全国の名物研究所

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名物調査 【秋田県】



 だから秋田県の紹介は、何回かにわけてじっくりやりましょう。

 今日は、その予告編です。

 秋田県はご存知のとおり、日本を代表する米どころ、新潟のコシヒカリか秋田のあきたこまちか、岩手・宮城連合のひとめぼれあたりが、いわゆる超メジャーブランド米。

 個人的にはあきたこまちが一番好きかな。で、秋田のすごいところはそんな美味しい米があるにもかかわらず、その米を加工する郷土料理があるというところ。よく言うじゃないですか。美味しい米はそのまま熱々のご飯で食べるのが一番だと。

 でも秋田は、それをさらにひと手間もふた手間もかけて、きりたんぽにしてるんですよね。

 ご飯をつぶして棒にまきつけて囲炉裏で焼く。それが「たんぽ」でそれを切ったから「きりたんぽ」というらしい。

 棒に巻きつけず、団子状に丸めて鍋にいれる「だまこ汁」というのもあるが、ルーツは一緒でしょう。

 きりたんぽは今やポピュラーとなって、北陸のスーパーでも普通に売っていますが、美味しいのとまずいのがあるんです。

 秋田市の川反で食べたきりたんぽは比内地鶏の肉とまいたけが美味しかった。東京の秋田料理の店で食べたことがありますがいまいちだったなぁ。

 聞くとちょっと値段は張るけど、お取り寄せのきりたんぽセットは本場の味を再現しているらしい。

【本編】

 こうやって、全国各地を順繰りに紹介していくと、今まで何気なく疑問に思っていたことなんか解決できたりして、とっても勉強になります。

「他人の勉強に付きあう暇はない」なんておっしゃらずに、ぜひ皆さんが知っているいろいろな県の名物ことを教えてくださいな。

 そして、食を通じて各県のこと、ひいては日本のことをもっと深く理解できたらすばらしいと思っています。何分、消費者としてはプロですが、生産や流通のことはプロの方にアドバイスいただければと。

 さて秋田県は前にも書いたとおり、東北でかなり際立った食文化を持っていると思います。まずなんといっても「米どころ」であるということが強みでしょう。

 秋田のお米と言えば、真っ先に思い浮かぶのが「あきたこまち」でしょう。1984年に「あきたこまち」として登録されたそうですから、その歴史はわずか20年ちょっとなんですね(「ひとめぼれ」はもっと新しい)。

 東北農業研究センターの資料によれば、「コシヒカリを母に、1975年に福井県農業試験場で人工交配され、その第一世代の株を秋田県農業試験場が譲り受けた」とあります。実はコシヒカリの発祥地もこの福井県農業試験場で、コシヒカリは「越の国(昔は福井県から新潟まで全て越の国)の光り輝く米」から名づけられたんです。

 コシヒカリが福井県生まれということは福井県民以外はあまり知らないでしょう。でも、そんな福井県民でさえもあきたこまちの生誕に福井県が関わっていたということはほとんど知られていないでしょう。

 北陸の話が出てくるとつい長くなりましたが、秋田県に話を戻しましょう。

 個人的な思い出で恐縮ですが、私がはじめて一人旅に出かけたのが秋田県でした。当時中学2年生だったかな。今思えば神奈川県から親戚がいるわけでもない秋田県へ何しに行ったのでしょうか? まあ、それを許した親もすごいですよね。

 何分、昔のことなので断片的にしか覚えていませんが、ローカル線の車中で相席となった秋田市のOLさん2人がとても美人だったことと、秋田駅の待合室で買ったおにぎりがとても美味しかったことだけは今も鮮明に記憶しています。そんな頃から「色気と食い気」だけは盛んだった自分に呆れますけど、それ以来、秋田県と言えば「美人とうまい米の産地」という強烈な印象をインプットされていたみたいです。一人旅とはいい社会勉強になっていたみたいですね。

 その時、見渡す限り地平線まで続く八郎潟の田んぼに、「米どころ」のすごさを目の当たりにしました。今も大潟村のあきたこまちを好んで食べていますが、あの壮大な中で育ったお米と思うと感慨もひとしおです。私の場合、特にお米はどんなところで採れたのかがけっこう気になりますので、どうしても行ったことがある土地、そして想像がつくところのお米を買ってしまいがちになります。

全農秋田の問題でちょっとダークなイメージとなってしまったのが残念でなりません。


●参考までに、日本穀物検定協会の食味ランキング(平成16年度)では、あきたこまちは以下の7地区が評価されています。

 岩手 県中 あきたこまち 特A
 秋田 県北 あきたこまち 特A
 秋田 県南 あきたこまち A
 山形 内陸 あきたこまち A
 愛媛 東・中・予 あきたこまち A
 茨城 県南 あきたこまち A’
 長野 中信 あきたこまち A’

 この特A評価を鵜呑みにするのもどうかといいましたし、前回の岩手県編で「あきたこまちは秋田県のもの」ともいいましたが、岩手県中産のあきたこまちは秋田県南を差し置いて特Aとは立派です。

 さらに驚いたのが愛媛県であきたこまちを作っていて、しかもその評価が「A」。どんな食味なのかぜひ一度試してみたいです。

 日本人はちょっとやわらかい粘っこいご飯を好む傾向があるようで、そんな好みにマッチしているのがコシヒカリ。「あきたこまち」や「ひとめぼれ」はコシヒカリよりは粘りが弱いといいますが、それがかえって若い人には人気だともいわれます。

 ただ、コシヒカリも産地によってはかなり食味が違いますので、淡白系が好きな人は「新潟ではなく富山県産のコシヒカリ」と産地指定をするとか。

 ちなみに、「あきたこまち」や「ひとめぼれ」は病害虫に弱いので特別栽培米には難しいとか(新潟県のコシヒカリはいもち病に強いコシヒカリBLに進化しているそうです)。

【本編続編】

 全国の名物図鑑は秋田で止まっていました。

 秋田はまだ途中なので、とりあえず続きを。

 前回はあきたこまちの話で終わりました。その前に予告できりたんぽの話をしましたのでそれ以外の秋田の食について書きます。

 実は最近、面白い発見をしました。

 それは何かというと、秋田県と私が住む石川県(一部は富山県)との不思議な共通点です。

まずその1
 秋田県は男鹿半島のなまはげといえば怖い顔した鬼が家々を回って、怠け者やいうことを聞かない子どもを脅すというもの。これと同じ行事が能登半島に現存しています。「あまめはぎ」といいまして、「あまめ」とは「なまけタコ」のことで体にできたそんなタコを剥ぎ取りに来るといいますから想像しただけでも痛いです。

その2
 大豆から作られる醤油が広まる前、魚から作った魚醤油と言われるものが一般的でした。多くは廃れてしまいましたが、今も残る数少ない魚醤油が秋田県の「しょっつる」と石川県の「いしる」(「いしり」とも言う)です。秋田県の「しょっつる」は本来ハタハタが原料(「いしる」はイカやイワシ)でしたが、乱獲で数が激減して一時は全面禁漁となり、こうなごやアジ、イワシなどが代用されるようになったようです。ちなみに石川県でもハタハタはたくさん水揚げされていますが、「いしる」の原料になるとは聞いたことがありません。

その3
 醤油ソフトクリームが名物。そもそも、ソフトクリームに醤油を入れるなんてセンス、正直ちょっと変だと思いませんか? そんな変わったものを名物にして売り出しているのが、秋田県角館町と石川県金沢市(大野地区)なんです(まあ他にもあるんでしょうけど有名なのはこの2箇所)。で、気になるお味ですが、思いのほか美味しいと私は思います。かなりキャラメル風の風味です。でも家族には評判が悪いです。いずれにしても、こんな発想とそれを商品化して売り出す勇気、さらにそれを受け入れる味覚は、なんか見えない糸でつながっているとかしか思えません。

その4
 雪国の寒風にさらして乾燥させた保存用の餅作りが冬の石川県や富山県では風物詩になっています。ひもで切り餅を暖簾のように連ねて縛ったものを軒先や屋内に吊るすようです。石川や富山では「かきもち」って言いますが、秋田にも同じものがあり、「ほしもち」といいます。「かきもち」というのはよその県にもありますが、形状が秋田県と石川・富山県のものとは酷似しています。

その5
 秋田県の名物としてかなり上位にランクされるのが稲庭うどんではないでしょうか? そうめんを作るように手延べで作られるうどんで、足で踏まない上品なうどんであることから献上品として昔から高級うどんとして知られていたそうです。普通のうどんとはまったく違うつるつるしこしこの食感とのど越しは、足踏みは別にしても高貴な味わいですね。こんなうどんは他所にないと思っていたら、能登半島の付け根の富山県氷見市には氷見うどんという、稲庭うどんと同じ製法のうどんがありました。厳密に食べ比べたわけではありませんが、稲庭うどんに勝るとも劣らない、そんな美味しいうどんです。

う~ん、こうやって考えると、なんか面白いですね。

北前船を出すまでもなく、同じ日本海側であり海路のつながりがあったことはもちろん、大陸との交流や地理的なこと(どっちも日本海に大きく突き出した半島がある)など、色々のことが考えられますが、こじ付けといえばそれまでかな。

でも、新潟や山形とはこんな類似はなさそうだし。どうしてだろうか?


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