がらくた小説館

最後の嘘

「私は以前の職場では、売り上げはいつも上位でした。何度か奨励賞を…。」

「御社ではこれまでの経験を生かして…」

「会社と私個人お互いがメリットのある関係を…」

「これまで二度に渡り転職してきましたのは、自分に何が向いているのかを…」

「学生時代は自転車サークルに所属していまして、夏には北海道や…とにかく体力には自信があり…」


 俺は三十分にわたる面接で疲れきっていた。駅のコインロッカーまで荷物を取りに行き、そのまま関空快速(JR)に乗っていた。

 疲れていても、それが満足したものだったとしても、人間とは不確かなものにはよくよく考えてしまうものだ。

 俺はつい一時間前の面接のことを考えていた。
 我ながらうまくいったと思っている。饒舌にしゃべれたし、感触も悪くなかったと思う。
 ただ少しだけ気がかりなことがあった。
 俺は少しだけ嘘をついてしまったのだ。

 だが、面接ではそんなことは当たり前だと首を振った。
 そして面接では、自分をいかにアピールするかが大切なのだとも思うことにした。
 そうなのだ。面接では少々の経歴査証や、嘘は問題ではない。要は自分がその会社に必要な人材なのかどうかということなのだ。とにかく悩んだところで仕方がない。果報は寝てまてというではないか。

 俺はそこで迷いを消し、一先ず眠ることにした。一時間後には、俺は空へと旅立つのだ。
 そう、憧れの国イギリスへ!俺はロックで飯を食っていくのだ。

成功するまでは、日本に帰ってくることはないだろう!!

新しい人生に乾杯。



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