< 結婚観 >

本田君がいつものようにさえない顔をしてつぶやく。
「結婚って何でしょうね。」
俺「単なる契約だよ。 ちょっと窮屈だけど相手との関係をフワフワしたいつ落ちるとも解らない雲の上を歩くような物から地面にくさびを打ち付けて風が吹いても飛ばないようにしたような物さ。 別の例えを使うと戒律の厳しい宗教のような物で、厳しい戒律の中で自己を抑圧する事である種のエネルギーを生むんだ。
そのエネルギーは慈愛とか自己犠牲とか素晴らしい方向に行く場合もあるけど、他の宗教に対する偏執狂的な攻撃につながったり、異常性愛につながる事もあるんだ。上手く行っているうちは2人の力が2人分にも4人分にもなるが、力の向かう方向を間違えると破壊のみの殺伐とした関係になりがちだ。」
「結婚する事に迷っているんですけれど、貴方の話を聞いていると余計に躊躇してしまいます。」
しまった、いつものようにブラックな展開に持っていってしまった。
だいたい、接点のない夫婦関係を綱渡りのように続けている私に聞いて納得の出来る話が聞ける内容とは思えないが本田君とはそう言う間の悪い人間なのであった。
何とか挽回せねば。
「でも、一度はしておいた方が良いぞ。
ほら!子供の頃に砂浜で砂遊びしなかったか?
砂浜は無限の砂場!何でも作り放題!
そう、結婚も同じなんだ。
新しい生活という無限の可能性を秘めた創造的な世界が待っているんだよ。」
「でも、このまま喋らせたら、波が来たらアッという間に消えるって言っちゃうんでしょ。」

彼は婚約した。
話の最後に、地面に打ち付けたくさびをパートナーに気付かれないように時々外すというアドバイスをしたが、実行されるのだろうか。


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