あたしとあなたの事情

金魚

金魚

何もかもが絶望だった
あなたが居ないこの広い金魚鉢
たったひとりきりのあたしは
水の中で誰にも気付かれることなく涙を流してた

あの夏の日に
あたしたちは出会ったね
たくさんの人の中
あたしたちは出会ったね
その時あたしは「運命」なんて薄っぺらい言葉を信じてしまった
短い生命と知っていながらも

金魚鉢の中
二人きり
金色に輝く二つの命
もう…ひとつしか無いんだね
失ったものはもう返ってはこないから
「愛」なんて言葉捨てちゃおう・・・・・

あれはまだ梅雨だったかな…
昨日交わした言葉
学校でいつも通り「バイバイ」
それが最後だったね
次の日の夜、命が消えた
次の日の朝その事実を知ったあたしは
こぼれる涙を止めることができなかった

皆で泣いたあの日
あの子は自分が死ぬことを知っていた
短い命とわかっていながら…ずっと笑顔で生きてきた

もっとたくさん話したかったのに
もっとたくさん一緒に居たかったのに
どうしてこんなに短いの?
あの子が何をしたの…?
輝く命が金魚鉢にいっぱい
でもいつしか消えて・・・・・なくなる

消えたりしないで…
わずかな光でも
何かの支えにはちゃんとなるのだから…


何もかもが絶望だった
あなたが居ないこの広い金魚鉢
たったひとりきりのあたしは
水の中で誰にも気付かれることなく涙を流してた

それでもまた泳ぎ続けなくてはいけないのだろう
強く、強く・・・・・



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