オレとアイツ


『オレとアイツ アイツとあたし ―平行線―』

<オレとアイツ>

質問:あなたは大切なヒトを傷つけてしまった事はありますか?

オレにはそのヒトがとてもかけがえのない大切なヒトで――
気付いた時には遅かったのです――

オレはいつものようにアイツの家の前にいた。
それがオレの日課だからだ。
ガチャ…
アイツが玄関のドアを開けたと同時にオレは元気よく話しかけた。
「よっ 今日もいい天気だなー」
「…」
笑顔でお出迎えしたオレにアイツは無言で返した。
これもまたいつものこと。
「なぁなぁ 昨日のドラマ見たか?」
気にもせず…
と言ったら嘘になるが、オレはひるまず続けた。
そんなそっけない態度をとるのもオレのせいだから――
「おーい 聞いてる?」
そう言ってオレがアイツの顔をのぞきこんだ瞬間――
「うざい」
ピシッ
オレのどこかできしんだような音がした。
陽気に話しかけてやっと返ってきた言葉が“うざい”の三文字。
「なっなんだよ!性格ブス!!」
――あ
「…ブスだもん」
やってしまった。
オレは最大のタブーを口にしてしまったのだ。
アイツは一緒に学校へ行こうと迎えに来たオレに目もくれず、
スタスタと学校へ向かっていった。
そんなアイツの背中を見ながら自己嫌悪。
オレは自分を責めずにはいられなかった。
「あぁ~~オレってばか~~~~~っ」

「それ本当?」
「ほんと!ほんと!」
教室についたオレが一番に目にしたのはアイツが友達と仲良さげに話す姿だった。
「あははっ」
くそっ 笑ってやがる!
アイツはオレ以外の奴には笑顔を向ける。
ちぇっと
つまらなそうに席に座った。
そして机にひじをつき顔を上げて考えた。
…でもそれは――
オレのせいなんだよな…―――

『オレお前のこと好きだよ』
コレは幼い頃のオレ。
『うん…アタシもだよ』
そしてこれがあいつ。
今からだと信じらんねぇだろ?
でもきっと――
これがオレらの本来の姿だと、オレは思うんだ。
オレとあいつは幼なじみで…お互い好きあっていた。
あの瞬間が訪れるまでは――
『お前アイツが好きなのか?』
教室にて。
クラスの男子共がオレの周りに集まってきた。
アイツはクラスのマドンナ的存在で、モテていた。
『ラヴラヴだよなー』
『ラーヴラヴ♪ラーヴラヴ♪』
そしてラヴラヴコールをオレに投げつけてきたんだ。
まだ幼かったオレは――
『な なに言ってんだよ!
オレがあんなブス好きなワケねーじゃんっ!!』
――照れだった。
そして
『!お前ッ』
アイツは聞いていたんだ。

―――それ以来、アイツはオレに冷たい。
当時 小2。
そして中3になった今も変わらず。
「時間がたてば…と思ったんだけどな…」
――時が傷を癒してくれる――
その時に頼って7年、
オレは裏切られた。
それも見事に。

でもやっぱり――
アイツのあの態度はオレのせい。
オレは――
あの言葉を吐いてしまった事くらい後悔した事はない。
―『ブス』―
最大の汚点だ。



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