[帰宅]



[帰宅] 

家に帰って私がしたのは、まず掃除だった。
乾いた血がそこら中にこびりついていた。
雑巾をたっぷり濡らして擦る。甘い匂いがした。
肉を砂糖漬けにしたような気持ち悪い匂い。
今までに嗅いだ錆びた匂いとは違う血の匂い。吐き気を堪えて拭く。
血が固まると手ごわい。
今まで着ていた血だらけの服も脱いで洗濯機に放り込んだ。
たっぷりの洗剤と、たっぷりの漂白剤。
お気に入りの服だから血は落としたい。
掃除をしている間に1回目の洗濯が終了。匂いも血も落ちない。
2回目もたっぷりの洗剤と、漂白剤。血は落ちたが匂いが取れない。
3回目、やっと匂いも血も取れた。服の色が薄くなった様に思える。
大体目立った部屋の汚れは落とした。でもまだ血の匂いが鼻に付く。
何処から匂うのか捜してみたら顔や手や足だった。
鏡に映して見た。ちょっとしたホラーだ。
改めて部屋を眺めてみる。まだ拭き残しが無いか・・・
カーペットに点々と血が染みてしまっていた。
あぁ・・・2・3日前にベランダで一生懸命洗ったばかりなのに。
また明日、天気が良かったら洗わなくちゃ・・・
「遊んだら片付ける。汚したら綺麗にする」その通りにしなくては。
自分の血で汚した物を自分の痛む手で掃除する。
情けない。馬鹿らしい。
親が一緒で親が片付けてくれるなら楽だし、
親が病院代も支払ってくれるなら楽だが、誰も変わりにしてくれない。
自分の愚考で、自分の手間を増やしただけ。自業自得だ。
その後、全く眠気も無く朝のニュースを見ながら、
くだらない事をベラベラずっと喋っていた。体は疲れているが、
頭は冴えていて、横にもなりたくなかった。
目を閉じると開いた傷口が頭に浮かび怖くて眠れなった。




[近所の病院]




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