玉石混淆変奏曲~まささん’sヴァリエーション~

#8 グレン・グールドの音楽

晩年のグールド
グールドを収蔵せずに何を納めるというのだろう。

手桶から、さらりと清水が流れるよう、と喩えた指揮者もいた。

グールドの指が鍵盤の上を舞った時、音の一つ一つが煌きを持ち
硬質な形で積み上がってゆく。

10本の指全てが10の意志を持ち鍵盤を、強く、弱く、叩いていき
その意志がハンマーに伝えられ、強靭に張られたピアノ線を叩く。

弾かれた音はグールドの意志だ。
音楽への深い敬愛が底から湧き溢れる、純水の泉なのだ。


遥か彼方、彼岸の彼方へと旅をする衛星『ヴォイジャー』に
数々の人類の文化、風俗を書き記したものとともに
鳥の声、虫の声、そしてもちろん何十ヶ国の国の言葉が録音され載せられている。
そして、地球を代表する音楽としてグレン・グールドの弾くバッハを録音したレコードも載せられているのだ。


彼岸に至ったグールドはこの事を知っているのであろうか?
時空を越えた旅の終わりに再び演奏が始まることを。
まるで、アリアに始まりアリアに終わる変奏曲のように・・・


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