アイツとアタシ



質問:あなたは大切なヒトに傷付けられた事はありますか?

アタシにはそのヒトがとてもかけがえのない大切なヒトで――
見えない深い傷をおってしまったのです――

アタシが玄関のドアを開けると
いつものようにアイツがいた。
「よっ 今日もいい天気だなー」
笑顔でアタシを出迎える。
アタシはそんなアイツに――
「うざい」
冷たく当たる。
「な なんだよっ 性格ブスッ!!」
ズキン…
「…ブスだもん」
あいつに背を向けてそのままひとりで学校へ向かった。
でもそれは――
アイツにアタシの顔を見られたくなかったから。
――…だってアタシ…
泣きそうな顔してる――
これ以上、傷を増やしたくないんだ…――

「ブースッ」
「!」
ふたりの女の子が笑いながら話していた。
「も~ぅ ブスって言わないでよ~」
「冗談だってばぁ」
アタシはおもわず反応してしまっていた。
――ブスという言葉に――
ガララ…
ひとあし遅れてアイツが教室にやって来た。
アタシはそれに気付くとすぐに目をそらし、近くにいた級友に話しかけた。
あいつの顔を見たくない――
でもその前に、
アタシの顔をアイツに見られたくないんだ――
ブスなアタシの顔を…―――

『本当にかわいいわねー』
アタシは幼い頃、近所でかわいい子と評判でした。
髪はサラサラのストレートロング。
服はフリルのワンピース。
これはママの
『女の子はいつだってかわいくなくてはいけない』
という教え。
あの日もそんな格好で――
アイツからあんな言葉を聞こうとは思ってもみなかった。
『あんなブス好きなわけねーじゃん!』
――『ブス』――
アタシにはその言葉が重く
痛すぎた。
『…』
言葉を失い――
涙さえ出なかった。
本当に哀しい時には涙が出ない事を覚えた。

――なじみのない言葉にショックを感じたんじゃない――
アイツに言われたから痛かった。
アイツの言葉は重く
今も傷は消えていない。
たぶんそれは――
アタシはあいつのことを
たぶんきっと――
まだ好きなんだ。
あいつがそばにいるかぎり新しい恋なんてできない。
―――早く離れたい―――



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