ふたりの平行線*完*



そしてWデートから2週間がたった日――
雪花と正斗が動物園でデートをしていた。
あれから咲也は
雪花と接触していない。
あの日を境に今まで日課だった家に向かいに来る事もなくなった。
そんなことが当たり前になりかけていた。
「―見て!たぬきだよ、雪花チャン」
「…え あっうん!かわいいね」
そうだ――
動物園にいたんだ、と雪花はハっとした。
「…」
正斗は雪花を見つめた。
そして――
「咲也」
「!」
正斗は急に“咲也”の名前を口にした。
そして雪花はビクっと反射的反応をした。
「好きなんだろ?咲也のコト」
「―なっ」
「分かるよ…オレといる時ずっと心ここにあらずってカンジだったし」
いつもボーっとしていて
正斗の言葉に反応しない事も多かった。
付き合ってすぐに気付きだしていた。
「…あ…あたし」
(怒られるッ)
雪花はそう思って否定しようとした。
だけど正斗は――
「オレもずるかったな…だんだんと気付きだしていたのに…
なんとかこっちを振り向かせたかった」
正斗は優しく微笑んだ。
「好きなんだろ?だったらオレのコトはいいから――」
――咲也のところに行ってやって――
――素直になっちゃいなよ――

「ハァ…ッハァ…ッ」
雪花は走っていた。
咲也に遭うために―――
咲也のもとへ。
―『素直になっちゃいなよ』―
正斗が教えてくれた。
背中を優しく押してくれた。
正斗と付き合って咲也を忘れようとした。
悪く言えば利用したのに――

ピンポーン!
ピンポーン!
「はいはーい誰っすかー… っ!」
ぎゅっっ
雪花は咲也が玄関のドアを開けた瞬間飛びついた。
「痛ッ」
勢い良く飛びついたため押し倒す形になってしまった。
そして咲也は床で頭を打った。
「なっ 雪花!?」
咲也はなにがなんだかわからず混乱した。
(正斗クン…あたし――)
―――素直になります―――
「…好き…」
「!」
「好きなの…っ」
―――咲也が好き―――
素直になるのが怖くて…
ずっと避けてきた。
恐れて自分の気持ちから逃げていた。
でももう、
後づさりはやめよう。
――自分に正直になるんだ――
「…待ってました」
そして咲也は雪花の背中に手を回し抱き返した。

平行線が縮まった――
終わりじゃない。
これがオレとアイツ
アイツとアタシの
―――恋のスタート地点―――

これからもっともっと縮めていこう!
―――ふたりの平行線を―――


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