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2008.07.10
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カテゴリ: Movie
<きのうから続く>

ある日、ジャン・コクトー経由でマレーに熱烈なファンレターが届く。

「『ブリタニキュス』のジャン・マレーは素晴らしい! 私はデビュー当時から彼に好感を寄せており、恐らく彼のすべての舞台を見ていると思います。しかし、今回ほど悲劇俳優としての彼の才能を認識させられる舞台はありませんでした。2時間、私はオペラグラスでジャン・マレーを追い続けましたが、唇は震え、まつげ越しに彼に流し目を送ることを自制できませんでした。その表現力、的確さ、ニュアンスの多様さには驚嘆させられた次第です。この英雄的演技について書かれた一部のばかげた論評を思うと、途方に暮れるばかりです」

手紙の主はロジェ・マルタン・デュ・ガール。「チボー家の人々」でノーベル賞を受賞した文学者。艶やかなマレーの演技に魅了された観客の心情を代表している。

ヴィスコンティの予言どおり、マレーの『ブリタニキュス』は、次第に喝采が罵声を凌駕していく。ブーイングは消え、連日満員の劇場では、終幕になると観客が総立ちでマレーの演技を讃えていた。コメディ・フランセーズ内でのマレーを見る眼も変わってきた。

コンセンバトワールを出て、コメディ・フランセーズの正座員となり、伝統的な古典劇で高い評価を得てきたヨンネルというベテランの俳優兼演出家がマレーに、同じくラシーヌの『ミトリダート』の出演を頼んできた。ヨンネルは『ブリタニキュス』までは、「もっとも嫌いな俳優はジャン・マレー」と公言してはばからなかったのだ。

マレーはヨンネルの申し出を受けた。マレーにあてられた『ミトリダート』のクシファレス役には長台詞が多く、挑戦しがいのある役だった。ヨンネルとマレーの相性も悪くないことがわかった。ヨンネルはいつも稽古場に真っ先にやってきて、演出家の指示をよく聞くマレーの態度に驚いていた。
「君のことを誤解していたよ」
ヨンネルは敬意をこめてマレーに言った。
「てっきり君はスター芝居を勝手に演じて、ぼくの指示に従わないと思っていた」
マレーにとってはそうした誤解のほうが不思議だった。20歳そこそこでシャルル・デュランの門下に入って以来、マレーは常に演出家には敬意を払い、芝居の予習と復習を怠ったことはなく、稽古場にもたいてい一番に入って準備をするタイプだった。練習だけが自分を進歩させるものだと固く信じてきた。その長い努力がようやく実を結びつつあった。
ロングランとなった『ブリタニキュス』と並行して、『ミトリダート』も初日を迎え、こちらは初めから大成功を収めた。観衆と批評家はそろってジャン・マレーを絶賛した。

ジャン・マレーを得たコメディ・フランセーズは活気に溢れていた。古典劇でこれほど観客を動員できる俳優は他にはいなかった。だが、 みなさまのNHK 国立劇場であるコメディ・フランセーズの給料は非常に安かった。マネージャーのリュリュはマレーに、早く映画の仕事を入れろ、さもないと多額の税金を払えなくなると警告していた。しかし舞台がロングランとなり、さらに演目が増えたことで、マレーにはその時間がなくなった。1年以上マレーは映画のオファーを断わり続けた。そして、実際に税務署から税金が要求されたとき、ある程度予想をしていたとはいえ、その金額にリュリュは茫然となる。

「ねえ、お願いよ」
もう一刻の猶予もないという顔で、リュリュは楽屋のマレーに詰め寄った。
「休暇をもらって、映画の仕事を入れてちょうだい。税金が払えないのよ、わかってるでしょう?」
「リュリュ、何度も言ってるけど、今は悲劇に集中したいんだ」
「私にとっては、あなたが1100万フランの税金を払わなきゃならないことのほうが悲劇だわ」
「いくらだって?」
「1100万フラン」
金銭感覚が欠如していることを公言してはばからないマレーも、その額にはさすがに絶句した。
「そんなに? なんで?」
「なんでって、去年のあなたの収入が多かったからよ。で、あなた、ご自分が今もらってるコメディ・フランセーズでの月給覚えてる?」
「月8万フラン」
「それで、1年以上映画の仕事を断わっているのよ。月8万フランに12をかけると、いくら?」
「ええと……」
「96万フラン。それがあなたの年収ってわけ。1100万フランから96万フランを引くといくら残ると思う?」
「さあ……」
「1004万フランよ」
「全然足りないってことはよくわかるよ」
「年収が96万フランなのに、税金が1100万フラン。これ以上の悲劇ってある? あなたは節約ってことを知らないから貯金はほとんどないし、本当に税金で破産だわ」
「税金が払えないとどうなるの?」
「財産差し押さえね。あなたの場合、川船のノマード号とミリィ・ラ・フォレの別荘、それとマルヌの土地」
「ミリィの借金を返したばっかりなのにか」
「ねえ、ジャノ。ミリィの別荘のことなんだけど――あなた、全然あそこへ行く時間がないでしょう? これまで何度行ったの? あそこを買ってから」
「数回かな」
「あなたとジャンが買ったのに、使っているのはジャンとドゥードゥー(=デルミット)、それにたまにポール(=コクトーのマネージャー)。ジャンは当然としても、一銭も出していないドゥードゥーやポールが自分の家みたいに泊まってるなんて、あなた腹が立たないの?」
「立たないけど? ドゥードゥーもポールもジャンの家族だし」
「……思うんだけど、あそこのあなたの持分をジャンに買い取ってもらうのはどう? 少なくとも500万フラン以上の値打ちはあるはずよ」
「いや、ぼくはジャンと取引したくない」
「取引じゃなくて、助けてもらうのよ」
「ジャンに500万フランなんて金はないよ」
「ジャン・コクトーなら集められるわよ。フランシーヌだってついているんだし。それともマルヌの土地を売る?」
「買ったばかりだよ、まだ家も建ってないのに」
「差し押さえされるかもしれないって言うのに、家どころじゃないわよ。それにマルヌに家を新築したら、ミリィはますます負担になるわ。それとも、このまま指をくわえて差し押さえを待つ気? マスコミは大喜びね。『ジャン・マレー、ラシーヌで破産。家も建てずに土地手放す』」
「おいおい、リュリュ」
「ジャンにミリィの持分を買ってもらう、それから映画に出る。それしかないわよ。もうじきコメディ・フランセーズも夏休みに入るし、なんとか休暇をできるだけ多くもらって映画の仕事を入れてちょうだい」
「映画の話は来てるの?」
「来てるわよ、たくさん」
「たくさん? つまり、同じような映画ってことか」
「同じようなって?」
「ありきたりの2枚目スター役だろ」
「2枚目スターなんだから、仕方ないんじゃないですか」
「でもね、リュリュ。もうぼくはいい加減あきあきなんだよ。美貌の女優さんと頬寄せあって、オープンカーでキスしてってのはね。今はラシーヌを演るのが本当におもしろい」
「だけど、ラシーヌの映画なんてないわよ」
「今までと違った役の話はないの?」
「たとえば?」
「これまでやったことのない役さ、マリー・ベルの母親役みたいに」
「やったことのない役ねぇ…… どうだったかしら。調べてみるわ」
そこへ劇場のスタッフが、楽屋のドアをノックした。
「ジャン・マレーさん、ジャン・コクトー様からお電話です」
「ちょうどいいじゃない。ミリィのこと、話してみてよ」
「いや、それは……」
曖昧に答えて、楽屋を出るマレー。受話器を取ると南仏のサン・ジャンから声が届いた。
「ジャノ、明日からぼくはパリなんだけど、リュリュが言うには、君はラシーヌの長台詞と劇場関係者との付き合いに忙しいって?」
「うん、まあ……」
「パリに行くのに、君と食事もできないなんて、そんなことはないよね? なんとか時間を取ってくれるかい?」
「食事ぐらい、もちろんなんとかするよ。明日の夜は公演はないから、夜にしよう」
「じゃあ、 ヴェフール(=パレロワイヤルのコクトー常連のレストラン) でいいかな」
「いいよ。モンパンシエのアパルトマンに泊まるのか?」
「そのつもりだよ。君が泊まって、朝起こしてくれたら天国なんだけど。コメディ・フランセーズとは目と鼻の先じゃないか。モンパンシエから劇場に行くといい」
「いや、でも、それは……」
モンパンシエのアパルトマンには、すでにマレーの服はなかった。泊まるとなると、用意して行かなければならない。
「よければジョルジュも一緒に」
「ジャン、あそこは3人には狭すぎるよ…… わかった。ぼくが1人で行くから」
コクトーの嬉しそうな声に、思わず微笑むマレー。電話を切って楽屋に戻ると、リュリュの厳しい顔が待っていた。
「リュリュ、あのね……」
「……明日はジャン・コクトーと会うから、食事の予定をキャンセルしろ、でしょ?」
「うん、まあ」
「ミリィのこと、話してみてよね」
「映画を何本か入れるよ、約束する。それで何とかならないかな」
「ならないわよ。ギャラはすぐに入らないもの」
「そこを何とか話をつけるのが……」
「私の仕事ってわけ?」
「頼むよ、優秀なマネージャーさん。頼りにしてるから」
「細かいこと言うようですけど、明日のコクトー先生とのお食事、もちろんお支払いはあなたなんでしょう?」
「ジャンに払わせたことはないよ」
「誘うのはジャン・コクトー。払うのはジャン・マレー。あなたたちはいつもそうね。たまには何とかならないの」
「おいおい、レストラン代ぐらいどうってことはないだろ」
「そうおっしゃいますけどね、先々月マキシムから回ってきた請求書、あなたがジャン・コクトーとそのお仲間たちと一緒に食べた1回の夕食代だけど、あなたの月給より多かったのよ」
「そ、そうだった?」
「節約っていうのは、そういうところからなのよ、ジャン・マレーさん」
「つまりさ、今は節約したいと思っているんだけど、そう思ったときはもう金はないってことなんだな」
「おっしゃってる意味がわかりませんが?」
「ぼくに節約させたかったら、まずは浪費させてからってことだよ」
「……」
「それに、メシ代なんてさ、たとえ何百回マキシムに行こうが、ジャンがぼくに書いてくれた『永劫回帰(悲恋)』1つと比べたって、比べものにもならないよ。あの1本だけで、ジャンがぼくをどんな高みに連れて行ってくれたか――」
「払いきれない税金がかかるくらいにね」
「……わかった、本当に何とかするから。約束する」

<明日へ続く>






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最終更新日  2008.07.11 04:12:58


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