月下美人

月下美人

手をつないで



十番隊執務室に書類を捲り筆を滑らせる音だけが響く。
ひとまず目途がついたところで手を休める。
「松本ー、茶ぁーいれてくれー」
いつものように副官に声をかける。
しかし、いつまで経っても返事がない。
「あいつ、現世行ってたんだっけ・・・・」
さほどの数ではないとの報告から乱菊が数人を伴って現世に行っていたのだった。
時刻を見ると予定よりもだいぶ過ぎている。
「あたし一人でも大丈夫ですけどね」と笑っていたわりには帰りが遅い。
「あいつ、まさか・・・・」
途端に心配になってくる。
確認しに行くか、もう少し待つか、と執務室の中を腕組みしながら歩き回っていると知った霊圧が近づいて来た。
勢い良く扉が開かれる。
「遅くなり申し訳御座いません。松本乱菊、只今戻りました」
「雑魚じゃなかったのか?」
「いえ、そっちの方は早く片づいたんですけど・・・・」
「隊長、口開けてくださいな」
一粒のチョコレートを口に放り込む。
「何だ、これ?甘いぞ」
「チョコレートという菓子です。隊長、甘い物好きでしょう?今日は現世でバレンタインデーという行事で、女の子が男の子に想いを伝えても良い日なんですって」
ニコニコと言う。
「想いって・・・・お前、いっつも酔ぱっらて好きだ好きだ言ってるのと、どう違うんだ?」
「あたし、そんな事言ってましたっけ?・・・・」
本人は自覚が無いらしい。
酒好きな部下は酔っぱらうといつも好きだと抱きついてくる。
その気になっていたのは俺だけか・・・。
凹んでいると乱菊が抱きついてくる。
その体の冷たさに思わず問う。
「お前、何でこんなに体冷たいんだ?風邪ひくぞ」
回した腕に力を込め答える。
「実は・・・・・やちるの部屋借りて作ったんです。このチョコレート。寒いとこじゃないと溶けちゃうから・・・・・・」
「乱菊・・・・・」
普段は名字でしか呼ばないのにこの時だけは、名を呼ぶ。
斬魄刀の始解のように。
乱菊の手を取り唇を寄せる。
「暖めてやるから、来い」
そのつないだ手に力を込めて答える・・・・・「はい」と・・・・・


(了)


日乱好きさんに20のお題より「手をつないで」でございます。
初書き日乱~
バレンタインデーに合わせて頑張りました。
チョコ作ったり、お話書いたりと忙しい一日でした。
お題からタイトルいただきましたが、「?」という感否めず(滅)
思いっきり自己満足^^;

お題に挑戦してみたものの、こなせるのだろうか?

追記(大した事ではありませんが)
何故、やちるの部屋を借りたかというと・・・最初に雛森の所に行きます。
「桃~、お願いがあるんだけど・・・って、何?この煙・・・」
「あ~、乱菊さん、いいところに・・・。藍染隊長にバレンタインの焼菓子を作ってたんですけど上手くいかなくって」
「台所借りたかったんだけど、これじゃ無理ね・・・・」
「えっ?もしかしてシロちゃんに? きゃー、あの小さかったシロちゃんが~」
「ねぇ、何かまた焦げたようなニオイがするんだけど・・・・」
「あ~、焦げてる~。また失敗しちゃった・・・」
と、とても台所を借りられそうにないので諦めて、次に七緒ちゃんの所へ。
「伊勢~、お願いがあるんだけど。台所貸してくれない?」
「いいですけど、何するんですか?」
「うちの隊長に内緒でバレンタインのチョコ作りたいのよ。あたしの所だと、いつ隊長来るか分からないから」
「ご免なさい、やっぱりダメ。そんなことが京楽隊長の耳に入ったら、僕には作ってくれないの?って絶対言われますもん。しつこく、しつこく。あんなにお酒飲んだ上に甘い物食べたら糖尿病になっちゃいますもの。絶対あげられませんから」
「あんなに愛情表現はっきりしてて羨ましいけど、体調気遣わなきゃなんないから大変ねぇ。分かったわ、ごめんね」
で、もって大量の金平糖を持ってやちるにお願いに行き無事、台所を借りる事になります。「台所?いいよ~v 金平糖いっぱ~い、剣ちゃんにもあげてくる~」みたいな感じで。良かったね~、乱菊さん(笑)

長々と、ここまで読んで下さった方、ありがとうございますv


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