「グラスの中の品質」Qualitaet im Glase 。畑を格付けして等級を行うフランスのシステムに対し、ドイツワインはいかなる畑からも優れた品質のワインを造り得るという建前のシステムをとっている。実際、この試飲会ではあまり知られていない畑のワインが、有名な畑のワインに並んで試飲に供されていた。そして畑毎の品質の差は、少なくとも僕の印象では、ごくわずかであった。畑の差はもとより、カテゴリー内ではどのワインの香味の差もまた、試飲につれて鈍感になった僕の舌では、まるで物差しで測ったかのようにごくわずかであるように思われた。
考えてみると、典型性-ティピシティが審査の上で絶対的な重きを占めている以上、個性的なワインは排除されて当然なのかもしれない。試飲審査に際して審査員に明らかにされるのは生産年、品種、格付けのみである。そして大半は現役の醸造家が務める彼らは、それぞれの要素に期待される典型的な個性が出ているかどうかを基準に審査する。その際、畑の個性は考慮されない。Qualitaet im Glase- クリーンで欠陥のない、優等生こそ公的機関の金賞に相応しいのだ。いずれも粒ぞろいの優れたワインであり、その大半は5Euroを中心に3.3~9Euroと手頃な価格である。ハレルヤ!ドイツワインの良心がそこにはある。
畑の格付けが価格ゾーンの引き上げに利用されるのは、ありがたい話ではない。それくらいなら、没個性であってもあくまでもQualitaet im Glaseに留まる方がいいのか...?。 結局のところ、カテゴリーでもなく格付けでもなく、よい仕事をしている醸造家を知り、彼のワインを基準に自分なりの価値観を築き上げていくより他ないであろう。 そういう意味で、試飲会はいつも貴重な機会なのである。