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やっぱり、プーチンがモンゴルに来てしまった。意外というか、思った以上に日本国内で報道されている。日経新聞など普段は大してモンゴル関連を扱わないのに今回はしっかり書いている。だが記事の分類はウクライナ関連である上にプーチンの訪問目的すら書かれてない。つまり関心事はただ1つ、国際刑事裁判所(ICC)から出ている逮捕状に従ってICC加盟国であるモンゴルがプーチンを拘束するかどうかだ。当然のことだが拘束なんてできるはずもなく、プーチンを大歓迎する様子がテレビやネ界中に広まった。単に放送されただけでなく、スフバートル広場でモンゴルはロシアが大好きであることを見せつける式典を含め、2日間にわたってNHKのニュースにモンゴルが出るなどとは記憶にない。大きく広まっただけではなく、ICC違反国第一号として認知されたことが問題なのだ。既にウクライナは怒っておりEUも懸念を表示している。多くの国にとっては、スフバートル広場での様子はベラルーシのそれと変わらず、ロシア側に立ったことの表明式に見えたであろう。今回の訪問の目的はハルハ河戦争85周年とか中露ガスパイプラインなどと言われているが、プーチンの代理でも間に合う話で代償はあまりにも重い。民主化後、歯を食いしばってコツコツと積み上げてきた民主主義国としての実績が崩れた瞬間にも見えた。フレルスフが「常に中立政策を維持」だって?だったらICCに加盟しなければいい。「いやいや、あの時はそう思ったんだ。だけど今はそう思わない、自分の気持ちに正直なだけなんだ。」と平気で噓をついたモンゴル人を思い出した。フレルスフは大変なことをしてしまったという自覚もなければ、大きな代償を伴う決断をするという認識もなかったのだろう。モンゴルの民主化後史上最悪の大統領と言える。ある意味この30年間でモンゴルが世界的に一番注目された時だということは、大変な皮肉である。今後のモンゴルが心配でならない。アメリカが余計なことを言わないのを祈るばかりだ。
2024.09.03
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モンゴルに関する確認できない情報が出ている。1つは中露ガスパイプラインに関する記事だ。これは欧州からの制裁で困っているロシアと天然ガスを安値で買いたい中国とその通過料が欲しいモンゴルとの思惑が一致して、ウランバートルを含むモンゴルのど真ん中にパイプラインを敷こうというものだ。記事はモンゴルの今後3年間予算の中にパイプライン建設費が入ってないとロシアが怒っているというものである。私はロシアが何で怒っているのかよくわからなかった。モンゴルが自前で建設費を出せるはずはなく、中露が出すのが当然のことだからだ。モンゴルもプロジェクトに賛成と書いたが、それを賄賂の収入源にしたい政治家のことで大多数のモンゴル国民は反対している。そんなもの作ったら未来永劫中露に頭が上がらない国となり、両国に支配されて続けるからだ。そんなところに、驚きのニュースが入ってきた。それは9月3日プーチンがモンゴルに来るというものだ。従来的発想ならパイプラインの件で怒ったプーチンが一喝に来るというものだが、今回はフレルスフ大統領からの招待だということで国民は一層怒っている。しかしながら、国際的関心事はそこではない。本ブログ2023年3月18日付け「プーチンに逮捕状!どうする、モンゴル⁇」の内容が現実になったのだ。ウクライナ外務省は8月30日に、モンゴルに対して国際刑事裁判所{ICC}の逮捕状に基づいて訪問したプーチンを拘束するように求めた、のである。モンゴル政府は一体どこまでバカなのだろうか?モンゴルはICCの加盟国なのを忘れたのか。フレルスフ大統領がプーチンを招待しておいて逮捕したら、翌日にはミサイルが飛んでくるかも知れず逮捕なんかできるはずない。モンゴルはプーチン逮捕状に関して、世界初の違反国になるつもりなのか。これはモンゴルが中露側に付き、民主主義陣営を離れたと見なされることになるが、それでもいいのか?モンゴルの細かい事情なんてだれも気にしない。ほとんどの国は「ああ、また旧社会主義国が中露側に入ったな」で終わりだ。どんな言い訳をしても、国際条約違反は事実なのだから。モンゴルはベラルーシみたいな国になりたいのか。そうなると、どうなるのか。欧米日との外交は大きく変わるだろう。まずアメリカはモンゴルを敵対国と見なすだろう。今後は援助どころか最恵国待遇の関税だってなくなるかもしれないし、ビザ取得にも影響があるかもしれない。欧州はモンゴルをICC違反国と見なし。何らかのペナルティを課すだろう。日本も今までのようにはいかない。モンゴルの事情をある程度理解しても、違反国であり欧米の目を気にする日本は何もできないだろう。このように窮地に陥ったいや自ら墓穴を掘ったモンゴルだが、問題はモンゴル政府にその自覚があるかどうかだ。私はノー天気な人民党にはないと思っている。一体どうなるのか。フレルスフ大統領が急病で入院し、会談ドタキャン。或いは、会談場所をロシア側にするかだ。
2024.08.31
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パリ五輪の開会式と閉会式で選手が着用するモンゴル代表の衣装が今大会で一番美しい!とのネットニュースが出ていた。記事のネタ元は米CNNとある。衣装は確かにモンゴルを感じさせる。全参加200か国を比べたわけではないだろうが、一番美しい!と報じられるのは嬉しいことだ。英語圏のSNSでセンセーションを巻き起こしているとあり、多くの称賛する言葉が載っている。他にも多くの写真が載っているので興味ある方は検索してほしい。デザインはミシェル・アマゾンカ(本社ウランバートル)によるとあるので、これは会社の名前なのだろう。高級既製服とあるので、モンゴルでは既に有名なブランドなのかも。モンゴルの伝統文化を現代の光で表現するとあり、全くその通りだと思う。記事には衣装の説明には伝統衣装がベースにあるとかベストやローブなども書かれているが、肝心のデールという言葉がない。せっかく世界に発信できる機会に残念でならない。ナーダムに合わせてデールテイ‐モンゴルも開催されたようだが、CNNや他のネットニュース、SNSへリプライをしてほしい。そしてデールテイ‐モンゴルなどの写真を添え、パリ五輪NO.1開会式用衣装はデールという名前であることを世界に広めて欲しい。
2024.07.19
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恒例のIMDによる世界競争力ランキングが出ていた。モンゴル62位?いつの間にランクアップしたのかと驚いて見直したら、私の大きな勘違いだった。世の中の世界のランキング対象国はだいたい160か国くらいと思いこんでいたので、これは凄いとぬか喜びしたわけだ。実際の調査国数は67か国だったというのであるから、私の記憶力も怪しくなったものだ。昨年までは30年間ほどこの調査に協力してきた。この調査が始まったばかりのころは、日本からの回答数が足りないとのことで催促メールが来たものだったが、この調査が有名になってからはもちろんない。10数年前にモンゴルも対象国になってからは、そちらも協力してきた。最初のランキングは確か最下位かブービーではなかったかと思うが、60数か国しかない対象国に選ばれたことが素直に嬉しかった。今年のランキングを見てみると。モンゴルはアジア12か国中最下位で全体では62位だ。日本はインドネシアやマレーシアよりも下のアジア9位で全体では38位である、日本はもう先生役なんかできないどころか、立派なアジアの劣等生である。日本がこのランキングで1位に戻ることはないと思うが、モンゴルにはぜひ更なる上位を狙って欲しい。私自身もこんな短文を書くのに数時間どころか三日もかかっている。書いている途中で保存が消えたり、話にならない。また書ける時があれば、書けるかも。
2024.06.22
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今日入ってきたニュースです。ロイターによりますと「ウクライナ南部ヘルソン州のロシア支配地域とクリミア半島を結ぶチョンガル橋の道路がウクライナのミサイル攻撃で損傷し、交通が別ルートの迂回(うかい)を余儀なくされていると、両地域の当局者が22日に明らかにした。」ということです。いよいよクリミア半島とロシア支配地域を断絶させる作戦に出たようです。せっかくの立派な橋で巨費をかけたのでしょうが、これは戦争でロシアをクリミアから追い出すためですから、仕方のないことです。ですが、私のこのニュースを見ての最初の反応は、戦争戦術ではなく、この言葉です。チョンガル橋です。なんかものすごくモンゴル語っぽいんですね。これがその地域です。クリミア半島につながる重要な通路です。wikipediaなどいろいろ調べてみました。英語版はもちろん、ロシア語版も。それによると、ここはチョンガル半島という地域の名前だということがわかりました。しかしながら、この地域については1900年以降のことしか書かれていません。ですので、今度はこの言葉の意味を探りました。が、どうやら「元々はロシア語ではない言葉」とあり、もちろん「ウクライナ語ではない言葉」であるように書かれています。こうなると、私の直感はいよいよ当たっているんじゃないかと思うわけです。で、まずは単純にモンゴル人に「チョンガルって何?」「英語でChongar」「キリル文字でЧонгар」はどういう意味?と。ですが、残念ながら、現代のモンゴル語にこの通りの言葉はないようです。ですが、モンゴル人から「クリミア半島はトュルク系が多かったから、トルコ語系かも知れない?」とのコメントをもらいました。なるほど、それは十分ありうるなと思い、グーグル翻訳やその他の手段を使ってトルコ語にアプローチしたら、なんと私が「Чонгар」というのをトルコ語翻訳に入れただけなのに「原語はモンゴル語」と出てくるではないですか!!わかったのはそこまでで、現在の意味は分かりませんでした。こうなると、いよいよ私の直感であるモンゴル語説が正しいような気がします。ですが、これ以上はわかりませんでしたので、あとは推定です。辞書を引いても、そもそもЧо(チョ)で始まるモンゴル語は非常に少ないのです。小さい辞書では「Чонo」(チョンヌ。日本人が普通に聞くとチョンに聞こえるが、よく聞くと小さなヌがある)狼(オオカミ)のことです。「Гар」(ガル)は手のことです。携帯電話は「гар утас」(ガル オタス)と言います。直訳すると「手の電話」です。私は「狼の手」が語源ではないかと勝手に推測しました。狼の手は「чонын гар」と書きます。読み方は「チョニンガル」です。モンゴルがこの地域を支配したのは800年も前のことですが、この地域には多くのモンゴル語が残っていることは有名です。800年もあれば「チョニンガル」が「チョンガル」に変遷しても少しも驚くことではなく、むしろ自然でしょう。この地域の地図をもう一度見てください。この地域が「狼の手」に見えたのではないでしょうか?800年もの年月を経て、ロシアという熊がこの「狼の手」を侵略しているのです。現代の戦争を見ていることで、モンゴルの歴史に思いを馳せることができるのです。と、ここまで書いて、このブログの読者である「カザフ人」さんからコメントいただきました。私の勘は半分は正しく、半分は間違っていたようですので、以下の通り正しい情報を追加します。正しい情報というのは、やはり私の直感であった「チョンガルはモンゴル語」ということです。間違っていたのは、残念ながら「狼の手」ではなく、モンゴル人であるカルムイク人の地であったということです。以下、カザフ人さんのコメントをもとに書きます。コメントからの引用「カザフ語版Wikiによると、「チョンガル(Chongar)」という名前はクリミア・タタール語でカルムイク人(モンゴル人オイラト族)を指す呼び名だとされています。17世紀から18世紀にかけて、ジュンガリア(Dzungaria)から移住してきたカルムイク人がこの乾燥した海峡を通過し、クリミア・ハン国を頻繁に襲撃したとされています。」本ブログでも以前に登場しましたが、清の時代に最後まで清の領土になることに抵抗したモンゴル人が、ジュンガルの人たちです。ジュンガルとは、現在のバヤンウルギー県の南部にある広大な地域で、今では中国の新疆ウイグル地域となっています。このジュンガルの人たちは大変強力な軍隊を持ち、清国も非常に苦戦したと言われてます。ジュンガル人に比べれば、ハルハ人ははるかに弱かったとも・・・コメントからの引用「「ジュンガル(Dzungar)」という言葉はモンゴル語で「左翼」を意味します。モンゴル語のハルハ方言では「ズーンガル(Zuungar)」と言います。モンゴル文字ではこれらの呼称の表記はは同じですが、キリル文字で表記する際には異なってしまうため、モンゴル国に住むモンゴル人(主にハルハ族)にとっては理解しにくいかもしれません。」左のことを現在のモンゴル語であるハルハ語では「ズーン」と言いますが、チャハル(内モンゴル)やジュンガルでは「ジュン」と発音します。なので、現代モンゴル語ではズーンガルですが、現地での読み方ではジュンガルとなるのです。このジュンガルに住んでいたのがオイラート族(モンゴル人)で、この人たちがチンギスハーンの時代に西へ遠征し、クリミア半島辺りに移り住んだのです。ですから、このオイラートの人たちは、その地でジュンガルと呼ばれ、それが800年でチョンガルになり、その土地もそう呼ばれるようになったのでしょう。なんだか、北海道日本ハムファイターズの新球場が北広島市にありますが、その名前の歴史にも似ている気がします。広島出身の人たちが「ここは北の広島だ!」と名付けたと聞いたことがあります。やはり、「モンゴル帝国の痕跡は現代に至るまで残っています。」というのは、カザフ人さんにも同意していただけました。カザフ人さん、ありがとうございました。
2023.06.22
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クイーンというイギリスのバンドは、1970年代前半デビューでしたから、今の若い人たちには全くピンと来ない名前だと思っていましたが、映画「ボヘミアン ラプソティ」が世界的に大ヒットしたので、それでごぞんじの方も多いのではないでしょうか?もちろん、この映画の題名でもある「ボヘミアン ラプソティ」は世界的に大ヒットした有名な曲です。その曲名は、元々は「モンゴロリアン ラプソティ」だったのが、歌詞の修正を経て原題名になったというのです。クイーンのメンバーです。ガオディアンというイギリスのネットメディアによると、「サザビーズでオークションにかけられるクイーンの『ボヘミアン・ラプソディ』の初期草案から、これまでバンドのファンや研究者には知られていなかった、1975年のヒット曲の別の仮題が明らかになった。」というのです。そしてニューヨーク・タイムズ紙によると、「このロック・オペラの初期草稿15ページのうちの1ページで、ソングライターのフレディ・マーキュリーは上部近くに「モンゴル・ラプソディ」という言葉を書いたが、最初の言葉を取り消し線で消し、その上に「ボヘミアン」と書いたという。」のです。どういうことか?フレディ・マーキュリーの所持品がサザビーズのオークションにかけられることになり、その中に『ボヘミアン・ラプソディ』の初期草案が見つかったというのです。「ボヘミアン - またはモンゴリアン - ラプソディの歌詞は、マーキュリーの落書きの中に、廃業した航空会社ブリティッシュ・ミッドランドの便箋に書かれていました。」と関係者は話しています。これが実際の原稿の写真です。確かにこの便箋にはブリティッシュ・ミッドランドと書かれています。非常に見にくいですが、この写真をよく見てください。上部には1974年のカレンダーが赤文字で書かれています。そのカレンダーの9月の下を見てください。太い二本線で消されている文字があります。この消されている文字が「Mongolia」なのです。そしてその消された線の上には「Bohemian」と書かれています。つまり元々は「Mongolia」だったのを、フレディ・マーキュリー自身がそれを消して、「Bohemian」に書き直したのです。もちろん、今まで音楽の専門家でも知らなかった事実ですから、本当の理由はわかりません。ですが、推測はできそうです。それは「ボヘミアン ラプソティ」の意味を探ることです。Rhapsodyというのは、「自由奔放な形式で民族的または叙事的な内容を表現した楽曲」という意味です。なるほど、映画でのフレディ・マーキュリーのイメージそのものですね。Bohemianというのは、「世間の習慣など無視して放浪的な生活をする人。」という意味です。元々は、自由な移動生活をするジプシーの人たちを指していた言葉で、そのジプシーがチェコのボヘミア地方に住んでいたので、こう呼ばれるようになったのです。つまり、最初はある人間の集団の生活していた地方を指していたのが、段々とその意味するところが放浪的な生活をする人、となっていったのです。こう考えると、フレディの頭の中では「移動民族?」「自由奔放?」それは英語で言えば「nomadic」と同じような意味となりますから、最初に「nomadic」が浮かんだのかもしれません。そしてnomadicと言えば、ヨーロッパ人の頭の中で一番最初に浮かぶのがMongoliaまたはMongolianだと思うのです。本ブログでも度々触れているように、「現在のモンゴル国」というのは残念ながらあまり注目はされていませんが、ヨーロッパ人にとっては歴史的に「モンゴル」という存在は非常に大きなものがあり、学校教育どころか、おばあちゃんが孫の躾(しつけ)をするときにも使うくらい、浸透している言葉なのです。なので、当然、フレディの頭には「自由奔放な放浪生活」を言い表したいときに、nomadicの代表であるMongoliaが浮かんだのでしょう。歌詞の内容は、ボヘミアンにもモンゴルにも直接関係ない言葉で綴られています。要すれば「ふらふらと適当に生きて来た少年が殺人を犯してしまい、最初はどうだっていいなんて思ったけど、悪魔やら神様のような存在に裁かれるときになって、やっぱり行きたい、逃してほしい、と本心が溢れて来たけど、時すでに遅し」という感じです。とにかく、世界的な大ヒット曲の題名にこんな秘話があったとは驚きです。曲名や映画名が「Mongolian Rhapsody」だったら、なんか、観光客が増えそうな気がするんですけどね。ヨーロッパ人にとってのMongoliaの存在の大きさを再認識しました。
2023.06.02
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そして本年4月26日の国連総会です。ここで大きな動きが出たのです。その前に、その決議案をチェックする必要があります。安保理ではもちろんロシアによって否決され続けていましたから、決議案提案国にとってはなんとか賛成派を増やしたいのです。そのために、決議の文言をマイルドにするということは試されたようでした。ですがこの4月の決議は、実は「ロシアによるウクライナ侵略を非難する決議」ではなかったのです。この時は「国連とEUでこれからも協力していきましょうね」という何ともぬるい決議だったのです。それじゃあ、ウクライナとは関係ないじゃないかと思っていましますが、そこには仕掛けがあったのです。まずこの決議ですが、実は国連総会にて毎年採択されている国連と欧州評議会の協力に関する決議なのです。要するに「お決まりの決議」なのです。当然、ヨーロッパ重視の中国も今までは当たり前のように賛成してきたことでしょう。ですが、今回の決議には特別な文言を滑り込ませてあったのです。それは、冒頭部分(2ページ目)に、「ロシア連邦のウクライナ、およびそれ以前のジョージアに対する侵略に続く欧州が現在直面している未曾有の挑戦、並びにロシア連邦の欧州評議会の加盟停止は、(中略)国連と欧州評議会の間の協力強化を求めるものであることを認める」と書かれていたのです。つまり毎年「国連と欧州評議会は協力しましょうね」という表現で決議されていたものに、ロシアによるウクライナとジョージアに対する「侵略」の文言が含まれたのです。これに賛成するということは、自動的に「ロシアによるウクライナへの侵略がある」という事実を認定することになるのです。どうする中国?どうするモンゴル?「欧州と仲良くしましょうね!」という決議に反対する理由はありません。今までもずっと賛成してきたことでしょう。当然ですが、各国ともこの侵略の文言が入っていることは十分承知しています。で、結果はどうなったのか?中国、インドが賛成に回りました。つまりロシアによる侵略があったことを認めたのです。そしてモンゴルも賛成に回りました。みんな賛成かというと、そうではないのです。ウズベキスタン、キルギス、タジキスタンは棄権です。トルクメニスタンは相変わらず欠席です。そして中央アジの最大国カザフスタンもモンゴルと同じく賛成に回ったのです。つまり今まで対応はほぼ一致していたこれらの国で、対応が割れたのです。私は、この対応の変化にはいくつかの要因があり、それらによって少しずつ変化が起きているのではないかと思います。一番大きい要因は、ロシアの劣勢でしょう。当初の作戦失敗はともかく、その後も攻めあぐね、ロシア内部は分裂でも起きそうなほどいろいろ問題がありそうです。そしてNATOによる強力な武器協力がかなりととのってきたことで、反撃が近づいていることが、多くの国にとって「ロシア弱体化?」「ロシアは周辺国を威嚇している余裕なんかないのでは」と感じてきたからではないでしょうか?ここで欧州評議会との協力を正面から否定したら、今後の情勢次第ではさすがの中国、インドといえどもロシアに全てをかけるわけにはいかないという判断が働いたのではないでしょうか?モンゴルとカザフがなぜ賛成票に回ったのかは聞いていませんが、恐らく「中国が賛成するらしい」との情報を得たのではないでしょうか?それを聞いて、この機会を逃したら、ロシアの呪縛から逃れられないと思ったのではないのでしょうか?この決議を機会に、ロシア周辺国でのロシアへの忖度行動が減っていくような気がします。今、G7サミットに対抗して中国が中央アジア5か国と集まって会合やってますが、この決議一つとってもたった6か国が集まっているだけなのに、賛成2か国、棄権3か国、欠席1か国と対応がバラバラです。中央アジア各国からすれば中国を盟主にしようなんて気持ちはさらさらないでしょうが、習をおだてて何がしかの資金を得られれば上々と考えているのではないでしょうか?モンゴルもこれを機に、ロシアの呪縛から逃れることができるといいのですが。(完)
2023.05.18
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ロシアによるウクライナへの違法な侵略戦争が始まって1年半近くになります。世界の平和を守るためという名目で戦後「戦勝国によって作られた国際連合」は、当然のことながら全く機能していません。最大の原因は「戦勝国というのは、絶対善で敗戦国は絶対悪」という基本概念から始まったからでしょう。それが5大国の拒否権として諸悪の根源となっているのです。絶対善は「絶対に悪いことはしない」という前提が崩れたわけですから、国連が機能しないのは当然です。少なくとも安全保障理事会は全く機能していません。そこで「決議されても強制力はない」ものの、国連加盟国の総意を得るために国連総会でロシアを非難する議決というのを何度もやっているのです。これは記名式です。もし無記名だったら、99%が非難に賛成するだろうともいわれていますが、ロシアなどの反対で記名式となっています。つまり、その国がロシアを非難する決議に賛成したかどうかわかるのです。こうした仕組みがあるので、「誰が見てもロシアが悪いに決まっているような話」でも、実際の決議となると、ロシアの報復、プーチンの顔が浮かんでなかなか「当たり前の態度」を取れないのが現実で、その一つがモンゴルなのです。モンゴルの人の多くは、一部の偏狭なロシア大好き人を除けば、多くの国民は今回のウクライナ侵略がいかにひどいことかわかっています。開戦当初はいろいろな見方がありましたが、さすがに「ウクライナの惨状」「隣のブリヤードモンゴル人への徴兵、戦死」などを見ていれば、ほとんどのモンゴル人は我々と同じ感覚でロシアに対して嫌悪感を持っています。ですが、いざ国連で投票しようとするとプーチンの顔が浮かんでしまいます。顔だけではなく、具体的な報復は実に簡単なのです。モンゴルへのガソリン供給をストップさせる、あるいは減らすだけで、あっという間にモンゴル経済は麻痺してしまいます。モンゴルの西部地域を中心にロシアから電力供給を受けていますが、それだって簡単に止められます。鉄道だって、或いはヨーロッパから来る鉄道の輸入荷物だって、どうなるかわかりません。モンゴルの場合は、単なる「タラ・レバ」の脅しではなく、実際に何度もそうしたいじめ被害は受けてきた経験があるのです。そうなると、なかなか「正しい選択」ができないのが、頭の痛いところです。ところが、今年4月下旬の国連総会で、遂にモンゴルがロシアを批判する決議に賛成票を投じたのです。これは画期的であるとともに、ある意味「ロシアはかなり追い詰められている」とも言える現象ではないかと思います。その辺を一緒に見ていきましょう。ウクライナへの侵攻があってから半年余りたった2022年10月の「ロシアによるウクライナ侵攻に対する非難決議」では、35か国が棄権をし、10か国が投票を欠席しました。この時の棄権国のうち、モンゴルとも関連しそうな国を拾ってみます。新聞でも報道された中国とインドは当然この棄権組です。気になるのは、旧ソ連であった中央アジア各国の動向です。結論としては、日米欧のように賛成した国はゼロです。カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギスとモンゴルは棄権。ちなみにタイとベトナムも棄権国でした。トルクメニスタンとイランは欠席国でした。それが侵攻から1年余り経った2023年3月の決議では若干変化しました。ですが、必ずしも「良い傾向」に変化したわけではありません。上記の注目国で言いますと、ウズベキスタンが棄権国から欠席国に変わりました。もっと消極的になったということなんでしょうか?逆にイランは欠席国から棄権国に変わりました。欠席と棄権でどの程度ロシアへの忖度度合いが違うのかはわかりません。そして棄権で意外だったタイが賛成国になりました。軍事政権とも関係あるかはわかりませんが、とりあえずはまともな国になってくれました。ですが、それ以外の上記の国々は半年前と同じ態度でした。もちろん、モンゴルも棄権でした。(続く)
2023.05.17
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やや旧聞となりましたが、ちょっと前に新聞に「中ロ依存に危うさ」という記事が出ていました。要するに、モンゴルが中国とロシアに政治経済的に依存していることを指摘し、このままでは危ういということを言おうとしているのでしょう。私は「ようやく日本の新聞もちゃんと取り上げてくれたのか。どんな事実や分析があるのだろうか?」と期待しながら読みました。内容は、「モンゴルが新型コロナウイルスやウクライナ戦争の影響を受け、隣国の中国とロシアへの依存をますます強めている。他国や国際機関、企業が再び関与しなければ、モンゴルは国際社会から遠ざかることになる。」とモンゴルの現状を憂いています。しかし、それを示す事実は「モンゴルは現在、収入を中国市場に、交通網など主要なインフラをロシアに依存している。」と当たり前のことを書いています。それだけなんです。もっと分析とか数値があるのかと思ったら、何もない。そして「国営ロシア鉄道はモンゴルの鉄道システムの51%の株式を保有している。ロシアの交通網への支配は、英豪資源大手リオ・ティントがモンゴル政府と合弁で運営する銅金鉱山にも迫る。」とあります。ロシアの鉄道網がOT(オユトルゴイ)から産出される金や銅を運んでいるかのように書かれていますが、実際には中国へは主としてトラックで運んでいるので、話の筋としてはちょっと合っていません。更に「モンゴルと世界を結ぶ航空便はコロナやウクライナ戦争により、ほとんどの路線が再開できないままだ。」とありますが、この記事が出た時点ではほとんどの空路は再開しており、大きな問題にはなっていないのです。むしろ、新空港開港でコロナ前よりもネットワークは広がっているほどです。一体、いつの情報なんでしょうか?昨年夏でも私はモンゴルへ行っているわけですから、その前の話なんでしょうか?そして「120億ドル(約1兆6000億円)もの石炭収入が消失する汚職事件が発生し、首都ウランバートルにデモ隊が現れた。」と例の石炭泥棒の話を持ち出し、「抗議行動には、政府のビルを襲撃しようとする試みも含まれた。デモ隊は新年を迎える直前に警察によって排除された。こうしたデモがエスカレートすれば、ロシアが現政権を支えるため武力行使に出る恐れがある。」とあります。ロシアの武力行使?本気でそんなことを書いているのか?いくらモンゴル政府がだらしないとはいえ、ロシア人に抑圧されていた社会主義時代を忘れている政治家はいないでしょう。それを大した根拠もなしに、気楽に「ロシア人が武力行使に出る」なんて書いてます。モンゴル人は逆に、ウクライナ侵略を見て「アジアに来るなら、次はモンゴルが危ない」と危惧を抱いています。そんなモンゴル人が、どんな理由があるにせよ、ロシア人武力勢力を招き入れるはずがありません。新聞の記事は大体これで終わりです。私はここまで読んで、「こんなしょうもない話が、一流大手新聞に大きく乗るものなのか!」と驚きました。読めばわかるように、一切、何の取材もしていません。書かれていることは、10年前の記事と何ら変わることはありません。ここまで読んで、こんなしょうもない記事を一体だれが書いたんだろうと思い、読み直すと、文化人類学者マリッサ・スミス氏という人が書いていることがわかりました。マリッサ・スミスで調べても出てこないので、Marissa Smithで調べてみると、、、やはり数は少ないのですが、確かに出ています。彼女は文化人類学者で、ロシア語が専門のようです。現在はアメリカの大学で中央アジア研究をしているようです。何と言ったらいいか、語弊があることになりそうですが、「こんな当たり前のことを書くだけで、西洋人ならモンゴルの専門家のように扱われるのか?」と感じました。とは言え、これは「日経新聞社が彼女に記事を依頼したのだから、その内容が新聞に書くべき内容であると判断したのは日本の新聞社である」という事実がありますから、彼女がモンゴルに詳しいかどうかは彼女の責任ではないような気もします。あえて、本当の要因を探すとすれば、日本人や日本のメディアなどは、モンゴルにほとんど関心がないのかなということです。仮に過去に似たような記事や報道があったとしても、そんなもん誰も覚えてないし、気にしてもいないのでしょう。この程度の記事なら、外語大のモンゴル語学科の学生でも書けるでしょうね。もちろん、それではありがたみやもっともらしさがないから、新聞社は採用しないでしょうけど。中国や中東などを鋭く分析した記事がたくさんある中、モンゴルに関してはこんな何も内容がないような記事でも許されている現状が、対モンゴルという視点では情けないけど、日本の認知度の現実だと思いました。
2023.04.18
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国際刑事裁判所(ICC)は17日、ウクライナからの子供の拉致に関与した疑いがあるとしてロシアのプーチン大統領の逮捕状を出しました。当然ですが、ロシアは強く反発し、強烈な不満を述べています。今回のウクライナ侵攻に関するロシアの戦争犯罪は多種多様に数多くあると見られますが、(一般市民を攻撃・殺害、病院を狙ったミサイル、捕虜の人権無視の扱いなどなど)、今回は特に緊急を要する「ウクライナから子供を拉致した」ことに対する犯罪が焦点になっています。これに対して、ICCは「プーチン氏が刑事責任を負っていると信じる合理的な根拠がある」として逮捕状を出したわけです。それに対して、ロシア側は「ロシアは関連規程の非締結国としてICCの管轄権を認めていないためこの種の決定はロシアの法的観点からみて無効だ」と切り捨てました。ロシアはこの条約に関しては締結していないので、ICCの言うことなんか関係ない!と言っているわけです。ちなみに、このICCに関する条約にはロシアのみならず、アメリカや中国などの大国は加盟していません。大国にとっては「うるせーなー、良いか悪いかは俺様が判断する」と言いたいのでしょう。南シナ海に関する中国が領土することは認められないという判決も、中国は無視したままです。ですが、今回の判断の大きな問題はプーチン個人に刑事犯として逮捕状が出ているということなのです。どういうことか?ICCの規程の締結国である123カ国はプーチン氏が自国の領土に入った際、拘束して公判のためにICC本部があるハーグに移送することが求められる、ということが決まっているのです。実際に実行するかは各国政府の判断に委ねられます。国家元首の逮捕は戦争に直結する可能性があり、ハードルは極めて高いと言われており、いまだ実現したことはありません。そうした認識がある中、ロシアの下院議長は通信アプリのテレグラムで「ロシア大統領に対するあらゆる攻撃は我が国に対する侵略行為とみなす」と強調した、とあります。更に露国営メディア「RT」トップも「プーチン氏を逮捕する国を見てみたいものだ。その国の首都までの飛行時間はどれくらいだろうか」とミサイル攻撃を示唆した、と書かれています。要するに、プーチンを逮捕したらその国にミサイルをぶち込んでやるぞ!と脅しているわけです。ICCの非締結国は問題ないでしょうが、問題は締結国です。仮にプーチンが日本へ来たら、日本はプーチンを拘束してオランダに送らなければなりません。もちろん、プーチンが日本に来るはずはありませんが。問題は来る可能性がある国で、締結国はどこかということです。締結国123か国の中で可能性がありそうな国を見ていきましょう。まずはヨーロッパで加盟国は41か国です。NATO加盟国へ行くことはまずないでしょうから、それ以外が対象になります。それ以外となると、モルドバかセルビアくらいでしょうか?モンテネグロはNATO加盟国で、ジョージアはICC非加盟国です。実際に問題が大きいと見られているのが、アフリカ諸国です。アフリカは33か国加盟国があり、近年、ロシアによる接近は大きな話題になっています。現に、国連安保理のロシア非難に関する採決でもアフリカ諸国の多くが否決や棄権の立場をとりましたから。そして問題はアジアです。アジア・大洋州は17か国と、かなり少ないです。しかもプーチンが行く可能性がある中国、北朝鮮はもちろん、インドもトルコ、イランも加盟していません。更に、カザフスタンなどの中央アジアの多くの国も加盟していません。ではどこが可能性があるのか?一つはタジキスタンです。これは旧ソ連ですから、可能性はゼロではないと思います。そしてもう一つがモンゴルなのです。日本で大きく報道される公式訪問以外にも、プーチンは日帰りなどでもモンゴルには来ていました(コロナ以前は)。またハルハ河戦争の記念日となると、モンゴルとの友情を示すために来ることがあります。恐らく、今の戦争中に来ることはないでしょうが、問題はその先です。今回の戦争が終わったとしましょう。プーチンへの逮捕状では刑事犯ですから、仮に停戦協定が成立したとしてもICCによる逮捕の状況は変わりません。戦争が終わって、平和になった!あー、良かった!ハルハ河戦争の記念日に久しぶりにプーチンがモンゴルにやって来た!果たして、モンゴルはプーチンを拘束し、ハーグに移送することができるのか??現実的には無理でしょう。その場合は、モンゴルはICCを脱退するのでしょうか?ある意味「私たちは民主主義の国の仲間ではありませんよ!」と世界に向けて公言するのでしょうか?これも困ったもんです。どうする、モンゴル?現実的には、いろいろな理由をつけて、プーチンには二度とモンゴル国に入ってもらわないようにするしかないでしょうね。世界のお尋ね者になったプーチン。これを気にしているのは、習ではないでしょうか?仮に習に逮捕状が出たら?罪状はいくらでもあります。ウイグル人虐殺、弾圧やチベット人弾圧。香港の平和デモを武力弾圧。ノーベル平和賞作家を逮捕・監禁、死亡させた。これに台湾での一般人の大量虐殺が加わったら?習はほとんど外交には出られなくなるでしょう。習への抑止効果が少しでもあれな、それはそれで今回の逮捕状の成果だと思います。
2023.03.18
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またしてもモンゴルに関する記事です。内容は「モンゴル、中ロ依存に危うさ」という表題で、文化人類学者のマリッサ・スミス氏という人が書いています。ですが、マリッサ・スミス氏がどのような人なのかは全くわかりません。ネットで検索しても全然出てこないのです。で、英語名Marissa Smithで検索したら、さすがに出てきました。「マリッサは現在、東アジア研究所 (カリフォルニア大学バークレー校) の中央アジア ワーキング グループの研究員であり、アメリカ モンゴル研究センターの理事を務めています。」とのこと。なるほど、モンゴルを研究しているアメリカ人女性ということですね。彼女の最大の懸念は、「モンゴルが新型コロナウイルスやウクライナ戦争の影響を受け、隣国の中国とロシアへの依存をますます強めている。他国や国際機関、企業が再び関与しなければ、モンゴルは国際社会から遠ざかることになる。」ということです。以下、記事を引用しながら私なりの勝手な解説をつけてみます。「モンゴルは現在、収入を中国市場に、交通網など主要なインフラをロシアに依存している。」と言っています。収入を中国市場に依存しているというのは、輸出の9割近くが中国向けだということを言っているのでしょう。交通網がロシアというのは、「国営ロシア鉄道はモンゴルの鉄道システムの51%の株式を保有している。」ということを言っているのです。以前に本ブログでも書きましたが、モンゴルの大動脈であるモンゴル鉄道の拡充でさえなかなかモンゴル国政府の思う通りにならないことも、彼女の主張の一部であろうかと思われます。(モンゴルの鉄道整備にロシアの許可が必要)面白いのは「ロシアの交通網への支配は、英豪資源大手リオ・ティントがモンゴル政府と合弁で運営する銅金鉱山にも迫る。ロシアは鉱山から中国へ向かうトラックへの燃料供給をになっている。」と言っている点です。これはリオとか中国とにロシアが直接関係ある話ではないのですが、要するに「ガソリン(またはディーゼル燃料)」をロシアが供給していると言いたいのでしょう。この主張には少し疑問が残ります。日本が大型船でトヨタの車をアメリカに輸出するときに「中東の日本の交通網の支配はアメリカへの輸出船にまで及ぶ」とは言わないでしょうから。「一方、モンゴルと世界を結ぶ航空便はコロナやウクライナ戦争により、ほとんどの路線が再開できないままだ。」この主張に関しては、疑問があるというか、事実認識が間違っているのではないでしょうか?「ほとんどの路線」の意味が分かりませんが、東京、ソウル、プサン、北京、香港、バンコック、プーケット、シンガポール、イスタンブールなどほとんど再開しています。更にはフランクフルトも運航しています。ただ、確かにモスクワだけは確認できませんでした。仮にモスクワ便が運休しているとしても「ほとんどの路線が再開できないままだ。」というのは、明らかな事実誤認です。恐らくちゃんと調べずに、昨年のある時期の情報をそのまま鵜呑みにして書いているのでしょう。そもそも昨年まで運航できなかったのはコロナが原因であり、ウクライナ戦争が原因ではありません。「モンゴル政府は現在、旧ソ連の指導下にあった党派の流れをくむモンゴル人民党が支配する。」「しかし昨年12月の抗議行動は重要な変化を示している。120億ドル(約1兆6000億円)もの石炭収入が消失する汚職事件が発生し、首都ウランバートルにデモ隊が現れた。」と例のモンゴルの政治家の汚職問題を取り上げています。これは大きな問題ですが、表題の「中ロ依存」とどう関係あるのでしょうか?「デモ隊は新年を迎える直前に警察によって排除された。こうしたデモがエスカレートすれば、ロシアが現政権を支えるため武力行使に出る恐れがある。」と書いていますが、それはないでしょう。いくらなんでもモンゴルの政治家たちだって、さすがにそれをやったら長いソ連時代の暗黒の支配に戻ることくらいは分かっているでしょうから。で、結論は「モンゴルはスリランカのような債務不履行に陥る危険は今のところないが、中国とロシアへの依存を他の国が解消しない限り、将来は憂慮すべきものだ。」となっています。なんだか、あっけないというか、当たり前の結論です。ウクライナ戦争があろうとなかろうと。このウクライナ戦争のせいで特に中ロ支配が進んでいるという事例はこの記事にはないと思いました。この内容は去年のウクライナ侵略前に書かれていても全く同じ文章になりえる話ですから。多分、現場のことはあまり知らないのでしょう。それでも欧米の学者でモンゴルを専門に研究している人がいるということは素晴らしいことです。ただ、ロシアのウクライナ侵略でモンゴル国内が二分したりする気配があるのはちょっと心配です。曖昧だったモンゴル国民の中の「親ロシアの人々」と「反ロシアの人々」の意識が、今回の戦争ではっきりと顕在化してしまい、「あの人があんなひどいロシア的考え方だとは思わなかった」とか「やっぱりプーチンのような強いリーダーが必要だ」と考える人が明確になってしまっているのは、確かにあります。これは旧社会主義国では、多かれ少なかれ、どの国々も二分されているような気がします。
2023.02.19
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先日、モンゴルについてよく意味の分からない記事が載っていました。内容はロンドンで日経新聞の記者に対して、モンゴルのサインボヤン・アマルサイハン副首相がインタビューで答えたというものです。内容を要約すると、・モンゴルが、採掘インフラの整備に向けて海外からの投資を呼び込もうとしている。・モンゴルが(重要な鉱物資源の)主要な供給国になると確信しているものの、時間はかかるだろう・モンゴル政府は、あらゆる種類の投資や協力を外国から受け入れる用意がある・銅の確認埋蔵量が世界最大級とされるオユトルゴイ鉱山がある・海外投資家の助けを借りて、環境にやさしく、エネルギー効率の高い採掘技術を開発する必要があるといった内容です。このインタビューが10年前の2013年であったとしても、全く同じことを言っていましたから、モンゴル側の言うことは何も変わらないということです。そしてそれがなかなか上手く行かないことの真の原因がモンゴル側にあることもなんら変わっていません。さすがに場所がロンドンなので、今回のインタビューではドイツなどのヨーロッパを意識した部分もあります。・世界有数の自動車生産国であるドイツは、10年以上にわたって、資源国としてのモンゴルの潜在力に注目しているその通りです。日本も含めて、誰もが潜在力は認めているのですが、それがなぜ顕在化しないのかを、モンゴル国もこの記者さんも考えてもらいたいですね。資源関係で過去目立ったのは・リオなどとの契約を、モンゴル側が一方的に変更したり、場合によっては破棄したりして、外資から信用されない・利権に絡む汚職が多く、SDGsにうるさい先進国はなかなか入っていけないなどがありました。特に今であれば・国有企業による中国への石炭輸出を巡る汚職疑惑が12月に発覚し、大規模な抗議デモが起こった。捜査は進行中で、すでに数人の逮捕者が出ている。と書かれている通り、非常に大規模な汚職が発覚し、しばらくは沈静化しそうにもありません。過去にないくらいの国民の反発が起きているようです。それなのに・政府は汚職撲滅に力を入れていると、サインボヤン氏は主張する。・「貧困を減らし、汚職を防ぐことは政府にとって最重要課題だ」とあります。貧困や汚職の問題は10年以上前から何も変わってない話で、これまた10年前のインタビューコメントと何にも変わりません。日経新聞の記者にそこまで求めるのは酷でしょうけど、私だったら過去のインタビューを掘り起こして「すいません、今のことが10年以上前に首相が言ってたことと同じなんですけど・・・」と突っ込んでみたいですね。結論としては・「残念ながら、我が国の地理的な条件のために、(海外市場への)アクセスや輸出ルートは限られている。ロシア、あるいは中国を通じて輸出するしかない」とサインボヤン氏は語った。とあるように、この問題がずっと残ってます。特にロシアルートが現状では相当困難でしょうから、実質的により中国に頼るしかなかうなってきているのが現状なのでしょう。なかなか厳しい道です。
2023.02.15
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日本のパスポートが5年連続で世界最強という評価が出ていました。イギリスのコンサルティング会社によるヘンリー・パスポート指数によれば、日本は世界193か国にビザなしで行けるそうで、それは世界一とのことです。世界2位は、シンガポールと韓国の192か国ですから、アジアがトップ3ということになります。上位3位以外のトップ10は全てヨーロッパの国々です。これを見てわかるように、必ずしも経済力だけで決まっているわけではありません。アメリカは17位ですし、敵が少なそうなカナダやオーストラリアは共に23位です。当然気になるのはモンゴルですが、モンゴルは62か国にパスポートなしで行けるとのことで、138位です。私はこうした世界ランキングのモンゴルの目安を「まずは世界100位以内」とし、できれば80位くらいであれば、モンゴルとしては上出来だなと考えていますが、残念ながらパスポートに関しては世界的に見てもかなり厳しいポジションにあると言っていいでしょう。では、近隣諸国と比べてみましょう。ロシアは118か国、中国は80か国ですから、62か国のモンゴルよりかなり多いです。カザフスタンは76か国とモンゴルより2割以上も多いです。モンゴル人がビザなしで行ける人気のタイですが、この国自身は78か国ビザなしで行けます。インドネシアが71か国、フィリピンが67か国です。キルギスタンも64か国とモンゴルより多いです。モンゴルより下位のアジアの国となると、タジキスタンの60か国、インドの59か国、ウズベキスタンも59か国、ベトナム55か国。ちなみに最下位はアフガニスタンの27か国です。北朝鮮は40か国です。民主化指数などでは結構頑張っているモンゴルですが、パスポート指数はちょっと評価が低いような気がします。どこがいけないんでしょうか?パスポート指数は、別にこの会社が何かの基準で評価しているのではなく、世界各国のビザなし受け入れ国を調べ上げて作っているんですね。ですから、単純な計算結果ともいえるのです。逆に言えば「世界各国が独自の基準で受け入れ国を決めた結果」なので、簡単に変動するものでもないのでしょう。ビザなし国を決める基準は各国が自主的に決めているのですから、世界的なルールはないようです。ですが、大きな流れとしては、いくつかの要因があるようです。大きいものは政治的な対立です。典型的な例はアメリカでしょう。アメリカは経済的には世界トップの国ですが、いろんなところで政治的な動きをしています。日本とアメリカ186か国の差は7か国ですが、中東や南米での対立する国の有無があるのかもしれません。ただ、モンゴルに当てはめると、政治的対立は大きな理由とはならないでしょう。「日本はなぜ最強なのか?」を調べてみるとヒントが隠されています。それは「海外での日本人による犯罪や不法滞在、不法就労が少ないから」という理由です。なるほど、これはモンゴルに当てはまりますね。以前もこのブログで書きましたが、日本で不法滞在する絶対人数は中国人やベトナム人が多いですが、「率」にするとモンゴルがダントツだと日本の外務省の人から聞いたことがあります。2番目に高率のパキスタンの10倍以上悪いと。日本のみならず、モンゴル人は世界各地で不法滞在しているのはよく耳にしますから、これが大きな原因であるのは間違いないでしょう。他方で、モンゴル人の外国志向は日本人には考えられないくらい非常に強いものがあります。それは裏を返せば、モンゴル国内の経済的困難さの表れでもあるわけです。また不正や汚職が多いという政治体制にも原因があるかもしれません。だから、モンゴルから出たい。でも簡単にはビザがおりない。なので、不法に滞在するという悪循環に陥っているのです。結局は、このパスポート指数の低さは、モンゴル国内問題が一番影響しているともいえるでしょう。今のモンゴルの政治家たちを見ていると、ウランバートルの冬の煙と同じくらいに簡単には解決できないような気がします。
2023.01.13
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30日にプーチン大統領が恒例の新年の祝辞を送ったとのニュースがありました。これが恒例かどうかは気にもしたことありませんが、どうやらそんな祝辞をありがたがる国もあるようです。ニュースとしては「今年はアメリカやヨーロッパ、日本には祝辞は送らない」というものです。まあ、当然と言えば当然でしょうし、そうした国がプーチンからの祝辞を待っているはずもなく、そもそもこんなことが発表されることに違和感さえもあるでしょう。発表はロシアの報道官自身のようですから、茶番といえば茶番です。まるでレコード大賞の発表のごとく「皆さんお待ちかね、プーチン様が祝辞を送ってくださる国を発表します!」というのを待っている国があるとでも思っているのでしょうか?ロシアという国の国際感覚オンチも相当地に落ちたもんだと感心しています。とまあ、これだけではニュースの価値はありませんが、やっぱり気になりますよね、あの国が祝辞の対象になるのかどうかは。この大統領府の発表によれば、プーチン大統領が首脳に新年の祝辞を送った国(分離独立地域を含む)は22あるそうです。逆に言えば、世界中の9割がたの国はプーチンの祝辞なんかとは無関係な存在ってことです。どんな国に送ったのかちょっと見てみましょう。まずは旧ソ連諸国。アゼルバイジャン・アルメニア・ベラルーシ・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・トルクメニスタン・ウズベキスタンです。確か旧ソ連は15の共和国ありましたが、そのうちバルト3国は早々に脱退したので、12か国です。12か国からロシアとウクライナを除くと10か国。ですが、送った先は8か国です。残りの2か国はどこでしょうか?一つは旧グルジア、現ジョージアです。ジョージアはその領土内に、南オセチアとアブハジアがそれぞれ独立宣言をし、その影響で内紛が起き、ロシアとは対立しています。ジョージアの人たちにとっては、ウクライナが占領されたら次は自分たちジョージアだと思っているほどですから、プーチンは嫌いでしょう。もう一つは旧モルダビア、現モルドバ。こちらは、沿ドニエストル共和国をその領土内に抱えています。この共和国ももちろん外国からは承認されてない地域ですが、例によって「ロシア住民を守る」という名目で他人の国にロシアが勝手に作った国で、今回のウクライナ東部や南部の国と同じで、武力で「独立させている」国ですから、これまたプーチンは敵です。つまりプーチンが祝辞を送らなかった国は「ロシアが嫌いな国」ではなく「旧ソ連でロシアを嫌いな国、バルト三国、ジョージア、モルドバそしてウクライナの6か国」だということです。もっと言えば、プーチン側が選択しているのではなく、相手がプーチンを嫌っているから祝辞を出さないってことだけなのです。プーチンに出すか出さないの主導権はないってことです。ちなみに、ジョージアには出さない代わりに、親露分離独立地域であるジョージア領内にあるアブハジア共和国・南オセチア共和国には祝辞を送ったということです。ではその他の国はどこなんでしょうか?ヨーロッパでは2つあります。1つはセルビア。ユーゴスラビアの紛争を覚えている人も年代的に少ないかもしれませんが、旧ユーゴの戦争は悲惨でした。中でもセルビアが起こした数々の虐殺、民族浄化などは頻繁にニュースになりました。ロシアはこうした世界的には良くない国、人権のない国などは大好きなので、セルビアも対象になったのでしょう。もう一つは唯一のEU所属国であるハンガリーです。この遠い祖先を遊牧民に持つ東欧の国は、最近独裁色を強め、プーチンに接近しています。プーチンとしては、敵対するEUに対して、風穴を開けたいのかもしれません。最近、ロシアとの関係が注目されるアフリカ諸国はなぜか全くありません。ロシアの武器や小麦を買ってくれるエジプトもありません。プーチンからすると、現在の国際情勢の中ではアフリカ勢の支援があってもなくても大した影響はないと考えているかもしれません。アフリカはありませんが、中東にはあります。1つは独裁、人権無視の代名詞ともいえるシリアです。これもロシアの好みそうな典型的な国です。もう一つはトルコです。この国はNATOでありながら、蝙蝠のごとくあっちについたり、こっちについたりしています。トルコが対ロシアで偉そうにできる最大の力の源泉は黒海の海峡通過権を持っていることです。この地図でわかるように黒海から地中海、その先の概要に出るためにはダーダネルス海峡とボスポラス海峡という非常に狭い海峡を通らねばなりませんが、この二つの海峡は国際的にトルコの管轄と決められているのです。こんなところを通らなくても、、、あの広い国土ならと思いますが、ロシアは外洋に出るルートは限られているのです。バルト海にある飛び地のカーニングラードからドイツ北部を経由して外洋へ出るか、北極海経由でノルウェー北部を通過するか、或いはウラジオストックから日本海経由で外洋に出るかしかないのです。冬は不凍港が少ないので、あまり使い勝手は良くありません。周囲に嫌われているロシアにとっては、黒海経由が一番重要であり、大きな貿易港なのです。なので、トルコのエルドアン大統領が偉そうに説教しても、簡単にはロシアも反発できないのです。現に、現在は「小麦などを積んだ船の航行は認められているが、ロシア艦隊の黒海への出入りはトルコによって禁止」されているのです。なのでプーチンとしてはトルコを敵回すわけにはいかないのです。さて残りの8か国はどこでしょうか?その中に我らのモンゴルは入っているのでしょうか?中南米の国が5つ入っています。ボリビア・ブラジル・ベネズエラ・キューバ・ニカラグアです。このうち、独裁者友達といえるのがブラジルを除く4か国で、ブラジルはBRICs仲間です。今や世界中から嫌われ者になったプーチンはBRICsを結構大事にしていますので、ブラジルにも送ったのでしょう。こうなってくると、残りはわずかアジアの3か国となってしまいます。モンゴルは入っているのでしょうか?まず意外だったのは、武器を供給してもらうために頭を下げたと言われる北朝鮮は対象となっていません。また、ドローンを供給してくれているイランも対象ではないのです。この2つは立派な独裁国家ですが、なぜかプーチンは見切っています。残るアジアの3か国はどこでしょうか?やはりBRICsが大切ですから、インドと中国には祝辞を送ります。残る一つはモンゴルかどこか?答えはベトナムでした。考えてみれば、ベトナムは共産党国家ですから、プーチンからすればシンパシーがあるのでしょう。まあ、順当なところです。というわけで、モンゴルにはプーチンの祝辞は届きません。これは素晴らしいことです!モンゴルが歯を食いしばって「民主主義陣営」にいるからこその結果だと思います。なので、モンゴルの皆さんは「プーチンの祝辞が来ないのは悲しい」なんて絶対に思わずに、大きな喜びと感じてくれることを祈っています。負けるなモンゴルの民主主義!!
2022.12.30
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NHKの地上波及びBSでブリヤード人の苦悩を取り上げる番組が10分以上に渡ってニュース番組の中で放送されました。(注:ロシア語ではブリヤートですが、モンゴル語ではブリヤードですので、ここではモンゴル語表記とします)内容的には本ブログで何度かご紹介しているものと基本的には同じですが、やはり映像での放送はインパクトはあります。ここではその一部をご紹介します。番組では最初にブリヤード共和国の場所を紹介しました。ここではちゃんとモンゴル系のブリヤード人と紹介していました。国連本部のあるニューヨークで毎週のように抗議活動が行われているとありました。顔は見覚えのあるモンゴル人の顔そのままです。「ストップ、プーチン!」と抗議しています。抗議のカードの中には「これはジェノサイドだ!民族消抹消だ!」と書いたものもあります。プーチン人形まで作って「殺人者だ!」と抗議しています。アメリカに難民として逃れてきたブリヤード人のバトゥ・ツィベノフさんです。5年前にロシアの弾圧から逃れてアメリカに難民としてきたそうです。動員されているのは少数民族ばかりで、明らかに民族差別があると語っています。先月末のロシア政府の発表の数字です。そもそも公式発表の数字は非常に小さいと言われていますが、各地の少数民族の戦死者数は大都市モスクワの10倍以上です。これは実際に故郷に遺体が送られて確認された数であって、多くの遺体はウクライナに遺されたままです。ロシア人はロシアの70%以上を占めるが、動員されたうちの70%以上はブリヤード人なので少数民族であると言われています。ブリヤードの村によっては、16歳から55歳の男性のほとんどが動員されたところがあるともいわれています。突然息子や旦那さんが招集されて抗議をしている女性たちです。招集されると、わずか1時間で連れて行かれるとのことです。仕事で外出している時に、突然銃を持った警察官がやってきたということもあるようです。まさに、ブリヤード人にとっては「総動員令」のようになっているのでしょう。あるブリヤード人は突然の動員で、奥さんと子供を置いて何も持たずに一人でモンゴルに逃げたと証言していました。家族は悲しいけど、とにかく安全なところに逃げてくれと、泣きながら送り出したそうです。アメリカの専門家によると、ブリヤード人などの少数民族地域は、主な情報が国営メディアしかないことと、人々が離れて暮らしている(人口密度が低い)ため、集団で抗議活動ができにくい状況なので、動員しやすいのだろうとも言っています。多民族国家と誇らしげに言っていますが、所詮はロシア人中心の国であり、特にモンゴル系に対しては長年の恨みもあるのでしょう「この際、ブリヤード人やイスラム系などはウクライナの前線に送り出してしまえ!」という意識がプーチンにはあるのでしょう。専門家は「こうした訓練もなく、戦闘意識も低い人たちが前線に出るので、一層ロシア軍は弱体化し、その結果もっと動員しないといけないという悪循環に陥るだろう」とも言っています。モンゴル国内に逃れてきたブリヤード人だけでもモンゴル政府は何とか助けてあげられないものでしょうか?カザフスタンは既に「カザフに逃れてきたロシア人の身の安全は保証する」と大統領が明言しています。モンゴルはどうなのでしょうか?今のところ、私のところへはそのような宣言は届いていません。
2022.10.11
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日本から貿易で輸出する場合、貿易保険をかけます。保険金は相手国のリスク度合いによって異なり、当然リスクの高い国の保険料も高くなります。これは日本政府がNEXI(日本貿易保険)経由で運用している保険制度で、民間企業でカバーしきれない貿易や投資取引による損失を補填するものです。NEXIは世界各国をAからHまでの段階で格付けしています。ですが、その判断の元データはOECDカントリーリスク専門会合で決められた評価をそのまま使っているようです。なのでこの評価は世界共通と考えていいでしょう。アジアでAランクなのはなんとたったの2か国で、日本とシンガポールです。中近東、南米、アフリカはゼロです。Bランクは、韓国と台湾の2か国です。中近東、南米、アフリカはBでもゼロです。Cランクになると結構増えます。中国、香港、マレーシア、ブルネイ、マカオのアジア諸国やサウジアラビア、UAEなどの中東も入ります。アフリカはゼロですが、南米からはチリが入ります。D、Eランクにはほとんどの東南アジア諸国が入ります。Fになると、カザフスタン、ウズベキスタン、トルコにバングラディシュが入っています。Gはかなり厳しいですね。カンボジアとかネパール、ブータンなどです。ウクライナもここです。そして多くのアフリカ諸国が入ります。あれ?モンゴルは??AからHの8段階ですが、なかなか見つかりません。そして最下位のHランクを見ると、なんとモンゴルが入っています。どの国と一緒かというと、北朝鮮、ミヤンマー、アフガニスタン、シリアなど相当ヤバい国々です。ロシアとベラルーシもここです。これはちょっとまずいです。再度申し上げますが、これは日本政府が作った評価ではなく、OECDによる評価です。どうやらモンゴルは以前はこの最低ランクではなかったようなのですが、「モンゴルやトルクメニスタンなどはここ2年間で評価を落とし、最低レベルとなった」とあります。この評価で最大のリスクは、債務不履行(デフォルト)です。そう考えると、中国からの借金急増で借金返済ができなくなるリスクが高くなってきたということが最大の原因だと思われます。中国からの借金地獄で苦しんでいるスリランカも同じHランクです。ほとんど中国の植民地みたいになったラオスもここです。つまり国際的に見ると、モンゴルは中国からの借金漬けで身動きが取れなくなっている国だと見なされているのではないでしょうか?「いや、そこまでひどくない!」と言いたいかもしれませんが、実態はかなり深刻なんだと思います。Hランクになると何が困るのか?まずは保険料が上がります。100万円の貿易で、Aランクは保険料1万円なのに対し、Hランクは2.6万円と2.6倍になり、コストアップになります。更にHランクの場合、保険を引き受けない場合もあるのです。つまり、外国から輸入するときのコストが高くなるだけでなく、場合によっては輸入できな場合もあるというのです。中国からの借金で、モンゴルの政治家は潤っているかもしれませんが、一般庶民にとっては輸入品が高くなる、或いは手に入らないとなるなど、ますます辛いことになりそうです。モンゴルの政治家たちも、いい加減中国から借金するのを止めないと、深刻な問題になってしまうかもしれません。
2022.10.06
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9月22日付けの本ブログ「ブリヤード人の流入ラッシュ!?時間との闘い?」は、アクセス数が多く、恐らく通常のブログの読者の方以外にもご覧になられているのでしょう。このブログの後、ネットニュースなどでも、ロシア脱出に関するニュースをご覧になられた方もおられるでしょう。多くのニュースはジョージアとかフィンランドなどの西部のニュースが多く、ブリヤードなど東部の報道は少ないように思いましたので、それらを参考に写真をアップします。22日のブログを書いたその時は、ロシア政府はロインの動員対象者が多く流出していることを「偽情報だ」と否定していました。が、さすがに24日には「国境検問所で出国する車両が渋滞を起こしている」と発表しました。ジョージアでは2300台が連なっていると。そしてモンゴルとの国境でも長い車列ができているとあります。モンゴル・アルタンブラクの検問所では「9月21日以降、ロシア人の流入が増えている」と語っています。25日正午現在で3000人のモンゴルへの入国者があったとのことです。22日のブログには300人とありますから、ほんの数日で10倍にも膨れ上がったのでしょうし、国境閉鎖がなければ今も続いていることと思います。その様子を見てみましょう。モンゴル・アルタンブラクの国境検問所で、ロシアの車両を検査する国境警備隊員(2022年9月25日撮影)モンゴル・アルタンブラクの国境検問所で、ロシアから到着し入国審査を待つ人(2022年9月25日撮影)モンゴル・アルタンブラクの国境検問所で、ロシアから到着し入国審査を待つ人(2022年9月25日撮影)モンゴル・アルタンブラクの国境検問所で、ロシアの車両を確認する国境警備隊員(2022年9月25日撮影)モンゴル・アルタンブラクの国境検問所で待機するロシアのバス(2022年9月25日撮影)モンゴル・アルタンブラクの国境検問所で、ロシアの車両を確認する国境警備隊員(2022年9月25日撮影)モンゴルはロシア人に対して30日間はビザなしでの滞在は可能であり、更に30日間の延長も可能です。問題は最初の30日後でしょう。30日後からの延長は、本人が申請してモンゴル政府が許可を与える必要があります。モンゴル政府は積極的に「動員対象者をモンゴル内にかくまう」とロシア政府に思われたくないでしょうから、どう出るかです。実はすでに一部のブリヤード人は、内緒でモンゴル国内で働いているという情報もあります。もちろんアルバイト程度ですが。また逆の動きもあります。モンゴル国内に入ったロシア人(ブリヤード人ではない)が悪意を持って犯罪を犯したりしているとの報告もあります。これはもしかして、ロシア側がわざと「ロシア人を受け入れると治安を乱すぞ!」と警告しているのではないかという見方もあるようなのです。なんだか「トロイの木馬」のような感じです。30日後にしろ60日後にしろ、ロシアからの一時的な避難者は大きな決断を迫られます。当然ですが、表向きは別にして、モンゴルとしてはブリヤード人を守ってあげたい気持ちがあります。が、さすがに長期滞在ビザを発行するわけにはいかないでしょう。そんなことをしたらプーチンに睨まれますし、モンゴルの政治家はとにかくプーチンを怖がっていますから。1つの策としては、この期間内になんとかして第三国へ逃してあげられないかを画策するのではないかというものです。どこへなのかはわかりませんが、アメリカなのかヨーロッパなのか、あるいはトルコとか。プーチンの脅しが効かないエリアでしょう。日本?日本はプーチンの脅しには大丈夫でしょうが、そもそも外国人が長期ビザを得るには難しい国なので、おそらく対象外だと思います。意味のない戦争に多くのブリヤード人が駆り出されることがないことを祈ります。
2022.09.27
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21日にプーチンが署名した「部分動員令」は、我々が想像する以上にロシア国内ではインパクトある出来事のようです。即日発令され、すぐに予備役招集が始まり、ロシア国内38都市でデモ隊に参加した人たちが1400人当局に拘束されたとの報道があります。また母親たちが集まって「子供を渡さない」「子供の命を守る!」などのデモが続いているとのことです。ちょっと意外だったのは、2月からもう半年以上も戦争をやっていたのに、突然戦争反対的なデモが各地で起こっていることです。要するに今までは「自分たちは安全なままで、どこか遠くのしらないところで戦争をしているな」と思っていたのでしょう。それが職業軍人以外にも及ぶとなって、ようやくこの戦争の悲惨さがロシア国民にも理解されてきたのだと思います。そして当然のことながら、プーチンの発表に最も反応したのは若い男性です。部分動員なんて言ったって、ロシアのことです、いつ徴集されるかわかったもんじゃないですから。現にデモに参加している人たちに「お前を徴集するぞ!」と威嚇しているそうですから、誰でもいいのでしょう。ルールや基準なんてありません。で、急にロシアから出国する人が増えているとの報道がありました。ロシア発の飛行機はほぼ満席だとか。トルコ行きはかなりの高額チケットになったそうです。通常であれば、一番逃げたい先はヨーロッパでしょうが、今はどこもビザの制限をしており、実質的には入れないようです。飛行機がだめなら陸路で逃げるしかありません。ですが、バルト3国やフィンランドなどは、陸路でもロシア人の入国は禁止しているようです。あんなに広い国土を持つロシアでも、行ける先は限られているようなのです。当然、緊急事態ですからビザ不要の国でないといけません。飛行機もダメ、EUもだめ、ビザ必要なところもダメという状態なのです。本ブログでも度々お伝えしているように、もともとブリヤード人は少数民族いじめかは知りませんが、相当な数の若者が戦地へ送られて、実際に死亡者数も多いです。死んでいるのは、モスクワやサンクトペテルブルグの利権にまみれたおぼっちゃまたちではなく、シベリアなどからの少数民族が多いのです。そこにこのプーチンの決定が飛び込んできたのです。今、モンゴルとの国境めがけてブリヤード人が殺到しているそうです。ウランウデからの飛行機の便はありますが、あっという間に満席となって、今あるのは陸路のみです。ブリヤード人は同じモンゴル系ですし、ビザも不要ということでとにかく国境になだれ込んでいるようです。国境はモンゴル側がスフバートル市の北西にあるアルタンブラグで、ロシア側はキャフタです。ヨーロッパ方面はほとんどの国がロシア人を歓迎しない中、ロシア人というか、ブリヤード人は同胞ですからモンゴル人は歓迎、応援するのです。とあるセレンゲの比較的大きな会社のオーナーは、突然逃げ込んできたブリヤード人を歓迎し、受け入れているとの話も出ています。それらがSNSに載って、更にモンゴルめがけてくるようなのです。なんせ車の行列ができるほど並んでいるそうです。しかものんびりしているわけにもいかないのです。あまりの出国騒ぎに、近いうちに出国に関しての規制が出るとの観測が出ているそうで、まさに時間との戦いです。あと24時間で国境を出られるのか、さもなければ戦場に送り込まれて殺されるのか?なんか映画みたいな話ですが、現実に起こっているのです。出国は当然ですが男ばかりです。女性はロシア側で泣いて見送るんだそうです。ビザの有効期間は30日間ですから、その間になんとか次の手を打たないといけないのでしょうが、新しいビザが降りることは難しいかもしれません。モンゴル政府としては守ってあげたくても、対ロシア政府となるとビビリーのモンゴル政府ですから、簡単ではないでしょう。もしかして「違法滞在か戦場か?」の選択肢が待っているのかもしれません。このモンゴルへのラッシュに関しては、SNSでは出ていますが、まだこの時間では正式なモンゴルのWebニュースには載っていないようです。書き方によっては、ロシア政府やプーチンに睨まれる恐れもありますからね。人数も当然発表されていませんが、既に300人は入国したという話もあります。日本人にとって300人はそうでもないですが、人口40分の1のモンゴルにとっては、日本に12、000人のロシア人がほんの2日で逃げ入ってきた、という感じです。あと数日で、実質的な国境閉鎖もあり得ますが、それまでに少しでも多くのブリヤード人がモンゴル国内に入れることを祈っています。
2022.09.22
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私は通常、日本のネット有料メディアをお金出してまでは見ませんが、「ロシア少数民族「ブリヤート共和国」が隠す戦死者という不都合な真実 」という題名に惹かれ購入してみました。内容は、以前も本ブログでお伝えした通り、ブリヤード人が多くウクライナとの戦場に送られているというものでした。ちょっと抜粋してお伝えします。(ブリヤートはロシア語、私は通常はモンゴル語のブリヤードを使います)「ロシアの軍事専門家であるパーヴェル・ルジン氏によると、戦死する兵士の多くがブリヤート共和国、 チェチェン共和国 、ダゲスタン共和国などに住む貧しい少数民族出身者だという。」と書かれています。この程度のことは、ロシア国内で発言しても取り締まられないんだなと思いました。なんとなく、中央政府には不都合な真実と思えるからです。記事の中でブリヤート共和国が紹介されています。面積は35万平方キロと、ほとんど日本と同じです。人口は98万人で首都ウランウデは43万人。日本と同じ面積に香川県くらいの人口ですから、やはり相当人口密度は低いですね。単純に計算しても日本の100分の1くらいでしょうか。ロシア人が66%で残りがブリヤード人、タタール人などの少数民族です。ブリヤード人はおよそ30万人というところです。またブリヤードはロシアにおける仏教の中心地であるともあります。チベット仏教の影響はこの地でもちゃんと残っているのでしょう。ブリヤート共和国の平均賃金は45,610ルーブル(約68,400円)で、全国平均57,244ルーブル(約85,800円)よりもおよそ2割低いです。この9月に共和国の首長選があったので、現首長は選挙前には現在のウクライナ侵攻を正当化すべく発信しているようです。その主張は、 ・既に特別軍事作戦に参加して勲章を与えられたブリヤード人がいる ・ウクライナのナチ・イデオロギーによって、ルガンス、ドネツクの住民に対して8年間もジェノサイドが行われた ・軍事作戦で犠牲になった人への責任は西側の責任であるなど、プーチンの屁理屈をそのまま真似たものです。更に、西側のネット情報が入っている人に対しては、 ・SNSやメッセージアプリでは、不確かな情報を伴うニュース、写真、動画がものすごい勢いで増加している。それらは、社会に分裂やパニックをもたらすために作られているなどと、仮に西側の「正しい情報」を得ても、それらはフェイクだと主張しているのです。ブリヤート共和国政府は3月ごろに「地元出身兵士8名が犠牲になった」などと少ない数を言っていましたが、地本誌「バイカル」は302名と載せた。現在はさらに増え続けているのでしょう。独立系ニュースサイト「メドゥーサ」はウクライナで犠牲になっている兵士が多いのはタゲスタン共和国とブリヤート共和国であると報じています。ダゲスタン共和国はモンゴル系のカルムイク共和国に隣接しており、少数民族の国です。犠牲者が多くなり、ブリヤート共和国では戦死者の葬儀がウランウデなどでほぼ毎日行われているとのことです。当初は犠牲者を弔うのに葬儀場へ足を運んでいた首長も、毎日になったので取りやめたそうです。首長選挙が近づくにつれて、当地出身で犠牲になった兵士への勲章供与が増えたり、首長自ら犠牲者を愛国者として持ち上げることが多くなったようです。例えば、ウランウデ空港に降り立った車いす姿で現れた元兵士に対して、首長が「彼は正真正銘の英雄である」と称賛したりもしています。ですが、現実には日に日に犠牲者は増えており、共和国政府は各メディアに「犠牲者数の発表はしないように」と圧力をかけているようなのです。またウクライナとの戦争に反対している「フリー・ブリヤート」という民間団体は「150名のブリヤート共和国出身者がウクライナでの戦闘を拒否して、帰国している」と伝えてます。今のロシアで戦闘拒否が許されるのかわかりませんが、こうした報道が出ること自体、かなり多くの反戦意識を持った人がいるということの証左でしょう。更に、ウクライナでの戦地で契約解除を求めた500名にもなる契約兵が「拒否をすれば刑法に触れる」と脅されており、フリー・ブリヤートに支援を要請していると報じています。またある報道では「ウクライナ戦闘地域にいる契約解除を求めているトヴァ人やブリヤード人が、司令官室に閉じ込められている」とのことであり、彼らは「無装備のまま前線に送り出されるのを恐れている」ともあります。無装備で前線に出されるということは、ほとんど死刑と同じようなものです。また9月8日から9日にかけてメドゥーザやラジオ・リバティーといった独立系メディアは、モスクワとサンクトペテルブルクの区議がプーチン大統領に辞任を要求したと伝えた、とあります。戦闘拒否やプーチンの辞任要求は以前からもロシア国内ではあったことでしょうが、それはなかなか外へは伝わってきませんでした。が、こうした実態は抑圧体制が厳しいモスクワやサンクトペテルブルグよりも、犠牲者が多い遠隔の少数姻族が住む地域の方が情報は漏れやすいと思います。犠牲者家族に噓を言っても、すぐにばれますから。ブリヤードなどの少数民族は、中央政府への反抗策として、真実の報道をするということもあるのではないかと思います。
2022.09.19
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今年のモンゴルは、日本との国交樹立50周年に加えて、アメリカとは35周年、そしてバチカンとは30周年と、外交の年と言われています。実際、私も日本との50周年記念事業でお手伝いをする予定です。そのバチカンに関して、ちょっと面白いニュースを見つけました。8月24日に元大統領のエンフバヤルが大統領の特使としてバチカンを訪れて、ローマ教皇に会ったというのです。まあ、これだけなら、外交上の一環だというだけなのですが、その目的にちょっと注目しました。その目的とは、「モンゴルに来てください」という招待状を手渡したというのです。「だから何?」と突っ込まれそうですが、この招待状に込められた意味が興味深いので、ここで紹介しようと思います。確かに「ローマ教皇に来てください。」と願っている国は世界中にたくさんあるでしょう。キリスト教国のほとんどすべての国はそうでしょうし、日本のようなキリスト教国でない国でも、2019年の来日時には日本中で大歓迎を受け、東京ドームでは5万人の信者で満員になったとあります。そんな大人気のローマ教皇に、仏教国のモンゴルが招待状を出したとしても、順番は相当後ろになるであろうことは容易に想像されます。2010年に「バチカンの秘密文書」の一部が公開されました。公開されること自体、ほとんど前例のないものばかりですが、公開されるものそのものが「複製である」という事実を見ても、いかに秘密文書が重要であり、公開リスクをも考慮しているかがわかります。恐らく本物は絶対に門外不出なんでしょうね。その秘密文書の中に、モンゴルに関連することがあったのです。それは800年前に遡ります。そうです、モンゴル帝国の時代です。注目されたのは1246年11月11日と記されているチンギス・ハーンの孫モンゴル帝国第3代グユク・ハーンからローマ教皇インノケンティウス4世に宛てた書簡です。日付が確定出来る同帝国の公文書として現存するものの中ではなんと世界最古!!のものだそうです。書簡は教皇に、その“諸王”と共に「礼を尽くし、敬意をはらうため」に「服従」の行為として中央アジアを訪問するよう要求したもの、です。そうしなければ「敵と見なす」と脅迫している、とのことです。これについていろいろ調べてみると、当時の大帝国モンゴルとしては、キリスト教の影響が大きいことは既にわかっていたようで、それを「従えるべく」モンゴルに来いと言っているのです。他方、ローマ教皇だって、既に大きな勢力となっていたキリスト教徒のトップでしたから、簡単に従うわけにはいきません。とはいえ、大帝国となったモンゴルの皇帝を無視することもできません。なので、ローマ教皇側も「是非、バチカンへ来てください」と応じたようなのです。つまりお互いに「会うのはいいが、お前が来い」というどっちつかずの状態だったのです。今回の招待状はその「グユク・ハーン以来の招待状」という形で手渡しし、受け取ってもらったということなのです。その辺の事情を、モンゴル関係者に聞いてみました。すると、どうやらモンゴル外務書が絡んでいるようです。今年の5月にバチカンをモンゴルの僧侶らが訪れ、教皇フランシスコに会ったのです。これは「バチカンニュース」というバチカンのサイトに出ており、誰でも見れます。1チベット仏教の僧侶たちと教皇が写っています。これだけ見ると、単なる宗教者同士の懇親のようにも見えますが、その裏では外務省が準備を進めていたようなのです。具体的には、現大統領のフレルスフの顧問となっている元モンゴル外務省幹部のアマルトゥブシンという人が今回のエンフバヤル元大統領の訪問と招待状手渡しの件を根回しし、教皇の意思を確認していたということなのです。フランシスコ教皇の写真が載った、モンゴル製カシミヤのスカーフです。手渡しているのが、アマルトゥブシンです。その教皇の意思の確認を経て、8月24日の会談が実現したということなのです。エンフバヤル元大統領が、フランシスコ教皇に説明をしているところのようです。関係者によれば、招待状に対する教皇の反応はポジティブであったとのことです。とはいえ、ローマ教皇ともなれば1年先のスケジュールも一杯でしょうから、簡単にモンゴルやってくると思えません。ただ、有象無象の「ローマ教皇、是非我が国に来てください」という声とは、一線を画すものと思われます。800年ぶりの招待状には、他国には真似できない歴史の重みがありますから。中露に挟まれたモンゴルは、少しでも外部に「友好国」を作らなければなりません。モンゴル外務省は、そのためにあの手この手で舞台の裏側で頑張っているようです。教皇の訪問が実現するといいですね。
2022.08.26
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5月9日の対ドイツ戦勝記念日のモスクワでの様子を映し出したテレビのニュースを見て、「おー、叫んでいるな!」と、10年ほど前に書いた本ブログのことを思い出しました。その記事は「日本語になっているモンゴル語?」(https://plaza.rakuten.co.jp/mongolmasami/diary/201208060000/)です。テレビに映し出されたのはロシアの軍隊で、叫んでいたのは「ウラー!!」です。10年前の記事にもあるように、この「ウラー」の起源は、モンゴル語のhuraaです。起源とは言いますが、現在でもモンゴルで使われているバリバリの現役の言葉です。意味合いは、軍隊の雄たけびであり、今では応援するときに使う言葉となっています。文字を見ると「フラー」に見えますが、実際のモンゴル人の発音を聞くと「フレー」に近い感じです。このhuraaが13-14世紀にロシアを支配していたモンゴル帝国を通じて、ロシアに入り「ウラー」となったのです。そして21世紀のロシアの軍隊がプーチンの前ではっきりとわかる発音で「ウラー!!」と大声で叫んでいたというわけです。これだけを見ても、ロシアとモンゴルの深い無結びつきと長い関係がわかろうというものです。モンゴルとロシアの関係を語るときには、私は3つの視点が必要だと思っています。1つは、このウラーに象徴されるような「タタールのくびきの300年」です。プーチンは「ロシアとウクライナは元々兄弟だった」などと言っていますが、一体何をもって「元々」なのか?そもそもロシアという国の領土概念を作ったのはモンゴル人なのですから。モンゴルが13世紀にこの地にやってきたときは、ロシアあるいはその代わりでもよいですが、この地にそのような領土的地域の概念はなかったのです。チンギスハーンの長男ジョチ及びその次男バトゥがこの地に来た当初は、バラバラな村(あえて言えば都市らしきもの)があっただけで、その集合体的地域はなかったのです。ですが、その後ジョチウルス(キプチャクハン国)ができ、この辺りを「ルーシ」という地域概念でまとめ上げたのです。キーウ(キエフ)は当時からこの地の中心都市であり、モスクは超ド田舎の村でした。なので、プーチンが言うとおりにウクライナとロシアが兄弟であるとしたら、兄がキーウのウクライナで弟がモスクワのロシアということなのです。ちなみに「タタールのくびき」のタタール人について説明しておきましょう。ロシア人(及びそこを通じて知ったヨーロッパ人)にとってのタタール人は、広い意味でのモンゴル人のことを指します。ですが、モンゴル人にとってのタタール人は別の存在です。タタール人は13世紀にチンギスハーンと争ったタタル族であり、元々はテュルク系遊牧民族です。ですが、その後チンギスハーンの傘下に入り、ヨーロッパ、ロシア進出時の先兵部隊でもありました。現地で「お前たちは誰なんだ?」と聞かれれば、当然「タタル人だ!」と答えたわけです。モンゴル軍は、モンゴル系、テュルク系など多くのアジア系遊牧民族から成り立っていたのです。ですが、ロシア、ヨーロッパ系の人々にとっては統治しているモンゴル人と先兵でやってきたタタルの違いなどわかるはずもなく、モンゴル人をはじめとする征服遊牧民の総称としてタタールと呼んだのです。もう一つこの名前が広くヨーロッパに広まった理由があり、それは私たちも食べることがあるタルタルステーキに由来します。ギリシャ神話にタルタロスという神様がいて、その名前が後に地獄や悪魔を意味するタルタルになったそうです。このタルタル(tartar)とタタール(ロシア語ではtatarですがヨーロッパではtartar)とが重なって、「悪魔のタタール人」を意味することとなり、広く広まったのです。そして生肉で食べるステーキがタルタルステーキと言われたのです。もっとも、モンゴル人は生どころか焼肉でも少しでも赤い部分が残っていると食べたがらないほど、生肉を食べるのは「絶対禁止!」という伝統がありますから、もし本当に生肉を食べたタタール人がいたとしたら、それはモンゴル人以外でしょう。2つ目の視点は、本ブログでも最近取り上げたブリヤード人、カルムイク人(オイラード人)更にはトヴァ人(元々はトュルク系だがモンゴル化した民族。モンゴル国内にはトナカイを飼うツァータン人として有名。)などの存在です。今回のウクライナ侵攻時にはいち早く戦地へ送られ、多くの死者を出している人たちです。更にはロシア革命などで内モンゴルへ逃れてきたバルガ族も間接的ではありますが、ロシアとモンゴルを関係つける人たちと言えます。内モンゴルは主にチャハル人が多く、中国内での差別や弾圧に苦しんできた歴史がありますが、ロシア側のモンゴル人も建前とは裏腹に似たような扱いを受けてきました。今回のウクライナ侵略での扱いはそれが象徴される出来事と言えるでしょう。ロシアと中国の共通点は「モンゴル人は常にバラバラにしないといけない。一つにまとめたら、非常に危険であり怖い。」というモンゴル民族全体に対しての潜在的な恐怖心があることです。3つめの視点はやはり1924年以降の社会主義国としての関係です。ソ連に続く世界で2番目の社会主義として誕生したモンゴル人民共和国は、実質ソ連の植民地のような状態で、多くのリーダー、知識人が粛清された歴史を持ちます。日本語の「粛清」と言う言葉を何度モンゴルで聞いたことか。ロシアは建国当初からロシア革命などを通じて「タタール人」(すなわち、モンゴル人やトュルク系のアジア系遊牧民)を敵視してきましたから、その「仕返し」的支配が対モンゴル政策の基本だったように思われます。話を戻しましょう。モンゴルのhuraaがロシアでuraになりました。これが世界に広まったのですが、どうやらhを発音するルートとhを発音しないルートがあるようです。ドイツではhurra、イギリスではhurrayとなりアメリカへ。日本はそのアメリカから伝わって、例の「フレーフレー」になるわけです。スペインやポルトガルへはrがlになってoleと伝わったようです。これがブラジルへ行って「オーレー!」と例のサッカーの応援になるのです。(諸説あるようです)とにかく、モンゴル語が数百年かけて地球を一周したのはすごいです。その最終地点が日本だということも。
2022.05.10
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5月9日の第二次大戦対ドイツ戦勝記念日式典にモンゴル政府として正式に参加するかどうかは、まだ決まっていないようです。今回の林外務大臣のモンゴル訪問は、行くことを決めそうになっていた政府に再考を促すという意味では、一定の成果はあったようです。が、日本人が考えるほど、「そんな馬鹿馬鹿しい式典なんて断ればいいじゃないか?」とはすんなりいかないのが、モンゴルの悩ましい地政学的ポジションなのです。出席要請はモスクワではなく、ブリヤードにあるウランウデなので近いことは近いですが、そういう距離や時間の問題ではないのは当然です。ちょっとここで言葉のおさらいをします。私はモンゴル人との会話からブリヤード人と呼んでいますが、ネットで検索するとそのほとんどがブリヤート人とあります。ドとトの違いです。私の聞き間違いで今までずっと間違った言い方をしていたのかなと思ってしまいました。が、どうもそうではないようなのです。なぜか?ブリヤード人をブリヤード語(=モンゴル語)で書くとБуряадと書きますが、ロシア語で書くとБурятыとなります。同じキリル文字で最初の4文字は同じですが、そのあとは違うのです。ブリヤード語のдは英語で言えばDの発音ですが、ロシア語の方は見た通りTで、発音もTです。なので、モンゴル人から聞いた発音をベースに日本語で書けばブリヤード(またはブリヤッド)のような発音になるのです。ネットを見てもこの違いを明確に示している文章を発見することができませんでしたので、もしかして今、私が最初に指摘した??なんて勝手に思っています。ということで、本ブログではロシア式ではなくブリヤード式を使うので、ブリヤード人と書きます。本ブログ3月13日付け「ブリヤード・モンゴル人の悲劇」(https://plaza.rakuten.co.jp/mongolmasami/diary/202203130000/)で書いた通り、ロシア内のモンゴル人の多くが犠牲になっているのです。開戦後わずか2週間で多くのブリヤード・モンゴル人が亡くなっているのです。もちろん、彼らには今もこちらのモンゴル国内に親戚もいます。モンゴル人にとっては、ロシアが勝手にやっている戦争ではあるものの、単なる政治的な問題だけではないのです。同胞、親戚がたくさん殺されているのです。日本のとある記事を読みました。そこには「今、多くの遺体がそのロシア国内の出身地に送り返されており、テレビでいうプロパガンダとは全く違う様子が地方に伝わっている。」とありました。だが、「モスクワやサンクトペテルブルグに遺体が送られることはほぼない。」ともあります。「前線に送られる徴集された戦士の99%は、都会から遠く離れた田舎の若者である。モスクワやレニングラードの人たちにとっては全く戦争など関係ない生活をしている。」と。そして、モンゴルから衝撃的な事実を知りました。ブリヤード人の戦死者数は民族別でなんと第2位だそうです。ロシアは多民族国家もいいところ、中国は55民族と言ってますが、ロシアにはその倍を超えるくらいの民族がいます。ロシア全体の人口は1億44百万人ですから、44万5千人しかいないブリヤード人の比率は1%どころかたったの0.3%しかいないのです。それなのに戦死者数では2番目に多いのです。1位はどこかというと、タジク人だそうです。こちらはもっと少なくて、わずか12万人です!タジク人全体では、アフガニスタン、タジキスタン、ウズベキスタンなどに2000万人くらい入るようですが、ロシア内のタジク人は超少数民族です。こんなに人口の少ない民族が戦死者数第1位なんて、どう考えても意図的に選んで戦地に送り込んでいるとしか考えられません。タジク人も元々はアジア系遊牧民族ですから、戦死者数1位と2位がアジア系遊牧民ということになります。当然ですが、白人のロシア人は幹部らには多いでしょうが、未経験の若い兵士が最前線に送り込まれるなんてことはないのです。プーチンはよく「ロシア人とウクライナ人は兄弟だ」などと言いますが、正確に言えばロシア人ではなくロシア民族なのです。誰も好き好んでロシア人になりたくなかったブリヤード人らのことは、プーチンにとっては「ロシア人ではない」と思っているのでしょう。中国も中華民族と漢民族を都合によって使い分けています。「中華民族の夢」って何?中華民族なんていないでしょ?国籍が中国だというなら単に中国人と言えばいい。モンゴル人もチベット人もウィグル人も自分を中華民族なんて思ってないし、それは単なる漢人の夢でしかないと思っているわけです。そもそも中華民族なんて歴史的にも一度も存在したことがないのですから。ロシアもご都合主義で、ロシア人イコールロシア民族という前提で話す一方、戦争などで犠牲を強いられるのは、国籍はロシアだけどプーチンすらロシア人だと思っていないアジア系民族なのです。まさに人種差別をはっきりと見せつけているのです。こんな同胞を意図的に殺している国に、まさに同胞のブリヤード人がたくさん亡くなっているこの時期に、どうしてモンゴル人が「77年前に勝利しました。ロシアおめでとう!!」などと言えるのでしょうか?それでも正式にロシアに対して未だ拒否はしていないようです。でも、当然のことながら誰も「行きたい」「行くべきだ」とも思えないのです。ここは外交の知恵の出しどころです。どうするか?やっぱりここはコロナに登場してもらうしかないだろうなという見立てがあるようです。要するに直前になって、「行く予定をしていた人がコロナになった」とか「急速にコロナが広まって、濃厚接触者が多く、ロシアに迷惑をかけられない。」とかでしょうかね。なので、実際にどうなるかは当日までわからないのかもしれません。
2022.05.04
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なので、本当に自由にモノが言える空間がわからない人には、「自由」の意味も理解できないのです。日本はもちろん中国よりは自由ですが、その程度であって、本当の自由がわからないのだと思うわけです。要するに「法律上」では恐らく報道の自由は保証されていますが、日本には得意の「忖度」があります。安倍政権がやってきた数々の疑惑を暴いたのは読売や朝日などの大手メディアでしょうか?文春砲に代表される週刊誌、共産党などの小政党、ゲリラ的なジャーナリストらによって暴かれることはあっても、読売や朝日が率先して暴くことはまずないでしょう。さらに役所の対応の問題もあります。公文書公開法に基づいて公開を請求しても出されるのはなにがなんだかさっぱりわからない「のり弁」です。更には、最大の忖度先と言えるのが皇室です。私はかなり昔、某大手新聞社の人に、巷に出ている噂を問いただしたことがあります。「そういう話は本当なのか?本当であるなら、なぜ大手新聞社はどこも書かないんだ?」と。答えは「うん、それは事実ですよ。でも、そんなの書いたって編集で通るはずないし、第一、皇室を敵に回してうちの会社にメリットなんかないでしょ?まともな大手はどこもやらないよ。」と。ですが、ヨーロッパの友人らに聞くと有名なパパラッチをはじめ、イギリスもオランダもノルウェーも全然王室へは忖度なんかないと言ってました。要するに、日本の大手マスメディアは権力にすり寄ることで情報を収集する代わりに、面倒な報道には忖度して組みしないということなんでしょう。こうした構造下でずっと報道に接していると、日本の報道の自由というのは「権力者と大手マスメディアが折り合いをつけたところでの自由な報道」ということなんだと思います。そういう意味では、先に中国人が言った「気を付けている範囲を越えなければ、なんでも自由だよ!」というのとあまり変わらないような気がします。ではモンゴルは?モンゴルの場合は、日本とは少し事情が違うように思います。まず第一にですが、モンゴル人は日本人のように「空気を読む」とか「忖度する」というのが得意な人たちではありません。むしろ開けっぴろげで、思ったことをストレートに言う。そういう意味では報道に適しているとも言えます。ではなぜ、モンゴルはもっと上位に行けないのか?それはモンゴル人の資質というよりは、マスメディアの構造、もっと言えば利益構造にも関わっていることだと思います。まずモンゴルという国の基本構造が日本とは全く違うことを理解しないといけません。モンゴルは人口わずか330万人の国です。しかも国土は日本の4倍で、およそ半分近くが首都ウランバートルに集中しています。日本で言えば、「静岡県の人口が北海道の19倍の土地に広がって住んでいる」と、ほとんどイメージできないような状態です。そんな人口希薄の国に、テレビ局は東京のキー局を優に超え20社近くもあるのです。主たる広告収入も、出稿したい企業数に対してあまりにもテレビ局数が多いので、広告費が安い(安すぎる?)のです。なので、なかなか利益が出ません。新聞で言えば、そもそもウランバートルには新聞はもちろん、今も郵便すら宅配制度はありません。あるのは企業向け宅配だけです。なので、新聞は街のスタンドやスーパーで買うのみ。明治の昔から宅配制度を持ち、発行部数は世界的にも最高レベルを持っていた日本とは大違いなのです。地方は郵送で新聞も送られますが、日本のような当日、翌日は難しいです。なので、部数的にはほとんどUB市民向けの店頭売りなのです。わずか150万人相手の新聞社でしかも店頭売りのみとなると、日本ではまず成り立たないでしょう。せいぜい地方のローカルコミュニティ誌くらいだと思います。これらを見ると「じゃあ、どうやって成り立っているんだ?」「多すぎるなら、淘汰されるのではないか?」と思うのは当然ですが、そこがそうはならないのです。なぜなら、ほとんどの民放局はバックに政治家がついているからです。そして多くの政治家が大手企業の経営者であったり、関係者であったりして、資金援助をすることで存続させているのです。なんでそんなことをするのか?それは最終的には選挙で勝つため、自分に有利な情報をテレビや新聞で流してもらうためです。なので、テレビ局単体で利益が出なくとも、関係会社の広告費用などで埋め合わせをしているのです。なので、モンゴルの多くのテレビ局には特定の政治家がバックにおり、そうしたところからの指示は絶対的なのです。例としてはふさわしくないかもしれませんが、昔の人気がなかった頃のパリーグのオーナー企業みたいなものでしょう。球団経営では赤字ですが、それを補填してもなんとかなるだけの体力があったということです。こういう個人的政治家の支配下のメディアの場合、日常的にはほとんどの番組は自由に作ることができますが、政治的な内容とか選挙が近づくと、その政治家からの指示に従いながら報道することになります。こうした姿勢が、報道の自由度ランキングでもっと上に行けない理由なんじゃないかと推察するわけです。(完)
2022.03.24
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本ブログでは時折モンゴルの国際指標ランキングを載せています。日本も一緒に載せていますが、多くの場合(良い指標の場合は)、日本が上位でモンゴルが下位というケースが多いです。例外は、ジェンダー指標で、これに関して日本は世界における有名なワースト国家(少なくとも先進国では最低)ですから、日本が圧倒的に下位です。いずれにせよ、国際的順位はモンゴルと日本は大きな違いがある場合が多いのです。ですが、66位、67位と順位が接しているランキングを見つけました。しかも66位とは微妙な順位。決して上位とは言えませんが、とはいえ100以下でもありません。ちなみに日本の「ジェンダーギャップ指数2021年」は150か国中120位ですから、100位以下は十分にありうる順位です。それは「世界報道自由度ランキング」という国境なき記者団が毎年発表しているものです。イギリスを含むヨーロッパはこういう世界の指標を作るのが上手いですね。当該国を単純に批判するよりも、ランキングで見せるほうが効果もあるのでしょう。その2021年版ランキングで日本とモンゴルがそれぞれ66位、67位というわけです。このランキングを見てみましょう。いつも通りに、上位にはおなじみの北欧やニュージーランドなどが並んでいることでしょう。実際に見ると、1位のノルウェーをはじめ、2位フィンランド、3位スウェーデン、4位デンマーク、6位オランダ、8位ニュージーランドと予想通りの結果です。予想外と言っては失礼ですが、5位コスタリカ、7位ジャマイカの中米諸国が上位ランクされています。これは知りませんでした。その後は概ね欧州、米州(中南米を含む)やいくつかのアフリカ諸国が続きますが、アジアはなかなか上位にはいません。アジア最上位は42位韓国、43位台湾です。アジアは全般的に報道の自由は低いと言えるでしょう。「そんなことはない!」と言いたい気持ちもわかりますが、日本はアジアのリーダーにもなれない存在なのです。そして意外ですが、アメリカが台湾に続く44位です。多くの中南米諸国(コスタリカ、ジャマイカ、ウルグアイ、スリナム、トリニダードトバコ)よりも下位だというのは、これらの国を「指導したがる」アメリカとしては皮肉に見えます。アジアのその後のランクはどうか?47位パプアニューギニア、65位ブータンと続き、日本、モンゴルとなります。この後の主要国を見てみると、80位香港、119位マレーシアでなんとアフガニスタンは122位で、下には下がまだあります。香港は10年前は34位でしたが、ご存じの通りの改悪で、ここまで落ちてしまいました。ミヤンマーが140位でまだ下が続くのです。150位のロシアは来年もっと落ちるでしょう。中央アジアで最高位のカザフスタンは155位です。ランキング上位の常連であるシンガポールは160位と、実態が独裁国家であることが透けて見えます。ちなみに対象国は180か国ですから、シンガポールはそのイメージとはかなりかけ離れたランキングです。最下位付近にいるアジア諸国は、予想通りの顔ぶれです。175位ベトナムは日本人のイメージは良いですが、バリバリの共産党独裁国家です。中国は177位、トルクメスタンは178位、そして北朝鮮が179位とブービー賞です。最下位180位はエリトリアというアフリカの角にある共産党独裁国家で「アフリカの北朝鮮」と言われています。先日のロシア侵攻非難決議で反対をした5か国のうちの一つで、本ブログでも紹介しました。中国や北朝鮮よりもしたということは恐らく「想像を絶するワル国家」なのでしょう。このランキングを見ていて、経済的豊かさ(GDPなど)と一見すると関連性がありそうですが、詳細に見るとやや薄いと思いました。要するに「豊かになれば、報道の自由度は高まる」かどうかということです。日本を軸に見ると、日本より上位にある「アフリカ、南米諸国」はなんと21か国もあるのです。これらの国々を一概に豊かではないと言い切るつもりはもちろんありませんが、一般的なイメージでは日本はこれらの国々よりも民主主義が進んでいて豊かなんだと思う人が日本に多いのは事実だと思いますが、報道の自由度に関してはそんなこととは関係ない客観的な状況があるのでしょう。私が考える「日本がこんな低いランキングであるとされる自由」は次の通りです。私たちの多くは「いや、そんなことはない、日本には報道の自由が保証されていて、共産主義国家のような厳しい検閲はない!」と思っていると思います。ですが、この「自由」というのはやっかいなもので、自分がいるところからはなかなか「不自由な壁」が見えないのです。例えば中国人。驚くことに中国人の多くは「私たちは自由だ」と思っているのです。私が「でも、中国内で習主席アホ。死ね!って言ったら捕まるでしょ?」「日本では安部はアホ、死ね!って言っても捕まらないんだと。」と言ったら「そりゃあ、当たり前だよ。だから習や共産党の悪口を言わなければいいだけのこと。それ以外はなんでも自由なんだよ。」と。つまり自ら意識的に自由領域を設定して、そこを超えないように発言することを「自由」だと主張するわけです。(続く)
2022.03.22
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で、そのプーチンの居場所です。確かに報道では「そもそもプーチンはクレムリンにはいないのでは?」「プーチンの隠れ宮殿?」「愛人といる?」などなどいろんな情報が流れています。恐らくそれはロシア国内でも同様に、プーチンはその居場所を隠しており、明確な場所はわからないのでしょう。前にテレビでウクライナへの侵攻の是非を問う閣僚との会議が映されていました。それは会議というには異様な光景で、プーチン一人だけがぽつんと左側に座り、残りの閣僚と言われる10数人は10mどころか20m近くもあるのではと思われるほど離れて座っていました。中身は会議とは言えないような、プーチンにいかに気に入ってもらう発言をするのかだけが目的のようなものでした。この時私は「もしかして、プーチンは閣僚でさえも誰も近くには置きたくないのかも。」と思いました。本当に信頼のおけるプーチン親衛隊以外は、危険な存在と考えているのかもしれません。逆に言えば、それだけプーチンは暗殺や反逆者を恐れているのでしょう。今のプーチンに最も怖いのはアメリカでもアメリカの核でもありません。暗殺者なのでしょう。しかもKGB出身ですから、部外者のスパイや暗殺者がプーチンに近づくことはほぼ不可能なのだと思います。あり得るとすれば、それはプーチン側の人、部下、身内などある程度接近できる人に限られるでしょう。あるいは、アメリカやイギリスの特別精鋭部隊であれば、ピンポイントで殺人は可能かもしれません。そうしたことも考えると、そもそもプーチンは居場所を発表しない、明確にしないばかりか、既にモスクワにはいないという可能性もあります。そんなことを考えていたら、そんなようなニュースが飛び込んできました。それはフジテレビのニュースでした。ヨーロッパ経由で、「プーチンは山岳地帯にいる」という情報があったというのです。いろんな情報人がこの件について話していました。これは元CIA諜報人のジョン・サイファーという人です。「彼(プーチン)は暗殺を恐れていると思います。引きずられ、撮影され、血まみれになることを恐れていると思います。」と、暗殺を恐れ身を隠しているということを言ってます。「また公の場でその姿を見た人はいない」とか「ウラル山脈にある隠れ家でオリガルヒ(新興財閥)を集めて会議をした」などということも他の証言者が言ってました。そしてロシア政治に詳しい筑波大学の中村教授の分析では、ロシアの山岳地帯が有力だというのです。なんで欧州の専門家より日本人の先生の方が詳しそうなのかはわかりませんが、ある程度場所まで特定しているようなのです。それはロシア南部だというのです。う南部の都市バルナウルの更に南部だというのです。ここより南部?それがここだというのです!え?そこ?この手で隠れているのはモンゴル国です。つまり、モンゴル西部、カザフ東部、中国北部の国境に近いロシア南部の山です。ここはほとんどバヤンウルギーです。恐らくこの「指の先」はバヤンウルギーからほんの数十キロ先じゃないかと思います。平和な国に住んでいる日本人の先生に隠れ家がばれるようでは、さすがのプーチンも形無しでしょうが、可能性はゼロではないってことでしょう。もし仮に本当にここにいたとして、今クレムリンでクーデターが起こったら・・・?亡命先はモンゴル?まさかですね。その場合は、中国でしょう。とにかく、モンゴルはロシアの隣国であることが改めて認識される「隠れ家探索」でした。(完)
2022.03.11
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プーチンによるウクライナ侵攻は続いています。予想以上にウクライナの抵抗が強いせいなのか、プーチンの当初の計画とはかなり異なる様相を見せています。戦争は3週間目に突入し、多数の死傷者が出ています。21世紀になってから、テロリストでもない相手にこんな戦争を仕掛けることが起こるとは全く想像もしていませんでした。いろんな報道を見ると、やはりこれは「ロシアという国全体が戦略的にウクライナを襲った」というよりは、「プーチンの個人的判断によるウクライナ占領」を狙っていると言えるでしょう。戦場は東ヨーロッパであり、さすがの西欧諸国も「目に前のエネルギーや金儲けよりも人命のほうが大切だ」と対ロシア制裁は徐々に本気モードになってきています。遠く離れた我らが東アジアはもちろん無関係ではありませんが、こっちには同じく狂気国家の中国があるので、多くの人たちが強い関心をもって見ています。ですが、我らがモンゴルにとっては、それ以上に現実的な問題としても気になることが多いです。今日は「3つのモンゴル関連」を書きたいと思っています。一つ目は「プーチンのロジックの破綻」です。プーチンは言います。「ウクライナにはロシア系住民がいる。それを保護するために東部の2つの州を独立させて、ロシアの保護のもとに軍事的支援をする」と。なるほど、隣国に同国と同じ民族がいる場合は、その国は独立することができ、しかもそれを保護する国の傘下に収めることができるんだということです。ではロシア国内にいるモンゴル系民族はどうなんでしょうか?まずはブリヤード・モンゴルです。うブリヤード共和国です。ブリヤード人のブリヤード語はモンゴル語の一つであり、モンゴル国内にも多くのブリヤード人がいます。特にモンゴル東部のヘンティ県やドルノド県には多くのブリヤード人が暮らしています。当然のことながら、歴史的にはモンゴルの一部なのですが、清朝、帝政ロシア、ソ連共産主義などによって、モンゴル国と引き離されたのです。(ネルチンスク条約)。プーチンの論理でいえば、まずはブリヤード国を独立させ、実質的にモンゴル国の傘下に入れることが許されるというわけです。トヴァ人が多く住むトヴァ共和国も独立させねばなりません。トヴァ共和国です。こちらはブリヤードとは少し違い、元々はテュルク系民族のようですが、歴史的・文化的にモンゴル系と同じようにチベット仏教が広まり、モンゴル系と同化したという歴史があります。フブスグルの北部に住むツァータン人(トナカイの人)はこのトヴァ人の一派です。当然、こちらの人たちの国もモンゴルに返してもらわねばなりません。更に純粋なモンゴル人が遠いヨーロッパにいます。それはカルムイク人が住むカルムイク共和国です。もしかして一番西にある仏教国ではないでしょうか?カルムイク共和国です。カルムイク人は元々はオイラート人が17世紀にこの地にやってきた末裔です。オイラートはチンギスハーンの時代のモンゴル族のライバルでした。元々はテュルク系だったようですが、モンゴル語を話しチベット仏教を信仰するという「典型的な」モンゴル人の生活様式です。中でもそのモンゴル語は今もとてもきれいなモンゴル語を話すと、現代モンゴル人が評価するほどで、大切にモンゴルの文化を守っている人たちです。カルムイク人は、多くの迫害を受けたモンゴル系民族の中でも最もひどい仕打ちを受けたと言えるでしょう。スターリンは今のプーチン以上に、ひどい恐怖政治をやっており、強制移住をさせられた経験をした人たちです。ここも当然、独立させねばならないでしょう、プーチンの論理では。これらの国に住むモンゴル系民族がロシアにより差別されてきたのは周知の事実ですが、それは過去のことではないのです。それが二つ目の話です。本ブログをお読みに皆さんの中には、ロシア側兵士に関するニュースを聞いたり見たりした人も多いことでしょう。ウクライナで捕虜となったロシア兵からはいろんな声が聞こえました。「まさか戦争に行くとは思わなかった。訓練のためだと聞いていた。」「兵器なんか扱ったことがない。ママに会いたいよ。」という20歳前の兵士。そしてニュースでは「極東から軍を派遣した」というのも目にしたと思います。これらは全部つながっている話です。大国が戦争するときに決まっているルールがあります。それは国内にいる異民族を先に最前線へ送り込むというやり方です。中国がチベットを攻めた時は、まずモンゴル兵を送りました。アメリカだって、ヨーロッパ戦線に送り込むときに、ドイツ系移民、イタリア系移民を優先的に送り込みました。そして今回のロシアです。プーチンが何度も「我々ロシア人はスラブ系でウクライナとは兄弟である」と言っているように、ロシアではロシア人というのはスラブ系白人のことであって、アジア系はロシア人の範疇には入らないのです。その中でも、過去300年近く支配され苦しめられたモンゴル系に対する差別はひどいもんです。なので、今回のウクライナ侵攻にはまずモンゴル系を前線に投入するというわけです。実際に、モンゴル国のモンゴル人の知り合い(当然親せきや知り合いは、国境の向こうにもいる)がブリヤードにいて、その中の結婚したばかりの若い男性が突然徴収されて、ウクライナに送られたそうです。もちろん、その男性は武器も銃も触ったことすらなかったそうです。そんな素人がウクライナに送られて、殺人しろと言われるわけです。これに近いニュースは確かに報道では聞いた気がしますが、実際にモンゴル人とつながっているブリヤード人が送られたというのを聞くと、遠い西欧の戦争ではないことがわかります。そしてその若い男性は戦死したそうです。ま、プーチンにとっては使い捨てくらいの感覚なんでしょうが、共産主義時代の「粛清」が再現したような暗い気持ちになります。このウクライナ侵略戦争では、抑えつけられていたロシアの問題が一気に噴出しそうな気もします。この惨劇を終わらせるには核の問題もあり、なかなか外国勢力の力だけでは難しいです。国内のクーデター?暗殺?そんなことくらいでしか、止められないのではないでしょうか?で、そのプーチンはどこにいるんでしょうか?(続く)
2022.03.10
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2日の国連総会で、「最も強い言葉で遺憾の意を表す」という決議がなされました。こんな緩い言葉の決議に何の意味があるのかわかりませんが、「より賛成票を増やすための語句調整」があったようです。そのおかげか、2014年のクリミア半島占領時の反対決議の時の賛成国は100か国だったのに対して、今回は141か国と4割ほど増えたようです。ただ2014年の決議を知れば、それが何の影響力を持たないことは明白です。クリミア半島占領時よりももっとひどいウクライナ侵攻を防げないのですから。私自身は国連決議には何の力もないとは思っていますが、どういう国が反対しているのだろうか?そして棄権はどんな国?には興味を持ちました、反対しているのは、まさにロシアの悪友と言える面々です。ベラルーシ、北朝鮮、シリア、エリトリアそしてロシアです。前者3か国はヤバい国でおなじみの名前です。エリトリアは、一瞬「エストニア?リトアニア?」などバルト3国と勘違いしそうな国ですが、アフリカの角にある、付近を航行するタンカーなどを襲う超危険な共産主義独裁国家です。ま、これらは評価のしようもありません。問題は、35もある棄権国です。その多くが中国などの独裁国家ですが、なんとこの中にモンゴルが入っているのです。前回も申し上げましたが、パイプラインも喜んでサインするくらいですから、ロシア様には足を向けて寝られないのです。とはいえ、ここは国連の場です。多くの国々がその立場を見ています。棄権したのは基本的にはヤバい国ばかりであり、まともな民主主義国家はありません。ということで、この35か国がどんな国々なのかを見てみます。とはいえ、単純に35か国も紹介しようがないので、先日、本ブログでご紹介した「世界民主主義指数」と「世界平和指数」を用いて見てみます。これは前者が167か国、後者は163か国を対象としていますので、対象国数はほとんど同じです。ということで、私が勝手に「このランキングの平均値が、その国の民主主義度合いと平和度合いを表す民主平和指数」と定義します。例えば、日本は民主主義が17位で平和が12位なので、民主平和指数15(四捨五入)となります。民主主義1位のノルウェーは平和で14位なので、8となります。平和1位のアイスランドは、民主主義5位で3。ニュージーランドはともに2位なので、指数も2です。このニュージーランドが民主平和指数のトップになります。こんな感じで、今回の棄権35か国を試算してみました。実際には南スーダンのデータがないので、対象は34か国です。その前に今回の反対国を見てみましょう。北朝鮮など、そうそうたるインチキ国家が名を連ねています。まず当事者であるロシアです。民主主義124位、平和154位、民主平和指数139とやはり堂々たる下位国です。それ以外の民主平和指数は、北朝鮮158で、さすがロシア以上のヤバい国であることは明確です。シリアは162と更に北朝鮮を上回ります。ちなみにこの指数の最低国候補であるアフガニスタンは、平和指数163位で最低ですが、民主主義指数の対象にもなっていないので、ランク外です。そういう前提で見ると、民主平和指数最低国はやはりシリアとなります。アフリカの角エリトリアはどうでしょうか?こちらは145となっており、「アフリカの北朝鮮」とは呼ばれていますが、ダメ国家度は北朝鮮にはかないません。ロシアの下僕であるベラルーシは?こちらは132と、なんとロシアより「まし」な国となっています。俗悪国家になりにはまだ修行が足りないのでしょう。というわけで国連決議反対5か国の民主平和指数平均は147となりました。そして我らがモンゴルを含む棄権34か国です。上記の反対5か国平均147に対して、棄権34か国の平均は107とかなり良くなっています。107とは実際にどんな国なのでしょうか?民主主義指数107位はナイジェリア。うーん、微妙ですね。パキスタン104位、パレスチナ109位ですから、やはり民主主義とは遠い存在です。平和指数107位はパプアニューギニア。これもなかなかイメージしにくいです。中国が100位で暴れん坊のトルクメニスタンが109位。これもとても平和な国とは言えませんね。棄権34か国中の民主平和指数ワースト3を見てみましょう。ワースト1位は159の中央アフリカ!北朝鮮を下回り、最低国家シリアに迫るすごい数字です。相当ヤバい国なんでしょうね。2位はスーダン149、3位はイラク138。これは頷けますね。ではロシアに忖度し、擁護しながらも、そこそこ民主的で平和な国はどこなんでしょうか?棄権34か国中の第3位は、71のアフリカ・セネガルです。民主主義指数は88位ながらも平和指数が54位と健闘しています。首都ダカールは自動車ラリーで有名です。第2位はこれもアフリカのナミビアで指数60です。民主主義指数55位、平和指数65位とバランスよくまずまずのランクにいます。こういう国がロシアに忖度するのは、やはり武器援助などによるのでしょうか?そして栄えある民主平和指数棄権国中第1位はなんとモンゴルです!!民主主義指数62位、平和指数42位で、民主平和指数52です。素晴らしい!と言いたいところですが、これはあくまで棄権34か国の中の話です。ですが、裏を返せば、今回反対及び棄権した34か国中で「もっともまともな国」とも言えます。ここにモンゴルの苦しさが如実に表れています。モンゴル国民の心の中は、他の多くの平和を愛する人たちとほとんど変わらないのです。ですが、中露にサンドイッチされている国に、自国の発言の自由があると言えるでしょうか?ロシアの機嫌を損ねれば、即、ガソリンは入らない、電力だって怪しい。中国の機嫌を損ねれば、石炭輸出はストップし、必要な日用品・食品も入ってこない。きれいごとを言う日本やアメリカに同調するわけにはいかないのです。世界が中露を犯罪国家と見なせば見なすほど、世界と仲良くなりたいモンゴルはその立場の意思表明が難しくなるということです。辛いね、モンゴル!
2022.03.04
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ロシアがウクライナに一方的な軍事侵攻を初めて1週間近くになります。当初弱腰だったドイツなども、目の前でウクライナが蹂躙されているのを見て、さすがに制裁に踏み切ったようです。世界の銀行決済機関のSWIFTからの排除も大きいですが、ドイツ固有としてみるとやはりロシアからのパイプライン「ノード・ストリーム2」の承認手続き停止が大きいと思います。これは単に天然ガスを買うパイプラインの話だけではなく、ドイツとしての長期的なエネルギー戦略の根底にもかかわる話だからです。ドイツのロシアに対する外交的姿勢は、日本の中国に対するそれと似ているなと感じます。ドイツは誰もが認める欧州の経済大国であり、EUの中心国です。フランスやイギリスはロシアと外交だけでなく経済分野の話をするときは、堂々と正論で議論できます。ロシアの悪い部分もはっきり言えます。ですが、ドイツはどうも違うようです。そこには「ナチス侵攻」「過去のロシア侵攻」などの記憶があり、どこかに贖罪の意識があると思われます。なので、英仏米のように「悪いことは悪いこと」と簡単に切れないのだと思います。日本も対中国では常にそうでした。「日本車排斥運動」が起ころうとも、日本政府はあまり強いことは言えません。中国が日本製鉄を始め、数々の特許侵害や技術搾取をしても、なかなかアメリカのようには「排除する」とか「提訴する」とは言えないのです。それどころか外交官を拘束しても「遺憾」以外には何も言えないのです。戦後70年たとうが80年たとうが、中国首脳と会うときは必ず「日本は過去の侵略の歴史を忘れずに平和を・・・」とお説教されても、日本の首脳は「その通りでございます」と反論もできません。現実には中国が殺戮をしたモンゴル人、チベット人、ウィグル人、カザフ人などなど、戦後国家として殺人を犯した国としては、世界ワースト1か2くらいの国なのですが、それすらも指摘できないのです。結果として、援助はするけど、メリットはなし、むしろ国を挙げて反日教育をされるのが落ちの状態です。ドイツも対ロシアではどうやら同じ態度でいるようです。それが「ウクライナへの軍事援助としてヘルメット5000個」などという子供も思いつかないような愚挙に出たということなのでしょう。ですが、現実にウクライナが侵略されているのを見て目が醒めたのでしょうか、ノード・ストリーム2の承認手続きを停止ました。防衛費もこれまた日本同様目立たないように低予算を組んでいたようですが、トランプが望んでいた水準(GDPの2%)よりもさらに高く設定する方針になったようです。メルケル前首相は原発廃止、再生エネルギーへの転換の先頭に走っていたように見えますが、実際には再生エネルギーだけでは安定的供給ができないことは明らかです。メルケルの秘策は2つあって、一つは原発大国フランスから不足時には供給してもらう約束をすること。もう一つは、ロシアからのパイプラインを設置して天然ガスによる火力発電所を維持することで、国内のエネルギー調整をしようというものです。この政策が根底にあったので、メルケル元首相は西側諸国の中でもプーチンとは仲良く、東独出身ということもありロシア語で直接話していたのです。実はこれとほぼ同時期にほぼ同じようなパイプラインの話がモンゴルにもあったわけです。ロシアから中国へのパイプラインをモンゴル経由で供給するというものです。ロシアと中国は国境を接していますから、モンゴル経由でなくとも設置可能だと思われますが、モンゴル側はこの「パイプライン通行料」を目当てに敢えてこれを誘致したというわけです。もちろん、中露両国から見ても、華北地域までパイプラインが直接来るのと、遠い中国東北部(旧満州)経由で持ってくるのとではコスト的にも有利なのでしょう。で、今回のロシアの侵攻です。ウクライナ政府は「パイプラインへの署名を止めてくれ!」とモンゴル側に抗議していましたが、モンゴルは結局署名しました。昨年であるなら、仕方ないです。1月でも仕方ないです。ですが、なんと署名したのは昨日2月28日!!なのです。まさに世界中がロシアの侵攻・殺戮に大反対をし、制裁強化をしている時です。これには大きく二つの要因があると思います。一つは、「中露に挟まれたモンゴルに一体何ができるんだ?」という見方。中露が決めたことをモンゴルが拒否したら、一体何が起こるか?両国が国境封鎖をしたら、モンゴルは何もできません。もう一つは、そもそもモンゴルの政治家からしたらパイプライン設置ほど美味しい話はありません。ただパイプラインが国の中を通過するというだけでお金がもらえるんですから。更に今の政権党である人民党はルーツをたどれば共産主義政党ですから、ロシアとの親和性は高いです。というわけで、恐らくモンゴルの政治家、中でもオユーンエルデネ首相は署名することには1秒も悩まなかったのではないかと思います。
2022.03.01
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モンゴルのコロナ状況はまだまだ改善には程遠いようです。モンゴルの累積感染者数はもう90万人です。日本は累積475万人です。モンゴルの感染者数を日本の人口で換算するとなー――んと、3400万人にもなります!日本の7倍以上です。首都ウランバートルでさも「陽性になっても、自宅にいろ!」という指示以外のサポートはないということなので、地方などではPCR検査さえも受けない人が相当いるのではないでしょうか?実際、ウランバートルにいる友人、知人やその家族での感染したことを頻繁に耳にします。「入院は?」「薬は?」と聞いても、UBでも入院措置はなし。薬はウィルス向けのロシア製の薬(昔からある薬で、今回の新型コロナ用ではない)を薬局に自分で買いに行くだけ、という状況です。昨年夏に、私が感染し入院した様子とはかなり違います。これでは重症化した時には、かなり大きなリスクになるでしょう。日本ですら、エッセンシャルワーカーが感染し、多くの現場で混乱しているということですから、モンゴルの場合はかなりひどいようです。日本も欧米と同じように物価が上昇してきています。大きな原因の一つが、石油などのエネルギー高でしょうが、半導体製品の品不足など供給サイドの問題も物価高に拍車をかけています。ですが、幸いに日々の食料品、日用品などの身の回りのものが品不足ということはありません。しかしながら、モンゴルは違います。モンゴルは身の回りのもののほとんど全てに輸入に頼っているので、それらの供給不足が深刻なのです。恐らく今のモンゴルは肉類と一部の野菜(小麦、じゃがいもくらいかな?)を除けば、ほとんどのモノが品不足となっているでしょう。その最大の理由が、中国との国境ルートが閉鎖されていることにあります。モンゴル側はザミンウッド、中国側は二連浩特という国境での貿易がストップしているのです。モンゴルの最大の輸出先は無論中国ですが、食料品、日用品を中心に最も多い輸入先もやはり中国なのです。足りない分は、日本や韓国から輸入すればいいと言っても、日本の車なども天津経由でこの国境を通らねばならないので同じことです。というわけで、まさに陸の孤島となりつつあるのです。道路も鉄道も制限され、北京との航空路も定期便はないとのことです。といことで、スーパーではかなり品不足が現実化しつつあると聞いています。おむつなども中国製が多いのですが、それらも品不足となると辛いですね。大手スーパーでも品不足なのですから、個人商店の塊であるザハなどへの影響も大きいようです。モノがない、中国もダメ、日本韓国はもっとダメ。さあどうする、あなたなら?そこで編み出された裏技が「飛んでイスタンブール」です。この言葉にピンと来た人は、かなりの年配の方でしょう。1978年発売のヒット曲です。これは冗談ではなく、本当なのです。なぜか?それは多くの航空路が閉鎖されているにもかかわらず、トルコとの定期便が今も運航されているんだそうです。しかも、昔の馴染みからか(昔と言っても、1000年前ですが)、モンゴル人はトルコへはビザなしで行けるのです。しかもトルコリラはかなり下落しています。下落傾向にあるモンゴルトゥグルグに対しても、現在のレートは1年前に比べてほぼ半値です。つまりトルコへ行けば、ほぼ1年前の半額で商品を購入できるというのです!というわけで、今、トルコへの買い出し人が急増しているそうです。文字通り、大きなカバンやいくつもの箱に詰めて、イスタンブールとUBを往復しているのです。なので、ターキッシュエアラインはなんと満席で、しかもその大半がモンゴル人というこのコロナ禍下、不振な旅行業をしり目に不思議な現象が起こっているのです。また、考えられないような遠回りなのですが、北京にいるモンゴル人がUBに帰ろうとすると、空路も陸路も無理なので、イスタンブール経由で帰国する人もいるというのです。なんだか、イスタンブールがモンゴルへのハブ空港化しているようで、興味深いです。経営の世界には「残存者利益」という言葉があります。全体としては市場は縮小しており、多くの撤退企業が出てきた場合、最後に残った企業が残るメリットを独占できる、というものです。このターキッシュエアラインの満席を聞いてそう思いました。確かにコロナ禍でモンゴル人の旅行は減っている。それと共に、航空需要も減っている。北京もやめた。日本もほとんどない。(というか、日本は入国禁止)韓国もほとんどない。ほぼUB発の国際便がなくなったところに「ビザなし、定期運航、ヨーロッパへでもアジアへでも!」というターキッシュエアラインの残存者戦略は素晴らしいと思います。運賃も「低価格志向の観光客相手」ではないので、結構いい値段だそうですが、確かに選択の余地がないんだから高くても売れるでしょう。今頃、UBの市中ではトルコで仕入れた商品がたくさん並んでいることでしょう。持つべきものは、昔々の友人(突厥??)ですかね?
2022.02.23
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前回に続いて、世界の指数です。世界平和度指数に関しては、昨年の本ブログでモンゴルに関してお伝えしているので、そちらをご覧ください。「世界平和度指数ランキング、モンゴルは平和な国? | 田崎正巳のモンゴル徒然日記 - 楽天ブログ (rakuten.co.jp)」(https://plaza.rakuten.co.jp/mongolmasami/diary/202007220000/)昨年と今年はほぼ似たような傾向ですが、若干のランキングの違いはあります。日本は2020年9位で、2021年は12位。モンゴルは2020年39位で、2021年は42位と、日本とモンゴル共にランクを落としています。とはいえ、誤差の範囲だと思います。それではそれ以外の世界の指数を見てみましょう。まずは、世界幸福度ランキングです。対象国は149か国です。この調査ではいつも話題になりますが、メインの調査がアンケートによるものなので、国民性により非常にバイアスがかかります。具体的には日本です。「自分の幸福度を、最低はゼロ、最高の人生は10で評価する」というものです。私も仕事で経験ありますが、日本人へのアンケートは多くの場合、他の諸国よりも悲観的なデータが出てきます。この手の調査で10をつける日本人はまずいませんが、アメリカやアジアなどでは10は普通につけます。なので、自己評価アンケートベースの調査結果は、ほぼ日本は低くなります。そうした前提で見てみましょう。上位はいつもの通り、フィンランド(7.842)、デンマーク(7.620)、スイス(7.571)と言った、北欧んや欧州の小国が上位に来ます。以下もほぼこのルール通りに、アイスランド、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、ルクセンブルグ、ニュージーランド、オーストリアとトップ10を占めます。この上位10か国の共通点は何だと思いますか?これらは全て人口2000万人以下の国々です。オランダを除けば全て1000万人以下です。国というのは、人口が少ないほうが平和で幸福になれる、のかも知れません。であれば、モンゴルも大いにチャンスありです。中国が不幸なのは、これからもわかりますね。この調査でのアジア1位は24位の台湾(6.584)です。台湾もこのような調査では常に優等生で、アジアトップクラスです。人口が比較的少ないという「ルール」にも合っています。アジア2位もルール通りで32位のシンガポールです。アジア3位は54位のタイで、アジア4位にようやく56位の日本(5.904)が登場します。世界平和指数、世界民主主義指数などは日本は世界10位前後ですが、この調査では大きくランクを落としているのがわかります。この後は、61位フィリピン、62位韓国と続き、アジア7位で世界70位のモンゴル(5.677)です。対象国149か国の半数75か国をギリギリ上回っています。ですが欧州の上位国や台湾と比べれば、日本とモンゴルは大差ないと言えるでしょう。以下、ロシア76位、香港77位、タジキスタン78位、中国84位、とあり、なぜかカザフやウズベキスタンは載っていません。調査ができなかったのかも知れません。モンゴルは人口も少ないし、もう少し上位に行けるポテンシャルがありそうです。モンゴルが勝てそうな分野として「男女平等度」があります。これは間違いなく日本よりは上でしょう。が、これまたお約束通り、上位は欧州小国、やニュージーランドが上位でしょう。実際、1位アイスランド(0.892)、2位フィンランド(0.861)、3位ノルウェー(0.849)と北欧独占です。以下、4位ニュージーランド、5位スウェーデンまではいつもの通りです。が、6位に意外な名前が来ました。ナミビア(0.809)です。更に7位にはルワンダ!あの内戦がすごかったルワンダ(映画ホテルルワンダは有名です)。このアフリカ勢2か国は素晴らしい結果を出しています。更に8位はリトアニアです。これも素晴らしい。意外なところでは、12位ニカラグア、15位コスタリカと中米勢が来ています。男女平等は国の規模と関係なく、やると決めればやれるということなのです。で、アジア1位は?それは世界17位フィリピン(0.784)です。確かにフィリピンの女性はよく働きますから、当然の結果と言えるでしょう。アメリカは30位、アジア2位はなんと36位のラオスです。あのなんでも優秀なシンガポールがなんと54位でアジア3位です。調査対象国は156か国ですから、モンゴルは何とか78位以内にはと思います。64位東ティモール、65位バングラディシュと続き、アジア6位、世界69位でモンゴルです。この結果にはちょっと納得いきませんね。他の調査ではアジア1位というのもあったほどですから。となると、後は日本です。日本が世界最低レベルというのは有名ですが、どのくらい下なんでしょうか?下位3分の1だとすると、104位以下。下位4分の1だとすると、117位以下。実際にはどうでしょうか?79位タイ、80位カザフスタン、81位ロシア、87位ベトナム、101位インドネシア、102位韓国、103位カンボジア、107位中国ときりがありません。とにかく下位だということは分かります。結果は120位日本(0.656)です。日本より下の欧州の国は?ありません。日本より下の多くは中東やアフリカのイスラム教の国であり、確かに世界の主要国ではダントツの最低であることがわかります。一応、その内容を見てみます。まずは「良い項目」から。識字率の男女比、初等教育就学の男女比、出生時の男女比、これらはなんと全て世界1位です!!素晴らしいですが、これは少なくとも今の政治家の努力によるものではありません。「悪い項目」を見ます。政治的エンパワーメント世界147位、国会議員の男女比140位、管理的職業従事者の男女比139位と、要するに政治家や大企業などの問題が大きいように思えます。特に、政治家や管理職数など長期的に枠を決めてやれば、達成可能なものばかりです。よく「じゃあ、女性を無理やり管理職にすればいいのか?」とか「優秀な政治家でなくとも女性に割り当てるのか?」などと、自分の身を守ることしか考えない議論を吹っ掛ける人がいますが、簡単なことです。長期的に少しずつ枠組みの数字を作ればいいのです。もし、2000年に女性管理職比率(政治家比率)が15%しかいなかったとします。その後、政治家及び上場企業の基準枠組みを毎年1%ずつ上げればいいのです。そうすれば、今頃は37%にもなっていたでしょう。ここまでくれば、さすがに世界最低とは言われないレベルです。そもそも政治家に優秀な男性なんていないわけですから、政治家だけは即刻枠を決めればいいと思います。男性中心の国会議員の関心は、世界の中の日本ではなく「俺の給料続くかな?」しかないので、こうなっているんですね。情けない人たちです。モンゴルに関しては、詳細は分かりませんが、もっと国を挙げて情報発信をすべきでしょう。実態は相当進んでいるのですから。
2022.02.19
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世界のいろいろな指数ランキングが発表されます。大体の場合、良さそうな指数のランキング上位には、北欧諸国、シンガポール、ニュージーランドなどが入ります。日本はそうした常連上位国の少し下あたりが多いでしょうか。ですが、私はこうしたランキングが出ると、やはりモンゴルが気になります。大体目安としては、対象国全体の半分くらい、160か国であれば80位くらいでしょうか?あとは、「少なくとも中央アジア諸国よりは上」とか「東南アジア諸国では真ん中くらい?」というのがあります。今回は2021年民主主義指数を見てみます。これはイギリスのエコノミスト・インテリジェンス・ユニットというエコノミスト誌の研究機関が発表しているものです。これらの指数の要素を見てみると「選挙過程と多元性」「政府機能」「政治参加」「政治文化」「人権擁護」の5部門から評価されており、対象国は167の国と地域です。そしてその167か国を「完全な民主主義 21か国」「欠陥のある民主主義 53」「混合政治体制 34」「独裁政治体制 59」に分類されます。なので、上位74番目までが、一応民主主義の国ということになりますが、この4つのカテゴリーで一番多いのが「独裁政治体制」であるというのは興味深いです。中国の人権問題や軍事的行動に対して、よく中国は「中国を支持する国のほうが反対する国よりも多い」と言いますが、世界的に見れば非民主主義国家のほうが多いということなのです。なので、中国は非民主主義国家の代表を演じているのでしょう。一応、当たり前の結果であろうとは思いますが、上位国を見てみましょう。1位ノルウェー指数9.75、2位ニュージーランド指数9.37、3位フィンランド指数9.27と、全く予想通りの結果です。以下、スウェーデン、アイスランド、デンマークと北欧諸国が続き、7位もアイルランドと北部欧州です。8位は台湾で8.99、9位は8.90でオーストラリアとスイスが並びます。上位国の部門別結果を見てみます。上位6か国は5つすべての部門が指数8.00以上です。アイルランドの8点以下は、政府機能。台湾、オーストラリア、スイスの8点以下は政治参加です。日本は指数8.15で17位。16位8.16の韓国、18位8.10のイギリスに挟まれています。日本の場合、政治参加が6.67と極端に低いです。恐らく投票率が低いことも一因でしょう。ちなみに、政治参加指数は韓国7.22、イギリス8.33です。逆に韓国とイギリスはどこが弱いのか?韓国は、政治参加7.22、政治文化7.50、人権擁護7.94です。人権擁護が8点以下なのは、上位20か国では韓国だけです。イギリスは、政治文化が6.25とかなり悪いです。何か原因があるのでしょう。民主主義陣営のリーダーを自認するアメリカはというと、なんと指数7.85で26位です。25位チリの7.92と27位エストニアの7.84に挟まれています。アメリカは、政治機能6.43と政治文化6.25が極端に悪いです。調査時期を考えると、トランプによる混乱も関係しているのでしょう。今回の注目は香港でしょう。中国化はどう反映されているのでしょうか?なんと85位に転落です。こうした調査の上位常連なのに。指数は、5.60で最大の悪化要因は、選挙過程と多元性の指数2.75です。この指数は、上位100か国中最低です。恐らく今後はもっと下がり、100位以下になるのでしょう。さてモンゴルです。62位で指数6.42です。さすがに上位国とはまだ差がありますが、対象国167か国の半分以上にはいます。評価は「欠陥のある民主主義」です。確かにその通りだと思いますね。特に悪い部門は人権擁護3.88、政治文化5.63、政府機能5.71です。選挙過程と多元性の指数は8.75とかなりいいのですが、政府や政治家が関係する指数が悪いということです。全くその通りだと思います。そうは言っても、かなり改善してきたのではないかと期待したいところですが、、、2006年の指数は6.60でした。2012-14は6.65でした。ですが、その後徐々に下落し、6.42になったということです。残念ながら、私の肌感覚とも一致します。要するに前よりも悪くなっているのは事実だということです。台湾、韓国、日本以外のアジア諸国と比べてみましょう。モンゴルより上にいるのは、43位7.06東ティモール、46位6.91インド、52位6.71インドネシア、54位6.62フィリピンです。意外なのは66位6.23シンガポールです。確かに経済的優等生のシンガポールですが、独裁国家であることは確かです。中央アジア諸国は?116位3.62キルギス、128位3.08カザフスタン、150位2.12ウズベキスタン、157位1.94タジキスタン、161位1.66トルクメニスタンと全て独裁政治体制国となっています。シリアや北朝鮮と同レベル扱いって感じですね。ちなみに、独裁政治体制国のリーダーはどうかと言うと、124位3.24ロシア、148位2.21中国と、それにふさわしい順位になっています。モンゴルが陸に囲まれたこの地域で特徴を出すとしたら、この地域唯一の「民主主義国家」になることしかないと思います。モンゴル国内では、プーチンや習のような独裁者がいたらいいなあ、などという声もあるやに聞いていますが、そうなったら日本も含め誰もモンゴルを助けようとはしないでしょうね。
2022.02.16
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コロナ対策上、外国からの選手はもちろん、取材関係者も全員バブル内から出ることはできません。ホテルは中国側が指定したところに滞在します。ホテルには当然一般人はいなくて、全員外国からのオリンピック関係者です。やはり冬季オリンピックということもあり、滞在者の中では圧倒的に欧米人が多いようです。確かに、たくさんの選手を送っているのはほとんど欧米です。東南アジアや南アジアからは、ほんの少ししかいませんからね。もちろん、日本人関係者もちらほらいるようです。ちょうど春節ということもあり、ホテルの各客室にはグリーティングカードが届けられました。片面には中国語で、片面には英語で「新年おめでとう」と書かれています。これを部屋に届けてくれるのはいいのですが、ホテルスタッフの人は全身真っ白な防護服のまま部屋に訪ねてくるので、ドアを開けるとびっくりしてしまうようです。なぜなら、悪い知らせだと思ってしまうから。なぜか?期間中、ホテル滞在者は文字通り毎日PCR検査をうけるそうです。なので、その全身真っ白な防御服の人が突然部屋に訪ねてくるということは、陽性になってどこかに連れていかれるのかと思ってしまったというわけです。賛否いろいろあると思いますが、2年以上たっても未だにPCR検査を十分にできていない日本からすれば、中国は大したもんです。岸田さん、最低限の仕事はしてください。ホテルといえば、テレビの国際放送は意外と見れるようです。ですが、当然それらも常に当局の監視下にあるのでしょう。CNNもNHKも見れますが、「ウィグルの人権が・・・」などの話になると、一気に画面が消えてしまうそうです。競技だけを放送している分には問題ないようですが、少しでも政治っぽい話になると、カットされるそうです。24時間、外国のテレビ放送を監視しているってことなんでしょう。昨日の開会式、私も半分くらい見ました。出場順番が中国語国名表記の最初の字の画数順だと聞いて、こりゃあモンゴルは相当後ろだなと思いました。お決まりのギリシャの次、実質的な最初の入場はトルコでした。トルコは「土耳古」なので、最初の土は3画で、これが最初ということです。日本の日は10番目ですが、蒙古の蒙は13画?だから、かなり後ろでした。前日の本ブログで読者の七詩さんからご質問があったので、蒙古という漢字について補足をします。ご質問は「北京五輪の開会式を見ました。各国の表記では、法国、徳国、美国と良い文字をあてている国が多い中、蒙古という表記には違和感を感じます。蒙の意味は漢字文化圏ではほぼ悪い意味ですよね。モンゴルの方はこうした表記に抗議とかしていないのでしょうか。」というものでした。コメントまでご覧になってない方のほうが多いと思いますので、少し長いですが私の返信を再掲させていただきます。なぜなら、これは世界の問題ではなく日本固有の問題だからです。モンゴルに関心のある日本人にはぜひ再認識していただきたいと思います。「七詩さん、正しいご指摘ありがとうございます。フランス、ドイツ、アメリカなどの漢字表記は近代になってからのものです。が、中国の隣接国は中世以前から名前があるので、それをそのまま使っています。蒙古は恐らく800年前くらいからでしょう。これはモンゴルという音の当て字です。中国は中国だけが偉いという中華思想の国ですから、隣接国を漢字にするときにできるだけ「蔑んだ」「馬鹿にした」文字を意図的に当てます。蒙古の蒙はおっしゃる通り、非常によろしくない意味です。それは偶然ではなく、意図的です。しかしながら、実はこの蒙古という字を使うのは世界で中国と日本しかないのです。韓国は全てハングル表記ですから。あえていえば、台湾もですけど。そういうことで、聞く耳を持たない中国を別にすれば、世界中で「蒙古」が問題になる国は日本だけなのです。戦時中は「満蒙」に代表されるように当たり前のように蒙古を使ってきましたが、戦後は蒙古を止めモンゴルに変えようという動いています。1972年の日本とモンゴルの国交樹立以来、日本政府は公式文書では蒙古は一切使いません。私もこのブログにおいては、基本的にはモンゴルしか使いません。モンゴル政府やモンゴル人は、漢字に関心もないでしょうし、相手があの中国ですから、ほとんど気にしていないと思います。」以上です。開会式の模様を続けます。その時のアナウンサーによれば、モンゴル選手団はノルディックスキー距離の2人だけと言っていました。「あれ?バイアスロンは?確か4-5人出るのでは?」と聞いていましたが。。。多くの日本の代表は「日本で選ばれれば、それが代表になる」という恵まれた環境ですが、そういう枠を与えられていない国は、開幕直前の1月の国際大会などで勝たないとオリンピックには出られないのです。モンゴルの数人の選手は「かなり期待できる!」ようでしたが、惜しくも最終的には出場できなかったそうです。うーむ、この辺なんとかならないんでしょうか?特に冬のスポーツは、多くの夏の競技と違い、「世界のだれもが参加できる」という環境にはありません。そもそも雪や氷があるのか?で、大半の東南アジア、南アジア、中東、南アメリカの国々には不利です。更にモンゴルのように寒い国でも、競技施設が必要です。ゲレンデ(ウランバートルのスキー場ではない、競技用の)、スケートリンク(競技用のリンク)、ジャンプ台など、大きな設備が必要ですから、ハンディが大きいのです。「競技レベルが低い国は出なくて結構」ではなく、各国の冬季スポーツを推進するための枠を設けないと、いつまでたっても「いわゆる先進国だけの大会」になってしまうような気がします。開会式でモンゴル選手が入場してきたときに、観客席がアップになりましたが、恐らくオユーンエルデネ首相の姿ではないかと思います。その隣に手を挙げて喜んでいるモンゴル人は誰なんでしょうか?側近かな?本ブログで「オユーンエルデネ首相が習主席と会う」ようなことを書きましたが、残ながら実現しませんでした。オユーンエルデネ首相が会ったのは李克強首相でした。2月5日に会ったとのことです。まあ、オリンピック期間中ですから難しい話はしないでしょうけど。
2022.02.06
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ブログを読んでくださっている皆様、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。正月早々、変わった名前の番組タイトルを見つけました。「世界史ドリームマッチ 最強キング決定戦 頂点を極める“王”は誰だ!」というNHKの番組です。最初はタイトル通り「世界の歴史」番組かと思いました。が、最強キングとあります。これは世界史上、最強の王様を決めるのか?だったら、当然チンギスハーンは出てくるだろう、と歴史の勉強でもするつもりで見てみました。ですが単なる歴史番組ではなく、対抗戦で歴代最強の王を選ぶという企画です。歴代最強となると、実際に戦わせないとわからないわけですが、それを承知で時代が違う人たちを戦わせるというのです。AIでCGを使って合戦の様子をビデオにするのか?などと頓珍漢なことを考えていました。実際の企画は、世界史上最強とみられる王6人が選ばれ、ゲスト5人で選んでいくというものです。ゲストは、女優の田中麗奈、作家の高橋源一郎、漫画家のヤマザキマリ、タレントのカズレーサー、東大名誉教授の木村凌二の5人です。各王を紹介し、意見を言い合った後で、5人による投票で勝者を決めるというものです。最初の対戦は、マケドニアの「アレクサンドロス大王」対「秦の始皇帝」です。アレクサンドロス大王は戦場で自ら前線に飛び出していく姿で、兵隊らからのリーダーシップを得たとあります。これに対して、秦の始皇帝は大きな組織を優れた統率力で、中国統一を成し遂げたとありました。で、結果はアレクサンドロス大王の勝ち。私は秦の始皇帝の勝ち、だと思っていましたが、結果は違いました。こういう判断は、判断する人のバックグラウンドなどにもよるかなと思いました。例えば、ヤマザキマリさんは有名な古代ローマなどの研究者でもありますから、当然西洋的視点が強いでしょう。そうなれば、ヨーロッパであるギリシャ・マケドニアからオリエントであるアラブやペルシャを打ち破った若き王への支持は当然高いものになるでしょう。私はこの結果を受け、モンゴルにチャンスありと思いました。NHKの番組ですから、バランスを大事にするでしょう。アジア出身が1回戦で全滅ではちょっとバランスに欠けますから。で、2回戦にいよいよモンゴル帝国登場です。が、当然だと思っていたチンギスハーンではなく、5代目の「フビライ・ハーン」でした。結果として、この人選がプラスになったような気がします。相手は「ラメセス2世」です。え?誰?と最初は思いましたが、あのエジプトのピラミッドなどを作った最強のエジプト王だと聞いて、これはヤバいなと思いました。しかも比較のキーワードが統治力です。あんなすごいピラミッド作ったくらいですから、当然そっちが勝ちそうです。ですが、この統治力というキーワードがフビライにはプラスになりました。モンゴル帝国の統治スタイルは、実力主義です。人種、民族、宗教、家柄などに関係なく、有能な人間を幹部に抜擢したのです。これはフビライ時代の有名な絵ですが、ここに登場している人物は、ペルシャ人などいろんな人々が描かれていますが、特に注目すべきは右上の黒人です。この時代にすでに、肌の色に関係なく、いろんな人たちを登用していたことがわかります。この「多様性」という今の時代に会ったキーワードが出演者にえらく刺さったようです。その結果はなんと5人全員がフビライ・ハーンを選びました。やはり、人種・宗教を超えた多様性の尊重が出演者には効いたようです。で、第3組目は「ユリウス・カエサル(いわゆるシーザーですね)」対「ナポレオン・ボナパルト」です。え?ナポレオン??他の王たちは数百年以上前のどちらかと言えば伝説的な王であるのに対して、ナポレオンは18世紀から19世紀ですので、かなり近世という感じがします。この対決のテーマは、言葉によるリーダーシップでした。で、勝ったのはナポレオン・ボナパルト。うーん、ちょっと反則っぽいけど、まあいいでしょう。そして決勝は、「アレクサンドロス大王」、「フビライ・ハーン」、「ナポレオン・ボナパルト」の3人です。そしてテーマが「現在に遺す(のこす)もの」です。遺すとなると、建物などのハード系が有利です。エジプトの王なら一番になりそうですが、幸い決勝にはいません。アレクサンドロス大王には多くの戦記や伝説が残っています。ナポレオンはナポレオン法典で、現在の普遍的価値とされる自由・平等を明文化したのですから、そりゃあ、現在に残る価値としては否定しようがありません。やっぱり一番近代に近い人が有利だと思いました。対する我らがフビライ・ハーンが現在に遺すものとは?なんと遺伝子だそうです。なんと4000万人!確かにすごいけど、それは別の見方をすればたくさんの女性と・・・ってことですから、NHK的にどうなんでしょうか?たくさんの遺伝子を遺したことに関してはチンギス・ハーンが有名ですが、DNA検査をしてみたらフビライもすごいってことです。でも、世界一たくさんの女性と・・・ってので、この決勝で勝てるとは思えませんね。残念ですが、ほぼ敗戦決定を覚悟しましょう。まあ、お遊びですから。そして最終結果が発表されました。ぬぁーんと、3対1対1で、フビライ・ハーンの勝ちです!西洋派だったヤマザキさんまでフビライ支持でした。やはり最大の理由は、多様性です。確かにこのキーワードは現代のどの国の人にとっても響きます。中国の漢人中心主義。モンゴル人、チベット人、ウィグル人らの独自文化や宗教の否定を考えれば、是非ともフビライに学んでほしいです。一方のアメリカだって、白人中心主義、黒人やアジア人への差別はなくなるどころかどんどんひどくなっています。我ら日本だって、学ばないといけません。外国人への閉鎖性、低い受容性により、労働者問題、難民問題ではフビライの時代には大きく負けていると言えるでしょう。全く期待してなかっただけに、この日の勝利は嬉しいものでした。
2022.01.01
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NHL(北米プロアイスホッケーリーグ)は、北京オリンピックに選手を派遣しないと発表しました。理由は政治的なボイコットではなく、オミクロン株の拡大に新型よるコロナ感染の再拡大が続いていることです。単に「北京は嫌だ」というのではなく、実際にレギュラーシーズンの試合、50試合が既に中止になっていることが背景にあります。私はこの報道を見たとき、「NHLはプロチームだから、オリンピックに出ようが出まいがきっとあんまり関係ないんだろうな」と思いました。野球でいえば、オリンピックにはメジャーは出ませんでしたから。ですが、どうもそんな単純な話ではないようなのです。まず、NHLはアメリカの4大スポーツ(MLB、NBA、NFL(アメフト)、NHL(ナショナルホッケーリーグ)の一つで、北米では絶大な人気を誇っています。特にカナダでは人気ナンバーワンのスポーツなのです。他の3大スポーツとの最大の違いは、選手の出身国です。過去の歴史を見ると、カナダが全体の半分近くを占め、アメリカはそのカナダの2割程度なのです。そしてそれに続くのが北半球の北方の国々となります。スウェーデン、ロシア、チェコ、フィンランド、スロバキアなどが続きます。つまりこれらの国々のスーパースターの多くがNHLに参加しているのです。今回の発表は「アメリカチームの派遣を止める」ではなくあくまでNHLが派遣しないということです。するとどうなるか?ロシア代表やスウェーデン代表などから、トップクラスの選手(当然、NHLに所属している場合が多い)が出られないということになります。ある意味、オリンピックのホッケーの試合は、NHL所属の選手たちがそれぞれ自分の国の代表になって戦う、というものなんだそうです。それが花形選手が全部出られなくなっての、オリンピックになるということです。で、モンゴルです。モンゴルでも当然北京オリンピックの放送はやります。金額はもちろん、大変大きな金額です。でも、スポンサーは大きなお金を払ってでも、オリンピックのスポンサーをしたいというのはどこの国でも同じです。モンゴルでの冬季オリンピックの人気スポーツは、ホッケー、フィギュアスケートそしてバイアスロンです。モンゴル選手が数名出場すると見込まれているスキーノルディック距離はそうでもないようです。そしてこの3つの中でも、ホッケーがダントツの人気だとのことです。NHL選手はもちろん、やはり人気が高いのはロシア選手、ロシアチームだそうです。世界一位をめぐり、カナダ、ロシア、アメリカにスウェーデンのチームが競うホッケーはモンゴル人に向けた冬の最強のコンテンツと言えます。なのに、NHL選手の抜けたロシアとNHL選手のいないカナダとの試合、想像するだけで盛り上がらなくなるというわけです。なので、NHLの北京撤退のニュースが流れると、スポンサーから「NHLが来ないならもう降りる」とか「NHL選手ゼロでは、約束したスポンサー料は払えない。安くしてほしい。」などとの声が、すでに上がっているそうです。当然ですが、期待された出場選手が出るか出ないかによって、テレビ放映権の契約内容が変動するわけはないのですが、スポンサーからはそういう声が出ているようです。モンゴルでも室内スケートリンクなどが充実してきているので、冬のオリンピックにでも活躍する選手が増えてくるといいです。そうなれば、自国選手の応援が第一になり、NHLの不出場程度で冬季オリンピックの価値が左右されることはないでしょう。
2021.12.23
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先日「チコちゃんに叱られる」を見ていたら、NHKらしくない半端な問題&解答がありました。問題の正確性を期すために、NHKのHPを見ました。それによると「応援団のフレーフレーの意味は?語源は英語のHooray?」とあり、アメリカから伝わったとありました。しかも、アメリカでは「万歳」のような感じで使われると、まるでアメリカや英語が語源のように出ていました。この番組で伝えたかったのは、「1905年に早稲田大学野球部がアメリカ遠征に行って、アメリカ式の応援方法を輸入した」と言いたいようです。ですが、この問題は「フレーフレーの意味」及び「その語源」です。語源とまであるのに、本当の語源を伝えないのはNHKらしからぬ手抜きというか「本当のことを知らない上で、早稲田という答えが先にあり、いい加減な語源」を示してしまったのです。もう9年も前になりますが、本ブログで本当の語源を解説したので、それを以下再掲します。(一部、再構成)この「フレーフレー」って何語だと思いますか?ちなみに広辞苑によれば、hurrayという英語だそうです。万歳(バンザイ)などを意味するんだそうです。日本に直接入って来たのは英語のhurrayですが、その語源はドイツ語のhurraだそうです。そのドイツ語の語源を調べると、なんとロシア語のura(ロシア語でypa)になるんだそうです。ロシア語?ああ、モンゴルは社会主義時代ロシアの影響下にあったからそのせいかな?と思ったら、もちろんそんな「最近の語源」であるはずはありません。モンゴル帝国がロシアを支配していた13~14世紀にモンゴル語のhuraa(発音はほとんど日本語と同じフレー)がロシアに入って、ロシア語化したというわけです。元々のモンゴル語では軍隊の雄叫びなんだそうです。モンゴルでは兵隊が「フラー!」と声を上げ、ロシアではそれが「ウラー!」と叫ぶそうです。日本の「エイエイオー!」と同じ使われ方のようです。ブラジルなどでサッカーを応援するときの「オレーオレオレオレー」もどうやら同じ語源のようです。それにしても、歴史ってすごいです。モンゴル→ロシア→ドイツ→イギリス→アメリカ経由で日本にやって来たということです。地球を西に向かって一周して、同じアジアの東にある日本に数世紀かけて伝播したというわけです。日本に直接入って来たのは英語のhurrayですが、その語源はドイツ語のhurraだそうです。そのドイツ語の語源を調べると、なんとロシア語のura(ロシア語でypa)になるんだそうです。以上、再掲載です。こんなに長い数百年に渡る世界的な歴史を持ち、かつ世界的に広まっている「フレーフレー」を取り上げながら、NHKは「早稲田大学がアメリカから持ってきた」「大元はアメリカの万歳」などと矮小化して放送しています。いくらなんでもモンゴルに対する敬意が足りないのではないでしょうか?
2021.11.28
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私はモンゴルのハーンバンクに口座を持っています。その口座は日本からでも自由に送金などの手続きができますので、時々支払いなどに使っています。送金すると、「Шилжүүлгийн баримт/Transaction receipt」と題したメールが送られてきて、私が行った送金の明細が添付されてきます。なので、モンゴルの銀行からそうしたメールが届くのには慣れています。ですが、この度送られてきたのはGolomt銀行からでした。以前はGolomtにも口座を持っていましたが、Golomtがネットバンキングに対応できないというので、かなり前に解約しました。なので、Golomtにはそもそも私のメールアドレスすら届けたことはありません。つまり、このメールは「私と関係のあるGolomt銀行」からのメールではなく、全く関係のないところからのメールだと推測されます。私のスマホに届いたメールはこんな感じです。ハーンバンクから送られてくる取引確認メールには必ずこういうお知らせがついてきます。IMPORTANT NOTICE: The information transmitted, including anycontent in this e-mail is proprietary of Khan Bank LLC, Mongolia and isintended for use by the individual or entity to which it is addressed. Thise-mail may contain information that is privileged, confidential or exempt fromdisclosure under applicable law. If you are not the intended recipient or itappears that this mail has been forwarded to you without proper authority,please be notified that any use or dissemination of this information in anymanner is strictly prohibited. If you have received this communication inerror, please notify Khan Bank by email at help@khanbank.comor notify the sender immediately by replying to this message and deleting theoriginal message from your records. АНХААРУУЛГА: Энэхүү цахим шуудан, түүний агуулга нь“ХААН Банк ХХК”-ийн өмч бөгөөд зөвхөн зориулж илгээсэн этгээд болон албанбайгууллага ашиглах эрхтэй болно. Энэхүү цахим шуудан нь тусгай эрх бүхийэтгээдэд зориулагдсан тул бусдад дамжуулсан тохиолдолд байгууллагын нууцзадруулсан гэж үзэн хуулийн хариуцлага хүлээлгэх үндэслэл болохыг анхаарна уу.Хэрвээ та энэхүү цахим шуудангийн зорилтот хүлээн авагч бус бөгөөд энэхүүзахидлыг зохих зөвшөөрөл авалгүйгээр танд илгээсэн болох нь илэрхий харагдажбуй тохиолдолд агуулагдаж буй мэдээллийг ямар нэг байдлаар бусдад түгээхийгхатуу хориглоно. Хэрэв энэхүү цахим шууданг эндүүрэл гарсны улмаас хүлээн авсанбол ХААН Банкны help@khanbank.com хаягаармэдэгдэх эсвэл илгээсэн этгээд рүү нэн даруй хариу илгээн мэдэгдэж, энэхүүцахим шууданг өөрийн системээс даруй устгана уу. が、このGolomtからのメールには何もありません。となると、やはりこのメールはやはりSpamメールと考えてよさそうです。但し、意外にも電話番号は正しいGolomtのものです。このメールは私のパソコンとスマホに同時に届きました。インチキなのをを承知で、パソコンで添付ファイル(添付のScan CopyというのとIMG2021)を開けようとすると、「このファイルは危険です」の表示が出てきます。さすがにPCがウィルスに汚染されても困るので、パソコンで開けるのはあきらめました。スマホの方はどうなんだろう?iPhoneだから、本当に危険なら同じような表示が出るんだろうと思いながら、恐る恐るクリックしました。すると、何の警告もなしにサイトが出てきました。しかもそのサイトは見覚えがある馴染みのサイトです。なんと日経新聞のWeb版のページです。確かに私は日経新聞と契約して、日経のWeb版はいつも見ています。その2か月前のページが出ていました。もう一つのファイルも、日にちは違いますがやはり日経新聞Web版です。なんだか拍子抜けです。発信元はGolomt Bankと表示されていますが、そのメールアドレスはGolomt Bank <golomtbank@karakan-trade.ru>です。ロシア発ですね。日本へ来る多くのspamは中国が多いと聞いたことがありますが、これはロシアです。多分、私のメールアドレスは「馬鹿な日本人を狙う」というより「モンゴル内でやり取りしているメール」を誰かから取り出して、送り付けたのでしょう。それにしても、こわごわと開けた添付ファイルの内容が日経新聞のWeb版ということは、その添付ファイルそのものには意味はなさそうです。ファイルを開けたメールアドレスに今後もっとひどいspamを仕掛けるということでしょうか?幸い、PCに来たファイルは開けてないので、PCがウィルスにかかることはないでしょう。iPhoneを汚染するのでしょうか?一応、iPhoneは、ウィルスには強いと勝手に信頼していますが、どうなんでしょう。いずれにしても、このspamの目的が今ひとつわかりません。また、ロシアのハッカー(?)はモンゴルも対象にしているんですね。もっと大きな市場を狙えばいいのに。
2021.09.16
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モンゴルは7月30日現在で、オリンピックのメダル数は銀1、銅2の合計3個です。しかもこれはすべて柔道です。柔道だけのメダル数でいうと、日本がダントツの合計11個、次はフランスの7個、次はジョージアの4個です。モンゴルはというと、韓国、ロシアとともに3個で第4位なのです。人口&スポーツ大国に並んで、人口わずか320万人のモンゴルのメダル獲得は素晴らしいです。ちなみに、テレビで何度も日本人選手を苦しめたジョージアは人口372万人ですから、モンゴルとジョージアは未来の柔道大国になるかもしれません。人口比でいえば、この両国はすでに日本やフランスを追い越しています。そのモンゴル勢の中で異色のメダリストがいるので、ご紹介します。名前はサイード・モエライという人で、もともとはイラン人です。どういう経緯でモンゴルに帰化したかの詳細は分かりませんが、大体のことはネット情報と現地モンゴルからの情報などでわかりました。サイード・モエライは29歳の81kg級イラン人柔道家で、その柔道経歴は素晴らしく世界選手権で日本人選手を破って優勝したり、数々の大会で上位入賞を果たすなど活躍していました。2018年には世界ランク第一位になりましたから、柔道の世界では相当な有名人なんでしょう。その彼はイラン柔道連盟からの指導に苦しんでいたとあります。どういうことか?イランとイスラエルはいつも仲が悪く喧嘩寸前であることは、あまり中東に詳しくない人もご存知だと思います。トランプ大統領が突然核合意を破棄したり、イスラエルの肩を極端に持つようになって一層いろんな問題が出ています。ですが、これらは政治の問題のはずです。ところがイラン柔道連盟は、「ユダヤ人が出る大会には出るな」とか「ユダヤ人と対戦することそのものを禁止する」など、宗教的・政治的理由によりサイード・モエライに対し、かなりの圧力をかけていたようなのです。更には、このままトーナメントで勝ち進むとイスラエルの選手と対戦することになるから、「その前にわざと負けろ」との指示まで出ていたそうです。柔道一筋で柔道にかけてきたアスリートに対して「わざと負けろ」は尋常な圧力ではありません。日本でいえば、協会トップが「八百長しろ!」と言っているのと同じことですから。更には大会を棄権しろの圧力もあったようです。彼は2019年滞在していたドイツで難民申請をし、大阪の大会では難民として出場した等の報道があります。そしてなぜか突然、2019年12月にモンゴル国籍に変更して、それ以降はモンゴル代表として出場しているとあります。まあ、経緯はそうかもしれませんが、「なんで突然モンゴル?」「帰化申請ってそんなにすぐにできるのか?」などいろいろ疑問は出ます。ネットのサイード・モエライに関する日本語情報はたくさんありますが、モンゴル国籍に関しては「2019年にモンゴル国籍を取得した」としかありません。2019年にドイツで難民申請していたイラン人がどうしてわずかその数か月後にモンゴル国籍を取得できたのでしょうか?そのカギは、バトトルガ前モンゴル大統領です。バトトルガは以前にもモンゴル柔道連盟議長を務めるなど、モンゴルの柔道界の顔でした。大統領になってからも柔道を通じた外交などもやっていました。おそらくそのバトトルガの「鶴の一声」でサイード・モエライのモンゴル帰化がものすごいスピードで決められたんだと思います。バトトルガからすれば、優秀な世界的柔道家が苦しんでいる、このまま難民のままでは将来は不安定になる。ならばここで手を貸してモンゴル人になってもらえばいい、と考えたのではないかと思います。日本では絶対にできない「トップダウン」「スピード感」で手続きを進めたのでしょう。私はイランとモンゴルの関係についてはわかりませんが、今回の帰化受け入れは良かったと思います。当のサイード・モエライも「モンゴルでの生活に満足している」と言っているようです。今回銀メダルも取ったし、おそらくランクルかレクサスに乗って、ザイサンあたりの立派なマンションに住んでいるのではないでしょうか?今回、柔道に関するモンゴル側の話を聞いたときに、「モンゴルで一番人気のある日本の柔道家は?」というのも聞きました。それは大野将平だそうです。なんでも、大野将平は結構モンゴルに行っているらしく、モンゴルではそこそこ有名らしいです。今後も日本とモンゴルの柔道交流が深まり、モンゴルからたくさんのメダリストが出てくることを期待します。
2021.07.30
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記事は更に続き、モンゴルの具体例まで取材しています。「Sinopharmの2回目の投与を受けてから1か月後、Otgonjargal Baatarは病気になり、COVID-19の検査で陽性になりました。31歳の鉱山労働者は、モンゴルの首都ウランバートルの病院で9日間過ごしました。Otgonjargalは、ワクチン接種の有用性に疑問を投げかけていると語った。」「人々は、私たちがワクチン接種を受ければ、夏にはCOVIDがなくなると確信していました」と彼は言いました。「今ではそれは真実ではないことが判明しました。」と述べています。モンゴルについては「モンゴルは受益者であり、何百万ものシノファームワクチン接種を獲得するチャンスに飛びつきました。小国はすぐに接種プログラムを展開し、制限を緩和しました。現在、人口の52%に予防接種を行っています。しかし、日曜日には、2,400件の新たな感染が記録されました。これは前月の4倍に相当します。」と書いてます。しかしながら、モンゴル政府はそれを認めようとはしません。「モンゴル保健省の緊急事態科学諮問グループの主任研究員であるBatbayar Ochirbatは、モンゴルは中国製のワクチンを採用するという正しい決定を下した、と述べた。保健省によると、モンゴルのデータは、シノファームワクチンが実際にはアストラゼネカとロシアのワクチンであるスプートニクによって開発されたワクチンよりも効果的であることを示しました。」とかなり中国ワクチンを弁護しています。「モンゴルが急増した理由は、モンゴルの規制緩和再開が早すぎたためであり、多くの人々は、たった1回の投与で保護されたと信じていた。「モンゴル人はあまりにも早く祝ったと言えるでしょう」と彼は言った。「私のアドバイスは、完全な予防接種の後にお祝いを始めるべきだということです。それで、これは学んだ教訓です。自信が強すぎた。とこれまた悪いのは中国ワクチンではなく、モンゴル人自身だと言ってます。こういう発言をせざるを得ない理由は二つあるでしょう。一つは、モンゴル政府が間違ったワクチンを選択してしまったという責任問題。もう一つは、(恐らく無料か無料に近い安値で提供してくれた)中国共産とを怒らせてはまずい、と政府が考えているからでしょう。今のモンゴル政府は昔と違って、皆中国共産党が怖いのです。ニューヨークタイムスは中国ワクチン製造者にコメントを求めました。「Sinopharmの代表者は、コメントを求められたときに電話を切りました。Sinovacはコメントの要求に応答しませんでした。」中国としては当然の対応でしょう。ウイルスをまき散らした時の状況も秘密だし、ワクチンの臨床がインチキだったことももちろん秘密でしょうから。とはいえ、モンゴル政府を非難するつもりはありません。確かにアメリカのファイザーなどは簡単にはモンゴルに行き渡らなかったことは事実ですから、モンゴル政府としても辛い選択であったのではないかと推測します。しかしながら、モンゴルに関してニューヨークタイムスがこれだけ取り上げるというものあまり多くはないことでしょう。やはり「高接種率X高感染者率」によるのだと思います。ナーダム、大丈夫なんでしょうか?あと2週間くらいです。今年も中止かな?(完)
2021.06.24
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その記事はいきなり 「モンゴルは人々に「COVIDのない夏」を約束しました。バーレーンは「通常の生活に戻る」と述べた。セイシェルの小さな島国は、その経済を活性化させることを目的としていました。」 から始まります。 それら3か国は、簡単に入手できる中国製のワクチンに信頼を置いており、世界的に見てもワクチン接種率は高いというのは、本ブログで申し上げた通りです。記事では 「しかし、コロナウイルスからの解放の代わりに、3カ国すべてが現在感染の急増と戦っています。」 と、この3か国が中国ワクチンで困っている典型的な例として挙げられてるのです。 中国は昨年、COVID-19の重症例を予防するのに安全で効果的なワクチンを提供することで、ワクチン外交キャンペーンを開始しました。が、 「現在、いくつかの国の例は、中国のワクチンがウイルス、特に新しい亜種の拡散を防ぐのにあまり効果的ではないかもしれないことを示唆しています。」 とあります。更に 「データ追跡プロジェクトであるOurWorld In Dataによると、セイシェル、チリ、バーレーン、モンゴルでは、人口の50%から68%が完全に接種されており、米国を上回っています。ニューヨークタイムズのデータによると、4つすべてが先週と同じくらい最近COVIDの発生が最悪だった上位10か国にランクインしました。そして、4つすべてが主に2つの中国のワクチンメーカーであるSinopharmとSinovacBiotechによって作成されたショットを使用しています。」 とかなり明確に中国ワクチンと感染拡大の関連性を述べてます。香港大学のウイルス専門家であるジン・ドンヤン氏は、 「ワクチンが十分に優れていれば、このパターンは見られないはずです」 と述べています。 「中国人はこれを改善する責任があります。」 などと言ってますが、言論の自由がない香港でこんな発言していいんですかね?なんだかそのうち「消えたウィルス専門教授」なんてニュースが出そうです。 記事はファイザーとの比較を書いています。 「イスラエルはファイザーからの予防接種を提供し、セイシェルに次ぐ世界で2番目に高い予防接種率を持っています。イスラエルで毎日確認された新しいCOVID-19症例の数は、現在、100万人あたり約4.95人です。主にシノファームに依存していたセイシェルでは、その数は100万人あたり716件を超えています。」 とあります。 6月17日のモンゴルのデータでは1日あたり2642人とありますから、単純に320万人で割ると・・・なんと最悪と言われるセイシェルを超える100万人当たり825人です!これは確かにヤバいです。(続く)
2021.06.23
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日本の外務省が、インドにいる邦人に対して「一時帰国を含めて検討するように」と要請したとの報道がありました。5月1日の感染者数が40万人を超え、更に1日のコロナによる死者数が3000人を超えたとの報道を見ると、まさにこれは戦争だなと思いました。いくら人口が日本の10倍以上あるとはいえ、半端ない数字です。累積死者数は日本は1万人を超えたところですが、インドは既に20万人です。世界最大はアメリカが57万人、次がブラジルの40万人ですから、これらはかなり大きな戦争による死者数のレベルです。ちなみに、アメリカの第1次、第2次世界大戦の戦死者数の合計に朝鮮戦争での死者数を加えても55万人くらいとのことですから、この大きな3つの戦争の合計よりもまだ1年半しかたっていないコロナによる死者数が多いというのは、本当に大惨事と言える状況です。で、現在のインドです。インドの感染者数は4月中旬までは人口比では東京よりも低いくらいの水準で推移していたようですが、ここ2週間ほどで爆発的に増えたようです。インドにいる同郷の友人に大丈夫かと連絡するとやはり大変な様子でした。4月中旬までは「東京よりはまし」という水準で過ごしていたようですが、2週間で急増し「恐怖を感じる」状況に陥ったようです。ワクチンは日本よりは進んでいるようですが、彼は3月に1回目のワクチンを接種したけど、4月になって急激なワクチン不足になって2回目の摂取はキャンセルされたそうです。現地の社内にも当然感染者が出てしまい、その中には日本人もいたとのことです。会社としては4月下旬に既に帰国の意思決定はしていたそうです。実は昨年もコロナ発生時には一時帰国していたので、今回が2度目の緊急帰国ということになります。しかし簡単には実現しません。その一番のネックが「日本の外務省指定書式による陰性証明の発行」というのですから、日本の外務省はこの期に及んで「この書類の形式が違う」とか言って、認めなかったということです。死ぬか生きるかの緊急性よりも、外務省の役人にとっては「書類形式がちゃんと整えられているか」が重要だということです。一体、誰のお陰で給料もらっているのかわかっているのでしょうかね?インドからはどうやって日本に来るのだろうか?直行便はあるのか?恐らくあすとすれば、シンガポール便や中東便などを使ってくるのだろうか?と疑問を聞いてみると、なんと既にアメリカもヨーロッパもシンガポールを含む東南アジアも中東も全部インドからの飛行機乗り入れを禁止しているんだそうです。これでは完全にインドは孤立してしまったということです。日本とインドは協定があり、週に数便はまだ飛んでいるとのことです。が、ギリギリまでコロナの検査をするため、希望者全員が本当に日本に帰国できるかはわからないようです。仮に陽性が出たら、そのままインドに留め置かれることになるのでしょう。モンゴルも昨年はかなり感染者数は少なかったのですが、最近は普通に1日1000人を超えています。日本との人口比で計算すれば1日4万人程度ということになり、かなり高水準です。累積で見てもモンゴルの感染者数は現在4万人弱で、日本の60万人強に比べると人口比を勘案すれば、日本の倍くらいの感染状況となっています。ですがワクチン接種は日本よりもずっと進んでおり、ウランバートル市内でも田舎の県や村でも既に2回摂取した人は結構いるとのことです。日本では一般人は未だゼロであることを考えると、日本よりはましのようです。インドは病院での酸素不足により、スズキやトヨタの自動車工場が止まるという事態に陥っており、本当にこのまま「生き地獄」のような状態が続くのか心配です。干ばつなどによる飢饉が続いてた時に、お釈迦様が登場した時のような救世主は現れるのでしょうか?
2021.05.02
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これは韓国の新聞サイトで掲載された記事ですが、投資額2兆円とけた違いの大きさの投資となります。モンゴルにどのくらいのインパクトがあるのか?そもそもモンゴルのGDPは1.5兆円くらいなので、それよりも大きな金額となります。火力発電所の建設コストとはどのくらいかかるものなのでしょうか?ネットで調べてみると、当然ながら立地や規模で大きく異なるわけですが、KW辺り20万円台というのが一般的なようです。ネット上にあった23万円/KWを使って試算してみます。このプロジェクトの発電量は書かれていませんが、文脈から660万キロワットと読めます。ですので、23万円x660万=1.5兆円!!環境対策コストなどを加算すれば、2兆円という数字自体はなるほど、という数字に見えます。三菱商事等が手掛けていたベトナムのブンアン2石炭火力発電所建設の総事業費は約2400億円とあります。但しこれは、1200メガワット=120万キロワットですので、今回のモンゴルでのプロジェクトはこれの5.5倍になります。単純に建設費を5.5倍すると、1.3兆円と、最初の資産の1.5兆円に近づきます。しかしながら、大規模プロジェクトとして有名で、環境問題などから三菱商事など日本勢も手を引かざるを得なかったブンアン2の5倍以上の規模のプロジェクトは本当にできるんでしょうか?更に、この手を引いた三菱商事の後釜に入ったのが韓国電力公社だというのを見て、韓国の環境意識の低さに驚きます。このモンゴルのGDPを上回るような大規模プロジェクトは、本当に実現するのか?私は極めて懐疑的です。実は似たような話(モンゴルで大規模発電所を作り、中国などに売電する)は、過去20年でいくつもあり、「全て消えてしまった」と商社関連の方はおっしゃっています。もちろん、代々のネックは資金調達です。どの辺に問題がありそうなのか、少し見てみましょう。この記事によると、「あまり知られていない韓国の中小開発企業がモンゴルで総事業費22兆ウォン(約2兆1412億円)規模の石炭火力発電所建設と事業プロジェクトを受注した」とあります。そしてこの企業を含めた韓国企業連合はプロジェクト全体の10%の資金を用意できるとし、残りの90%はプロジェクトファイナンスで調達するとあります。もし日本企業が率先してやるような場合は、政府のODAがついたり、日本の政府系銀行がついたりして、その主導国が率先してファイナンス体制を作り、そこから国際的な協調融資団を作るというのが基本です。今回のモンゴルの例で言えば、韓国ということになります。ですが記事によれば韓国政府は「「2050年炭素中立」を宣言してから海外の石炭発電所に対する公的金融支援を事実上中断している。」とあります。さすがの韓国も、もう政府としての支援・融資はできないということになります。韓国の「中小企業」が主導する超大規模プロジェクトで、政府支援はなし、しかも「カーボンニュートラル」に反するようなプロジェクトに融資をするような銀行はまずいないでしょう。そうなると、頼れるのは「あの国」しかありません。要するに中国です。中国のメリットは何か?中国の悩みは、もっと電力を増やしたいが、「環境、環境」ばかりでなかなか思うように増やせない、ことです。一応、環境面では国際的なリーダーになりたい願望があるわけですから。その場合、モンゴルの火力発電所はうってつけの存在です。要するに、二酸化炭素の排出はモンゴル国でやってもらって、中国は電気を買うだけにする。言ってみれば「脱炭素のモンゴルへの押し付け」です。こうなると、主導者は韓国の企業とは言え、実質的には「中国のお金で」モンゴルで二酸化炭素を排出し、その電力のほとんどを「中国に買っていただく」という、ほとんど「中国人の中国人による中国人のための発電所」ということになります。恐らく中国が融資する場合は、モンゴル政府の保証か、「返済できない場合は、発電所をもらう」くらいの条件が付くでしょう。顧客のほとんどが中国ですから、中国はいくらでもさじ加減できます。中国が難癖付けて輸入停止しただけで、このプロジェクトは崩壊し、最終的には発電所そのものが中国のものになってしまうでしょう。当然、こんな巨大な融資の焦げ付きを助けられる国は存在しません。韓国政府も「だからダメだと言ったんだ!」と助けはしないでしょう。モンゴルの政治家は本当にこういうリスクを知っているのでしょうか?答えはどちらかです。「まさか、中国はそんなに悪い国じゃないよ。隣国を大切にすると言ってるよ。」というノー天気な政治家が決めた。或いは「そんなのわかっているよ。でも、そのリスクが顕在化するのは10年後でしょ?その時は私はアメリカで悠々自適に生活してるよ。そのためには、これを認可して賄賂をたんまりもらわないといけないんだ。」という政治家がいるから。私は後者だと思っています。と書き終わったところで、国連のグテレス事務総長の日経新聞への寄稿が発表されました。その趣旨は以下の通り。「2040年までの石炭火力発電の全廃」「直ちに求められているのは、あらゆる国、都市、企業、金融機関が足並みをそろえて実質ゼロに向けた具体的な計画に参加することだ。」そして最後の一言が一番シンプル。「石炭火力発電所の新設を正当化できる場所はどこにもない。」つまり、この話はすぐに消え去ってしまうような話でしょう。期待していたモンゴルの政治家さんたち、残念でした!
2021.04.19
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一週間ほど前の本ブログ「モンゴルの航空便再開は?」で、私がチャーター便の値段が不当に高いことを書いたことが理由ではもちろんないでしょうが、その私の指摘に答えるべくモンゴル政府はチャーター便のチケットを一律15%値下げしたとのことです。これにより、東京―ウランバートル間は51,050円になったとのことです。私はこの価格を見て「ああ、実際にはそんなに高くなかったんだ。平常時と同じじゃないか?」と思ってしまいました。が、良く考えるとこれは片道切符です。往復だと102,100円で、値下げ前は恐らく12万円程度だったと思われます。昨年の平常時のエコノミーチケットが往復52,000円(サーチャージ、航空使用料等を含まず)であったことを考えると、やはり値下げ前は通常時の倍以上の価格だったということがわかります。しかも、申し込み多数で入手しにくかった時は「コネ」「プラスアルファのお金」が必要だったと考えると、やはり「コロナビジネス」にはうさん臭さが残りますね。今回の措置は東京便だけでなく、ソウル便、フランクフルト便にも適応されています。ソウル便は475,900ウオン(約45,500円)、フランクフルト便は731ユーロ(約95,000円)となっています。そしてこの他にもなんとイスタンブール629ユーロ(約81,800円)とヌルスルタン314米ドル(約34,200円)まで書かれています。ヌルスルタンはカザフスタンの首都ですが、恐らくほとんどの方はご存じないでしょう。元々のカザフスタンの最大都市で首都であったのはアルマトイでしたが、1997年にアスタナに遷都されました。ここまでは私もよく覚えてます。ですが、ようやく馴染んだこの名前は2019年にヌルスルタンの改称されたのです。では、ヌルスルタンとはどういう意味か?本当の語源は知りませんが、これはナザルバエフ前大統領の名前なんです。彼の名前はヌルスルタン・ナザルバエフというのです。独裁者として有名でしたが、まさか首都の名前を自分の名前に変更するとは驚きです。まあ、レニングラードとか社会主義国には珍しくはないのでしょう。モンゴルにもチョイバルサンがありますし。いくら独裁・独善的な安倍前首相も、さすがに東京をシンゾーに変更しようとはしませんでしたね。飛行機関連で言えば、いよいよ新チンギスハーン国際空港がこの7月に開港すると書かれていました。「え?まだ開港してなかったの?」と思ってしまうくらい昔からの話題です。もう10年以上も前からすったもんだして、ようやく工事着工にこぎつけ、開港は2018年かと発表されたり、1年延ばしになったり、、、もう忘れかけようとしていた存在ですらあった新空港です。なので工事は全部完了したが、コロナの影響で引き延ばしになっていたとばかり思っていました。ところがニュースによると「新チンギスハーン空港の工事は現在85%完了しており・・・」とあるではないですか!「えー、まだ完成してなかったの?しかもまだ15%も残っている!?」と驚きます。円借款の返済期日は多分2年も3年も前から返済開始になっているはずですが「あの」モンゴルですし、「あの」甘ちゃん日本政府ですから、返済なんてあるはずないのは当然です。中国なら「返済が難しいならしなくてよい。その代わり向こう99年間の運営権利を中国によこせ!」と言うでしょうね。いずれは軍事空港になってしまうでしょう。甘ちゃん日本は「仕方ないよねー、コロナだし、工事も進んでないし」となんの見返りもなく未返済に同意しているんだと思います。日本人が気楽に行けるようになるのはその頃か?という期待もありますが、他方で先日お伝えしたように「ワクチン接種をした外国人に限って入国を認める方向で検討している」とあります。ですが、日本では一般人には7月になってもワクチンを受けられるかどうかもわかりませんから、少なくとも今から今年の夏のモンゴル旅行プランを立てるには無理がありそうです。早く自由に行き来できる日が来ますように。
2021.03.10
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先日友人が「フランスのモンゴル展、中止になったのは残念だねー」と言ったので「え?なんのこと?」と反応してしまいました。新聞に「モンゴル」という文字があればほとんどの記事には反応していただけに「見落としたのかな?」と思ったのです。この件で今回感じたのは、1.とんでもない中国、2.あの文化を大事にするフランスが屈した?、そしてまさかの3.日本のメディアも中国に忖度?です。産経新聞の報道によると、フランス西部のナント歴史博物館で来春開催予定だった「チンギスハンとモンゴル帝国の誕生展」が中国の検閲により中止することになったというのです。「中国の要求は(モンゴル帝国の始祖である)チンギスハンを展示から消すこと。歴史の書き換えであり、受け入れられないと判断した」とその博物館の館長は述べています。チンギスハンやモンゴル帝国がメインテーマであるのに、中国の要求はなんと「チンギスハン、帝国、モンゴル」の文言を削除せよというのです。確かに本当にこの要求を受け入れれば、そんな展示会なんかできるはずありません。私は当初、なんでフランスともあろう文化大国が中国の史実否定要求を受け入れたのかと不思議に思いました。フランス人は周囲の影響などは気にせず自分たちが決めたことはやり通し、特に文化に対する尊敬はフランス人のDNAに組み込まれているかののように強い人たちだと信じていました。だから、アメリカがなんと言っても、フランス人だけは簡単には追従しないことが多いのです。フランスの中でもこの問題は大きな話題になっているようで「中国人がいかに歴史を塗り替えようとしているかがよくわかる」と強烈に批判しているとのことです。そんなフランスがなぜ屈したのか?それは記事を読んで推測できました。この展示会は3年前からフフホトにある博物館と協力して準備を進めてきたとあります。これを見て私はなるほどと思いました。協力相手がモンゴル国なら問題ないのですが、相手が内モンゴルでは確かに難しいでしょう。フランス側からすれば、中国政府に文句言われたってやりきることは可能だと思います。恐らくそうした議論はあったことでしょう。ですが、もしこの展示会が強行されたらどうなるでしょうか?当然フフホトの博物館関係者は逮捕されたり、処分されたり場合によっては粛清されたりすることもあるでしょう。中国共産党にとっては、モンゴル人やウイグル人なんて虫けらみたいなもんですから。3年前から一緒にやってきた内モンゴル人らが、ひどい目にあうことが明白であるにも関わらず強行できるような判断はなかったのでしょう。残念だったのは、この報道に対してモンゴル政府はなんらの声明を発していないということです。モンゴル帝国やチンギスハーンが否定されているのに沈黙しているだけです。要するに、今のモンゴルの政治家たちは中国からの金まみれになっているので、文句の一つも言えないってことなのです。モンゴル人の心の中を大きく占める「チンギスハーン」と「ダライラマ」を明確に否定されても、今のモンゴル政治家たちは一言も文句を言えないほど、中国恐怖症になっているのです。ですが、日本も他人のことは言えないのかもしれません。この報道をネットで調べてみると、大手メディアでは産経新聞が大きく報道し、読売も軽く触れています。日経新聞、朝日新聞、毎日新聞には出てないようです。テレビのニュースでも取り上げられた形跡はありません。(ネット上では探せませんでした)これは中国への忖度でしょうか?中国政府が代案として示した展示名称は「一体化、相互学習、統合」。いくらなんでも、こんなダサい展示名称をフランスに押し付けるなんて、中国の歴史観、センス、自国主義は我々が想像する以上にひどいものだということがわかります。フランスの最大の間違いは、中国国内にある博物館を相手にしたことです。報道によれば、2024年にモンゴル国の協力を得て開催させる予定のようですが、せめてモンゴル政治家たちには「邪魔をしない」でもらいたいと思います。
2020.10.17
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モンゴルからのニュースで、MCSがサーベラスというPE(プライベートエクィティファンド)に20%を売却するとありました。MCSの公式発表を見てみましょう。(翻訳には私に意訳も含まれます)「2020年8月24日– エネルギー、エンジニアリング、鉱業、不動産、通信、消費財などのさまざまなセクターで事業を行う20社以上で構成されているMCSグループは、本日、オルタナティブ投資の世界的リーダーであるCerberus Capital Management、LP(「Cerberus」)の関連会社との取引を完了したことを発表しました。サーベラスの関連会社は、電気通信および消費財セクターで活動するMCS企業7社の約20%の間接所有権、具体的には株式に転換可能な債券を取得しました。」とあります。早速、モンゴル側にその意図するところを聞いてみました。この話は、既に噂として以前から広まっており、7月には取引が完了するという憶測が流れていたそうです。通信、消費財7社とありますが、実際の目玉はユニテルとコカ・コーラだとのことです。MCSのHPには「今後はサーベラスと共に、国際水準の経営を目指し、成長していきます」とあります。が、サーベラスがそんな暢気な話に長期的に付き合っていくとは思えません。サーベラスは日本でもかなり「活発」に活動していました。あおぞら銀行や西武グループの株式取得でも有名です。特に西武グループとはかなり対立し、「後藤社長を首にせよ!」と40数パーセントの株式取得までやって経営権を握ろうとしましたが、結局はかなわず全部売却した経緯があります。取得金額は未公表ですが、モンゴルからの情報では1億ドル程度とのこと。となると、MCS全体では企業価値5億ドルということでしょう。ユニコーンまではいきませんが、人口300万人の国のドメスティック企業で500億円以上の企業価値は立派なものです。サーベラスは恐らく長くとも3~5年で利益を確定させたいでしょうから、出口戦略としてはユニテルとコカ・コーラの上場狙いとみていいでしょう。外資系のサーベラスが確実に外貨で利益を確定させたいとすれば、国内上場よりも海外上場狙いと思われます。具体的には香港市場での上場でしょうか。オドジャルガル会長が創業したMCSも大きくなりすぎて、「選択と集中」の時代に入ってきたのだと思います。香港上場のモンゴリアンマイニングも相変わらずパッとしませんし、それゆえの借入金も大きいと推測されます。本業と言えるものがなんなのかはわかりませんが、祖業であるパソコン関連はとうに手放していますから、不動産や鉱山関連以外は非中核事業と見なされ、売却や上場などで段々離れていくのだと思われます。モンゴルで初めての「PEによる大型買収」かどうかはわかりませんが、モンゴルも他国並みにM&Aがもっと活発になっていくのかもしれませんん。
2020.08.24
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モンゴルからの情報によると、7月18日現在でモンゴルへの帰国を申請した在外モンゴル人は55か国合計で10,513人だそうです。韓国、中国、日本などのモンゴル人が多いメインの国々からの帰国はコロナ発生から5―6か月で大体は帰国できたと思いますが、それ以外の国々にはまだまだ多くいるということです。この数字はどう見えればいいのでしょうか?とりあえず、日本人の場合を見ていましょう。・・・とネットを検索してみたのですが。あまり大きな問題ではないようです。ネットで出ているのは、4月3日現在で、帰国希望者4000人超で、1000人はめど立たず5月8日現在で、30か国に帰国希望者が250人残っているというものです。5月で250人ですから、恐らく現在では日本人の帰国希望者はほぼ全員帰国できたのでしょう。それと比べると、モンゴルの1万人は非常に多いです。単純に日本との人口比で計算すると、40万人もの帰国希望者が帰国できないということになります。これは凄い!モンゴルのコロナ対策は比較的うまくいっているようです。感染者数は300人を切るレベルで、コロナによる死亡者もゼロです。感染者数は人口比換算でも、日本の3分の1から4分の1程度ですし、死亡者数ゼロというのも良い結果だと思います。国内のモンゴル人同士の感染もほとんどないと言われています。逆に言えば、感染源はほぼ外国から来た人からの感染ということです。なので、その分、外国からの入国にはかなり慎重です。モンゴル政府は在外モンゴル人への帰国支援をしようとチャーター便を増やすなどやっているようです。ですが、国内にいるモンゴル人の感情的な問題もあります。「勝手に外国へ留学や旅行に行って、帰国したいなんて奴は放っておけばいい」とか「金儲けに出稼ぎに行った人を国費で助ける必要はない」などの厳しい意見もあるようです。当然飛行機運賃は受益者負担となっていますが、どうもその料金設定もいろいろあるようで、政治家の懐に?という噂もあるみたいです。一番大変なのは、簡単に行き来できないところに留学している留学生でしょう。留学先のバイトも無くなり、生活費も困る。日本でも「バイト難で収入がなく、生活困難な留学生が多い」という報道もありました。場合によっては「留学生は帰国してください」という国もありますから。でも、モンゴルに帰る方法がない、お金もない、という人もいるでしょう。モンゴルは日本と比べると「外国へ留学する人」「外国で仕事する人」の比率が圧倒的に多いですから、現在外国に取り残されてしまっている1万人近い人たちはかなり困っていることが推測されます。7月には15回のチャーター便で3400人の帰国を認めるとありましたが、それでも希望者の3分の1でしかありません。早く帰国できればいいと願っています。
2020.08.03
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オーストラリアに本部を置く「世界経済平和研究所(IEP)」による報告書「世界平和度指数レポート(Global Peace Index)」2020年度版が発表されました。指数化の詳細はわかりませんが、「世界平和度指数レポート」は継続中の国内・国外紛争、安全度や治安、軍事度など平和に関する3部門・23項目を点数化しているとのことです。つまり「国内外の紛争」「国内の治安」「平和への貢献」の3点についての集計、点数化ということでしょう。一方、これとは別に似た指標で「世界平和度指数」という指数があります。こちらは、イギリスのエコノミスト誌による調査分析です。こちらの方は、調査対象のデータがより具体的に発表されています。主として、内的状況(暴力、犯罪)、外的状況(軍事費、戦争)に分けられます。データ結果をよく観察すると、両者のデータには基本的には同じデータソースから発表されているようです。基本データの主なものは、対外戦、内戦の数対外戦による推定死者数内戦による推定死者数といった厳しい状況を反映するものから、近隣国との関係政治的不安定さ人権尊重のレベルなどのソフトな指標までいろいろです。また国内治安という意味では殺人事件の数犯罪収容者の数などの一般的な治安に関する数値も含まれています。これらを指数化、ランキング化されたものが発表されたというわけです。モンゴルで考えると、対外的な紛争やそれによる死者数はゼロと考えていいでしょう。国際貢献という意味では、これん平和維持活動にも積極的に参加しています。ですが、国内の治安となると「素晴らしい状態」とはとても言えないので、その辺で順位がどうなっているか気になります。以下、2020年発表のランキングをご紹介します。1位はアイスランドです。私も行きましたが、確かに平和で治安の不安は全く感じないいい国でした。2位はニュージーランド。こちらも平和な国というイメージです。どちらも小さな島国というのは興味深いです。3位はポルトガル。こちらも治安の不安を感じないいい国でした。以下、オーストリア、デンマーク、カナダと続き、アジアとしては第7位のシンガポールが最上位です。シンガポールも夜でも治安はいいですし、やはり小さな島国です。こうしたランキングは「ヨーロッパ勢が良い結果」となりがちですが、よく見るとそうでもないのです。イギリスは42位、フランスは何と66位です。また3位のポルトガルの隣のスペインは38位と、似たような地域環境でも大きな差が出ています。そしてアメリカはなんと121位で104位の中国よりも「平和ではない国」となっています。では身近な国を見ていきましょう。ランキング8位のチェコ(ここも安全な感じがするいい国でした)に続くのが日本9位です。10位のスイスと合わせて、まざまず妥当なランクでしょう。その後はほとんどヨーロッパ諸国(とオーストラリア)が続き、19位にアジアとしては3位のブータンが登場します。こちらも平和のイメージが強い国です。20位はマレーシアです。私の実感としても、東南アジア諸国の中では治安が良い国というイメージです。以下、ヨーロッパ諸国が続きます。私が行ったことある国としては、21位オランダ、24位ハンガリー、25位スロバキア、29位ポーランド、31位イタリアなどが続きますが、アジア5位は全体の37位の台湾となります。そして39位にモンゴルです!アジアでは6位と結構上位です。上述の通り、イギリス、フランス、中国、アメリカよりも上位です。40位以下のアジアを見てみましょう。48位韓国、49位インドネシア、50位ラオス、64位ベトナムと続きます。お隣カザフスタンは70位と結構低いです。ロシアと同じような社会だからでしょうか?そのロシアはなんと154位と、最下位に近いです。154位のロシアと104位の中国に挟まれながら平和を保っているモンゴルは健闘していると思います。ロシアより下の国は、シリア、アフガニスタン、スーダンなど国家として崩壊している国です。国家らしい体制を持っている国の中ではロシアが一番平和ではない国です。ちなみに北朝鮮は151位とロシアよりはましです。こんなひどい国の影響は70年間も受けてきたモンゴルやカザフスタンは、平和国家になるためには相当努力してきたことがわかります。他の遊牧民国家らは、ウズベキスタン103位、タジキスタン107位、トルクメニスタン116位と低位にあり、ここでもモンゴルの平和度が再確認されます。とはいえ、対外的に大きな問題がないモンゴルがこの位置にいるのは、やはり国内の治安が問題なのだと思います。残念ながら、治安の悪化は私も肌で感じます。とはいえ、このランキングのモンゴルの推移を見ていくと、2008年 88位2009年 88位2010年 82位2011年 50位2012年 55位2013年 59位2014年 41位2015年 40位2016年 49位2017年 44位2018年 42位2019年 42位2020年 39位と、この10年間で平和度ランキングが大きく上昇しているのがわかります。この調子で、アジアを代表する「平和な草原国」としてイメージアップしていきたいものです。
2020.07.22
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日経新聞のAsian Reviewというメディアにジャーナリストのウィリアム・ペセック氏の時期が出ていました。内容的にはなんら目新しいこともないのですが、この程度の内容で記事になること自体、モンゴルはやはりほとんど知られていないんだなと思いました。ウィリアム・ペセック氏はアジア太平洋地区で政治や経済などの評論をしているアメリカ人だと推測されます。推測というのは、プロフィール等を見てもどこに生まれたとかどこの国の人などが書かれてないからです。ですが、主なキャリアがアメリカ国内のなのでアメリカ人と考えるのが自然だと思います。ペッセク氏の「オピニオン」ということで、記事が書かれています。内容は以下の感じです。6月のモンゴル国民大会議の総選挙で与党・人民党が圧勝した。が、ウイルスの影響でモンゴル経済は大打撃を受け、中国、ロシア、アメリカなどへの対応に苦慮している、とあります。その通りなのですが、以後も含めこの文章全体に「メッセージ」というのもが感じられないのです。この後の記事の要点は以下の通りです。 ・フレルスフ首相は曲芸のような難易度の高い政策のかじ取りが必要 ・鉱物資源を中国に輸出 ・石油などをロシアから輸入 ・中ロに挟まれてるのでアメリカも関心ある ・OTに関してリオ・ティントと交渉迫られる ・野党出身の大統領と対峙とまあ、当たり前の事実だけを羅列しているだけで、なんら新しい切り口はないのです。今後の経済についても ・新型コロナの影響で「外需の崩壊」に直面 ・衣料品の育成(これは翻訳が上手じゃないと推定。カシミア産業育成のことを指していると思われる。)は壁に突き当たっている ・観光業も壊滅的 ・格付け会社はモンゴルの「重大な下振れリスク」を指摘と、これらも既知の内容であり、なんら新しい切り口や「オピニオン」がないのです。そして ・中ロはともに経済的に厳しいので、モンゴルも不安定という当たり前の解説をしています。ここまで読んで、この「オピニオン」は何が言いたいのだろう?とわからないままでした。で、最後の結論は? ・米国は大統領選挙で安定はない ・モンゴルは新型コロナで雇用が失われている「こうしてみると、モンゴルがどこに頼ればいいのかわからず振り回されても、責められないかもしれない」というのが結論のようなんです。「こうしてみると」とあっても、どれを指しているのかわからないほどです。モンゴルはアメリカの大統領選の不安定さによる影響はもともと大してないわけで、ほとんど意味不明の文章となって終っています。この程度の内容の文章を日経新聞が取り上げること自体、不思議であるとともに、やはりモンゴルの話だからなんだと思います。もし、日本や世界中に専門家の多い中国やアメリカに関する「オピニオン」という名の記事であれば、こんなレベルの記事は一蹴され相手にもされないでしょう。例えば私が ・中国はコロナの影響で経済的に苦しんでいます。 ・アメリカや欧州との対立も厳しくなっています。 ・香港問題も大変です。 ・だから、今後もしばらくは中国は大変な時期が続くでしょう。なんて程度の記事を書いてら、笑われて相手にされないと思うんです。でも、モンゴルに関しては、名が売れている評論家ならこんな程度でも大丈夫ってことです。なんだかちょっと残念な気持ちになりました。ただ、日経新聞にはどんなレベルであれ、モンゴルのことを取り上げてくれることについては素直に感謝したいです。一番の敵は「無関心」ですから。
2020.07.14
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先日のテレビの情報番組でのこと。東大教授の姜尚中さんが韓国情勢の解説の中で「愛の不時着が世界的にヒットしており、影響力もある」と話していたのを聞き、ちょっと興味を持ちました。せっかくNetflexを契約していることもあり、見てみました。私はあまり韓流ドラマは見る方ではないですが、それでも「冬のソナタ」や「天国の階段」くらいは見ました。韓流ドラマは、噂通り一度見始めると「ハマる」傾向にあるのは確かだと思います。アジア各国で韓流ドラマが人気なのも頷けます。ちなみに「天国の階段」はこのドラマ内でも実際「韓国ドラマ」として登場するので、見ておいて良かったと思いました。まだ全部見たわけではありませんが、その途中で大きな気づきがありました。それはロケ地のことです。駅や鉄道シーンを中心に多くの場面でモンゴルが登場するのです。場所はウランバートル駅だったり、ナライハ方面の草原だったり、更には列車の中のコンパートメントだったりで、わかる人が見ればすぐに気づくようなシーがたくさんありました。聞けば、モンゴル人の間では「愛の不時着のロケ地はモンゴル」というのはかなり有名なんだそうです。しかも撮影には100人以上のエキストラが動員されていたとのことです。確かに村人っぽい人や駅の通行人に、いかにもモンゴル人という顔の人が多く出ているのには驚きました。 モンゴルを舞台にしたいくつかのシーンをご覧いただきましょう。 これはウランバートル郊外、ナライハ方面でしょうか?ドラマでは首都平常に向かう列車とされています。これは途中で止まった列車に物売りが群がっているというシーンです。よく見ると、モンゴル人らしい顔が見えます。たくさんのエキストラが登場します。この画像の奥の女性は間違いなく、モンゴル人のエキストラでしょう。これは列車のコンパートメントの中です。背中にある赤いクッション?は、懐かしいです。まさにモンゴル鉄道の車内ですね。UB駅に到着しました。ドラマではこれが北朝鮮の首都平常駅です。ここでもたくさんのモンゴル人エキストラが登場しました。赤いスカーフの女性はモンゴル人女性ですね。主人公の二人も、ここを平常駅と言いながら歩いています。なんだか「間違い探し」みたいな気になり、楽しいです。 なんでロケ地がモンゴルになったのか?多くのシーンは韓国内での撮影のようですが、実際の鉄道を走らせるシーンとなると、韓国人だと「見てすぐにわかる鉄道や駅」がたくさんあるでしょうから、場所を韓国外に求めたのでしょう。 候補地としては、社会主義っぽい鉄道という意味では中国やロシアも考えられますが、撮影の自由度や北朝鮮っぽさからモンゴルが選ばれたのかもしれません。 撮影時には相当背景には気を付けたことでしょう。キリル文字が見えてしまっては台無しですから。これからご覧になられる方もおられるでしょうから、是非とも背景のモンゴルを大いに楽しんでください。
2020.06.10
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モンゴルの感染者数が98人になったというのを見てびっくり!しました。私が追いかけてきた数字は確か42人まででした。増えたとしても50人行くかどうかのはずなのに、全然違う数字です。もしかして情報源によって異なるのかと思ったら・・・やはり私の勘違いではないようです。最新の情報ではモンゴルでの感染者数は43人でした。そこに急に55人もの感染者が一気に追加されたのです。どういうことか?ニュースによると、13日にロシアから帰国したモンゴル人の軍人生徒(直訳です。恐らくロシア軍に勉強に行っていたのでしょう)のウィルスチェックが昨日判明したとのことです。それによると、なんと55人が感染していたということなのです。これはすごいです。モンゴルという人口小国へのインパクトは、なかなか日本人には伝わりませんが、人口40倍とすると日本の場合の影響はいきなり2,200人の感染者増です。ある意味、クルーズ船に近い感覚ですが、最大の違いが全員モンゴル人だということです。クルーズ船は外国人が多くほとんど帰国してしまいましたが、このケースはそのままモンゴルに残ることになります。当然隔離されることでしょう。このニュースを見て思ったのは、ロシアの軍隊は一体どうなっているんだろうということです。ロシアの軍隊から見たら大した人数じゃないモンゴルからの研修生(?)ですら55人もいたというのですから、350万人いるというロシア軍(モンゴルの全人口より多い!!)の中での蔓延は、相当ヤバいレベルなのではないかと思います。記事には検査対象者の人数は書かれていませんでしたが、「13日に到着した軍人生徒の検査が昨日全て判明した」とありますから、同じ日の飛行機に乗ってきたのでしょう。飛行機ですから、母数が1000人やのはずは2000人のはずはありません。集団としてもせいぜい200人もいるかどうかでしょう。仮に200人とすると、4人に1人とものすごく高確率です。こんな確率でロシア軍に蔓延していたら、ロシア軍だけで数十万人の感染者がいてもおかしくはありません。現に、当初はほとんど感染者がいなかったロシアはこのところ急速に感染者数を伸ばし、今では25万人となり、イギリスを抜いて世界2位となりました。怪しい数字ではありますが、中国の感染者数の8万3千人と比べると多いです。しかも人口はロシアは中国の10分の1以下ですから、人口に対する感染率では中国の30倍かそれ以上もの高い確率で感染者を出していると言ことになります。なので、今回の検査で判明した確率は、かなりの程度ロシア軍内でも通用するんじゃないかと思います。アメリカの軍艦も現在コロナ感染で実質的に運用できない状態らしいですが、ロシアも相当打撃を受けているんじゃないでしょうか?米ロが身動きできない間に、元気に活動を開始した中国は我々が認識している以上に恐ろしい存在かもしれません。
2020.05.15
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コロナ騒動以降、活動範囲もぐっと減り人との接触も少ないので、生きた情報がほとんど入ってきません。入るのはせいぜい毎日のようにコロナニュースで溢れているネットニュースくらいです。モンゴルに関しても、モンゴル自体もほとんど経済活動はストップとのことで目新しいこともありません。せいぜい感染者数くらいでしょうか。5月3日現在で現地情報では感染者数39人、5月5日現在で米大学情報では40人死亡者ゼロとのことです。人数だけを見ると少なく見えますが、人口が少ないので雰囲気はわかりにくいです。モンゴルの人口は日本の約40分の1ですから、単純に40倍すると1600人。これを日本の過去の推移に当てはめると、大体3月27日頃と同じです。緊急事態宣言発令の10日前ってところでしょうか。モンゴルのコロナ対策は、習に忖度して対中国人入国規制を遅らせるとか、トランプに忖度してアメリカ対策を遅らせるとかは全くしなかったので、日本よりはずっと迅速でした。以前に本ブログでも書きましたが、「モンゴル民族を守る」という危機感は、自分の損得しか考えない安倍さんとは全然違います。なので、中国、韓国そして日本という主要航空路線を早々に運航停止したのです。ですが、ここに隙がありました。確かに2月当時の感染者はアジアに多かったので、欧米はあまり関係ないと思われていたのでしょう、フランクフルト線やモスクワ線は残っていたのです。その欧州線でMIATがせっせと感染者をモンゴルに送ってきていたということです。その欧州線も当然今はストップしています。が、現地に取り残されたモンゴル人を帰国させるためにチャーター便という形で今も2週間に1回程度飛行機を飛ばしているとのことです。5月3日にもフランクフルトから各国に散在していた260名程度を乗せて帰ってきたそうです。今までの帰国便の中には当然感染者がいたわけで、モンゴル国内ではそれが批判の的になっています。モンゴル国内では「社会主義時代の経験」があるので、結構きつめの外出禁止令などを出し、国内での感染拡大はほとんど閉じ込めたそうです。が、こうして外国からやってくる帰国モンゴル人が新たな感染をもたらしているので、少ないながらも今も増え続けているのです。当然、国民の厳しい声が出てきます。「ヨーロッパなんかで遊んでいる金持ちなんか助ける必要はない!」「好きで外国行ったんだから、帰ってくるな!」などの、嫉妬と危機感が入り混じった感情が出ているようです。その気持ち、わからないわけではありません。モンゴル国内の経済事情、就職事情はもう長い間厳しい状況が続いています。少しでもお金やチャンスがあれば、海外へ行きたいと願っている潜在的人口は5万人、10万人どころではなく、18~40歳くらいの国民の半数近くはいるんじゃないかと思います。そんな中、海外へ行けた人はその仕事・学校の中身を問わず「ラッキーな人」と見なされる風潮があります。そうした「ラッキーな人」がのこのこ帰ってきて、ウィルスをばらまく(と言っても、確率は相当低いでしょうが)との報道を見ると、厳しい言葉が出てしまうのはやむを得ないかもしれません。1990年以降、モンゴルは諸外国との交流なしでは生きていけない国になっています。それに伴い、外国へ出ていく人の数はうなぎのぼりで増えていますし、それは必然でもあります。コロナによって、モンゴル人同士が罵声を浴びせるような状態だけは避けてほしいと願っています。
2020.05.06
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