another world

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出会い



好きになるのに理由などいらない。
だれかが言ったセリフを思い出した。

私とあなたは同じ会社でたまたま出会いました。
あなたは派遣社員。
私は正社員。

あなたがこの会社にいる期間は決っている。
そう、まるで学生生活にピリオドがあるのと同じように、
あなたと私が一緒にいられる時間は限られていました。

あなたは口癖のようにこう言っていたね。

「ここでは孤独でいるの。
別れが辛いから」

そう、だからあなたは誰に対しても壁を作っていた。
そう、だからあなたは少し寂しげだった。

いつしかあなたを探していた。
そして、あなたと話すキッカケを探していた。

私には恋人がいたにもかかわらず。
そして、そのことをあなたも知っていたのよね。

そう、今となってはどうしようもないのに。。。



~楽しい日々 いつか終わる~

あなたとは、しばらく仕事で少し話すようになれました。
けれど部署が違うため、毎回用事を考えていました。

そう、くだらない用事を作ってはあなたの所に良くいきました。
だって、もうあなたがこの会社にいるのも後3ヶ月。

いつしか、目で追いかけるようになっていました。
そう、この想いはとめられなかった。

いつからだろう。
あなたが一人でお昼を食べているのを知ったのは。

その度に部署内でご飯を食べている自分をうらんだのは。

でも、勇気を持って話しかけたの。
お昼を食べながら本を読んでいるあなたに。

「何読んでいるの?」
そういった私にあなたは、

「島崎藤村」

ぶっきらぼうに言い捨てたね。
というか、一体何を読んでいるのって思ったよ。

それから、話すようになった。
私とあなたの共通点。

読書という事で。
本を借りたり、貸したり、したね。

あの時が一番楽しかった。
もう、一生戻れないからこそ余計に。


~共通の趣味~


何度かあなたと一緒に入れる時間を探していました。
そう、あなたがお昼の時にこっそり会社を抜け出して、
でも、あなたはいつもどこにいるのか、わからない。

たまたま、発見した時に声をかける。
そして、数分話す。
そう、それだけ。

私にはそれだけで幸せだった。

話しはいつも本だったね。
あなたが好きだって言っていた本、読んだよ。

私が苦手だった村上春樹の本も読んだよ。


不思議がっていたのは、彼女のほうだった。
そう、私には悲しいかな、彼女がいた。
だから、力いっぱいあなたに飛び込めなかった。

それは、私が弱かったからかもしれない。
それは、私がずるかったからかもしれない。

そう、中途半端に楽しみながら、
そして、
そう、中途半端に恋をしていた。


1年前の誕生日。
あなたはプレゼントくれたね。
ぶっきらぼうに

「これあげる」

だけだったけれど、うれしかった。
翌年は誰からももらえなかったけれど、それは、

私の咎だよね。

そう、踏み出すことの出来なかった私の。。。


~後20日間~


あなたがこの会社にいるまで後20日。
もう、あなたの引継ぎの人も来たね。

悲しいけれど、それが事実。
悲しいけれど、変わらない事実。

どうしても、あなたの連絡先が知りたかった。
だから、最後にお昼ご飯に誘った。

お昼なのに、思い出に残したいから、
お昼なのに、ホテルの上層階の店を予約した。

部署も違う。
細かい打ち合わせのため
私はようやくあなたの連絡先を聞けた

うれしかった。
そう、連絡先を知れるだけで
うれしかった。

もうすぐ、この幸せともお別れだ。
それも、わかっている。
けれど、もう少しだけ、
もう少しだけでいい

あなたといたいと
思っていた。


その気持ちにウソはなかった。

~後15日~

あなたとのランチの予定。
もう少し先だけれど、決まってきたね。

でも、あなたは、あなたの引継ぎの
女の子も誘ったよね。


正直あなたと二人が良かった。
でも
正直あなたと二人でなくて良かった。


だから、私ももう一人誘った。
仕事での付き合いのある人。
広告会社の人だ。


あなたが最後の日。
その日をランチの日に決めたよ。


残りの日は
少ないけれど、

それでも、
私たちは何も変わらず
話し合っていたね

それでも、
私たちは何もいえず
終わりの日を待っていたね

そう、後15日であなたとは
もう、会えなくなるのに

~戻らない時~

あなたの送別会。
私はお世話になった先輩の送別会と重なってしまったため、
一次会には出れないことが確定しました。

だからね、
送別のプレゼント聞いたら、あなたは真顔でこう答えてくれた。

「マンション、もちろん1棟ね
 それが欲しいわ。
 ダメなら南のどこかの島」

そう、夢もかけらもないそんなかっこいい
あなたが好きでした。

そう、男らしくホンキとウソを混ぜてくれる
あなたが好きでした。

話していて、とあるドラマのDVDセットを言ったのよね。
でも、ホントに買うってあなたは思っていなかったみたい。

「私も見たいから貸してね」

渡した時の約束はかなわない。
そう、でも、それは私のせい。

でも、かなしいかな
時は、戻ってはくれない。

でも、かなしいかな、
あなたとはもう、語れない。

それだけが事実。


~送別会~


あなたの送別会と先輩の送別会を合同にしました。

それは、少しでも最後を見送りたかったから。
それは、少しでもあなたといたかったから。

一次会は少し離れたところであなたはいました。
そんなあなたに
「メール」
を送りました。

それは、短く、あなたに向けた「詩」

もう、中身も忘れてしまった。
そう、思い出すのはあなたの笑顔。


一次会が終わり、何名か人が帰っていく。
あなたは主役だから、残っている。
私も幹事だから残っている。

時刻はお開きにはまだ、早い。
時間はお開きには足りなさ過ぎる。


二次会はカラオケ。

私は歌うのはキライだ。
ずっとタンバリンで盛り上げていた。
だって、これがもう最後だから。

あなたの近くに移動する。
あなたはこう言った。

「私、知っている人がいないんですけれど」

そう、気がついたら、先輩を送別する人ばかりだけだった。
私は、後輩に幹事をゆだねた。

そして、あなたと二人でカラオケをでた。


「私は幸せになっちゃだめなんです」

あなたのセリフが私をえぐった。
えぐれるだけえぐった。

気がついたら、二人で飲みなおしていた。

まだ、日が変わっていない、その時間。
今からだと、もう帰れない、その時間。


私たちは、どこに行きたかったのだろう。
今となってはそれを知ることもできないけれど.


~二人での時間~


初めて二人で長く話したね。
でも、あなたの心には触れられなかった。

多分、あなたは誰にも触れられたくはなかったのね。
多分、私はあなたに振れたかったんだね。

今だからこそ、そう思える。
今だからこそ。

普通にお互いの過去の話をして、
気が付いたら、2時。

店も閉まる時間。

「カラオケ行こっか」

私の声を無視してあなたはどんどん歩いていったね。

「そっちはホテル街だよ」

私の声にあなたは反応したね。

「ちょうど良いじゃない」

あなたの投げやりなセリフは、
酔っていない今なら解る。

でも、その時に解りたかった。


もう、月日は戻れないから。


~動き出した二人~

ホテルに入って、私とあなたは両極端になったね。

あなたはどんどんテンションが高くなって、
私はどんどんテンションが下がっていった。


それは、私に彼女がいたからかもしれない。
それは、あなたとはちゃんと恋愛がしたかったかもしれない。

いや、あなたのこのセリフかもしれない。

「彼女には迷惑かけませんから」


見たことない、無邪気なあなたを見て、
見たことない、キレイなあなたを見て、

私は何も出来なかった。


こんな中途半端はいやだ。


そして、私たちはなにもなく、
そして、私たちは夜を明けた。

夜明けに見たあなたの顔が
あまりにキレイすぎて、

私は泣きそうだった。
そして、何かをなくしたと思った。

そう、今日はあなたの仕事最後の日。
そう、今日はあなたと最初のランチの日。


もし、月日が戻れば、
私は違う罪を犯したのだろうか?


そんな未来はもう見ることは出来ないけれど。


~あなたとの別れ~


ランチにはあなたは来てくれたね。
でも、不思議な空気が私たちの間にあった。
それも事実。

私は結局あなたを傷つけることしか
そう、傷つけることしか
出来なかった。
それも事実。

この日を境にあなたはメールアドレスも変えたね。
そして、
この日を境にあなたの引継ぎの人から、
6ヶ月間無視されたよ。

多分、あなたをしたっていたから、
多分、私を憎んでいたんだろうね。

毎日辛かった。
6ヶ月間。

でも、それは私の咎。

だから、何も言わない。

本当ならば、彼女がいるのに、
本当ならば、そこが安らぎのはずなのに、

私は違った。

そう、私と彼女はもう、戻れないくらい
壊れていたから。


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