しあわせに生きよう

しあわせに生きよう




この世に存在する形あるものとは、
たとえて言えば、見なさい、
あの大空に浮かんだ雲のようなものなのだ。

雲は刻々とその姿を変える。
そうして、いつのまにか、消えてなくなってしまう。

雲がいつまでも同じ形のまま浮かんでいる
などということがありえないように
この世に存在する形あるものすべてに、
永遠不変などということはありえないのだ。

すべては固定的ではなく、流動的なのだ。

自立的ではなく、相互依存的なのだ。

絶対的ではなく、相対的なのだ。

今そこにあったとしても、
またたくうちに滅び去ってしまう。

そうであるならば、
そんなつかのまの存在に対してあれこれと、
こだわったり、思い悩んだりするのは、
ばかばかしいことだとは思わないかね・・・


だがね・・・

面白いことに、こうもいえるのだよ。

この世に存在する形あるものすべてが
つかのまであるからこそ、
ついさっきまで存在していたものが
滅び去った次の瞬間、
またぞろ様々なものが、
この世に生じてくるのだよ。

あたかも何もなかったあの大空に、
再び様々な形をした雲が、
湧き出てくるようにね・・・

しかもそれらは、
意味もなくこの世に、
生じてくるわけではない。

無数の様々な原因(因)と条件(縁)が、
寄り集まって生じてくるのだ。

例えば今、あなた方の眼前に
一本の枝が落ちているが、
もし誰かがその先端を地面に突き立て(因)
文字を書きしるす(縁)ならば、
それは筆記具と呼ばれるものになるだろう。
あるいはもし誰かがそれを折り重ねて(因)
火をつける(縁)ならば、、
それは燃料と呼ばれるものになるだろう。

同じ素材であっても、
因と縁が異なれば、
まったく別のものが生じてくることが、
これでおわかりだろう。



今度は、あなたのことだ。

この世に存在する形あるものの一つである、
あなたのことだ。
あなたが座っている地面にころがっている小石や
彼方に見えるヒマラヤ山脈と同様、
あなたもまた、この世に生まれてきた。

子供を亡くした母親が流す涙や
ガンジス河や海洋と同様、あなたもまた、
この世に生まれてきた。

今、あなたをとりまいている
虫や花や魚や鳥や馬や牛や虎や犬や猫や蛇や蟻や
象や蝶や樹や森や岩や月や星や太陽と同様、
この世に生まれてきたあなたとは、
いったいどんな存在なのだろうね。

それは、あと何年、あと何時間生きられるかも
わからない、つかのまの存在だ。

今は生きているが、あっというまに滅び去ってしまう、
かげろうのようなかわいそうな存在だ


だがね、
つかのまの存在ではあるけれど、
あなたは意味もなく、
この世に生まれてきたわけではない。

無数の様々な原因と条件が寄り集まって、
生まれてきたのだ。

つまり、生まれる意味があったからこそ、
あなたは生まれてきたのだ

そのことを思うと、
不思議な気分になるね。

そうなのだ。

今、生きているあなたとは、
奇跡のような存在であると言っても、
過言ではない。
まことにまことに
ありがたい存在でもあるのだよ


さて、
そういうあなたが、
今、どうのような場所にいるのか、わかるかね


おしえてあげよう。
心の中で想い描いてみなさい。

宇宙全体をくまなく、
とうとうと流れつづける、
いのちの巨大な運動体、
宇宙大河を・・・

宇宙大河は、
無数の一滴が寄り集まって成り立っている。

そうであるならば、
その中のわずか一滴が欠けたとしても
宇宙大河は成り立たないことになる。

一滴は、宇宙大河を成し、
宇宙大河は、一滴に依存している。

実は、あなたのいのちとは、
宇宙大河の一滴のことなのだ。

わずか一滴ではあるけれど、
その一滴がなければ、
宇宙大河はついに成りたたない。

あなたのいのちの一滴は、
宇宙大河を成し、
宇宙大河は、あなたのいのちの一滴に
依存している。

すばらしいことだとは思わないかね
おどろくべきことだとは思わないかね

宇宙大河の中を、
とうとうと流れてゆく、あなたのいのち
あなたのいのちの中を、とうとうと流れてゆく
宇宙大河。

即ち、あなたとは、
宇宙そのものなのだよ。




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