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ネオリアヤの言葉
飲み水
ロビーにある水飲み場には、大抵、人がいない。
このビルに入っている会社の企業人たちは、
給湯室やベンダーから好きな飲み物を自分のデスクに持ち寄る。
だから、敢えて一階のロビーで、
水を飲もうなどという人間は、ここには存在しないらしい。
一階には、
トウコの勤める輸入ファッション雑貨のセレクトショップが入居し、
二階は、札幌に本店を構えるエスプレッソカフェ。
あとは、三階から十一階まで全てオフィスが入っている。
立地的に見て、ここはオフィス街以外の何物でもない。
ブティックやレストランの同居したビル、ホテルなども立ち並ぶ、
ビジネス通り。
それが、何故か毎週木曜日の午後四時過ぎになると、
水飲み場に子どもの影が現れる。
この場所に不釣合いなその女の子は、いつも最初に水を飲む。
まるで約束事であるかのように。
トウコは、腕時計から自動ドアへと視線を移した。
ガラス戸の向こうには、薄手のコートをはおった人々が、
肩をすくめながら言葉少なに歩いている。
誰もが仕事途中である格好で、急いだ足取りを隠さない。
接客の合間にリングを磨いたり、配置を換えたりしているが、
時間が気になって仕方がなかった。
四時を過ぎるといつもこうなる。
腕時計と店内の壁掛け時計、そして入り口のほうにばかり意識が向く。
今日はまだ姿が見えない。
店に並ぶ商品の大半は、指輪やピアス、ブレスレット、
バッグといった小物たち。
ヨーロッパから、
三ヶ月ごとにバイヤーが買い付けてくるアンティークものや、
デザイングッズを売るのが、トウコの仕事だ。
午前から午後二時までと、午後六時以降は会社勤めの客が多い。
三時前後は主婦層が。
そして、午後四時から五時は一番閑散とする時間帯になる。
ビルには二つの入口があった。
じかにショップへと繋がる、
路面店を意識した木枠とガラスのエントランス。
そして、オフィスビルとしての、灰色の無機質なエントランス。
もちろん、ショップからビル内へと抜ける扉もある。
その三番目のガラス扉から、水飲み場がちょうどいい位置で見える。
手前にあるエレベーターの向かい側の壁には、各社の郵便受けがある。
その一㍍ほど右どなり奥に、高さ百センチくらいの水飲み機がある。
よく、地下街や駅といった屋内に設置される、
ペダルを踏んだり手元のボタンを押して水を出す、
あの水飲み専用の機械。
白くて四角いボックスは、上部のステンレスの銀色だけが光を帯び、
その場に存在するという異様さと突飛さを自ら強調していた。
それほど不自然で目立つ場所にありながらも、
誰の眼に留まることなく、誰ひとり立ち止まることもない水飲み場。
「あ…」
トウコの眼が、動きを捉える。
あの子がビルに入ってきた。時間は四時十五分。
わき眼もふらず、水飲み場へと直行する。
きちんと両肩で背負われている赤いランドセル。
白い半袖のTシャツ。細い太ももの日焼けと同色の、
茶色のギャザースカートが、ふわふわと揺れている。
顎のラインで切りそろえられた黒い髪は、
少女が動くたびに艶やかに流れる。
源氏物語で、
光源氏が初めて紫の上を小柴垣のそばから垣間見たときの描写が、
生々しいほどにトウコの脳裏に浮かんだ。
足元のペダルを踏み、弧を描いて噴出する水をただ眺める少女。
三秒ずつ、リズミカルに水を出したり、止めたりして、
しばらく水の動きを見つめていた。
その横顔には、これといって表情がない。
むしろ、冷酷にさえ感じられた。
トンボの羽や頭をむしり取る子どもの、
眼の奥が見開かれ、好奇心だけで感情のこもらない顔に似て…。
そのうち、少女は躰を水に寄せ、顔を突き出すと、舌をちょろっと見せた。
相変わらず小刻みに出される水。
それを味見するようにして、舌先で舐めはじめたのだ。
眼は、自分の舌と弧を描く水の頂点の少し手前を、
黙って見つめている。眺めている。
透明なほどに瑞々しい色彩を放つ少女の朱色のような舌は、
それだけが別の生き物のように感じられた。
色のないロビーに、突如現れた生命体。
異様なまでにエロティックな光景に、トウコは動けなくなった。
見てはいけないものを見てしまった気がした。
自分とその子だけの空間に迷い込んでしまったような、
日常から切り離されたところにポンと置かれた感覚。
時間も空間も捻じれ、自分の表情が圧迫感に歪むのがわかる。
胸の中が、奇妙に泡立ち、心臓の音が呼吸を押し上げる。
舌で水を飲む遊びにあきると、彼女は普通に水を飲み始めた。
そこでようやくトウコは安心する。
誰も見ていなかったことを確認して、水飲み場に背を向けた。
深呼吸をひとつ。
ハイヒールの足元が、
大きくグラリと揺れたような気がした。
遠ざかる少女の足音に耳を澄ましたが、
店内のBGMだけが静かに流れるだけ。
来週、同じ光景を見たいという気持ちを胸の奥にしまいながら、
トウコは再び日常の業務へと意識を戻していく。
ふと、何があんなにもエロティックに見せていたのかと気になった。
少女の一心不乱さ? 無垢さ?
それとも自分の中にある何かだったのだろうか、と。
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