第五ファイト・リベンジを誓え


第五ファイト

リベンジを誓え


 ソードとクロスとキリは、大盗賊の男に惨敗した。
間一髪でリュウに助けられ、何とか削除(デリート)されなかった。
 そしてソード達はリュウと一緒に修業をする事にした。
すべては、大盗賊の男へのリベンジのためだ。

 深夜だった。
ガサリという音に気づき、目を覚ましたソードは武器を手に、
音のした方へと走った。
そして、そこで会ってしまった。
 大盗賊の、男。
ソードは男の顔を見て、一瞬驚いた。
何で、こんな所にいるんだ、という顔をした。

 大盗賊の男はソードを見て言った。
「・・・・・・?!なぜ、貴様が生きている?!」
そう言った男は、ソードをギロリと睨みつける。
 ソードはサンダーソードを構える。
自分は、少し修業をした。少しは、強くなったハズだ。
武器を右手で握り、ソードは男をジッと見る。

 大盗賊の男は、右手を挙げた。
ソードは、ハッとした。
忘れもしない、あの超大技だ。
 ソードはよけてやる、という顔で立つ。
あんなのを喰らえば、終わりだ。一瞬で削除(デリート)だ。
ソードはトン、と後ろに一歩下がる。
バックステップで男との距離をとったソードは、武器を構える。

 「・・・・・・ふん、少しは強くなったようだな」
ニヤッと男が笑った。
…一瞬で見破られた。
ソードは男を見続ける。男の右手に、エネルギー波の渦が現れる。
 威力はトップクラス。速さも並大抵のものではない。
最強最悪の大盗賊の男の、超大技だ。
バトルファイターになってそんなに経っていない、
経験の浅いソードに、そんな大技に耐える力は無い。

 「おい、何してんだソード?」
声がした。元気な声。
ソードは一瞬、その声の主を見ようかと思った。が、止めた。
今はそんな余裕は無い。
大盗賊の男の攻撃が、今放たれようとしているのだ。
 クロスは大盗賊の男を見て、ギョッとした。
男はクロスをチラリと見た。
貴様も生きていたのか、と笑う。

 パシュウッ!!
エネルギー波が迫ってくる。
大きい。とても、よけきれない。
よける気満々だったのに。なのに。やっぱり、無理だ。
 修業なんて、しても。
そんなすぐに、結果は…でない。
ソードはそんな事を思い、そして。

 ゴオオオオオオオオッ!!
音がした。ソードは、迫ってくるエネルギー波が
何かに押し返されているのに気づいた。
 炎だ。
メラメラと燃える炎は、クロスの右手から出ていた。
炎を出しているクロスの周りに、赤色の闘力(とうりょく)が
出現した。闘力を消費する、すごい技だ。

 「な、なっ…にぃ?!」
大盗賊の男は絶叫した。
自分の放ったエネルギー波が、こちらに飛んでくる。
男は急いでよける。何とか、よけれた。
 クロスはへん、どうだ!と叫ぶとソードの横に立つ。
「クロス…今のって…もしかして、技?!」
「何を言ってるんだ。技に決まってるだろ?」
へへんと笑うクロスを見て、ソードの表情がガラリと変わる。
何かを決意したような、キッとしたたくましい、表情。

 男の表情が、変わった。
明らかに焦っている。
ソード達が見たこともない、驚きの表情。
 たった数日だ。
ここまで、強くなれるものか?という表情。
ソードはサンダーソードを握り締めると、
「だあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
と叫び、男に向かって突進をする。
 男は防御の構えをとる。しかし、ソードは剣を持っている。
「ち・・・・・・!!」
男は舌打ちをする。そして、ソードの剣が男の服にかすった。
スイッと身を引いた男は、何とかかわせた。

 ソードはサンダーソードを握ったまま、
クルリと向きを変える。
 サンダーソードがピカッと光る。
そして、ソードは剣をグバァ、と振り下ろした。
その時だった。

 シュババババババッ!!
音がして、ソードが振り下ろした勢いで、
空気が切り裂かれる。
 そして、衝撃波が地面を這うように、駆け抜ける。
超速で地面を駆け抜ける衝撃波に驚いた男は、あわてる。
剣を一振りして。
衝撃波が、現れたのだ。

 「うわわわわわわ!!来るなっ!!」
男は叫んだが、衝撃波は止まらない。
速すぎて、よけれない。そしてシュババババッと音を立てて、
衝撃波は男に、突き刺さる。
「うおおおおおお?!」
ドオオオオオオンッ!!と大きな音がした。

 「何…?今の音?」
大きな音で目を覚ましたキリは、スクッと立ち上がる。
眠そうな顔をして、キリは辺りを見回す。
 寝ていた場所は大きな木の下。
ソードとクロスは、木の反対側で寝ているはずだった。が。
「・・・・・・」
ソードとクロスの姿が無い事に気づいたキリは、沈黙。

 今、キリは就寝用の服を着ている。
青色の、Tシャツ。白色の、短パン。
そばに置いてあったポーチを腰に巻く。
 ポーチの中に入っているブラスターを抜き、
周囲の水蒸気を集め、氷を作った。
そして弾の形になった氷をブラスターの中に入れる。
「・・・・・・」
キリはスタスタと歩いて行く。

 「く・・・・・・はは、ははははは」
ドオオオオオンという大きな音の後、大盗賊の男は少しよろめいた。
男の左足から血が出ている。
そして、ズボンを赤く染める。
しかし、男は現在、笑っている。
 ソードとクロスは、何がおかしいんだ!とは叫ばず、
ジッと男を見ている。
 男は、後ろに一歩下がると、言った。
「君達の成長をもっと見たいが…残念だが、時間切れだ」
「はぁ?!」
クロスが素っ頓狂(すっとんきょう)な声を上げる。

 タン、と後ろに跳ぶと、男はそのまま走ってどこかへ消えた。
暗い、森林だ。男を追うのは、難しい。
諦めたソードとクロスは、他の人間の気配を感じた。
 バッ、と後ろを振り向く。
そこには髪を水色のリボンでくくった少女が立っていた。

 「キリ?!」
クロスが叫んだ。
 「今のは・・・・・・大盗賊?!」
キリが険しい表情を作る。ソードがそうだよ、と頷く。
「戦ったようだが・・・」
キリが聞く。うん、とソードが頷く。
「大丈夫、技で負傷させたから、逃げて行った」
ソードがニコッと笑い、言った。
「…負傷?!逃げた?!それは本当か?!」
その後、ソードはキリに戦いの様子を伝えた。

 ソードとクロスが大盗賊と戦っていた時、リュウは
女と向き合っていた。
 長い黒い髪の毛を黒色のゴムでくくり、ブラリとさげている。
手には刀。それも、両手に持っている。
オレンジ色のベストを着ていて、下は膝までの白色ズボン。
キリリとした夕日色の瞳がリュウをジッと見つめる。

 「へぇ、こんな所にファイターがいたとはね・・・」
女は目を細める。リュウは警戒する。
「ふふふ、お仲間さんが心配?」
女はズバリと言った。ニヤリと笑っている。
リュウは少し驚いたような表情をした。
 ソード達が向こうで寝ているのを、気づかれないように
していたのに。
 女は刀を構えると、リュウに突進して来た。
敵だとさとっていたリュウは吊っている黒い棒をはずす。
リュウが握ると、棒はリュウの武器に変わった。

 青い光に包まれ、両端に刃のついた大きな鎌が現れる。
リュウは女の刀を真正面から受け止める。
 「あら、結構やるのね?」
女がニィと笑う。そして右手の刀でリュウの武器をグイと押し返し、
左手の刀でリュウの顔を狙い、振り下ろす。
 間一髪でスイッとよけたリュウは、そのまま女の右手の刀を
ガキィン、とはじいた。
刀は3メートルほど後ろに飛ばされ、地面にささった。

 女はチッと舌打ちすると、左手の刀を構える。
「あなた・・・バトルファイターね?かなりの実力だわ」
「それはそちらも同じだろう」
「あら、そう?でもそれは間違いよ?」
女はそう言うと、ニヤリ、と笑った。
 「私はかなりの実力、じゃなくて・・・ものすごい実力なのよ!!」
女は叫ぶと、刀をブンッと振った。
リュウはよける。そこへ、銀色の刀が振り下ろされる。

 「?!」
女は右手の刀をはじいたから、左手の刀だけのハズだ。
リュウは左手の刀にしか注意をはらっていなかったため、
反応が遅れた。
 リュウのよけた所へ狙ったように、女は刀を振り下ろす。
見れば右手に刀を持っている。
 シュッと音がして、リュウのスカーフをかする。
「あら?今のをよけられるなんて、すごいわね?」
女はクスクスと笑った。

 リュウは女の後ろを見る。
刀が地面にささっている。
「ふふふ、驚いた?無表情なのねあなた?でも私は他人を観察するのが得意なの」
女が言った。
 リュウは険しい表情を作る。
「私は刀を4本持ってるのよ」
そう言って女はオレンジ色のベストをめくる。
ベルトに刀をさしていた。左腰に、一本ある。

 「ふっ!!」
女は叫ぶとリュウに斬りかかる。
リュウはバッと左によける。そこへもう片方の刀が振り下ろされる。
リュウはそれもかわすと、後ろにジャンプした。
 「・・・・・・」
リュウは無言のまま、武器を構えた。
そして、刃の部分が青色に光る。
 「な、何?!」
女が少し驚いたように叫ぶ。

 ブンッと鎌を振り下ろす。
すると、青色の光が女のほうへ飛んでくる。
「何よ、こんなただの光の玉なんて・・・」
 女は刀を構えると、光の玉をはじき返そうとした。
しかし、それは無理だった。
 ガギイイイイイイイインと鈍い音がして、刀に光の玉が当たった。
それはただの光の玉ではなかった。
 とくしゅな、攻撃技だった。
リュウの得意とする、技だろう。

 「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ?!」
重い。ものすごく、重い。
女は耐え切れず、二つの刀を投げ出した。
 刀は光の玉にバシッとはじかれた。
二つの刀は近くの2つの木に別々に深々とささり、止まった。
一方の光の玉はフッと消えた。
 「な、何よぉ・・・今の・・・」
女はしびれる手をおさえている。

 リュウは黙って、鎌を構える。
刃の部分が青く光っている。
 女は再びアレをくらうと、ヤバイと感じ、三歩ほど下がる。
直径1メートルほどの玉だ。よけられないものではない。
 リュウは鎌を振り下ろそうとした。
その時だった。

 ガサリ、と音がして人影が飛び出す。
リュウと女はバッと警戒態勢をとる。
そして先に態勢を元に戻したのは女だった。
 飛び出して来たのは、大盗賊の男だった。
女はニヤリと笑い、大盗賊の男の隣へ走る。
「・・・あれ?どうしたの、その左足?血が出てるわよ」
女がビックリして言った。
 「ガキにやられてな・・・」
大盗賊の男は苦笑いした。

 ガキにやられた・・・?
リュウはハッとした。そして、気づいた。
ソード達だ。大盗賊の男と接触して、バトルしたのだ。
そして・・・負傷させた。
 「え~?どうしちゃったのよ?最強最悪の大盗賊さん?」
女は苦笑して言った。
 「それより、こっちはどうなってるんだ?」
男が聞く。

 会話の内容からして、この二人は仲間であり、
近くに人の気配を感じたらしく、二手に別れて戦おうとしていたのだと言う。
 どうやら、それは失敗に終わったようだが。
「おや・・・?コイツ、見たことあるぞ」
「え?何?知り合いなの?」
「いや、それはない。う~ん・・・」
「何よ?でも、敵でしょ?」
「それは確かだな」

 会話を聞いていたリュウは、構えたまま沈黙している。
まさかここに、大盗賊の男が現れるとは。
 大盗賊の男とその仲間の女は話を続ける。
「ああ、思い出したぞ。コイツは間違いなく敵だ」
「いつ会ったのよ?戦ったの?」
「邪魔をされてな」
 リュウは邪魔をされた、という言葉に反応した。
まさかこの男が覚えているのは・・・妹をさらった時ではないのではないか。
 男はニヤリ、と笑った。
「かっこよく、ヒーローきどりで・・・村人の子供を助けてたなぁ」
「あら、人助けをしてたの?」
「そうさ。俺が村を襲ったんだ」
「あら!!そうだったの?」
「コイツは俺が襲った村の子供を助け、俺に一撃を与えた」

 リュウはハッとした。
あの時か。あの時の事しか、覚えていないようだ。
「で?どうなってんだ、こっちは・・・レン?」
「分が悪いわ。退散しましょ」
「そうか」
 この女、レンというのか。
リュウはジッと女を見つめる。
 「おっと・・・退散する前に」
女はリュウを見る。

 「私は大盗賊のレン。あなたは?」
レンが聞いてきた。敵に名前を名乗るのはどうかと思うが。
「リュウ」
リュウは警戒しながら言った。
 「・・・リュウ?あ、あなた!!水河龍・・・?!」
女が驚いた様子で叫ぶ。
否定しないリュウを見て、レンはそうだと思った。
 「・・・どうりで強いわけだわ。水河龍、噂の有名ファイター!」
レンが言ったので、大盗賊の男はフンと笑った。
「あのガキ共といい、邪魔者が多いな、ここは」
そう言って二人は去って行った。

 リュウはフゥ、と息を吐き出すと武器を握り締めた。
「・・・・・・レン・・・?」
リュウは武器を棒に戻すと、ベルトのヒモにくくりつけた。
 リュウは近くの木の前に立つとクルリと向きを変え、
そのまま木にもたれてズルズルと崩れた。
木にもたれてしゃがみ、リュウはフゥと息を吐いた。


つづく


Battele&Fight
第五ファイト
リベンジを誓え


つづく


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