がらくた小説館



 今、俺は小学生時代の卒業文集を手にとっている。

 もしも時間をさかのぼれるとしたら、俺はあの頃に戻りたいと思う。
 今までの人生を振り返ってみると、理想をかかげて失敗を繰り返し、結局何が残ったのかと言われれば、返す言葉が見当たらない。

 中学時代にプロ野球選手を目指し、高校生でアメリカに憧れ、大学に入ってアジアを歴訪、卒業後に呉服屋でアルバイト。会社が潰れて英語にはまり、無理だと思って漢字検定を取得。
 オリンピックの年にボブスレーにはまり、外国で働きたくて単身渡米。彼女がキレテ日本に帰国。

 思い起こせば全くと言ってちゃんとした職歴がない…。そんなこんなで貴重な時間を潰してきたのだ。
 俺は卒業文集を読みながら、そんなことを考えていた。

 あっちゃんやよし坊は今頃どうしてるのだろうか?
 ページを開くたびにあの頃の思い出が溢れ出して来る。そう、俺にもこんな時代があったのだ。

 そうして感慨にふけっていると、自分の書いたページに差し掛かった。
 将来の夢と題打たれた自分の下手な文字を読んでいくたびに、熱いものがこみ上げてくる。

 そして最後の一行にはこんなことが書かれていた。

 好きな言葉!「急がば回れ」




 もしも時間をさかのぼれるとしたら、俺は幼稚園時代に戻りたいと思う。








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