Tomorrow is Another Day

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突然の妊娠異常発覚

突然の妊娠異常発覚


その日は16週目の検診だった。いつもの様に超音波でお腹の赤ちゃんを見ていたDoctorは「I am not happy with this.」とつぶやいた。

当時、私達はマレーシアのマラッカと言う所に住んでいた。Doctorはいつもなら笑顔の優しいインド系マレー人の先生。ところがその日はずっと眉間にしわをよせたままだった。
羊水が異常に少ないと言う。しかし、クアラルンプールにいるちがうDoctorを紹介してくれた。そこにはもっと最新の超音波検査機があると言う。

翌日、クアラルンプールのDoctorのところで検査。結果は同じであった。理由はわからない。治療方法としては「羊水注入」と言うのがあると言う。しかし、その治療のリスクは25%だとも言う。4分の1の確率で流産をしてしまうかもしれないと言う事だ。あまりのリスクの高さに私達は日本かアメリカに帰る事を考える。同時にダンナはインターネットでいろいろ羊水過少症について調べるがあまり情報は得られない。

異常がわかった日に私は日本の家族に、ダンナはアメリカの家族に状況を電話で報告した。私の叔母のひとりがなぜか病院関係者に知り合いが多く、彼女の知り合いのお医者さんがそういった妊娠異常を専門に診ている病院の先生を紹介出来ると連絡があった。

私達は日本に戻る事に決めた。そして6月2日、クアラルンプールから日本に飛んだ。
乗り換えのシンガポールの空港でディズニーの赤ちゃん用の小さな靴下を売っていた。「私の赤ちゃんにはこんな靴下は必要ないのかも知れない。」と思うと見るのがとてもつらかった。

翌6月3日早朝、関空に到着。その足でまず紹介状を書いてもらうために大阪の病院に向かう。

その病院は今風のかわいらしい産婦人科で、妊婦さん達でとても混んでいた。ここでも超音波の検査。その後院長先生からお話を聞くが、やはりあまり良い状態ではないらしい。腎臓が無いか、もしくはあっても機能していないという異常がある赤ちゃんがいるらしい。それを「ポッターシンドローム」と言うそうだ。その可能性が高いと言われる。その場合はまず生きていけないので中絶をしなければならない。なにが何だかよくわからなくなって来ていた。一つだけわかる事はこの赤ちゃんを私は産む事が出来ないかもしれないって事だけだった。ただ、この先生はこうも言ってくれた。「これはあくまでも可能性があると言うだけです。これから日本でも最高の設備とスタッフがいるこの病院でしっかり調べてもらって下さい。」この一言に私はすがった。

ただ、あの状態でその病院にいるのはとてもつらかった。
かわいらしい病院内の雰囲気。生まれたばかりの赤ちゃん達。嬉しそうなママ達とその家族。先週までは私も何の疑いもなく何ヶ月後にはそんな1人になれると思っていた。でも今は違う。
私は病院のトイレに行った。トイレの中で泣いた。一緒に来てくれたダンナや駆けつけてくれた母や叔母達。私が泣いたら皆なが泣いてしまう。だから、ひとりで泣く場所が必要だった。


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