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2006年02月13日
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カテゴリ: 映画・ドラマ・TV
今年2番目に見た映画です。
昨日は今年3番目に見た映画を書いたので、遡ってみたりして(笑)。
本当は順番に書くべきですが、時間がなく書けませんでした。
下記、ネタバレも含まれるので、ご注意くださいね。

張藝謀の新作をどんなに心待ちにしていたことか!
本当指折り数えるほど待ち遠しかったです。

しかし実際に見てみたら、張藝謀の映画、というより高倉健の映画
・・・というくらい高倉健に魅了されました。
ちなみに私が生まれて初めて映画館で見た映画は南極物語です。
高倉健に始まり、高倉健に戻ってきた?という感じでしょうか。
すみません、話がそれてしまいました。

家族なのに、しかも心の底では最も大事に想っているのに
うまくいかない「こと」・・・というか、「とき」って
誰にでもあることだと思います。
爆発して大変な事件を引き起こすケースさえあります。

愛することと憎むことは兄弟で、背中同士で腕を組んでいるから
片方が顔を出しているときは片方は出て来れない。
何か大きなきっかけがなければ・・・。
それが取り返しのつかないときでなかったとしたら幸せです。
しかしこの映画では、取り返しのつかないときにそれが起こってしまう。

高倉健が演じる父親は無骨で不器用で、でもまっすぐな高倉健そのもの。
その愛情のために、行ったこともない、言葉も通じない異国の地へ赴くという
未知への偉業へと一歩足を踏み出します。
しかしそのことが、息子にとってはたいした意味でなかったと知ったとき。
そこで普通なら、帰国してまもなく命が消えてしまう息子のそばに寄り添いたいと思うはず。
しかし父はそれでも「千里走単騎」を撮り続けようとするのです。

息子が中国の大地で感じたことを感じたいということ。
それは余韻であり、空気感ということなのでしょう。

そしてたった一人(まさに単騎)、息子のために異国の地まで来た上
他人から見れば意味のないことをする父に対して親切にしてくれる中国人との交流。
それにより、時間軸は異なるけれど、息子が過ごした時間を共有することできる。

ここで、本当の中国はそんないい人ばかりじゃない、なんて無粋なことは言ってはいけない。
「ドキュメンタリー映画」「ノンフィクション映画」なら別ですが、
そもそもが空想の産物である映画に、杓子定規や鉄壁の論理、完璧な事実など
意味がないことだからです。
言葉は分からなくても、思いを共有できる瞬間は実際に存在しています。
その部分を切り取って構成しただけのことです。

よく映画を見るのが嫌いだという人の多くは、「自分」の見た事実しか認めません。
つまり自分が一番正しく、自分が一番素晴らしい。
「他人」の見た事実や考えを許さない。
その空想力の欠如が人を傷つけ、また自分を傷つけるというのに・・・。
人の痛みや歓びを共有できる想像力が、他人と共存するコツでもあると思います。
想像の世界に居るのに、加えてそれを多くの人と共有する場に居るときに、
どうしても無粋なことを言ってしまいそうになったら。

そのときは言葉を飲み込むことです。

だから、昨日の私の映画のコメントは書けなかったのです。
ある意味ノーコメントな自分が情けない(笑)。
全てを無理して肯定する必要はありませんが、全否定は無意味ですよね。
実践しようとなるとかなり難しいことではありますが、だからこそ映画を沢山見て、
沢山レビューを書こうと思うのかもしれません。
感じたことや繋げた情報を整理したいのだと思います。

映画のレビューのつもりが本当に大きく話がそれてしまいました^^;
不可解な人間の愛情に話を戻したいと思います。
息子に一目会うことはできなかったけれど、私はあの瞬間、
ヤンヤンを抱きしめた瞬間、父は心の中で息子を抱擁したんだと感じました。
私が最も心を震わせたシーンは、そこです。

先日、テレビで誰か芸能人が「1年に1度しか親に会えないとすると、
あと●回しか会うことができない」と言っていたのを小耳に挟みました。
テレビをつけっぱなしで洗い物をしていたので、誰だったか忘れてしまったけれど、
思わずはっとしました。
私は1年か2年に一度しか、遠い実家の母親には会えません。
となると、普通に考えてもあと10回から30回しか会うことができないのです。
その芸能人の話と、映画「単騎、千里を走る」が私の中では接続しています。

毎日は難しいけれど、一週間とか、一ヶ月とか、はたまた一年とか
自分が大切だなぁと思うことを思い出すことは大事だと思います。
日常に埋もれてしまうと、当たり前の大切なことがみえなくなってしまうからです。
人間は幸せを忘れるようにできているのかと、ショックを受けている今日この頃でした。





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最終更新日  2006年02月13日 23時55分51秒
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