デボラ




ハワイに初めて来た時に出会った不動産ブローカー。
家を探していて、その時点ではハワイでやっていけるのか又その
スーツケースを担いでアメリカ本土に戻るのかわからない。

仕事も知り合いも無く、片道切符を手に、旦那(その当時フィアンセ)と二人で結婚をハワイでして、できれば住みたいという願いを持っていた。
仕事が見つからなければ、島を出る。
でもホテル住まいでは料金が高くてとうていやっていけない。

新聞を買って家を探し始めた。まずは、month to monthといって一月ごとに貸してくれるところを探そうとした。すると、ハワイではバケーションレンタルのカテゴリーに入り、2倍も3倍もする。2000ドルなどと一部屋しかないのに平気で書いてある。で、何件もの不動産の人に6ヶ月か1年契約の家しかありまんよ、バケーション以外では。と教えてもらった。

でも、仕事も無いのに6ヶ月なんて契約できない。
焦った。
とても焦った。

そして、奇跡はやってきた。
ホテル暮らしも4日目くらいでまだまだ気分は新婚旅行。
新聞の広告欄にスーパーナイス。スーパー広い。値段は書かれていない。
電話番号のみ。旦那が、
「他の借りれそうな値段のところに電話するけど、ここにもかけてみたい。
このスーパーナイスな場所について知りたい気もする。」
まあ、かけるだけならなね。ということで電話した。

すると、値段は交渉次第。しかも交渉次第。
そのブローカーの人は、だんなの声を聞いて
その声に気に入ってしまい、どうしてもみたくなったし、
旦那の状況を聞いて、力になりたくなった、らしい。

指定された住所に物件を見に行った。
すごくゴージャスなコンドミニアムだった。
気分は芸能人?だった。

セキュリティーの人も門番で24時間いる。40階建てで、
3階がレクレーションの広場で、図書館、会議室、プール、サウナ、バーベキューが何台もあり、庭にもなっていて、テニスコート、フィットネス、卓球場があった。

部屋は、21階で家具も家財道具も壁掛けまで全て備わっていた。

その部屋に住む私=芸能人?と錯覚を起こすかのようにとてもいい部屋だった。デボラは、なんんと2ヵ月半貸してくれると言う。しかも、最初に要求していたよりも700ドル安い金額で。

彼女は、何度も
「最初からあなたたちがここを借りることになるって知っていたわ。だから驚かなかったの。ハワイには精霊がいて教えてくれるのよ。ここに住むべき人たちなのか観光客として本土に帰っていくのか」

それからデボラは話を続ける。

「通帳にミリオンダラー入っていても貸せないヒトには貸せない。ミリオンは通用しない。通用するのは、人を尊重できる人たちなのかどうか。人を尊重する人は、人に属しているものも尊重する。よってアパートも大切に扱う。この町にはね、いろいろな現象があるの。森の精霊とか海の精霊がいっぱいそこら中を浮遊している。」

そういって、デボラは両手を上に上げて何かを触るようなしぐさ。そういわれてみると、なんだか精霊がここにも遊びに来ているようにさえ思えてくる。

「私は、**(旦那様の名前を呼ぶ)の声に惹かれたの。とてもやさしい、素敵な声。声だけで私は精霊から伝言を受けたのよ。手伝ってあげなさい。」って。

最後に彼女は、
「これからは、ハワイに住む精霊と仲良く共存していけるように心がけてね。いつもあなたのまわりにいるんだから。妖精のダンスに耳を傾けてね。」
といい、色々な事を教えてくれた。どこに電話したらケーブルテレビがつながり、どの銀行が一番いいのか(理由つき)、どの遠距離通話会社のどのプランがいいのか、などなど色々教えてくれて、いつもいつでも電話頂戴ね。というのだった。

そのデボラのお陰で、ハワイでの生活をスタートさせることが出来た。
その1週間後に旦那も仕事が見つかり、私のビザの手続きもうまく行き就労ビザも降り、降りた次の日に電話をかけたらすぐに仕事も決まった。

これは、森の妖精たちのちからなのだろうか?私たちの肩に降りてきて、力になってくれたから全てが無理することなく、私たちに降りてきたチャンスだったのだろうか?未だにわからないけど、
デボラの言葉を信じることにしている。




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