第2回闇鍋ワイン会



1、89年 モスカート・ダスティ・ベルサーノ(イタリア・微発泡・白)

 メルシャン輸入。アルコール5.5%。抜栓時に「シュッ」と言う音。何とグラスに注ぐと、大ぶりながらまだ泡が・・・!!
(さすがに60秒程で消えてしまいますが)。酸は落ちかけですが、何とか味わいのバランス取れていて、炭酸ガスの酸化防止剤としての効果を再認識させられました。但しその効果も香りには及ばなかったようで「モスカート」の香りは見事に(?)欠落していました。モスカートの香りが無い、モスカート・ダスティは初体験。やや甘口ですが、枯れた甘さとでも言うべき微妙な味わいが印象的。「闇ワイン」にするには惜しい佳品。
 ところがこのワインは2時間30分後に驚くべき変貌を遂げ、参加メンバーからの「マクドナルドのニオイ」という表現がピッタリの「キュウリのピクルス(マック・バーガーのミートパテの上に載っているアレ)」の香りが全開。「モスカートの熟成=ピクルス」という新たな発見(!?)もあり、最後まで楽しませてくれました。「キーワード:ローマの長すぎた休日」

2、NV マウイ・ブラン・テディスキィ・ヴィンヤード(ハワイ・マウイ島・白)

 「パイナップル・ワイン」です。バックラベルには「あの高見山関の生まれ故郷、ハワイ・マウイ島で造られた・・・」。まさにタイム・カプセルですねぇ~。現役時代の怒涛の突っ張りとぶちかましはすっかり影を潜め、山形の銘酒「樽平」をさらに古酒にした様な枯れた(老ねた)味わい。酸化が相当進んでいて、灰色ががかった褐色。かすかな甘み。アフターにほんのわずかに「パイナップル」らしきフレーバーが・・・。「キーワード:丸八!(分っかるかなぁ~)」

3、82年 マンズ・スペシャル・ロゼ・特別限定醸造(日本・ロゼ)

 マンズ・ワイン・醸造。セパージュは「善光寺」と「マスカット・ベリーA」。レンガ色。酸化したリンゴ果汁の香り、焦がしたカラメル、カルヴァドスの香りも。古いタンスを開けた時の様な香り。エグミのある酸っぱい味わい。
「キーワード:ニッコリ笑った梅干婆ちゃん」

4、83年 KATUNUMA WINE(日本・白)

 (株)シャトー・カツヌマ・醸造。きれいに酸化した香りと味わいに驚く。アフターに苦味と渋み。ブラインドならライトタイプのシェリー・フィノと答えそう。まだ十分に飲める。産膜臭が苦にならない。メリハリの利いたアフター。
「キーワード:映画「海猿」の源教官(藤 竜也)」

5、80年 甲州古酒・2000年記念ワイン(日本・白)

 まるき葡萄酒(株)・醸造。80年ヴィンテージを20年貯蔵して2000年にボトリング。輝きのあるグリーンがかった濃い目のイエロー。香りの立ちが弱い。かすかに「甲州」の香り。味わいは正に「甲州」そのもの。膨らみのあるやや辛口。白桃、八角の香り。残念ながら酸が不足。ピークはすでにオーバー。
「キーワード:遅すぎた春」

6、85年 セミヨン・ポレール(日本・白)

 サッポロワイン・醸造。きれいな淡いイエロー。こもった古雑巾の香り。酸がドロップ。味わいも構成要素が抜け落ちた平板なもの。アフターに苦味残る。
「キーワード:君の名は???」

7、76年 シャトー・リオン・シャルドネ・房より(日本・白)

 サントリー・醸造。かなり酸化が進行。まるでキャラメルのような香り。焦げ臭も。アフターに渋み。酸はまだ残っている。
「キーワード:思えば遠くへ来たもんだ」

8、NV ソーヴィニョン・ブラン・ポレール(日本・白)

 琥珀色に近い濃い色調。強烈な産膜臭(シェリー香)。アフターに渋みと苦味。リンゴ酸のみ。国産「ヴァン・ジョーヌ」か?。
「キーワード:陽のあたりすぎた坂道」 

9、90年 バンドール・ロゼ・ドメーヌ・デ・エルミタージュ(プロヴァンス・ロゼ)

 サントリー輸入。アルコール12.5%。淡いサーモン・ピンク。グルナッシュの香りが印象的。酸化が進み、酸味がかなり落ちている。アフターに苦味。「薄い」味わい。まだ飲めるが明らかにピーク・オーバー。
「キーワード:太陽がいっぱい、だったかも?」(主演:リンゴ・サン・ドロン)

10、87年 シャブリ・モロー(ブルゴーニュ・白)

 コレを飲んで、久しぶりに生き返った心地がしたものです。酸化熟成したノワゼット香。こちらは酸がまだ残っていてOK。きれいに枯れた味わい。うまいでないの! 普段ならスルーしてしまうワインでも、これだけ強烈なやつを立て続けに味わった後だと「美味しく(!)」感じられてしまう、というアブナイ感じが、ス・テ・キ。
「キーワード:LES FEUILLES MORTES(枯葉)」(唄:イベット・ジロー)

11、79年 サン・トーバン・プルミエ・クリュ・レ・シャルモ・ドメーヌ・デュ・ピモン(ブルゴーニュ・白)

 やや濃い目のイエロー。ふくらみのあるタル香と熟成した果実香が心地良い。酸化熟成は進んでいるが、まだまだ美味しくいただけます。ピークをすでに折り返し、なだらかな下り坂の途中。これは「闇」ではなく「表」で十分に通用するワインですね。
 老境に入った「ヘンリー・フォンダ」がスクリーンの中で見つめていた、夕映えに輝く湖面のような色調が、心を和ませてくれる「癒し系」の1本。
「キーワード:黄昏(原題:ON GOLDEN POND)」

12、90年 マコン・ウシジィ・カーヴ・フォーション(ブルゴーニュ・白)

 淡いブランデーのような、ややくすんだ灰色がかった色調(にごり有り)。「フォーション」のハウス・ブランドなので「ダージリン」の香りを探しましたが皆無。思い切り鼻腔を直撃する産膜臭。味わいも酸っぱく、完璧に劣化。
「キーワード:70年後のパリの花売り娘」

13、92年 コート・デュ・ボーヌ・レ・モン・バトー(ブルゴーニュ・白)

 灰色がかった淡い琥珀色。褐変したリンゴの香り。見事に(?)熱劣化した白。ムレた香りと味わい。アルコールが遊離して感じられる。
「キーワード:なんまんだぶ、なんまんだぶ、合掌」

14、NV ヴァン・ド・ターブル・221 BIN・ベーカー・ストリート・ロンドン(フランス・VDT・白)

ロンドン・ベーカー・ストリートのシャーロック・ホームズ記念館でスーヴェニールとして購入後、ハンドキャリーで極東の地に移動。以後物入れの奥で静かに(当然、常温で)この日を待っていた、フランス産テーブル・ワイン。
エチケットにプリントされたホームズのパイプを銜えた横顔がいい感じです。「シャーロキアン」なら泣いて喜ぶ逸品。
きれいに酸化熟成した、穏やかな味わい。セパージュは「ユニ・ブラン」「コロンバール」あたりの混醸でしょうか・・・。
キーワード:「いささか保存に問題は見られるが、まだその本質は失われていないようだね、ワトソン君?」。

15、86年 ベリンジャー・ドライ・フレンチ・コロンバール・ナパ・ヴァレー(カリフォルニア・白)

ブッショネの香り。酸がドロップ。アルコールはしっかり。アフターに苦味。粗い味わい。
「キーワード:怒りの葡萄 By スタイン・べック」

16、90年 エルミタ・デスピレス・ペネデス(スペイン・白)

真打登場!今回の「闇鍋大賞」に輝く強烈な1本(会終了時の投票でブッチギりの1位)。
15名の参加者がそれぞれのグラスに注いだ後も、750mlのボトルに半分以上残っていたという、人気の無さからもそのパワーの凄みが伺えると言うもの(^^;)。とにかく産膜臭がきついのなんの。味わいは「苦い水」が一番近い表現か。ボトル全体に粒子の粗い「オリ」状の浮遊物が拡散。光源にかざすとまるで万華鏡のようにキラキラ輝いて、女性陣の評価が高かった(高い?)強者。
キーワード:勇者「エル・シド」(死してもなお強し)

17、88年 ブラックバード・ベライヒ・ニアシュタイン・Qba(ドイツ・白)

アルコール10%。トップにくるのは、なぜか「焼きイモ」の香り。遊離した感じを抱かせる「甘い」系統の香り。
これは、かなり添加されたであろう「ジュース・レゼルヴ」が酸化熟成したものに由来するのでしょうか?腰の抜けた、薄い甘み。
キーワード:「バイ、バイ、ブラックバード♪」(キース・ジャレット。懐かしい・・・)

18、84年 トロールマンヒェン・ブルグイライヤー・ヴァイングート・ジョゼフ・ホーファーシュロスシューレ(ドイツ・ナーエ・白)

稲葉輸入。セパージュは「ミュラー・トゥルーガウ」「モリオ・ムスカート」。
輝きのあるゴールド。うまく熟成を遂げた、穏やかな果実香。甘みがきれい。アフターに渋み残る。ピーク過ぎているが、まだOK。
キーワード:「ワイン・スキャンダル発覚の1年前」(当時は大変でした)


19、76年 シュタインンヴァイラー・クロスターリプフラウエンベルト・カビネット(ドイツ・白)

ピーロート輸入。セパージュは「ミュラー・トゥルーガウ」。アルコール10%。ほとんど紹興酒状態。酸がドロップ。アフターに苦味とエグミ。薄っぺらい甘さが残る。
キーワード:「バック・ラベルで納得」

20、85年 ムルソー・ポチネー・アンポー(ブルゴーニュ・白)

明るいイエロー。タル香とやや老ねた香り。タルの不衛生に由来の「バクテリア汚染」の香りか。薄く、軽く、バランスの良くない味わい。別ボトルも試しましたが、こちら方がやや良好でした。
キーワード:「ぼちぼちでんなぁー」

21.88年 ボジュレ・ヴィラージュ・J・モロー(ボジョレ・赤)

きれいなガーネット。トップにストロベリーの香り。酸がまだ残っている。アタックに感じた甘みが時間とともに、どんどん薄れてゆき、3分後には「サラサラの液体」に変化。マジックを見ているよう。
キーワード:「玉手箱を開けたなぁ~!」

22.NV メルシャン・シルバー・プルミエ・グラン・クリュ(日本・赤)

製造元:「山楽オーシャン」。何しろ「プルミエ・グラン・クリュ」ですからねぇ。当時はSOPEXA(フランス食品振興会)
はもちろん無いし、おおらかな時代でした。「赤玉ポートワイン」もスゴイですけど。
きれいなガーネット。ムレた香り。酸化が思い切り進んでいる。
キーワード:「昔の名前で出ています」

23.86年 マンズ・カベルネ・ソーヴィニョン(国産・赤)

オレンジがかった明るいガーネット。酸化は進んでいるがまだ何とか飲める状態。ボディの残り具合から見て輸入のバルク・ワインが結構入っているのかも。
キーワード:「あすなろ物語・ワイン編」

24.75年 シャトー・リウネ・オー・メドック・クリュ・ブルジョワ        (ボルドー・赤)

きれいな熟成を遂げた佳品。濃い目のガーネット。アタックにかすかな甘み感じ、いかにもボルドーの古酒という趣のある味わい。但し寿命は最初の「5分間」のみ。5分で香り、味わいともに急速に色あせてゆく。
以前に飲んだボトルの方が、最初の甘みのふくらみ具合が良かったようです。
キーワード:「腐っても、ボルドー」

25.70年 クレーム・ド・山梨・マンズワイン(日本・白・甘口)

特別限定醸造のフォーティファイド・ワイン(酒精強化ワイン)。灰色がかった琥珀色。カラメル、
クリーム・ブリュレの香り。旨み十分。アルコール17%。濃い甘み。アフ
ターに苦味がしっかり残る。
年代からみて「アンチ・アイス」の可能性も。この辺のドキドキ感も闇鍋の醍醐味ではないでしょうか?(え、違うって?)。
キーワード:「凍結無用!・冬の北海道でも安心です」

26.97年 シャブリ・プルミエ・クリュ・ヴァイヨン・マグナム・ドメーヌ・コレ(ブルゴーニュ・白)

以上で闇鍋25アイテムは全て終了。ここからは「表」のワインです。このマグナムは「シェフさん」ご提供の、
疲れ切った舌に優しい「レスキュー・ワイン」(地獄で仏とはこのこと。ありがたや)。
輝きのある濃い目のイエロー。ミネラル、旨み十分。心地よい酸が広がる。まだまだ熟成の途上。やはりマグナムのタイム・スケールは長いなぁー。

27.NV マディラ・セルシアル・バーベイト 10年
     (ポルトガル・マディラ・白)

最後を締めくくるのは、今回の実行委員長「酔狂さん」ご提供の1本。
もちろん「表」なのですが、今回あまりに「闇パワー」の強いワインばかりだったためか「ごくフツーのワイン」に感じられたのは私だけでしょうか?。かなり味覚に変調を来たしているようです。そういえば、何となく舌が痺れてきたりして・・・。



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