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オレとアイツ アイツとアタシⅡ
―――日曜日―――
「いや~!いい天気だなぁ」
「そーだねー」
遊園地のゲートをくぐった正斗と南は満面の笑みを浮かべた。
「…」
それにひきかえ、咲也と雪花はぼんやりと黙っていた。
デートは咲也と雪花が南と正斗の気持ちを伝えた次の日、
取り決めた。
なのに…
主催した自分達は見るからに乗り気じゃない。
「?元気ねーぞ咲也!」
バンッ
「!」
正斗は笑顔のまま勢いよく咲也の背中を叩いた。
相当、嬉しくて舞い上がっているようだ。
「痛ぇなッなにすん――」
「それよりこれから別行動なッ」
「!」
――あ…
まただ。
「お前は南と頑張れよ。せっかく雪花チャンが紹介してくれたんだからな」
また――
痛い。
胸が痛い。
―――痛いぜ―――
「じゃ!3時にまたここでな」
咲也と南、雪花と正斗で別行動。
デートは幕を開けた―――
「えへへ~咲也クンと遊園地で遊べるなんて嬉しいナァ~」
「…ははは」
咲也と南は肩を並べて歩いていた。
雪花の口からその言葉が聞きたいぜ、と思いながらも
笑顔の南に少し罪悪感を覚えた咲也。
(――なにしてんだろ…オレ)
自分の気持ちははっきりと分かっているのに――
――雪花が好き――
分かっているのに…
なんで自分はここにいる?
雪花ではなく南とこうしてる?
「咲也クン…?」
―――どこまでも平行線なのか?―――
「雪花チャンって本当にかわいいよねー」
「え…っそんなことないよ…」
正斗は思ったまま口にした。
だけど雪花は――
(かわいくなんかない…)
咲也にブスと言われた日から自分はブスと認識した。
(私はブスなんだ――)
そう思うと普通に咲也と一緒にいられなかった。
素直になれなかった。
“嫌い”と言われたような気がして――
「あっ雪花チャン!お化け屋敷があるよ」
前方にお化け屋敷を見つけ、指を差した。
しかし雪花は――
「…雪花チャン?」
聞こえていない。
咲也のコトを考えると
周りの声など耳を通らなくなる――
(咲也と南チャン…今頃どうしてるだろ?)
気になる。
そんな権利なんてないのに。
咲也に南を紹介したのは他でもない雪花なのだから――
ズキン…
(まただよ…)
また――
胸が痛い。
(痛いよ…)
―――どこまでも平行線なんだ―――
「雪花チャン、はい」
ベンチに座っている雪花のもとに
ソフトクリームを両手に持った正斗が帰ってきた。
「ありがと」
雪花はそのソフトクリームを笑って受け取った。
「隣…いい?」
「うん」
正斗は雪花の隣に座った。
時刻は2時30分――
まだ待ち合わせの3時にはだいぶある。
雪花と正斗は予定よりも早く待ち合わせ場所についてしまっていたのだ。
「あの…さぁー」
正斗はゆっくりと口を開いた。
少しよそよそしい動きを見せる正斗に雪花はくびを横に傾けた。
「オレ!…雪花チャンのこと好きなんだ」
「!」
「付き合ってくれない?」
正斗の突然の告白。
まっすぐ雪花を見る正斗の目は――
真剣だった。
そして雪花も口を開く。
「―――いいよ」
「あ!もぅいる~ おーいっ雪花チャン正人クーン!」
3時、ジャストに咲也と南が到着した。
手を振りながら向かってきた南の姿には
楽しかったデートの様子がうかがえる。
「ふたり共早いねぇ ってあたし達が遅いのかなぁ?」
雪花は南のおちゃめなトコロに微笑んだ。
だけど―
咲也のコトが見れなかった。
「帰るか」
「じゃ、オレらこっちだから」
正斗と南、
咲也と雪花で2方に別れた。
ふたりは幼なじみなだけに家が近い。
だから気持ちにかかわらず、一緒の道を通って帰らなくてはいけなかった。
―気まずい。
―空気が重い。
雪花はそんな空気を破るように口を開いた。
「アタシ正斗クンと付き合う事になったんだ」
「! な…っ」
雪花はたんたんと話しだした。
「だからいつまでも昔のつぐないなんてしなくていいんだよ」
全然嘘だ…
「アタシ全然気にしてないし」
気にしまくってるくせに…
「だからもうアタシにかまわないで!」
そんなこと思ってない…けど…
そう言わずにいられない――
これで終わりにしたいから。
しかし咲也は――
「嫌だ!!」
「!」
「オレ雪花のコト好きなんだ!!」
「…っ!」
「だから…オレは…っ」
嫌だ――
聞きたくない。
雪花は即座に口をはさんだ。
「やめてッ!」
それ以上言わないで。
「お願い…」
決心した気持ちが――
―――揺るいでしまうから―――
「…ごめん…オレもぅ雪花に近づかないから…」
す…
肩が離れていった。
前をゆく咲也の姿がひどくちっぽけに見えた。
――嬉しかったよ…咲也の気持ち――
でも雪花は素直になれない。
いつまでも昔の事を気にしている自分がいるから。
咲也が自分に接するのもきっと昔のつぐないの気持ちからだと疑ってしまうから。
そして――
正斗を選んだ。
ズキン…
それでも痛んでしまうこの胸が…
―――憎い―――
「…」
自分の部屋のソファーに横になった咲也。
やっと自分の気持ちを伝えられたのに――
――『やめてッ!』――
雪花には届かなかった。
(雪花…正斗が好きだったのか…でも―)
拒否されたのに…
伝わらなかったのに…
雪花のコトが――
でもダメなんだ。
ズキン…
どんなに頑張っても手に入らないものがある―――
そんなことを覚えらされた。
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