。日経新聞でみたエノテカの関係者の二十万円には及ばないけど、やっぱり高くなった。プリムールでもっと買い増したかった。 そのエノテカだが、先日MBOで上場廃止というニュースが出ていた。上場したばかりなのに、何だろうなあ。まあ、経営者の勝手ですが。 MBOに加わったファンドは、ワインビジネスは儲かると考えているんだろう。今回のボルドーバブルを眺めていれば、さもありなんではある。消費する側にとっては、あまり朗報にはならないだろうなあ。 ちなみに、今回訪問したジャック・フレデリック・ミュニエ氏は、ほとんど中国にワインを輸出していないそうだ。中国のせいにして値段を吊り上げる方は、これからもたくさん出てくるでしょう。残念ですね。CHラフィット ロートシルト [2008] メドック第1級フランス ポイヤック 赤フルボディタイプ(重口) 追記 あ、ラフィットは中国の皆さんが価格を吊り上げたと思ってます。誤読されたかもしれないので、念のため。
2011.02.03
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試飲はひと通り終了したので、用意していた質問をした。=直販について=Q.ブルゴーニュの作り手は、直販についてどう思っているのか。プロしか訪問を受けない作り手や、大半を輸出にまわす作り手がいて、そういう人ほど海外で珍重されている。千砂さん(以下同じ)-うちは直販をします。ワインのストックがない作り手ではテイスティングのみというところもあるけど、こちらにはお客さんが買いに来ます。Q.昔のワイナートの記事で、たとえばコシュ・デュリやカミュ・ペール・エ・フィスの記事を読むと、直販を辞めた所は何かステージが上がったかのような印象を受ける。-毎年、(どこも)直販はしているんですよ。結構みなさん個人相手にやっています。だけど昔からのお客でも予約がいっぱいで、新しい人が参入できないということだと思います。Q.僕なんかはブルゴーニュの作り手から毎年、同じ量のワインを買いたい。ところが中には2005年は買う、09年は買う、という愛好家もいる。このため、毎年買いたいと思っても人気のあるミレジムだけ買えないということが起きる。日本の顧客が直接買うことはできないものか。-うちは直接日本に送っていますよ。航空便で。クロネコヤマトが入ってきているから。着払いにしてもられば。 (直販に)偏見があるわけじゃない。ただ、新しいところが参入する余地がない、というところが多いかな。Q.日本国内では人気のあるドメーヌのワインを堂々とオープンで売るところは多くない。最近のジョルジュ・ルーミエなど良い例。東急百貨店はオープンに販売しているが、そこで何が起きるかというと、買い占めたい方が人を雇う。先日など1人1本に購入本数を限定したら、渋谷本店に125人が並んだ。-ルーミエは買えないです。 うちはこっちに取っておいてありますから(笑)。01年から販売しています。 直販はどこもしている、ストックがなくなれば売れなくなるだけ、という説明は非常に興味深かった。需給のバランスが崩れれば稀少になり、売り手が自由に売れなくなる。それはそうだ。 細かくみていけば、そうとも言い切れないドメーヌもあるのかもしれない。日本の愛好家が「直接売ってくれ」とお願いしても売ってくれないドメーヌはあるかもしれない。そういう作り手のワインは、ワインショップから購入するよりほかにない。 だが、ブルゴーニュには、アクセスしてくる個人顧客に積極的に自分のワインを売る作り手がいることは事実だと思う。直販をするドメーヌのワインなら、本来なら日本でも、コストパフォーマンス良く購入できるはずである。ここのワインは、まさにそうした例だと思う。 シモン・ビーズが日本向けにワインを発送していることは、千砂さんと話しながら思い出した。インターネットサイト「ブルゴーニュ生活」では、過去に直接ワインを販売した企画が確かにあった。最近このサイトには訪問していなかったが、今でも個人客と直接のやりとりが続いているのだろう。 送料を考えれば割高になるかもしれないが、日本のインポーターが販売をしない銘柄も安定的に入手できる可能性がある。将来、シモン・ビーズの人気が急上昇したら買えなくなるワインも、定期的に買い続けられるかもしれない。活用するのもひとつの手だろう。 =ネゴシアン業について=Q.シモン・ビーズはドメーヌ物だけでなく、ネゴシアンものもかつて販売していた。今はどうしているか。-もうやってないです。Q.以前はモンラッシェとか、販売されていましたね。-シュヴァリエなら02、04、ガレンヌだと02から07までで終わりました。Q.辞めた理由は?-ネゴスマーケットって価格が変動するんです。お手上げで。Q.なぜ価格が上がったのか。-06年のヴィンテージの時に品薄になり、ぱんっと上がった。 以前、「モンラッシェが飲みたいと千砂さんがパトリックさんにお願いして、ネゴスものの白を始めた」という記事を読んだような記憶がある。モンラッシェやシュヴァリエ・モンラッシェ、ピュリニー1級ガレンヌで、日本国内にも少量が正規輸入されていた。もう入手できないと思うと少々残念な気がする。 なお、ワインの輸出先については米国、英国が多く、香港はとても少ないとのことだった。同席したフランス人男性からは、中国ではアルコール税が94%なんて紹介もあった。 訪問してから1時間ぐらい経過したころだろうか、1日に4件まわったことによる疲労が重なってきた。立ってテイスティングしていたので足も疲れたが、何より肝臓をはじめとする消化器系臓器がもう限界だった。 ミネラル水を飲む回数が増え、同席していたフランス人男性と同じように会話をすることが苦痛になってきた。うーん、やっぱりスケジュールの組み方に無理があったかなあ。酔っぱらいながら猛省した。先に帰ってしまったので、醸造所内の見学はできなかった。 夕暮れ時になると畑や醸造所での作業を終えた仲間の方々が集まってきて、テイスティングをしていた部屋が次第に賑やかになった。帰ろうと思い、購入したいワインを告げ、サインをもらって梱包もしてもらった。 この時にはパトリックさんも部屋に来られたので、「宛名に長男の名前を入れてもらってサインしていただきたいのですが」とお願いしたのだが、話を終えるまもなく、コルトン・シャルルマーニュのエチケットに銀色のペイントマーカーでどかーんとご自分の名前をお書きになっていた。千砂さん「性格出るわよね~」だって(笑)。 結局、長男の名はビンのところに書いてもらった。語尾が微妙に違ってしまったりしたが、ご愛嬌。 「こいつが長男です」と写真を見せようとなにげなくアイパッドを取り出すと「おい、それはなんだ」と注目を浴びる。初めて見たそうで。 参考のために保存しておいた、誰が書いたかよく分からない英語のシモン・ビーズ訪問記のブログのスクリーンショットをぱらぱらとお見せすると、「おおー、オレじゃないか」と感激してる。 アイパッドは東京ではすっかりありふれているが、ここでこんなに受けるとは想像していなかった。記念に撮影させてもらった写真 さて。帰り際にお世話になった斎藤さん、「ブルゴーニュ生活」に登場する通称「せいちゃん」にも簡単に触れておきたい。 埼玉県のご出身で、シモン・ビーズでワイン作りを学び、今は別のドメーヌでも働いておられる。いつかは独立して自分のワインを作りたいそうだ。シモン・ビーズでは、あの「セルパンティエール」のワイン作りに深く関わっておられるらしい。 私が早く帰りたいといったばっかりに、ボーヌの駅まで車で送る役を負わせてしまったせいちゃん。本当に申し訳ありませんでした。 日本から来た方々がブルゴーニュのワイン作りを支え、ワインが日本に届くのかと思うと感無量である。シモン・ビーズの皆さん、これからも頑張ってください。「開いてますね」とおもむろにビンに手を伸ばしている真ん中の方が「せいちゃん」こと斎藤さん。
2011.01.30
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続いて赤を試飲する。開栓したワインが増えていきました赤・サヴィニー・レ・ボーヌ オ・グラン・リアール2008・サヴィニー・レ・ボーヌ1級 セルパンティエール2008・サヴィニー・レ・ボーヌ1級 セルパンティエール2006 オ・グラン・リアールは2005年を1本持っている。購入動機は「安いし、2005年なので何となく」だった。 千砂さんは2008年の赤について「素晴らしい。苦労しただけかわいい」と説明した。なるほど。05とか09とか、グレートヴィンテージといわれる年のワインが買えなかったといって、いつまでも追っかけている自分がつまらなく感じる一瞬である。 香りは、何か重い感じ。口に含むと、案外軽くてなかなか畑の個性を感じるものが立ち上がってこない。しかし、口の中で転がしているうちに、だんだんと要素が伝わってくるワインだった。はあ、グラン・リアールってこういうワインなんですね。 その時に続いてうかがった話によると、「うちで一番大きいのが、グラン・リアールとヴェルジュレス。常に安定したワインを作ることができ、その年の指標になる」。 畑が相対的に大きいと質が安定するという点は、ワイン愛好家にとっては「分かっちゃいるけど、、」という部分のある話である。 ここで脱線。例えば特級ミュジニの場合。最大の所有者はヴォギュエで次がミュニエだと記憶しているが(間違っていたらスミマセン。ご指摘を)、ミュジニのレア物が欲しいと思う愛好家が探すのは、やれドメーヌ・ルロワだ、ジョルジュ・ルーミエだ、フェヴレだとなりがちである。 たとえばクレジットカードが使えない店に来て、目の前にヴォギュエとルロワのミュジニがあり、どっちかだけしか買えないという状況になったら、よほどルロワが嫌いじゃない限りルロワを選ぶだろう。まず買える機会が少ないから。 じゃあ、ヴォギュエの価格の何倍も出して買うルロワが好きなのかというと極めて微妙であって。その1本の中身の良し悪しにかけるとなると、ヴォギュエを選ぶ方がましなんじゃないかという気がして仕方がない。 ヴォギュエは若木を1級にまわし、選別したブドウだけからミュジニを作る。その方が毎年、品質が安定するに決まっている。ルロワを買うのは「もうチャンスがないかもしれない」という脅迫感しか動機がない。ルロワのかわりにルーミエやフェヴレであっても同じことだ。 別の例も出してみる。ジャック・フレデリック・ミュニエのワインで、おそらく品質が最も安定しているのはNSGクロ・ド・ラ・マレシャルだ。他のワインが数樽しかないところ、NSGだけは150樽もある。できの良いものだけを1級で販売し、若木の方は「クロ・ド・ラ・フールシュ」として村名扱いで販売する。しかし、実際に日本のショップで最後まで売れ残るのはクロ・ド・ラ・マレシャルだ。量も多いが、なにより日本人愛好家が好きなシャンボール・ミュジニのワインではないからだ。高級品であるブルゴーニュ・ワインの売れ方には、どこかいびつな所があるのは否めない。 話を戻す。シモン・ビーズにとって安定している赤ワインはグラン・リアールであり、ヴェルジュレスであるということだ。今後の購入の参考になった。 では、続いて試飲したワインがなぜ1級セルパンティエールなのか。試飲の席では、ここから話題がビオディナミに移った。 シモン・ビーズは、ビオディナミに移行しようとしている。リアルワインガイドしか定期購読していないので、この情報がどこまで日本で流布しているのか知らないが、個人的には初耳だった。 千砂さんのご説明によると、2008年からセルパンティエール、2009年からは1級オ・ゲットと、先ほど試飲したヴェルジュレス・ブラン。2011年にはレ・タルメットとヴェルジュレスがビオディナミにかわる。「ビオディナミへの移行はパトリックの要望(ドゥマンド)ではない。彼は『ビズディナミ』といっている」とのことだった。自分からも、「なぜビオディナミに移行しようとしたのですか」と質問。すると千砂さんは「やってみたかったから」と大笑いした。 セルパンティエールを試飲することになったのは、ビオディナミに移行した08と、移行前で「密度が08と近い」(千砂さん)06を比較してみるためだった。このへんは一緒だったフランス人男性の要望で、私はよこでへらへらしているだけでした、はい。 試飲の結果はどうだったか。やっぱり、全然違う。06は普通にうまいが、08年は飲み始めのスタートダッシュから勢いを感じる。千砂さんの説明をそのまま書くと「ふわーっと重心が上がる。ウチのワインの中でも上昇率が高い」。後から来る畑の印象は同じだが、ビオディナミのワインの方が前がかりな感じがした。 これはよく、「ビオっぽい」といわれる味だなあと思い、「ビオっぽいっていいますか?」と尋ねたが、こういう言い方はネガティブな印象があるとのご指摘だった。ちなみに08年のセルパンティエールは、「まだ売りたくない」ので販売していないとのこと。テイスティングのテーブル近くにある暖炉(続く)=禁無断転載=
2011.01.15
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この日4軒目の訪問先である「奥さんが日本人のドメーヌD」とは、シモン・ビーズである。モレ・サン・ドニのレストラン「カステル・ド・トレ・ジラール」前で予約したタクシーを拾ったのが午後1時半ごろで、宿から宿へ荷物を運び、シモン・ビーズには午後4時に訪問するという強行スケジュールだった。 ブルゴーニュの作り手に行こうと思う時、どこを訪問先に選ぶか。最初は誰でも「DRCに行ってみたい」とか思うだろう。で、プロでもなかなか難しいと分かると、次にどこにいこうかと考える。私のようにツテがない(あるいは人によっては使おうとしない)DIY型の場合、自分が過去に飲んだことがあるとか、なにか思い入れのある所を選ぼうとすることになる。 私の場合は、シモン・ビーズの千砂さんにあいさつしてみたいと思った。これから先、何回かブルゴーニュを訪問できる機会はあるかもしれないが、シモン・ビーズにお世話になった日本のワイン関係者がたくさんいる中で、あえてそこを避けるというのはいかにも不自然だ。ミス・ソフィアという凄い経歴の持ち主でもおられるらしいし(←そこかよ)、以前から機会があれば訪問したいと考えていた。 狭い道のわりに車の往来は多い 日本からはファクスとメールで訪問願いを送り、ファクスは(よせばいいのに)日本語とフランス語の2種類を出した。どれを読んでいただき、返事がもらえたのかは不明である。 この日の宿からタクシーに乗り、3時30分にはサヴィニーに到着した。誰かのブログで「サヴィニーに行く日本人はみなシモン・ビーズだなあ」と笑うタクシーの運転手の話を読んだ記憶がある。しかし、今回乗ったタクシーはボーヌではなく、宿泊先のレストランホテルに近い場所の車なので、女性運転手は「サヴィニーのどこ?場所がよく分からない」という。時間に余裕があったので適当に町中で降り、アイパッドに保存したグーグルマップを参照しながらドメーヌを探し歩いた。 サヴィニー城 あと少しでシモン・ビーズという所。左手はサヴィニー城の壁。この道路の先に高速道路がみえる。 10分ほど前にドメーヌ・シモン・ビーズについた。グーグルで地図を検索すると分かるが、シモン・ビーズはボーヌから向かっていくとサヴィニーの街中を抜けた先、サヴィニー城を回り込んだ場所にある。ドメーヌ前の道路は南に向かって緩やかな上り坂になっており、坂の上にはパリとボーヌを結ぶ高速道路が左右に伸びている。歩いてみて分かったが、サヴィニーはシャンボール・ミュジニ村やヴォーヌ・ロマネ村に比べると住居が多く、はるかに町っぽい。車でボーヌに通うサラリーマンもいるのではないかと想像する。 ドメーヌ前でうろうろしていると、地元のおじさんとすれ違った。視線を合わせないのもおかしいので「ボンジュール」とあいさつ。「時間が余っちゃって」というと、どうしようかと真剣に悩んでくれる。関係ないのに、いい人だなあ。 そのほかに、もう1人うろうろしている若いフランス人の男性もいた。この人もどこかに訪問するのだろうか。軽く会釈して、サヴィニー城の写真を撮影したりして時間をつぶした。 もうすぐ午後4時なので、ドメーヌへ。すると、さっきの若いフランス人男性もいる。千砂さんも玄関に姿をみせた。今回の訪問はこの男性と2人一緒のようだ。 建物に入ると広い試飲場所があり、立ったままワインを飲む。既に何本か開栓されたワインがあったが、フランス人男性の求めによりワインを新しく開けてもらうことになった。 フランス人の男性は過去に日本のソフトウェア会社で勤務した経験があり、現在は中国で働いている、この近所の方。日本語も話せるので、フランス語と日本語の入り交じったやりとりになった。僕がフランス語をちゃんと話せたら、全部フランス語になったのにと思うと、何だか申し訳ない。試飲はこんな感じ 日本でだけブルゴーニュワインを買っている人なら共感してもらえると思うのだが、サヴィニーのワインを買う場合、手掛かりがあまりない。日本人の奥さん千砂さんと、日本好きの当主パトリックさんがいるのだからシモン・ビーズにしようと選ぶことはあっても、ではどこの畑のワインを選ぶのかとなると、これにしようという、という理由がない。 これまでシモン・ビーズを購入してきた経験でいうと、店に手頃なシモン・ビーズのワインがあり(しかもそれは安売りだったりする)、1種類しかないのでそれを買うという受動的なケースがほとんど。今回の訪問を機に、サヴィニーの畑の中で「これ」という好みを見つけられればいいと思っていた。このため、今回の試飲のラインナップは興味深いものだった。白・サヴィニー・レ・ボーヌ・ブラン2008・サヴィニー・レ・ボーヌ・ブラン2007・サヴィニー・レ・ボーヌ1級 ヴェルジュレス・ブラン2008 まず白を試飲 まず白の村名2つを試飲。2008年は口に含むと甘く感じる。千砂さんによると「やや貴腐がついている年。傷んだブドウが多かった。将来はさらに、甘いというか、アカシアっぽい香りが出てくる」という。 2つめの2007年は比較のため開栓。「2008年とは全くタイプが違う。07年は多くの酸があり、いきいき、きりっとしている。軽い」。ミネラルにあふれ、酸が多め。 これに対し「08年はもっとリッチで構造的である」(千砂さん)。 私のこの時、「持っていたいのは2008年」という感想を口にした。 次の飲ませていただいた白の1級、ヴェルジュレス・ブランはやはり一段上のワインだった。ヴェルジュレスの白は珍しい。「ブルゴーニュ生活」内のドメーヌ・シモン・ビーズの説明から引用する。 96年にピノノワール種が植わっていたところを、シャルドネ種に植え替えた区画。パトリックのおじいさんの代にはこの区画にシャルドネ種がもともと植わっており戦後の白ワインの低迷そしてパトリックママの「赤にしましょうよ」の一言でシャルドネは一掃された。つまりベルジュレスブランの復活。ブルゴーニュの白ワインに要求されるすべての要素が品良く備わったタイプ。(Savigny-les-Beaune 1er Crus Les Vergelesses) ヴェルジュレス・ブラン2008は精密な作りで、前の2つのワインを上回る味がする。口に含んだときはそれほどでもないが、あとから酸を感じる。千砂さんは「売れ筋商品です。サヴィニーって白っていうイメージがないですが、これを飲むと、ああー、って」。輸出用の価格は20ユーロ。日本への輸出はとても少なく、遠方への輸出自体、あまりしていないという。ここに来て、見て、これくださいという需要が多いようだ。白はこの上にコルトン・シャルルマーニュがあるが、試飲はしなかった。(続く)熱心に説明する千砂さん=禁無断転載=
2011.01.15
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2010年フランス旅行のエントリーは、原則として週末に記事をアップする予定です。22日、23日は更新できなくなりました。来週はなんとかしたいと思います。
2011.01.10
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1日4軒の訪問予定先のうち、3軒目となったドメーヌCとはジャン・ラフェである。30分も滞在しなかったが、今回の旅行の中では、いろいろな意味で興味深い訪問になった。いくら感謝してもしきれない。 シャンボール・ミュジニ村を出て、ボンヌ・マールを左手にどんどん進むと、モレ・サン・ドニに入る。「クロ・ド・タール」の看板がある広場を通り、まっすぐ北方向にのびる坂道を登る。小さなロータリーに出て、そこを過ぎた左手にジャン・ラフェ氏のご自宅がある。隣はドメーヌ・アルローだ。この辺は、昨年現地ドメーヌを数多く訪問された食の旅人さんのブログ「横浜基点 食の探索」の記事(「Domaine Jean Raphet(ジャン・ラフェ) ドメーヌ訪問」)の説明が詳しく、スケジュールがタイトな中で大変役に立った。情報までいただき感謝です。 もう一つ、この村の高級レストランホテル「カステル・ド・トレ・ジラール」のソムリエール、花田さんのブログ「カステル・ド・トレ・ジラール」の記事(「ドメーヌ・ジャン・ラフェ(モレ・サン・ドニ村)」)も読んでいた。ワインを購入させてもらったという内容が書かれていた。 記事中の「とにかくポンポン開けて、どんどん飲ませる」って本当かな?と興味がわく。都内某ショップがプッシュするこちらを訪問するいい機会だ、そう考えて電話をかけてみたら、わずか30秒でアポイントをいただけたのは前述の通り。 坂道を登り、ロータリーを越えると到着。確かに微妙に分かりにくい。 ラベルでお馴染みのドメーヌ建物 やや遅刻気味で訪問すると、ラベルでおなじみのドメーヌにすぐ気が付いた。しかし、どうもひと気がない。横をみると、住宅らしき入口に続く階段が2階に続いている。ネコがいて、こちらをみている。やや逡巡したが、かまわず階段を上がって鈴を鳴らすと、ジャンさんが登場した。下の応接ルームに移動する。ジャン・ラフェさん。後ろにはまねき猫も。 ここに来る前に訪問させてもらったジャック・フレデリック・ミュニエとアミオ・セルヴェルでは、試飲とはいえ、素人なのでそれなりに飲ませてもらった。ミュニエのミュジニ2009年とか、アミオのアムルーズ2008年とか、素人がぺっぺっ吐いていたら申し訳ないからだ。しかし、下のクラスのワインなどはある程度は吐き出して、なんとか正気を保っていた。 ところが、ジャン・ラフェさんの遇し方。これが全然違う。「何を飲みたい」というので、食の旅人さんのブログのことを思い出し、ここが重要だぞと思って「シャルム・シャンベルタン」と申し上げた。すると、2001年のワインを気前よく開けていただいた。 どうもすみません ジャン・ラフェさんはすでに息子さんのジェラールさんに代がかわっており、この2001年はジャンさんの名義では最後の年だったという。だからアポイントが入りやすかったのかもしれない。ノースバークレイのボトルなどラベルが何種類もあるが、これはドメーヌの建物を描いたあのラベルだった。 ひと口飲むと、シャルムの力強さにうちひしがれた。「う、うまい」。俺はシャルム・シャンベルタンだ、とワインが訴えかけてくる味。酸、果実味とも際立ち、本当に9年前のワインなの、と疑いたくなるくらい素晴らしい。すっかりトリコになってしまった。 原さんのサイトを検索してみたら、ジャン・ラフェについて「シミジミ染み入り系癒し味」と書かれているが、ここではもっと強い印象を受けた。ブルゴーニュワインってこんなに力強い味だったのか。シャンボール・ミュジニの作り手のワインを試飲してから来たので、ことさら強さを感じたのかもしれない。 話をしながらワインを飲んでしまうと、もう本当にどんどん、「おう、グラスが空いてるぞ」ってな感じで、まるでお茶か焼酎の水割りみたいに注ぎ足していただいた。せっかくのご好意、しかしこれは後でまずいことになるかもしれないなと考えながら、勧められるままにいただいた。 なぜこちらを訪問したかったのか、持参したアイパッドを使いながら説明する。語学に自信がない自分にとっては、こういうデバイスはやっぱり便利だ。タッチパネルで食の旅人さんの見事なブログ記事のスクリーンショットをスライドショーでお見せすると、興味をもっていただいた。 部屋の中には、所狭しとワインが並ぶ。 2人で話した内容は、かつてノースバークレイボトルを詰めていたのが「米国市場のためである」とか、今も仕事をしているが腰が痛くてね、とか。真剣なテイスティングというのではなく、楽しく雑談させてもらったという感じ。私のひどいフランス語にも、丁寧に答えてくださった。「日本のものがいっぱいあるんですって」ときくと、喜んで招き猫とか手ぬぐいを見せてくださった。招き猫は案外小さかった。 ワインのほうは、相談の結果、以下のワインを1本ずつ購入。シャルム・シャンベルタン2001クロ・ド・ラ・ロシュ1998クロ・ド・ヴージョ2000 残念ながら、クロ・ド・ベーズは売るものはないとのことだった。もう全然問題ない。 価格を尋ね、お支払いする。記念なので3本ともサインをもらった。ドメーヌの名前が入った粘着テープで、3本用の段ボール箱に収納してもらう。 「もう少し古いのがあれば買い足したい」とお願いすると、「ちょっと待ってろ」といって外へ出て、以下の2本を持って戻ってこられた。シャルム・シャンベルタン1990クロ・ド・ヴージョ1988 ここのやりとりについてはっきりした記憶がないが、どれかについては「きみへのカドー(贈り物)だ」とおっしゃる。なんだか申し訳なく思ったが、ご好意に甘えることにした。なので、全部でいくら払ったかは、ここではとても書けない。花田さんのブログをご覧いただければ、だいたい想像してもらえるかと思う(花田さんすみません)。これは宝物だな。パーカーにも高く評価されてきた生産者であり、あと数年したらジャンさんの時代のワインの入手は難しくなるだろう。「しみじみ感」を追体験するためにも、今回は購入しなかった下のクラスのワインも飲んでみたいと思っている。 「どこに戻るの?」と聞かれたので、タクシーを予約しているので結構ですと申し上げた。いつものことなのだろうが、お気遣いに感激する。すてきなジャン・ラフェさんとお別れし、お昼どきのモレ・サン・ドニの静かな街並みを、鼻歌をうたいながら、ふらふらな足どりで後にした。(続く) 温かみのある方で大好きになりました。=禁無断転載=
2011.01.09
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その時、忘れていたものを思い出した。私「これはおみやげです。日本のお菓子のカステラです」 フランス人におみやげを持っていくならカステラが無難だ、というのは2003年の訪問の際に参考にした現地ジャーナリストの堀さん(「リアルワインガイド」という書籍を書かれた方)の記事に、そんな話題があったような気がする。それ以来、もうなんとかのひとつ覚えという奴で、渡仏前にはカステラを買う。 おみやげを渡すと、「試飲するかい」といって開栓済みのハーフボトルを何本か出してもらう。なんだか順番が違う気がするが、いいか。 試飲はハーフボトルで4種類。すべて2008年。 保管はこんな感じ。 ここのドメーヌはシャンボール・ミュジニ村の1級畑をたくさん所有しており、その比較試飲となった。銘柄はプラント、シャルム、デリエール・ラ・グランジュ、アムルーズだった。メモをとらずに飲んだため記憶がおぼろげで、どれもおいしかったが、意外にもデリエール・ラ・グランジュが一番良い印象だった。ここはアルコール度数が低めとなる作りをするといわれており、そのせいか畑別の特徴をつかみやすい。デリエール・ラ・グランジュはレ・フュエのすぐ下にある小さな畑で、1級ではアムルーズの次に蔵出し価格が高い。 この銘柄は以前、原酒店のご主人に勧められたことがあり(買わなかった)、販売所で「原さんすごいな」と感心したのだった。しかし、先行きを考えると4本でも十分多いので、結局買わなかった。なんだか惜しい。 ちなみに価格表によると、ここのドメーヌには1級のフスロットもある。村名も通常のシャンボール・ミュジニと、畑名付きの村名「レ・バ・ドワ」がある(グロフィエの1級レ・ゾー・ドワの下側)。特級はクロ・ヴージョ1つ。そのほかに、ACブルゴーニュ、同ブラン(白)、ロゼ、ブルゴーニュ・アリゴテ(白)。フィーヌやマールのボトルもあった。販売は基本的に750ミリリットルのボトルで、ハーフは主にレストラン用だそうだ。 アミオさんとはほぼ雑談に終始した。飲酒運転は日本では厳罰で、勤め先をクビになる理由になるのに、なぜフランスでは少しぐらい飲んでも走っていいのかね、みたいな。 アミオさんと取引のあるインポーターの評判を伝えた(悪口は言っていません)。また、フィーヌやマールを売ろうと思っても、日本市場はコンプリケ(複雑)だと思うとのことだった。大変楽しい時間を過ごし、さよならした。しばらく歩いてから、ボトルにサインをもらうのを忘れていたことを思い出した。 さようなら。最後まで感じのよい、いい人でした。 いざ、モレ・サン・ドニのドメーヌへ! ちなみに、ここと目と鼻の先にユドロ・バイエがある。連絡してもなしのつぶてだったが、訪問者のものとみられる車が出て行くところが見えた。 「直販してます」という看板も出ていた。いくら直販するといっても、こっちからメールを送っても何も返事が来ないのでは、、。正確には自動返信メールは来ました。別にいいけど。次の機会があれば、改めてお願いしてみよう。 (続く)=禁無断転載=※この記事を書き終えてから、ミュニエ氏のところで見かけたリアルワインガイド(徳丸編集長の方)最新号をようやく入手した。アミオ・セルヴェルの08年の評価が低く、びっくりした。「肉がない」と。 そういわれてみると、そうかも…なんて考えた。しかし、自分の感想は正直に書いて、テイスティング能力に乏しいところも示す方が素人の訪問記らしく思えるので、あえて修正はしません。ティスティング時期が半年遅いこともあるし。私は、デリエール・ラ・グランジュに好感をもった。いずれ国内で購入してみたい。 徳丸さんはおそらく、日本の市価のことも念頭に書かれていると思う。当然ながらドメーヌ販売価格はずっと安い。08年はアムルーズ1本しか購入していないので、まあなんともいえないけれど。 ついでに、徳丸さんはなんであんなにメオ・カミュゼを嫌うのか、いつか背景を知りたいな。「いろいろな意味でイヤなところ」って、すごい表現。
2011.01.08
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(6)アミオ・セルヴェル―上 アミオ・セルヴェル外観 旅行前の最後に訪問予約が入ったドメーヌBはアミオ・セルヴェルである。ワインを直接購入しようとして、まずここに電話を掛けたのは、ドメーヌが直売をしていることを知っていたから。 昔読んだワイナート9号の28ページ、写真のキャプションに「ストックがある限り直販するのが嬉しい」という一文がある。別の方のワイン訪問記では、「アポイントさえとれば、売ってもらえる」という記事も読んだ記憶がある。彼のワインは飲んだ経験がなかったが、いつかは訪れたいところだった。 ミュニエ氏のところから5分ほど歩いて販売所に到着。彼の自宅からは少し離れている。ボンヌ・マールの下を通ってモレ・サン・ドニに続く道が、ここの前から枝分かれしている。 手前が村の中心部。左に枝分かれした道がモレ・サン・ドニ方面。 ほぼ同時に、ご主人のアミオ氏も車でやって来た。建物の外の階段から地下に降り、カーヴに入る。ずらっとワインが並び、試飲もできるスペースになっている。天井は少し低い。 クリスチャン・アミオさん 天井が低くて狭いが趣のある販売所 試飲用のグラス ここではICレコーダーによる録音はせず、メモも何もとらなかった。ご主人の名前すら確認し忘れた。アミオさんと呼んでいたが、ファーストネームはクリスチャンさんだそうです(ワイナートより)。 ミュニエに比べると脱力しきった訪問で、まるでワインショップでのやりとりのようになった。 ワインを買いたいとはっきり伝えてきているので、心おきなく欲しいワインを伝える。私「2005年のワインはありませんか。アムルーズとか」アミオ氏(以下、ア)「ないなあ。うーんと、シャンボール・ミュジニのレ・プラントならあるな」 1級レ・プラント。さっきミュニエ氏のところで聞いたばかりの畑。これも何かのご縁かと思い、2本購入する。私「あとはアムルーズかクロ・ヴージョがいいな。2008年を1本ずつ」ア「クロ・ヴージョは2008年がない。2000年と2004年しかない」 なんと販売用の在庫がないという。代わりに販売しているヴィンテージが00年と04年で、なぜこの年なのかもいまいち分からない。特級を喜んで買う特級大好きな私だが、集めている08年がないというのは少し残念だ。私「むむむ。じゃあアムルーズ2本にします」ア「両方08年でいい?」私「というと?」ア「06年もあるぞ」私「08年より高いんでしょ」ア「いや、同じ」 おおおっ。価格表に書いていないワインがあると。私「じゃ、それください(笑)」 購入した4本 4本を紙を巻いてもらった。(続く)=禁無断転載=
2011.01.08
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樽から試飲した09年は非常に良い味がしたが、いかんせん香りが立たない。こんなものかと考えていたら、ミュニエ氏は「他のミレジムも試してみないか」といい残し、樽がある階よりさらに下にあるカーブへと降りていった。 出してもらったのは、ラベルのないNSGクロ・ド・ラ・マレシャル。「とても違うよ。飲んでみれば分かる」 08年のNSGクロ・ド・ラ・マレシャルを開き、ヴィンテージの違いについて語るミュニエ氏 ポン、とコルクを抜く音。ひと嗅ぎしたミュニエ氏、ここから饒舌になった。 「2008年はとても力強く、豊か。2009年もそうだが、08年はもっとエレガントでファン(細かい、繊細)、生き生きとしている。アロマはとても純粋だ」 「2008年はずいぶん09年と違う。09年は長熟向き。08年は若く飲めて、感じが良く興味深い(アグレアブル エ アンテレソン)ヴィンテージだ」 飲んでみると、確かにまったく違う。香りのたち方はまさにいつもの豊潤なミュニエ氏のワインそのもの。1級とはいえ、NSGでここまでいい香りを嗅ぐことはそうそうない。もちろん、味も複雑味があって素晴らしい。 「09年はグレートヴィンテージといわれていますね」とこちらから質問した。ミュニエ氏は、「グレートヴィンテージというのはおそらくコレクションのヴィンテージのことだ。20年、30年後に飲むワイン。08年もグレートヴィンテージだと思うよ。そしてイージ・トゥー・ファンだ」と答えた。単純な比較はできないが、早く飲むなら08年だとおっしゃる。 直売はしないというので、ブロションとニュイ・サン・ジョルジュにあるワインショップを紹介してもらい、予想よりも短い40分程度で訪問終了。開栓したクロ・ド・ラ・マレシャルをお土産にもらった。 パソコンで取扱店の地図を印刷してくれるミュニエ氏。机の上には真新しいリアルワインガイドが置かれていた。徳丸編集長が前週に訪問された模様。 翌日のネゴシアンE訪問後、教えていただいたブロションのお店に行ったが、ニュイ・サン・ジョルジュしか残ってなかった。ディスプレーにはミュジニがあったが「あれはお客さん用。もう決まっている」だと。残念。 店にあるワインが実は予約済みって、さいたまの原酒店(ノイジーさん)みたいだ。結局、08年ヴィンテージは、数日前の小田急オンラインの新春セールでようやく入手できたのであった。(続く)=禁無断転載=
2011.01.08
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ラフィット2008年の小売価格は20万円だとエノテカの人が答えていた。おいおい。20万円てなんだよ。もう買い増しできねーじゃん。松澤屋がプリムールで1本しか売ってくれなかったことが、かえすがえすも残念だ。
2011.01.06
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再訪したかったドメーヌAとは、シャンボール・ミュジニ村のジャック・フレデリック・ミュニエである。ここには2003年に訪問させていただいており、今回は2回目となる。 徒歩圏内のホテルを出発し、午前10時前にドメーヌに到着。7年ぶりの訪問に胸が高鳴る。呼び鈴を鳴らそうとすると、主人のミュニエ氏が難しい顔で電話をする様子が目に入る。建物の中に入り、ドメーヌ関係者の方に出迎えていただく。玄関に入りすぐの場所にある階段の下でしばらく待つ。階段脇の壁には、販促用とみられる昔(第一次大戦前)の巨大ポスターが2枚貼られていた。 しばらく後に、ミュニエ氏と7年ぶりに対面。拡張された建屋に向かい、1対1でデギュスタシオン。新しい建屋に備え付けられたステンレスタンク試飲は前回同様、村名シャンボール・ミュジニからボンヌ・マールは全部で5樽 試飲は樽から2009年ヴィンテージを一通り。村名シャンボール・ミュジニ、1級フュエ、特級ボンヌ・マール、ニュイ・サン・ジョルジュ(NSG)1級クロ・ド・ラ・マレシャル、1級アムルーズ、特級ミュジニの順。NSGの白は試飲させてもらえなかったし、こちらからもお願いしなかった。 雪が外に残っていたのが災いしたか、香りが立たない。2003年に来た時も12月だったが、あの時の02年ヴィンテージの試飲とは様子が異なり、かなり当惑する。それでも口に含むと、ミュニエらしい奥行きのある複雑な味わいが広がった。 ミュニエ氏は村名シャンボール・ミュジニについて「コンブドルヴォーと1級のレ・プラントのアッサンブラージュ」と説明。インターネットで検索していると、よく「特級ミュジニの若木を使用」と説明しているワインショップがあるが、だいぶ違う。店の信頼性の試金石になるので活用を。もちろん、ちゃんと説明している優良店もある(例=アサヒヤワインセラー http://www.rakuten.ne.jp/gold/asahiya-wine/newarrival101021.html)。インポーターもちゃんと説明しているのに、どういうことだ。ボンヌマールのパーセルの説明図。Rがテッレルージュ、Wがテッレブラン、Cがシャンボール・ミュジニ村、Mがモレ・サン・ドニ村。点線が村の境界線。なぜかNSGクロ・ド・ラ・マレシャルの樽に書かれている。 パーセルがRとWにまたがっていると説明するミュニエ氏。 アムルーズの樽。所有地が多いといっても、樽にするとこの程度しかない。ミュジニは撮影し忘れ。 話がずれた。村名としては非常にレベルが高いおいしいワイン。フュエは、村名より素材が上質。ボンヌ・マールは5樽、アムルーズは8樽、ミュジニは聞き忘れたがそれ以上。NSG1級クロ・ド・ラ・マレシャルは150ピエスとけた外れ。 少しずつ飲んだ感想では、ミュジニは集中感のある味わい。アムルーズも03年に訪問した時の02年ヴィンテージの試飲に比べて香り高く、とっつきやすい。畑の格の順番に良い評価をつけたくなる印象だった。前回訪問時はミュジニとフュエの印象が突出して良く、今回とは受け止め方がだいぶ違った。(続く)=禁無断転載=
2011.01.03
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幸いなことに、12月に入るとアポイントが入り始めた。突然、ネゴシアンEから「今日もどって来てメールを見た」とメールがあり、訪問OKという。その日のうちに何度かメールでやりとりをしていると(←律儀な方なので、こういうことも起こる)、入れ違いにドメーヌAから「来ていいよ。デギュスタシオンOK」という返事がくる。日時もだぶっていない。この日、Eあてに「今日はいっぺんに2件もアポイントが入って幸運な1日でした」とメールをしたのが午前2時過ぎぐらいだった。 数日後、ドメーヌDからも承諾のメールをもらう。これで予定は3件になり一安心した。AとDは同じ日だが、午前と夕方とだいぶ間がある。 ところが、渡仏一週間前になり、「せっかく行くんだから」と、直売してくれるドメーヌも訪問しようと思い立った。この頃、現地で発行されている雑誌などを読むと、連絡先として電話番号しか書いていないことが多い事実に気がついた。 実はメールとかファクスは邪道で、電話でアポをとるのが王道ではないか? そんなことを考えながら、シャンボールのドメーヌB、モレサンドニのドメーヌCに電話を掛けた。どこか一軒、当たりがあればいいと考え、とりあえずという感じであった。 ドメーヌBに電話をすると留守電だった。留守電ではかなわない。自分の名前を告げ、「メールするので見てください」といって電話を切った。 次にドメーヌCの連絡先をネットで調べて掛けた。ここはホームページがなく、海外のどこかのワイン関係のサイトに掲載されていた番号に、とにかく掛けてみた。間違っていたら謝ればいい。 「もしもし。ドメーヌCですか」「そうだよ」。いきなり本人が登場。 「ワイン買いたいんですが」「いつだ」「月曜日の午後」「2時ぐらいか」「ええー、正午ぐらいがいいです」「君の好きな時間にしろ」。 30秒で終わり。確認のファクスを入れたところ、30分ほどで「この住所で正しい」との返信のファクスが届いた。アップルのiPadのように立ち上がりの早いおじさんだった。 こういう「売ってくれ」という頼み方は本来、ブルゴーニュの著名ドメーヌにするべきではないらしい。しかし、仏語の能力に限界があるため、こうでもするほかなかった。 ああ、これでまとめまった本数のワインが買える。 週明け、驚いたことにドメーヌBからもメールが来た。OKだという。お願いしていたのをすっかり忘れていた。大丈夫かなあ。AとB、BとCの訪問予定は1時間刻みで、前の訪問の時間が延びたらアウトだ。急に心配になる。 Bには「直前にも別のドメーヌに訪問するので、もしかしたら遅れるかもしれません」という趣旨のメッセージを1本入れた。Cはまあ、電話すればどうにかなるだろうと楽観していた。 ちなみに、ユドロ・バイエからは最後まで返事はなかった。ムルソーでのドメーヌ訪問も時間的に無理になった。 今回のブルゴーニュ滞在は、日本から到着して寝るだけの初日の土曜日を除くと、日曜、月曜と火曜午前の2日半。日曜日の訪問予約は入りにくい。このため、月曜日に四軒(A、B、C、Dの順)プラス夜はレストラン、火曜日は最後のネゴシアンEという非常に窮屈なスケジュールになってしまった。体が持つかどうか、時間に間に合うかどうか、当日まで不安を抱えたまま、寒波の襲うフランスへと旅立ったのであった。(続く)補足=初売りで賑わう東急本店でマッキー氏にお会いできたので質問したところ、「彼らはファクスとか見ないですよ。返事が来るのは2か月後」とのお答え。やっぱりそうかー。過去2回はメールとファクスだったが、もし次の機会があれば電話中心に変えないといけないかも。=禁無断転載=
2011.01.02
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渡仏の見通しが立ったのは秋ごろだった。5泊6日で日本に戻る計画で、ブルゴーニュ滞在期間は正味2日半となる。 旅行のテーマは、前回にも訪問したブルゴーニュのレストランで食事をすること、それから前々回、ブルゴーニュ初訪問の頃から年々人気が高まったシャンボール・ミュジニのドメーヌAを再訪すること、さらにその他の作り手もなるべく多く訪問することだった。 ドメーヌAには9月にメールを送ったが、主人の行動予定が立っていないので、また12月の初めにも連絡してくるように、と部下の方から返信があった。 訪問したいと考えたレストランは人気が高く、急ぎ行動する必要があると考えた私は、すぐに国際電話を入れた。4年ぶりに話す仏語は我ながらひどくメチャクチャだったが、首尾よく予約を入れることができた。 その後、本業が忙しくなり、夜に仏語や英語でメールをうつ時間がなかなかとれない日々が続いた。11月になり、ある著名な日本人ワインジャーナリストがツイッターで「12月に訪問するドメーヌのアポとりが進んでいる」とつぶやいているのを読んでショックを受ける。それからはメール、アドレスが分からない相手には国際郵便で接触を試みる日々が続いた。しかし、11月が終わる頃でもどこのアポイントもとれず、かなり焦った。 訪問先選びについては、やはり普段飲んでいる作り手や、いまこの時点で話題があるところに行きたいと考えたが、こうした先は訪問希望者もまた多く、インポーターのつてを頼るといった手段をとらない限り、素人には難しいのが実情である。 ちなみに、アクセスを試みたが返事が来なかったところはコシュ・デュリ、ジョルジュ・ルーミエ、ジョルジュ・ミュニュレであった。ルーミエは過去2回にもアポ取りを試み、断られたが丁重な返事はもらっていたので、今回なしのつぶてだったのはやや残念だった。 メオ・カミュゼは、こちらの連絡から2日ぐらいで「その時期は無理だねぇ」という返事をメールでもらった。断られても印象は良い。 ヴォギュエに至ってはネットや本ではまったく連絡先が分からず、断念せざるを得なかった。一度、醸造担当のミレさんにあってみたいが、いつかかなうだろうか。 ルソー、ラフォン、ルジェは、最初から諦めていた。何故だどいわれても特に理由もないが、どうせ返事をもらえない所にいっぱい出しても、訪問要請の文書を作ったり、メールやファクスを送る労力はかかるし、時間は有限だし、と考えた。ルソー、ラフォンは機会があれば行ってみたいところなので、次回があればチャレンジしようかと考えている。 11月になり、いよいよ受け入れてもらえそうな所に照準を絞って、メールやファクスを送る頻度を上げた。ホームページにドメーヌ内の試飲カウンターが紹介されているユドロ・バイエにホームページからアクセスし、さらにこれまで訪問先に考えていなかったムルソーの作り手を数軒リストアップした。 11月末には、ドメーヌAに再度訪問を要請。続いて、せっかく行くのだからと、4年前には連絡したが音沙汰がなかった奥さんが日本人のドメーヌD、一度はアクセスしてみたかった新進ネゴシアンEなどにもファックスやメールで連絡した。もうすぐ12月になるというのにどこからも色良い返事はもらえず、気持ちばかりが焦った。 また、ニュイ・サン・ジョルジュから西に離れたアルセノンのオーレリアン・ヴェルデにもファクスを送った。日本市場での扱われ方がどこかイレギュラーなので、本人に会って直接伝えて感想を聞こうと考えた。しかし、返事はやっぱり来ないし、他の日本人のブログを読んでいると、先客と話したまま応対する様子が描写されており、冬場にレンタカーを借りて貴重な時間を割いて行ってこの対応だと萎えるなあ、と考えると行く気が失せた。 この頃、アポイントをとるためピックアップし訪問先候補にあげた作り手は、クロード・マレシャル、あとはすべてムルソーでブーズロー、ジャック・プリュール、ビュイッソン・シャルル、バロ・ミヨだった。このへんを全部アクセスしてみて、どこからも連絡がなければ、普段結構飲んでいて観光客も受け入れていると聞くシャトー・ド・ムルソーへ行くつもりだった。しかし、幸か不幸か、このあたりに連絡する必要はなくなった。(続く)=禁無断転載=
2010.12.31
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新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。 読者の方が何人ぐらいいらっしゃるか想像もできませんが、引き続きナマあたたかい目でお読みいただければ幸いです。 新年を機に、12月に敢行したブルゴーニュ訪問についてご紹介したいと思います。かねてから訪問したかった複数の作り手にご挨拶してきました。ワイン業界人ではなく、関係者とのコネが何もない私のような者でも、ある程度楽しめるのがブルゴーニュという産地の良いところだと思います。 ただ、そのためにはいろいろ準備をする必要もあります。2006年のトルショー氏のときもそうでしたが、産地を訪問してみたいと思っている方に少しでも参考になればと思い、私の経験した内容をぽつぽつ思いつくままに書こうと思います。 次回から、訪問までの準備作業と訪問先についてのハイライトをご紹介します。続いて、旅行中に経験した内容について時系列に取り上げます。
2010.12.31
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東急本店にクリスマスケーキを買いにいったついでにワイン売り場をのぞいたら、並んでいました。「こっ、これはっ!」。思わず手に取った。どこの輸入業者だろうかと思って裏返したら、先に値札が目に入った。いち、いちまんさんぜんえん…絶句した。それでも欲しい方は、ぜひ買ってください。正規のマキコレ物トルショーって、もう店頭在庫はないのだろうか。ワインって、値上がりする時はあっという間なんだな。かろうじて1、2本ストックがある2004年や05年のACブルゴーニュ、簡単には開けられなくなったなあ…。
2010.12.25
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東急百貨店本店が12月4日、ワインの販売方法を一部変更したことが話題になったので、備忘録的に記録を残しておきたい。 参加した人は先刻承知だと思うが、人気の高いジョルジュ・ルーミエとメオ・カミュゼの一部銘柄について、購入者1人が買える銘柄を1本に限定した。 今までは、抽選で前の番号を入手できた人が全て購入できたが、後の番号だった人は何も買えないことになるので、購入機会をできるだけ公平にしたいという販売する側の意思を感じる変更だった。 対象となったワインは、ルーミエが(1)ボンヌ・マール 4本(2)シャンボール・ミュジニー(以下CM)レザムルーズ 1本(3)ルショット・シャンベルタン 2本(4)コルトン・シャルルマーニュ 2本(5)シャルム・シャンベルタン オー・マゾワイエール 2本(6)CMレクラ 5本(7)CMレコンボット 3本メオ・カミュゼが(8)リシュブール 1本(9)ヴォーヌ・ロマネ クロパラントゥー 1本(ヴィンテージはすべて2008年。3、5はクリストフ名義)購入者はこのうち1本しか買えないという縛りが設けられた。ふたを開けると何が起きたか。見聞きした事実は以下の通り。・9時20分からの抽選に並んだ人数は125人。「あれは一体何だ」と通行人が不思議がるほど。・購入のため実際に売り場の前に並んだ人数は100人弱。最後の購入者は約30分遅れで入店。・本店と道路をはさんだところにある東京都民銀行の前で、携帯電話で連絡を取り合う男性3人。そこに妙齢の女性5人ほどがブラブラ。男性が東急本店のワインリストを片手に持ち、開店前に打ち合わせ。・いっぺんにたくさんのワインのお金を払った人物がいた、との目撃談あり。その場にいなかったので詳細は不明。・今回の限定販売の対象ではなかったモレサンドニのブテイユとハーフ、村名CMのハーフなどは、全員が入店した時点では売れ残っていた。(まとめ)あいまいな情報もあるので断定的なことは書けないけれど、人手を雇ってワインを手に入れようとする参加者が、手配するアルバイトの人数を増やしたとみられる。その結果、整理券の抽選に参加する数があまりにも増え、収拾がつかなくなっているのではないだろうか。 私のように、自分で飲みたくて1人で並ぶ人間にとって不利な状況に変化はなかった模様だ。ルーミエにレアもの感がなくなり、まとまった本数の『冷やし玉』が出てくるまで事態は改善しないだろう。 ルーミエの2008は入荷数が少ない、と別のショップの方から聞いていた。 また本日、とあるネットショップのメルマガで、ヴォルテックス輸入のミュジニーやレザムルーズを売るという案内が来ていた。これが並行輸入なら構わないが、正規代理店が増えた結果、従来の店の入荷量が減っているのだとしたら困ったものだ。 ワイン通が嫌われる理由(わけ) 深い意味はない。
2010.12.05
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今日、家にあったこのワインを、何気なく空けたが実にうまい。フーリエのワインは、某雑誌にそそのかされて何本か買ったが、ちゃんと飲んだのは初めてか。いや、2006年のACブルを飲んだから、それ以来か。花の香り。スルスル入る飲み心地。自然派の作り手ゆえかやさしい感じ。家族は「甘い、甘い」と連発していた。私は甘いとは思わなかったが、酸のバランスが良いと感じた。もう4年も前のワインだからか。いけてる。06年はACブルが非常に評判が良かったが、個人的にはそれほど感じるものがなかった。今さら、畑名のつかない村名ジュブレで感動するとは思わなかった。楽天にはこのワインはもうほとんど残っていないから、06は良く飲まれたんですな。「村名でこれだけ美味いんだから、畑名のついた一級や特級はどれだけうまいんだろう。」ワイン屋なら、こう書いて読者の期待を膨らませ、愛好家からお金を引き出すだろう。しかし、私はワインというもの、一期一会だと思う。06年の上のクラスのワインを少しだけ持っているが、上のクラスだからといって、開けてみないと美味しいかどうかなんてわからないよ。小売店、流通経路、輸入商社、いろいろ差がつく要素はある。とりあえず、先月ぐらいに都内のショップで5000円ぐらいで安売りされていて、何気なく購入した、このとよつー輸入のこのワインはとてもおいしかった。保有者の方、参考になりましたでしょうか。[2006] Gevrey Chambertin V.V. - Domaine Fourrierジュヴレ・シャンベルタン ヴィエイユ・ヴィーニュ - ドメーヌ・フーリエ
2010.11.27
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いろいろこれからモノ入りなので、私は買えませんが(笑)。このワインはすっかり手に入りにくくなった。前から入手難は変わらないですが、輪をかけた感じになった。ピエモンテの2005年の評価を良く知らないので、無責任なことばかり書きますが、余裕がある方はお買い求めになるといいのではないでしょうか。ちっとだけ、高いかなあ…。楽天だからしょうがない。バローロ・カンヌビ・ボスキス[2005] ルチアーノ・サンドローネ
2010.11.27
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こんな便利なボタン、前からあったっけ?このワインは忘れもしない、ヴォギュエに血道をあげるようになった記念のワイン。東急本店に初めて足を踏み入れた日、あれは土曜日の昼下がりだった。こいつがごろごろしてた。初めて売り出された時だった。そのころ日常的に買っていたワインよりグンと高かったので、まる一日熟考。一念発起して翌日買いに言ったら、「売り切れです」といわれた。その後、ほぼ同じ値段で売り出された池袋西口の某店(東武ではない)で購入した。しばらくすると東急本店でもこいつが復活していて、「他店から取り寄せました」といわれ、がっくし。同町田店にも在庫があった。いい状態のワインを買うためには、あちこち電話をする必要があると悟った買い物だった。ちなみに、その時の価格は3万円。東急本店には、まだマッキーはいなかったように記憶している(間違っていたらスミマセン)。【コント・ジョルジュ・ヴォギュエ】ミュジニーVV[2000](赤)【YDKG-t】(追記)この機能をテストしてみた感想。アフィリを貼る作業がすごく簡略化できるのはおおきな利点。しかし、ポップアップに書き込む画面が小さい上、そこに書き込むだけでは文字の大きさを調整できない。記事がブログにアップされるまでに少し時間を要する。このミュジニがいくらなのかという肝心な情報は表示されない(41790円)。便利ではあるけれど、もう少し改善してもらいたい。 書き忘れたが、このワインはまだ飲んでいない。東急本店にいったその日は、同一ヴィンテージのJFミュニエのミュジニもごろごろしていて、価格は1万円台だった。その後、ミュニエのワインの評価が高まり、今ではヴォギュエと同じくらい高くなった。この点については、ワイナート9号の表紙にした人(多分田中さんでしょう)は見識があったと今でも思っている。
2010.11.21
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2つ前のエントリーで変わり者からコメントがついた。私からレスもつけたので、興味のある方はそちらもご覧ください。 どうも、当方の「ルーミエは、国内のネットショップから普通に買えるワインではなくなったのかもしれない(法外な金を払えば別だけど)」「ボンヌ・マールに村名からモレやらを5本以上つける悪徳ショップにはくみしたくない」という所がかんにさわったようだ。 コメント主は、生産者がこういう売り方をしているので、消費者も甘んじて受けろといいたいようだが、どれだけ上から目線なんだろうか。 断っておくけど、抱き合わせ販売は違法だ。違法なやり方を悪徳と書くのが悪いと思っているのかもしれないが、どう言いつくろっても悪徳だから。ワインを買い始めた消費者はよく覚えておきましょう。 でも、消費者の方から進んで複数本買って店の資金繰りに貢献するのは自由だから、グランクリュを分けてくれる店には、できる限りそうして恩返ししましょうね、といっているに過ぎない。 実は、まだコピペかどっかの掲示板のまわし物じゃないかと疑っているのだが…。マジレスかっこ悪い、とか書かれたりしてね(笑)。
2010.11.17
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たまにはワインを飲んだ感想でも。 ドメーヌ・メオカミュゼでは唯一の白。このワインは勝沼のレンタルセラーの整理のため自宅に持ち帰り、白がなかったので開けた。 結論から書けば、2005年の良さを今ごろ体験できた気がする。例年のクロサンフィリベールよりも一段上の質に感じる。 香りはいつもと同じように素っ気ない感じだが、口に含むと柑橘系の酸が心地よい。いろんな要素が詰まっていて、いま飲んで十分うまいが、まだまだ可能性を秘めている。飲み終わった後も口内で香りが持続する。 たくさん購入している人がいるとすれば、おめでとうといいたい。私はこれが最初で最後。諸事情のためとはいえ、こんな風にあっけなく飲んでしまうのももったいなかった。 最近では、同じメオの1999年のVRシャルムも飲んだ。これも在庫整理の一環だったのだが、やはり素晴らしかった。とはいえ、白のコスパの良さに比べると、赤はどうなのかなという気がしないでもない。 批判する気はないのだが、リアルワインガイドは、なぜこの作り手を追うのをやめてしまったのかな、もったいないという気がする。リシュやクロパラやブリュレだけがこの作り手の作品ではない。ネゴスは知らないが、比較的安い下のクラスのワインは結構いいと思う。お気に入りのドメーヌである。 米国市場に比重を置いている印象があるが、マーケティングの問題なのでこれは仕方がない。ところで、コートドールで日本に重きを置いているドメーヌというと、どこだろう。ルー・デュモンは間違いなくそうだと思うけど。
2010.11.13
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金沢マル源さんのルーミエの売り出し、仕事が押して参加すらできなかった。なんだか悲しい。もうルーミエは、国内のネットショップから普通に買えるワインではなくなったのかもしれない(法外な金を払えば別だけど)。決められた時間に、PCの前で争奪戦をやることには、もう疲れてしまった。誰がこんな風にしたんだ。僕はあのマンガが悪いと思っている。あのマンガの作者の姿勢には大いに疑問がある。ワイン愛好家の実態をマネタイズしたのはあの2人だ。分かりやすくいえば、あいつらは愛好家のふりをして、本当のワイン愛好家を食い物にした。ふざけた連中だ。それはともかく、これだけ切迫すると、村名だけを買い増すことは気が引ける。グランクリュをセットで売る店の事情にあわせて、村名を購入する余裕を空けておきたい。たとえばボンヌ・マールに村名からモレやらを5本以上つける悪徳ショップにはくみしたくないが、譲ってくれる店では購入本数を増やして協力したいと思っている。あそこまで需要が集中していなくて、品質が安定している別の作り手を探すのが、手っとり早い解決先である気がする。シャンベルタン系は選択肢が多く、すでに購入している作り手も多いので、モレ以南の良い作り手を探したいところだ。誰がいいかな。
2010.11.09
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いわゆる自然派と呼ばれるワインには、のめりこんでいない。一度に飲むワインの量が多かったころには魅力的にみえた時もあった。翌朝、あまり頭が痛くならないのがいいと。そのころの良い経験があるため、ルメール・フルニエのラベルを見かけると、いまでも引き込まれそうになる。しかしワインのボトル1本を数日に分けてチビチビと飲むようになった今、頭痛のことはあまり気にならなくなった。もっとも関心のあるブルゴーニュ・コートドールの作り手の中から、現実的な価格で売られているリュットレゾネやビオロジー、ビオディナミの作り手のワインを飲めばいいと思うようになった。自然派に力を入れているという店にいくと、どこも品揃えはそれほど変わりばえがしない。ルメール・フルニエこそ消滅したが、その他の著名な作り手のワインは、いわゆる自然派を得意とするどこのショップの棚にもよく並んでいる。自然派を得意とするインポーターのものを揃えていくから自然そうなるのだろうが、AOCでみると割高に感じられるワインもないとはいえない。人の手が余計にかかっているから、農薬まみれの同じAOCのワインより高くなるという説明も一見説得力がありそうだが、それではなぜ、フランスではコートドールの高級ワインと比べて格安で売られているそれらのワインが、日本ではあまり割安感のない、結構な値段になってしまうのだろうか。新興の輸入業者が本来価格の安いワインでプロモーションをかけているだけではないか、という印象を受ける。メディアに自然派の啓蒙家として登場する卸や小売の人物に、身内をひいきする姿勢が強く垣間見えることもたいへん印象が悪い。1人1人は優秀な作り手であり発掘者であり売り手なのだろうけれど。そこで、やっとタイトルに挙げたラピエールの話になる。彼のワインには幸運な形で出会えた。自然派のスターを育てようというワイン関係者は、既に著名だった彼のワインを軽くみていたように受け取れた。それが自分にはよい印象につながった。彼のボジョレー・ヌーヴォーを飲み、普通のモルゴンを飲み、素晴らしい作り手だと感心した。フィリップ・パカレとは何者ぞ、というところから彼のワインにアプローチしたが、ある年にパカレとラピエールのヌーヴォーを飲み比べ、自分の嗜好では完全にラピエールに軍配が上がった。なかなか飲む機会には恵まれなかったが、ボジョレーを飲むならラピエールを軸に、といつも考えていた。そんなラピエールが死んでしまった。外国の新聞によると死因はメラノーマで、享年60歳。彼の死を契機にワインを売ろうという輩には鼻白むけれど、いま店先に出始めているヌーヴォーではないワインは、敬意を表して手に入れておきたいと思った。今日、虎ノ門で売られた「ボジョレー シャトーカンボン2009」は1480円。ボジョレーに目を向けるいい機会となった。ラピエールに限らず、昔はこういう価格のボジョレーやコートデュローヌを良く飲んでいたなあ。
2010.10.17
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何気なく荒井由実の歌をきく。「春よ、来い」のいんちきな文語調に嫌気がさして、すっかりユーミンの歌から遠ざかってしまったが、最近ふと、思い出すように口ずさむ歌がある。「14番目の月」。この歌がソラで歌える人は、40代以上が多いのでしょうか。「愛の告白をしたら最後 その途端おわりが見える」「次の夜から欠ける満月より 14番目の月が一番好き。」いい歌です。最近、こういう歌はあるんでしょうか。スピッツもカバーしているんですな。それと「中央フリーウェイ」。こっちは、もっぱら勝沼に行く時、高速で口ずさむわけですが。同じアルバムに入っていたんですね。忘れてました。ユーアンドアイでLPを借りて、ダビングしたカセットテープを何度も何度も聴いたような気が。今はユーチューブで、ワンクリックでみられるので非常に便利。ちなみに、森山良子とかも最近は好き。それから、先日「おかあさんといっしょ」で「パフ」が日本語で流れてきたときには、すっかり嬉しくなってしまった。イッセー尾形の話とか思い出したり。ちなみに、中島みゆきとかは筋金。キヨシローも死んでからはまった。こんな私、まだぎりぎり30代。最近の20代の人の心の歌って、何なんでしょう。想像もつきません。
2010.10.09
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1カ月以上、間があいてしまった。気にせず続けよう。 毎回、1テーマづつなら長続きするのではないかと…(笑) ちなみに、きょうはアラン・ミシュロのNSG1996と、クロ・ノワールのフィサン・ジェルメ2005を飲んだ。 アラン・ミシュロ、おススメです。ラムロワーズで飲んだ1級がうまくて買い足したボトルだったが、サントリー輸入のNSGも実に素晴らしかった。これが普通という感想を持つ人は、普段どんだけすごいワインを飲んでいるんでしょうかね。(4)ワイン購入は資金不足の状態にあってこそ楽しい これは本音。 ワインを買うのは、それが贅沢で自分の可処分所得では限界があるという状態にあってこそ楽しい。 ひとの金でワインを好きなだけ買ってても、心底楽しめることにはならない。これはもう、断言してしまおう。 先日、東急百貨店のジョルジュ・ルーミエの2008年もののセールでは、先頭に並んだ方や、本店で抽選により先頭の方になったかたが、買えるだけ買ったことでしょう。私はクラ1本でしたが。 ルーミエでもルソーでもDRCでも何でもいいが、ワインというのはお金に限りがあるからこそ、買って楽しいものである。 現金でしか買わない人は、手持ちのお金の中でどのように最大効用を得るか、知恵をしぼる過程が実に楽しい。大物だけ買うか、本数を多めにするか。ある意味、その人の人生観まで見えてしまう感じだ。 一方、とりあえずクレジットカードで買っちゃう人も、これはこれで楽しい。いったい近い将来、いくら請求がくるのか。少し考えるだけで身の毛がよだつ。背徳感をともなってとても楽しいのである。 このことを痛感したのは、地方都市で上司のワイン購入に付き合った時である。ある時、私の会社の収益事業に協力してくれた外部の方に、お礼にワインを渡すことになった。いろいろあって、この協力者はお金を受け取らなかったので、彼に職場のみなさんと一緒にワインを楽しんでもらおう、ということになった。 地方都市から東急本店にワインの購入電話を入れたりする不良社員だった私は、ここぞとばかり呼び出された。かくして、市内で私自身が一番マシと考えていた、さるお店に上司と2人で訪問した。 上司 「どういうワインを買えばいいかなー」 私 「赤、白、泡と3種類あれば、とりあえず誰でも楽しめるでしょう」 上司 「そうか。じゃあ、よさそうな奴を選んでくれ」 そこで私は、まずボルドー1級とドン・ペリを選んだ。白は意外に選べる銘柄がなく、お店のストックのなかから、あまり知られていない造り手のシャブリの特級を選んだ。 ボルドーの1級は、その年だけ特別に金色のエッチングを施した豪華ボトルだった。ドン・ペリはエノテークか何かだったかもしれない。金に糸目をつけず、これとこれと選んでいくと、どういうわけか、今まで憧れていたワインに対する価値が、そこはかとなくはげ落ちていく気分がわいてきた。 あの、でかでかと金色であしらった羊のデザイン(どの銘柄か分かるように書いていますよ)。あこがれのようなものが簡単にはげ落ちたあの瞬間は、他人にはなかなか分かってもらえないかもしれない。でも、金さえあれば買えるワインってこういうものなんだな、という不思議な体験だった。 そのワインは私が口にしたわけではない。しかし、簡単に買ってしまった時点で、自分には価値がないもののようになってしまった。 やっぱり、探して、並んで、店員さんを脅したりすかしたりして、ワインを入手する体験にまさる楽しみはないんだな、と切実に思う。お金の多寡では断じてない。 昔、何かの本で読んだが、自己啓発セミナーとかでも、自分のお金でいかないとあまり身に付かない(洗脳されない)そうだ。真剣味が違うからだろう。ワインは、身銭を切って買ったり飲んだりするに限る。(続く)
2010.10.09
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