がらくた小説館

先客

朝飲んだ期限切れの牛乳にあたったのだろうか?お腹が痛くてしょうがない。すぐにトイレに駆け込んだのだが、生憎先客がいたようだ。

 ドアをノックすると「コンコンッ」と、いう返事が返ってきた。そこでしばらく待つことにした。
 しかし肛門はすでに限界状態。少し待ってもう一度ドアを叩いた。
「コンコンッ」
 またも同じ返答。他のトイレに行こうとも考えたが、もはや動くこともままならないほどに緊急を要している。

 それにしても長い。長すぎる…。

 恵比寿の俺もさすがに我慢出来ず「何してるの?」と少し強めに言った。

「…」
返事はない。

 それでもなにやら中でゴソゴソとしている音は聞こえる。相手なりに急いでくれているのだろうか?
 俺はその音を聞いて先ほどの自分の行為を少し反省して待つことにした。

 しかしそれもすぐに裏切られることとなった。

「もしもし…」

 なんと俺がこんな状態で待っているというのに、やつは誰かに電話を掛けだしたのだ。煮えたぎる血と、震える肛門は我慢できない。怒りに限界を感じ、俺は目の前のドアを強く蹴った。

 すると中から声が聞こえた。

「助けてください。女子便所で男の人に絡まれてるんです」

 彼女の声は酷く怯えていた。

 俺の肛門は決壊した。








                 了


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: