[白い糸]



[白い糸] 
2週間ぐらいたっても手の痺れと痛み、
傷口のつっぱり感は取れなかった。
腕を動かすと痛みが走り、
手を床に着いたり、腕を伸ばすと傷口がつっぱったりした。
傷は赤くミミズ腫れの様になっている。
しかしそれよりも気になる事があった。
かさぶたがなくなった傷口から、糸が出ている。白い糸が。
表面を縫っていた時よりも細い糸で白い。
玉結びになっている箇所もある。
6ヶ所~7箇所、白い糸が出ている。
初め何かの繊維かと思っていたのだが、
お風呂に入った時に擦ってみても取れない。
存在に気づいてから何日か経つが、消えそうにない。
それどころか、日増しに目立ってくるようだ。
病院に電話をしたら、「見てみないと判らない」と言われたので行く事にした。

医師に「なんでしょうね。今まで見た事が無いですね」と言われ不安になる。
縫合ミスなのか?と、眠そうな顔で傷口を縫っていた医師の顔が目に浮かぶ。
医師がピンセットを持ってきた。
「ちょっと良いですか」と言って傷口の糸を引っ張る。
「!!!!」激痛。何すんだ!と医師に突っ込みたくなったぐらい。
医師はおかまいなしに糸を引っ張る。何度も何度も・・・
「痛いです」と弱々しく言う。何度も言うが私は痛いのは嫌いだ。
「処置室でやりましょうか」と言われ私は処置室に向かった。
糸が肉にくっついてるのに引っ張るなんて!何されるんだろう・・・
処置台に腕を置いた。医師がハサミとピンセットを用意した。
「普通はこんな事ないんですけど、下を縫った糸が出てきちゃったんですね」
「下の糸ですか?」
「傷が深いと表面の皮膚だけ縫っても中はくっつかないんで、中の組織も縫うんです」
そう言えば、縫うのに随分時間が掛かってたな・・・
それに筋肉一歩手前まで切れてたって言われたし。
「この糸から細菌が伝わって中に入ると大変な事になるので、糸を取りますね。
お風呂は入らないで下さいね」
「はい・・・でも来る前に入って来ました」と言ったら苦笑された。
医師は糸をひっぱる。激痛が走る。
「痛いんですけど・・・」肉が引っ張られて滅茶苦茶痛い・・・
「でも麻酔も痛いですよ」確かに・・・
「じゃ麻酔抜きでお願いします」
医師は引っ張って抜ける糸は抜き、抜けない物は引っ張りながらハサミで切った。
点々と血が出てくる。握り締めた掌は汗でビッショリだ。
「ここから細菌入らないと良いんですけどね」
「最近歯医者に通ってたので、そこで抗生物質貰って飲んでます」
「じゃ、大丈夫かな。もし腫れたり痛くなったら又来てくださいね」
傷口を消毒され、ガーゼをされて処置は終了。
傷口の痛みは無くなっていたのに、またズキンズキンと痛み始めた。

それから暫くして、糸が出ていた穴はふさがり、
普通にお風呂に入れるようになった。ズキンと来る痛みもない。
もし感染していたら、どうなっていたことやら・・・




[やめてから]


© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: