Happy life in Florence

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その6

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珍道中その6

伴奏者君、あんたはあくまでも伴奏者
音楽学校に通っていたときの話。
オペラ演習の授業には必ず伴奏者がいます。
この伴奏者、初見がきいて結構うまいんです、これが。
でも若い若い、コンセルの修了間近という学生さん。
オペラが好きで、いろんな曲を知っていて、息も合わせてくれるんだけど、ちょっと難あり。
とにかく書いてるとおり演奏しなきゃいけない主義。
伴奏が3連譜で、歌が八分音符だったりすると、かれの2つめと3つめの音の間に歌が入らなければならないとか言って何度もやり直し。
歌に付点がついていて、次の小節に装飾のように「たたーん」ってなる場合、しかもそれに子音がついてたりすると、歌手はちょっと早めに子音を発音するじゃないですか、ねえ。
それでも彼は、「ぼくの伴奏の最後の音が終わってからでないと入っちゃだめだよ」・・・
レチタティーヴォの音程、微妙なピッチもうるさくて、Basso buffoのちょっとおしゃべり風に崩して歌ってた人にもいちいちチェックを入れてなかなかリハが進まない。
音程や、ルバート、ディナーミク、フレージングに関しては先生がいて、あんたがあれこれ口出しする立場じゃないんだと何度か遠回しに分からせようとしたんだけれど、無駄。
コース最後の発表会の伴奏合わせでもまたいちいちレッスンまがいの注意をして、なかなか進まなくてほんといらいらするったら。
1年のコースで、発表会用に曲を準備して、当日、ピッチがはまらないとか、テンポが揺れるとかそんな事今更いったって仕方ないじゃない。
あんたはあくまで伴奏者なんだから、歌に合わせて間違わずにひけばそれでいいのよ。
しかも、「このコンサートのことが新聞に載ってた。でも、出演者の名前にぼくの名前がなかった。歌手の名前だけだった。」って。
あのねえ、これは声楽のコンサートであって、誰が歌うかが重要なので、誰が伴奏するかは重要ではないの。
ドミンゴのリサイタルがあるのに、伴奏者の名前まで新聞に載るか?それは伴奏者も有名なひとなら載るかもしれないけどさ。
今回は、エヴァ先生のコースに通う生徒達のコンサートなんだから、先生の名前とその生徒達の名前だけでいいの!
まったくもう。
自己顕示欲が強すぎ。


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